インタビュー
【トランスフォーマー】「ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス」開発担当者インタビュー
2025年9月8日 00:00
- 【ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス】
- 2026年3月下旬 発売予定
- 価格:27,500円
タカラトミーのハイターゲット向けホビーレーベル「T-SPARK(ティースパーク)」は、アクションフィギュア「トランスフォーマー」シリーズより「ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス」を2026年3月下旬に発売する。価格は27,500円。
あの時代に存在したかもしれない仮想復刻版「ミッシングリンク」シリーズ第10弾としてシティコマンダー「ウルトラマグナス」が登場。
「ウルトラマグナス」は『トランスフォーマー2010』など「トランスフォーマー」第1世代シリーズ(G1シリーズ)に登場したサイバトロンの戦士。公正で、固い意志を持ち、そして勇敢な性格であり、サイバトロンの新たなリーダーとなった「ロディマスコンボイ」の副官として活躍。
劇中ではロボットモードからトランスポーターカーとなるビークルモードへのトランスフォーム(変形)する。
「ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス」では、1986年に発売された「シティコマンダー ウルトラマグナス」(G1版)を当時のサイズや質感、ノスタルジーもそのままに完全新規造形で商品化。トラック部にあたるコンボイ型ロボットへのトランスフォームはもちろん、キャリアー部と合体し、全高約262mmの大型ロボットとなる。
また、キャリアー部は整備基地・指令基地・移動作戦基地などのフォーメーションに変形が可能。そして、ビークルモードでは別売りのミッシング商品を搭載することもできる。
本稿では試作品の写真を交えて、タカラトミー ホビーキャラクター事業室コレクター事業部の開発担当者に「ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス」の魅力を聞いてみた。
約40年の時を経て最新技術で旧ダイアクロンエッセンスまで詰め込んだ「ウルトラマグナス」が立体化
――「ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス」の立体化の経緯をお聞かせください。「ミッシングリンク」シリーズ第10弾として「ウルトラマグナス」が選ばれた理由は何でしょうか?
開発担当:「ミッシングリング」シリーズ第1弾として「ミッシングリンク C-01 コンボイ」が2024年2月に発売されましたが、こちらの商品を開発する段階では「ウルトラマグナス」の構想はありませんでした。
しかし、「ミッシングリンク」シリーズが好調なことで、記念すべき10体目のタイミングで大型商品を用意したいと思いました。
そこで、C-01のコンボイ部分を活用できる「ウルトラマグナス」が最適ではないかとなり採用されました。
――造形について質問です。「ミッシングリンク」シリーズが“あの時代に存在したかもしれない仮想復刻版”をコンセプトとしておりますが、オリジナル版から追加された意匠やディテールなどはありますか?
開発担当:追加されたディテールとしましてはほぼないと思います。というのも、「ミッシングリンク」シリーズはオリジナルの持っている意匠を尊重して、その良さを最大限引き出すコンセプトで開発をしているからです。
開発担当:追加要素としましては、他の「ミッシングリンク」シリーズ商品と同じように当時品ではシールだった部分を立体彫刻に変更し、彩色する仕様にしております。「当時品のシールを立体彫刻に起こした際にどのような形状をしているのか?」という解釈を加えました。
あとは、塗分けの為に別パーツ化している部分もありまして、例えばヘルメットパーツは一体成型でしたが、「ミッシングリンク」ではより精密に塗装するために分割して塗装してから組み立てる工程で作られています。
――シークレットエンブレムのギミックがありますが、こちらはどこについているのでしょうか?
開発担当:シークレットエンブレムはオリジナル版同様に白いコンボイのルーフ部分についています。
――今回「ミッシングリンク」シリーズでの立体化に当たりカラーリングの設定はどのようにしましたか?
