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【年末特集】水性塗料「ファレホ」で冬のコタツもプラモデル作り空間に

においが気にならないスペイン発の水溶性アクリルカラー

コタツに入ってプラモデルを楽しむ。そんな年末年始はいかがでしょうか?

 筆者が子供だった1990年~2000年くらいまでのプラモデル塗料といえばラッカー系塗料が主流であり、水性塗料の性能はラッカー系塗料には劣る部分が多々ありました。そのため、プラモデル塗装のハードルは現在よりも高いものだったと思います。しかし、技術が進歩した現代では水性塗料の性能も向上しただけでなく、国内外の様々なメーカーの水性塗料が手に入るようになりました。今回の年末特別企画では数ある水性塗料の中からスペイン発の水溶性アクリルカラー「ファレホ」に焦点を当てて、水性塗料の魅力を紹介していきます。

スペイン発の高性能水溶性アクリルカラー「vallejo-ファレホ-」とは

 ファレホ社は1965年にアニメーション映画用水性アクリル塗料のメーカーとしてアメリカ合衆国、ニュージャージー州に誕生しました。1969年に拠点を現在のスペインに移転して以降、水性アクリル塗料を中心とした事業を展開し、1986年に水溶性アクリルカラーでは初となるエアブラシ用塗料の開発にも成功しています。その後、プラモデル等ホビー用塗料の開発も行ない現在に至ります。日本では2019年頃がらボークスが日本総代理店となり、全国のボークス店舗を始めとする各種模型店で販売されています。

 ファレホは水溶性アクリルカラーで、成分に有機溶剤分が含まれていません。そのため、模型用塗料でよくイメージされる嫌なにおいもなく、リビングなど家族が集う場所でも使用することが可能です。

ファレホ塗料の筆塗り部分塗装のみで仕上げたタミヤの「1/48 海軍零式艦上戦闘機32型」

様々な用途から選択して使用することができる豊富な色数と希釈率

 ファレホはユーザーの使用用途に合わせて様々なシリーズから選択して使用することが可能な塗料となっています。そのため、筆塗はもちろんの事、エアブラシ塗装や各種表現に合わせて好みの塗料を選択することで無限の表現が可能です。また、ファレホの色数は豊富にあるため、調色しなくとも好みのカラーを探すのが容易です。

筆者のファレホコレクションの一部。基本塗装や部分塗装など様々な部分でファレホを活用しています。

どの色を買ったらいいかわからないユーザーにも安心なカラーセットも充実

 ファレホに限らず、塗装の入門者はどの色の塗料を買ったいいのかわからないということも多々あります。そういったユーザーのためにファレホではテーマに合わせた「カラーセット」が発売しています。基本色をそろえたベーシックカラーセットから、各種戦闘機に特化したカラーセットに至るまで様々なカラーセットのラインナップがあります。用途に合わせて必要なカラーセットを購入すれば、調色の手間なく手軽に塗装に取り組めるのも魅力の1つです。

「フランス空軍 第二次世界大戦以降」セット。機体の本体色から部分塗装用のカラーまで幅広い色数がセットになっています。この他にも様々なシチュエーションに合わせたカラーセットが販売中です。

ラッカー系塗料と同様にエアブラシ塗装を行なうことも可能

 ファレホは「モデルエアー」シリーズや「ゲームエアー」シリーズ、「メカカラー」シリーズを使用することで希釈することなくエアブラシでの塗装が可能となっています。エアブラシによる塗装を行なうことでグラデーションといった表現も可能です。

「モデルエアー」、「ゲームエアー」、「メカカラー」は希釈なしでエアブラシ塗装が可能です。
筆者が以前作成したプラッツ製「ひそねとまそたん 1/72 航空自衛隊 F-15J まそたんF形態」のファレホによる全塗装作例。エアブラシを使用することでグラデーション表現も可能です。
ノズルの焼け表現もグラデーション塗装で再現しました。

部分塗装を筆塗りすることで簡単に仕上げることも可能

 ファレホはエアブラシ塗装だけでなく、より手軽な筆塗りにおいても十分に性能を発揮できます。今回はファレホ塗料を用いた筆塗り作例として、タミヤの「1/48 海軍零式艦上戦闘機32型」を筆塗り部分塗装のみで仕上げてみました。

塗装前、仮組状態の零戦32型。スケールモデルということもあり単色で仕上がっています。

 本キットは成型色が機体色となっているため、部分塗装のみでも十分にカッコよく仕上がるキットです。各部の塗装には今回、「モデルエアー」および、「モデルカラー」シリーズ、「モデルウォッシュ」シリーズの塗料を使用しました。「モデルエアー」シリーズの塗料はエアブラシ向けに希釈された塗料となっていますが、薄く重ね塗りを施すことで塗りむらのない均一な塗膜を形成しやすくなっていると感じました。

零戦32型の塗装で使用したファレホ達。筆者は筆塗りの際にも「モデルエアー」を使用する頻度が高いです。

 コックピットは全体の塗装が必要となっているため、重ね塗りで均一な塗膜を形成していきます。「モデルエアー」シリーズは希釈率が高い塗料ですが、その分厚塗りが可能なため、重ね塗りをすることで筆目の目立たない塗膜が形成しやすいと思います。

塗装前のコックピット。機体色と同じ白色にて成型されています。
塗装および、デカール貼り付けの完了したコックピット。重ね塗りによって筆目の目立たない塗膜が形成可能です。

 その他の塗装部分として、先端のカウリング部分とプロペラ等を「モデルエアー」にて塗装を行ない、モールドには「モデルウォッシュ」を使用してスミ入れを施しました。キットの大半は無塗装にて仕上げていますが十分にカッコよく仕上がっていると思います。

完成した零戦32型。部分塗装を行なうだけで印象がガラリと変わります。
先端のカウリング部とプロペラも筆塗りにて仕上げています。
翼面のモールドには「モデルウォッシュ」によるスミ入れを施しています。

 今回紹介した零戦32型の作例は、接着剤等の乾燥時間を含め1週間程度の製作期間で完成しました。筆塗り部分塗装のみの制作であれば、キットを選ぶもののスケールモデルでも十分に冬休み期間に完成させることが可能ではないかと思います。今回はスケールモデルを使用した作例を紹介しましたが、キャラクターモデルであってもファレホの「メカカラー」や「ゲームカラー」を使用することで様々な塗装表現が可能です。

 また、ファレホは有機溶剤特有のにおいもないため家具へのにおい移りの心配もなく、リビングなど家族が集まる空間でも塗装ができると思います。今年の年末年始はコタツに入って年末年始特番を見つつ、ファレホでプラモ塗装をしてみてもいいのではないでしょうか。