特集

スナップフィットモデルの時代に便利すぎる「パーツ外しツール」のススメ【夏休み特集】

プラモのカスタマイズにも便利なツール5種+1を紹介

【パーツ外しツール特集】
紹介工具:
・ウェーブ パーツ・オープナー
・ウェーブ パーツ・オープナーV2
・BANDAI SPIRITS パーツセパレーター
・PLAMAX セパレートツールセット
・ゴッドハンド アメイジングパーツオープナー

 近年発売されるプラモデルは、接着剤を使わずに組み立てられる、いわゆる「スナップフィット」タイプのキットが増えている。ビギナーでも低年齢ユーザーでも手軽にカッチリ作れるようになった一方、パーツを間違ってはめてしまうトラブルや、仮組み後の分解がしにくいという不安材料も発生した。

 そこで注目されるようになったのが、スナップフィットプラモの“パーツを外すための専用ツール”だ。2012年にウェーブが発売した「パーツ・オープナー」をきっかけに、プラモデル用のツールとして少しずつユーザーの間に浸透し、現在は各社から様々な種類が発売されている。

スナップフィットキットの組み立てやカスタマイズアイテムの取り外し・分解には欠かせない

 「パーツ外しツール」は間違ったパーツを外すだけでなく、コトブキヤやBANDAI SPIRITSなどがリリースしている、組み立て後にカスタマイズを楽しむプラモデルにも重宝する。メーカー各社から現行販売されている5アイテムの特徴と使い勝手を紹介しよう。

ウェーブの製品を筆頭に、各社から個性的なパーツ外しがリリース。素材や使い勝手もまちまち

 パーツ外しツールはここ数年で各社からリリースされ、選択肢がそこそこ増えている。用途自体に変わりはないが、各社ツールとしての付加価値を付けるなどして差別化をはかっている。大まかに分類すると、金属製と樹脂製のものがあり、前者は堅牢、後者はプラを傷つけにくくビギナーにも扱いやすいという特徴がある。

左から金属製の刃を持つウェーブの「パーツ・オープナー」と、オール樹脂製のBANDAI SPIRITS「パーツセパレーター」

 どれが優れているとは一概には言えず、パーツをこじ開ける刃先の形状にも違いがあるため、いくつか手に入れて用途によって使い分けるのがいいかもしれない。刃先が鋭いウェーブの「パーツ・オープナー」で隙間を空け、樹脂製のBANDAI SPIRITSの「パーツセパレーター」でこじ開けるといったコンビネーションで使う手もある。基本的どれも安価なので、違うものをいくつか持っておくといいかもしれない。

刃が薄いほうを先に使って隙間を空けて、樹脂製のもので大きく開く
樹脂製のものはプラモデルに限らず、デリケートなおもちゃにも使いやすい

 筆者のプラモデル作りは、弊誌のレビュー仕事なども含め、塗料や接着剤を使わない“素組み(パチ組み)”がほとんどなわけだが、BANDAI SPIRITSの「30 MINUTES」シリーズなどを組み立てる機会も多く、以下に挙げたツールを実際に使用している。導入の際の参考にしていただければ幸いだ。

ウェーブ パーツ・オープナー

  • メーカー:ウェーブ
  • 価格:418円
  • サイズ:全長約75mm/刃幅約10mm
  • 特徴:極薄の金属刃は狭いパーツの隙間に入れやすい、パーツ外しツールの元祖的存在
【HT-196 パーツ・オープナー | 株式会社ウェーブ】
握りやすい大きなグリップが特徴。キャップ付きなので保管時の安全性も高い

 ウェーブから2012年に発売された、パーツ外しツールのロングセラー。握りやすい大きめのグリップに先を薄くした金属刃が付いていて、パーツの隙間に入れてこじ開けるタイプ。刃の先端はかなり薄く、パーツの狭い隙間にも入れやすい構造。金属刃なので力を入れて開けるとパーツを傷つける恐れがあるので、隙間ができたら別のパーツオープナーに交替する手もある。ウェーブは刃物として扱っていて、取り扱い注意を促している。

刃のある部分の幅は約10mm。ナイフ状に沿っている
薄い刃先はパーツの隙間に入れやすい。こちらは少し大きさのあるものに適している

ウェーブ パーツ・オープナーV2(刃幅:5mm)

  • メーカー:ウェーブ
  • 価格:528円
  • サイズ:全長約72mm/刃幅約5mm
  • 特徴:小さくなった刃幅でより小さいパーツに対応。キャップ収納などグリップにも工夫がある
全体の大きさは通常版と変わらないが、グリップが薄い。キャップが収められるのもいいところ

 「パーツ・オープナー」の小型版として2024年に発売された新製品。ステンレス製の刃の幅を小さくして、より小さなパーツに対応したもの。グリップが薄型になり、チェーンなどを取り付けるための穴が開けられて、収納がしやすくなっている。またこのグリップにはちょっとした工夫があり、パーツの丸棒の径を測る穴やキャップ収納スペースが設けられるなど、ツールとしての機能が増えている。

