「月岡恋鐘 フェイスオブトレジャーVer.」レビュー

　今回レビューするのは、グッドスマイルカンパニーから5月9日に発売された「月岡恋鐘 フェイスオブトレジャーVer.」。

　本商品はアイドル育成シミュレーションゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」（以下、シャニマス）に登場するアイドル「月岡恋鐘」をフィギュア化したもの。スチームパンク風の衣装に、スタイルの良さが前面に押し出されたデザインにまず目に入ってくる。「シャニマス」を知らない人は「アイドル」を題材としたゲームのキャラクターとは思わないだろう。

　本稿では、アイドル「月岡恋鐘」の魅力と共に、本フィギュアの魅力を紹介していきたいと思う。

長崎生まれのポジティブアイドル、月岡恋鐘

　月岡恋鐘はシャニマスに登場するユニット「L'Antica（アンティーカ）」に所属するアイドル。ふわっと耳に心地よい長崎訛りの方言、スタイルの良さや元気いっぱいの笑顔、自信に満ちた行動力で見ている人を笑顔にするアイドル。

　そのため、ゲーム内のストーリーではやる気が空回りして失敗することもある。そして、失敗続きで「憧れていたアイドルは不安になってしまう場面もあったが、プロデューサーの支えと持ち前の明るさで失敗も魅力に変えるパワフルさが描かれている。

「W.I.N.G.」編のコミュ「めげないハート」より

　ソロ曲「アポイント・シグナル」は前向きに歩んでいく歌詞やアップテンポの可愛さ全開のリズムの曲で、長崎から都会に出てアイドルを目指す恋鐘とシンクロしており、聞いていると元気がもらえるような曲となっている。

　恋鐘が所属するユニット「アンティーカ」はシャニマスのユニットの中でもクールでゴシック衣装が中心の幻想的な雰囲気で、普段の恋鐘の雰囲気からは想像できない印象となっている。

　同じユニットの白瀬咲耶、田中魔美々、幽谷霧子、三峰結華たちからは、リーダーとして、ユニット内ではムードメーカーとして慕われている。

　また、表面的には完璧にアイドルをこなしつつ、内面は繊細で想いを抑え込んでしまう咲耶を励ます恋鐘は、ひとりの時では見えない頼もしさが描かれている。ユニットメンバーの気持ちが躓いてしまった時は持ち前のポジティブさで引っ張り上げる、恋鐘ならではの魅力が溢れている。

「ファン感謝祭」編のコミュ「ねぇ、アンティーカ」より自分を卑下する咲耶を励ます恋鐘

CD「THE IDOLM@STER SHINY COLORS BRILLI@NT WING 03 バベルシティ・グレイス」ジャケット

　シャニマスでは、ソロとユニットでアイドルの違った魅力が描かれ、特にユニットでのストーリーはアイドルたちが起こすエモーショナルな化学反応はぜひ見てほしい。

　また、アンティーカは「バベルシティ・グレイス」をはじめロック調のカッコ良さが前面に押し出された楽曲で、独自の世界観が表現されている。

　さて、今回フィギュア「月岡恋鐘 フェイスオブトレジャーVer.」はアンティーカ衣装の中でも異色なライブ衣装「フェイスオブトレジャー」の恋鐘を立体化されている。ゲームでは期間限定ガシャ「期間限定復刻 きんが新年～めでたか?エキゾチカ 恋鐘・真乃・甜花 スタンプガシャPlus」にて登場した、PSSR「【月の浜辺で待っとって】月岡 恋鐘」のライブ衣装だ。

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式Twitterより

　ゴシック系で黒を基調としたダークな印象のユニット衣装が多いアンティーカだけあって、青空をバックにした明るい配色とスチームパンクの雰囲気が強く出ている。

　今回の立体化ではカードのアニメーション演出からわかる描写が詰め込まれ、その細部を見ることができる。

ライブ直前の高揚感にも似た開封作業

　早速、パッケージを見ていこう。個人的なところで、予約したのが2年前ともあってようやく届いた喜びもひとしおだ。

　パッケージには、アンティーカを象徴する歯車やイラストをイメージした文字などパッケージからもリスペクトが感じられる。側面にはフィギュアと背景を合わせたイラスト再現もあり、こちらも見どころだ。