開発担当:カラーリングの水色部分に関しましては、40年近く前のオリジナル版が現在退色していると思われ、残っているサンプルも黄変している部分もありますので、「当時はこういう青だったはずだ」という推測のもと少し鮮やかめに設定しています。
――「ミッシングリンク」ではサイバトロンのリーダーの証であるマトリクスが付属するのもオリジナル版にはなかった要素ですね。
開発担当:はい。マトリクスが付属し、こちらの収納に関しても「ミッシングリンク C-01 コンボイ」にあったギミックを引き継いでいる形となっております。
一方で「ウルトラマグナス」は白いコンボイ型ロボットの胸部から合体する方式のため、オリジナル版では劇中で見られたロボットモードでのマトリクスの取り換えができない構造でした。
今回、胸部部分のプロテクターを外して、内側の赤いアーマー部分が手前に開くようになっておりまして、さらにC-01のキャビンに当たる胸部を開くことで胸部のマトリクスチャンバーにアクセスすることができます。
開発担当:なので、ロボットモードでのマトリクスの交換や人間フィギュアの搭乗もできるようになっています。
マトリクスのカラーリングに関しても「ミッシングリンク C-01 コンボイ」に付属していたものとは異なるカラーリングとなっています。
――次にロボットモードでの可動について教えてください。「ミッシングリンク」シリーズで手足の可動が増えたのが特徴かと思います。
開発担当:まず腕部はオリジナル版がきちんと可動する構造だったので、肩の左右に開くジョイントを追加して、手も開く関節を追加しました。
脚部に関しては、オリジナル版でもほぼ動かせない状態でしたが、「これをどうにかして当時のボックスアートのポーズを取らせたい」と思い、膝部分は板状のパーツだったのですが、ここに90度曲がるようにクラッチ関節を入れた上で可動するように入れています。
開発担当:中のコンボイ型ロボットもちょうど膝関節が「ウルトラマグナス」の脚の付け根の位置にあります。そのため、「ウルトラマグナス」が足を上げる時はコンボイ型ロボットは逆関節に曲がらないといけない。
そこで「ミッシングリンク C-01 コンボイ」をベースに脚部を新規パーツに変更し、逆関節に曲がるようにしています。外側の「ウルトラマグナス」を動かしたときに、中のコンボイ型ロボットは逆関節に曲がって動きに追従できるようになっています。
――コンボイ型ロボットにはダイキャストが使用されているのでしょうか?
開発担当:そうですね。「ミッシングリンク C-01 コンボイ」と同様の部位に使用されています。
また、外側のアーマー部分に関しても、オリジナル版ではダイキャストが使われていないのですが、今回補強もかねてダイキャストが使用されています。特に胸部の赤い部分にダイキャストを使用して、強度を上げています。
――ビークルモードに関してですが、こちらは他の「ミッシングリンク」商品の積載やエアボットの発射台にもできるのでしょうか?
開発担当:キャリアー部分はオリジナル版と同じ可動ができ、同じ遊びができます。他の「トランスフォーマー」商品の積載もオリジナル通り可能です。
――続いてトランスフォームギミックについて教えてください。オリジナル版を踏襲されているとのことで、ロボットモードとビークルモードの他に整備基地などにできるのでしょうか?
開発担当:オリジナル版の商品と同じように整備基地・指令基地などの遊びができるほか、オリジナル版ではオミットされた、「ウルトラマグナス」の元となった旧ダイアクロンシリーズでの「パワードコンボイ」にあった機能も復活させて、できるようになっています。
開発担当:具体的には、胸部のプロテクターパーツの裏面にあったタイヤが復活し、コロ走行ができるようになっています。「トランスフォーマー」シリーズになった際にこの造形はオミットされていました。
そして、プロテクターパーツとヘルメットパーツを合わせることでプロテクターマシーン形態にすることができ、人間フィギュアを乗せて遊べるようになっています。
――「ミッシングリンク」シリーズになったことで、トランスフォームでの新機構の追加などはありますか?
開発担当:今回の「ウルトラマグナス」では、膝を深く曲げるために中に入っているコンボイ型ロボットのつま先を後ろに畳めるような構造にしております。
裾の部分を開いて、裾がよけた部分につま先を180度回して、コンボイ型ロボットのつま先位置を上げることで膝関節に干渉しない、90度曲げられるような構造にしています。
――ギミックについて、オリジナル版ではスプリングによるミサイルの発射ギミックがありましたが、こちらは採用されていますか?
開発担当:ミサイルの発射ギミックに関しては、「ミッシングリンク C-01 コンボイ」では採用しておりましたが、「ミッシングリンク」がシリーズ化するにあたり安全基準も考慮して、「スプリングによるミサイルの発射はしない」形で統一しまして、今回のミサイルも発射ギミックはありませんが、イメージ遊びをするためにつけ外しが可能となっています。
――トランスフォーム手順の難易度はどれくらいでしょうか?
開発担当:「ミッシングリンク」シリーズのいいところとして、「初代トランスフォーマーと同様に気軽に変形できる難易度」となっています。
当時品と同様にシンプルでやりやすい変形難易度を維持しています。
――なるほど。今回の「ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス」から「トランスフォーマー」シリーズに触れる方にも変形しやすい感じなんですね。
開発担当:そうですね。やりやすいようになっているかと思います。
――今回旧ダイアクロンシリーズにあった「ディアストーカー」が付属されていますが、「ミッシングリンク」での立体化に合わせて新設定などはありますか?