刃の幅は先端で約5mm。こちらも刃先は金属製でかなり薄い
幅が狭いので小さめのパーツ向けだ

BANDAI SPIRITS パーツセパレーター

  • メーカー:BANDAI SPIRITS
  • 価格:330円
  • サイズ:全長約105mm
  • 特徴:パーツを傷つけにくい樹脂成形で低年齢層にも安心。先端のピンも使いやすい
POM(ポリアセタール樹脂)という樹脂製でわずかに弾力がある

 BANDAI SPIRITSが2022年に発売した樹脂製のパーツオープナー。一方にヘラのようなパーツ外しが、もう一方に2.85mm径のピンが備えられている。ウェーブの「パーツ・オープナー」のように金属を使っておらずパーツが傷つきにくく、安価かつ対象年齢が8歳以上でビギナーにも扱いやすい商品だ。パーツ外しの先端は尖っていないので、密着した隙間は苦手なので、他のアイテムと併用するといい。反対側のポリキャップ用のピンが意外に使いやすく、パーツの押し出しに活躍してくれる。

刃と言えるものはなく、先端を触っても危なくない。ジョイントの太さを測る穴がある
キャップなども必要ない安全性で、手軽に使えるのがいいところ

PLAMAX セパレートツールセット

  • メーカー:マックスファクトリー/グッドスマイルカンパニー
  • 価格:330円
  • サイズ:全長約50mm(パーツオープナー)
  • 特徴:先端の薄い樹脂製のオープナーと、ジョイントを抜くためのピンセットがセットに
2つのツールが入ったお得なセット。今回の中では一番小さく、保存もしやすい

 マックスファクトリーのPLAMAXブランドで2024年に発売されたツールセット。フィギュアに持たせることもできる手斧の形をしたパーツ外しと、ジョイントをつまんで抜くためのピンセットが入っている。こちらもPOM製でプラを傷つけにくい仕様だ。パーツオープナーはBANDAI SPIRITSのものよりも刃先が薄く隙間に入れやすい。刃が大小2種あるのも便利で、その間にあるくぼみは、ボールジョイントを組み立てるときの受けになっているなど、よく考えられて設計されている。ピンセットは同様のツールが意外になく、重宝するかも。

大きいほうは諸刃、小さいほうは片刃という違いも。小さいほうが刃は厚い
刃は大小両側に付いている。丸い部分でボールジョイントの組み立て補助も可能
ピンセットはボールジョイントを抜くときなどに便利

ゴッドハンド アメイジングパーツオープナー

  • メーカー:ゴッドハンド
  • 価格:2,530円
  • サイズ:全長約110mm
  • 特徴:パーツの隙間に差し込んで押し込むことでパーツを開ける他にはないスタイル
スティック状のパーツ外し。他にはない使い勝手のタイプ

 ゴッドハンドが公式通販サイトでのテスト販売後、この7月末より一般店頭での販売が開始されたパーツオープナー。他の製品とは異なる棒状で、金属の四角柱の先端に刃が取り付けられていて、こじ開けるのではなく差し込んでゆっくり押し込むことでパーツを外す構造になっている。5mm角の金属棒を先端の細い刃物状に加工した精度はさすがのゴッドハンドで、細いところにも入れやすい形状をしている。金属なのでパーツに与えるダメージが絶対安心できるものではないことと、他と比べるとかなり高価なのがネックと言えそう。

刃先は一方が山型で、一方が平らになった片刃構造
押し込んで刃の上をパーツを滑らせるようにして開けていく

番外編:ダイソー ハイカーボン入りヘラ(9mm、20mm)

  • メーカー:ダイソー
  • 価格:各110円
  • サイズ:全長約150mm~155mm
  • 特徴:とにかく安く済ませたい、急に必要になったときなど、入手しやすい100均アイテム
元の用途は掃除用の道具なので、全体的にやや大きめ。柄を使いやすいサイズにカットしてしまうのも手だ

 これは番外編。ダイソーで売っている「ハイカーボン入りヘラ9mm」、「同20mm」は、本来はこびりついた汚れを落とすためのスクレーパーとして販売されているものだが、ナイロン+カーボンの混合素材で、先端が薄く加工されていて、パーツ外しとしても使える。上記のアメイジングパーツオープナーに近い片刃タイプというのもポイント。サイズのラインナップはいくつかあり、9mmと20mmが模型に使えそうなのサイズとなる。他社製品も値段はそれほど高くないので、価格においての優位性は少ないものの、扱っている店舗が多く入手しやすいのは見逃せない点だ。

右が9mm、左が20mm。9mmのほうが厚みがある。どちらも片刃だ
模型用途ではないので、使用時は自己責任で。先端にバリが目立つこともあるので、ナイフなどで軽く削って落とすといい