【パッケージ】

パッケージ正面はフィギュア本体が見えるようになっている

側面にはモチーフとなったイラストを再現したプリント

背面は本体の見本写真が掲載されている

フィギュア本体はブリスターに収まっている

　ブリスターからフィギュアを取り出すと、本体の首、腰に干渉防止のフィルムが挟まっている。

　そのため、本体は頭部、胴体、フリルパーツ、下半身の4つに分割することができる。台座は歯車型でアンティーカらしさが表現されている。

【フィギュア本体の構造】

ブリスターから取り出した状態

頭部、胴体、フリルパーツ、下半身の4つのパーツで構成されている

台座はアンティーカらしい歯車モチーフ

吹き抜ける風を感じて、アイドル恋鐘の魅力が輝く

　台座に本体を組み合わせることでディスプレイが完成。イラスト、アニメーションでは全身像を見ることができなかったため、本フィギュアで初めて全身像を見ることができる。

　片足によるポージングや明るい色合い、なびく衣装も相まって、まるで風が吹き抜けたような涼やかが伝わってくる。

【月岡恋鐘 フェイスオブトレジャーVer.】

　柔らかい笑顔、大きな瞳や口元など恋鐘の元気な雰囲気が伝わってくる。顔は顎を上げた角度のため、少し上から見たアングルが可愛らしく映える。

　髪も柔らかく広がりを見せて、アグレッシブな印象となっている。

【表情、髪】

柔らかい笑顔が魅力的。少し上からのアングルがベスト

もう少し寄りで撮影してもかわいい

少しグラデーションが入った毛先が明るい場所にいることを印象付けている

　そして、衣装の「フェイスオブトレジャー」の造形も質感やデザインが映える造形されている。イラストでは正面からの情報だけだったが、フィギュア化によって腰回りや肩に見えるアンティークな翼アクセサリ、ベルトなどもじっくり見ることができる。

　鮮やかなグリーンの明るい彩りと幻想的なデザインが織りなす調和は恋鐘の快活さをより際立たせている。

　また、「フェイスオブトレジャー」でもそのスタイルの良さを発揮。カッコ良さと可愛さが第一に脳内を刺激するが、今回フィギュアで見てみると攻めたデザインをしていると改めてドキッとさせられた。そして、立体になったことで背面や映っていない部分の新しい発見が楽しめるのもフィギュアの醍醐味だ。

【衣装】

ちょこんと乗った帽子もリボンやふちの彩りがしっかりとつくりこまれている

手袋もレザーの質感が表現され、色の違いでより臨場感あるものに

シャニマスのアイドルの中でも目を引く胸元

横や下からのアングルでは大胆な衣装であることがわかる

肩に伸びた羽モチーフのアクセサリもグラデーションのかかった色合いが金属感を醸し出す

頭部を外した状態では首元から伸びている仕組みがわかる

腰元のラッパ銃のようなアクセサリやウェストを絞るベルト、めくれ衣装もしっかり造形されている

ベルトに差し込まれた試験管（？）やベルトのバックルも細かく造形

背面のバックやベルトも表現されている

右足のポーチ

左足のハイソックス（？）は破れた表現もしっかり再現

裏面の生地もレザー風の色合いに太めの縫い跡がある

台座との固定は片足だけなので衝撃が怖くもある

　首のネックレスは固定ではなく取り外しが可能で、イラストにはなかったネックレスと外した状態や手にかけることもできる。ちょっとしたアレンジで、少し違ったドラマが動き出しそうなフィギュアとなっている。

【ネックレスの脱着】

頭部を取り外してからネックレスだけを取ることができる

ネックレスを外した状態

手にネックレスをかけてみることで、違ったドラマ性を感じさせる表現になる

　次のページではイラストイメージに近づけるため、背景を変えて撮影。

　「フェイスオブトレジャー」が魅せる冒険的な雰囲気に恋鐘の明るさをさらに引き立ててみたい。

ここから物語が動き出しそうな青空背景とアイドル

　冒頭でも書いたが、元のイラストとなった「【月の浜辺で待っとって】月岡 恋鐘」では青空とレンガ造りの街並みが背景となっている。

　眩しい光の下に出ていく何かが始まる予感、ワクワク感が伝わってくるもので、フィギュアでもこのワクワク感を出してみたい。

　そこで背景を青空にして撮影。白の淡白な色合いでは出せなかった開放的な雰囲気や風が吹き抜けていくような爽快感がぐっと魅力を引き立てる。

【青空背景で撮影】

上からのアングルでは風が吹き抜けていく印象となっている

雲をバックにすれば、爽快感抜群

背面での撮影では青空に飛び出していきそうな雰囲気に

　「月岡恋鐘 フェイスオブトレジャーVer.」は元のイラストを再現しつつ、新しい発見が楽しめるフィギュアとなっている。

　衣装の作りこみはもちろん、可愛さ全開の恋鐘は見ているだけで癒される。アイドルとしての個性の輝きとライブ衣装の新たな彩り。フィギュアという翼、新たな世界でその可能性を広げていく。

　恋鐘担当プロデューサーはもちろん、ファンの人、これからファンになる人にもぜひ手に取ってほしい。