開発担当:「ミッシングリンク」のコンセプトとして「オリジナルが持っていた玩具の魅力を引き出そう」というのがあり、「旧ダイアクロン時代にはありましたが「トランスフォーマー」シリーズではオミットされた機能をできるだけ復活させよう」という試みをしております。
そこで旧ダイアクロンにあったバギーロボの「ディアストーカー」も復活させて、“この商品が持っていた本当の遊び”を皆さんに再度体験していただけるようにしました。
それに合わせてカラーリングとキャラクター設定をしております。また、旧ダイアクロンではいわゆるブロック的な組み替え変形でしたが、「ミッシングリンク」ではこれを現代の技術で完全変形仕様になっています。
ここは結構実際に手に取っていただいた際に驚かれるポイントかと思います。バギーでは人間フィギュアを乗せたり、ロボットモードではポーズを取らせることもできます。
――こちらの手などにジョイント穴がありますが、「ウルトラマグナス」のスーパーブラスターガンなどを持たせることができるのでしょうか?
開発担当:そうですね。ロボットモードでの手に加え、胸部にもジョイント穴がありますのでバギーモードで搭載させることができます。
また、ロボットモードでは背面にスタンド用の3mm穴がありますので、別売りのフィギュアスタンドでポーズを付けた飾ることもできます。
――本商品で開発担当者様がこだわりポイントはどこになりますか?
開発担当:細かいところですが、オリジナル版では腕部が中央部で合体してカーモードの上段部分になっています。そのため、ロボットモード時に開いて腕部を構成するのですが、両肩に装着するミサイル発射装置の付け根が段違いになっておりまして、左右で位置が互い違いになっています。
この部分が気になっていまして、それを「ミッシングリンク」では高さが揃えられるようにしております。
ミサイル発射装置の方に可動式のジョイントを設けまして片側を高く設定することで、左右の位置を合わせることができます。
――確かに、実際手に取った時に左右の位置がズレは気になりますからね。
開発担当:また、アニメ設定で、ビークルモード時にミサイル発射装置はキャリアカーの前部左右に装着されていました。オリジナル版では前面に搭載することはできたのですが、横に着けることができませんでした。
「ミッシングリンク」では横に着けるためのジョイントを付け、アニメイメージに近いシルエットを再現することができます。
まるで「ミッシングリンク C-10 ウルトラマグナス」をオリジナルとしてアニメに反映されたかのような作りを意識しました。
――開発していく中で苦労されたポイントはありましたか?
開発担当:例えば、「ウルトラマグナス」の顔の部分ですがこちらの目が空洞になっていまして、中のコンボイ型ロボットの頭部が見える仕様となっています。
この構成はオリジナル版からあり、この商品の特徴であり、良さでもあるのであえて残したりしています。そこはアレンジを加えず、オリジナルの良さを継承した部分になりますね。
――技術的にはアレンジを加えられるけど、あえてオリジナルを踏襲した部分になっているのですね。当時に放映されたCMでは赤く光る演出がありましたが、それを再現するといったアイデアはありましたか?
開発担当:開発中はCMの赤く光る演出も少し考えていました。何かできないかと思いつつ、まずは素直な商品仕様として作ろうとなりました。
――プロポーションに関してもオリジナル版とほぼ同じですが、やはり玩具ならではのカッコよさを感じますね。
開発担当:そうですね。昔の玩具デザインも十分カッコイイことを気づいていただきたくて、できるだけその良さを残しています。
――過去に発売された「SS-119 ウルトラマグナス」がアニメイメージに近いデザインでしたが、玩具としての面白さがオリジナル版には詰まっている印象を受けますね。
開発担当:なので、アニメ再現も目標の一つだと思うのですが、玩具もオリジンの本家の一つだと思うので、本商品ではそこを目指しています。
――最後のユーザー様へのメッセージをお願いいたします。
開発担当:「ミッシングリンク」は定期的に商品を発売してきまして、ついに大型商品の「ウルトラマグナス」までたどり着くことができました。
また、2026年2月に「ミッシングリンク C-01N ネメシスプライム」が発売されますが、これはデストロン商品群の発売予告編であるとお考えください。ここからデストロン商品も積極的に展開していく予定ですので、楽しみにお待ちいただければと思います。
――ありがとうございました。
(C) TOMY
※画像は試作品を使用しています。実際の製品とは異なる場合がございます。ご了承ください。