特別企画

ハセガワの「F-22 ラプター」を「モデルカステン ステルス・グレー[1]」で全塗装!

ステルス戦闘機特有の光沢を再現した塗料

【F-22 ラプター】

発売元:ハセガワ

発売日:2024年8月9日ごろ(再販)

価格:6,490円

ジャンル:プラモデル

【モデルカステン ステルス・グレー[1]】

発売元:アートボックス/モデルカステン

価格:1,210円

容量:50ml

ジャンル:模型用塗料

ハセガワ「F-22 ラプター」

 現代の戦闘機はステルス性能の向上により外観は曲線を多用したデザインとなり、配色もよりシンプルなものになっていきました。特に機体表面の塗装はレーダー波吸収素材を採用することで独特なカラーリングとなっています。模型でのステルス機塗装は各社キットにより塗装指示が異なるため、どの塗料を使用するか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

 本記事ではモデルカステンより発売されているステルス戦闘機用カラー「モデルカステン ステルス・グレー[1]」を使用した、ハセガワ製1/48スケールキット「F-22 ラプター」の塗装作例をご紹介します。

プラモデル制作における「あったらいいな」を提供するブランド

 モデルカステンは、あると嬉しいカラーの塗料やツールを提供するブランドです。塗料では今回紹介する「モデルカステン ステルス・グレー[1]」の他に人体の塗装に特化した配色の塗料があります。また、塗料だけでなく紙用瞬間接着剤などモデラーなら「あったらいいな」と思えるアイテムを多く発売しています。

ハセガワの「F-22 ラプター」に「モデルカステン ステルス・グレー[1]」を用いた全塗装作例。
今回の作例にて使用した「モデルカステン ステルス・グレー[1]」。本カラー以外にも様々な模型用アイテムを発売しています。

独特な金属光沢を放つステルス戦闘機の表面を再現したカラー

 今回紹介する「モデルカステン ステルス・グレー[1]」は飛行機モデラーの悩みであったステルス戦闘機の塗装に一つの回答を示した塗料となっています。ステルス戦闘機の塗装指示はメーカーによって色味が大きく異なり、説明書通りの配色で塗っていいものかと悩んでいる方も多いかと思います。調色によって自身の納得できる配色を目指してみるのも面白いですが、もっと手軽に再現したいという方もいるのではないでしょうか。「モデルカステン ステルス・グレー[1]」はステルス戦闘機が放つ、メタリックカラーともソリッドカラーともとれる配色を再現した塗料となっています。

「モデルカステン ステルス・グレー[1]」を使用して世界最強戦闘機を制作する

 今回の作例では「モデルカステン ステルス・グレー[1]」を使用してハセガワ の1/48スケールキット「F-22 ラプター」を制作します。まずは機体のメインカラーを検討するため、スプーンに塗装を行ない色味の調整を行ないます。「モデルカステン ステルス・グレー[1]」はソリッドカラーとメタリックカラーの中間程度に金属光沢を持つダークグレーとなっています。今回の作例では迷彩における暗色部分に採用することとしました。

スプーンに塗装した「モデルカステン ステルス・グレー[1]」。ソリッドカラーとメタリックカラーの中間程度に金属光沢を持つダークグレーとなっています。

 迷彩における明色部分は金属光沢を持つライトグレーを意識して調色を行ないます。調色は「ガイアノーツ 鉄道模型用カラー ステンレスシルバー」、「ガイアノーツ 鉄道模型用カラー ダーク ステンレスシルバー」、「GSIクレオス Mr.カラー クリアーオレンジ」、「GSIクレオス Mr.カラー ブルーFS835622」にて調色を行ないました。

スプーンに塗装した明色。ソリッドカラーとメタリックカラーの中間程度に金属光沢を持つライトグレーを意識して調色しました。

 スプーンに単色にて塗装を行なった場合、完成時のイメージが難しいため、本番を意識して塗装を行ないます。本番へのテストはサフ下地にシャドー色を塗装し、暗色→明色の順で立ち上げ塗装を行ないました。サフは「GSIクレオス Mr.フィニッシング サーフェイサー1500 グレー」にて行ない、シャドー色には「ガイアノーツ ガイアカラー ニュートラルグレーⅤ」を使用しました。

本番を意識した塗装テスト。明暗の境目は型紙を使用して色分けを行ないます。

エッチングパーツの置き換えとシートベルト追加によってディティールアップを行なったコクピット

 コクピットの制作は正面計器盤を純正エッチングパーツに置き換えを行ない、座席にシートベルトを追加しました。また、コクピットの各種スイッチは実機写真を参考に筆塗で塗装を行なっています。

コクピットの正面計器盤をエッチングパーツに置き換えました。
シートベルトは別売りのディティールアップパーツを使用しました。

一部先行塗装を行ない、機体を組み立てる

 機体の組み立ては脚庫内部やウェポンベイ内部、エアインテーク接続部など塗残しが発生する可能性が高い箇所を中心に先行塗装し、組み立てを行ないます。

先行塗装を行なったエアインテーク接続部。組み立て後塗装とすると塗残しが発生しやすい箇所を先行塗装します。

 機体の組み立て時発生する段差は可能な限り調整しつつ組み立てを行ないますが解消しきれない箇所はパテを用いて段差の処理を行ないます。今回は「ガイアノーツ 瞬間カラーパテ レッド」を主に使用して処理を行ないました。

組み立てが完了した塗装前の機体。段差の処理に瞬間カラーパテを使用しています。
補修した段差のアップ。処置の過程で消えてしまった凸モールドは「Finisher’s ラッカーパテ」で復旧しています。

型紙を使用して迷彩のボケ脚を再現した塗装を行なう

 機体の塗装はテストと同様の手順にて行ないます。機体全体に「ガイアノーツ ガイアカラー ニュートラルグレーⅤ」を使用してシャドーを入れていきます。今回の作例は1/48スケールということもあり、0.3mm口径のエアブラシにて塗装を行ないました。

シャドーを入れた機体。パネルラインやエッジとなる個所にシャドーを入れました。

 シャドーが完了したら明細の暗色から塗装していきます。説明書の塗装図を参考に、暗色となる箇所からはじめます。立ち上げ塗装を行なう際はエア圧を絞り、面の中心から外側に塗装します。

立ち上げ塗装の様子。写真ではわかりやすく明色の立ち上げ写真としましたが、暗色も同じ塗装方法にて行ないます。

 暗色の塗装が完了したら次に明色の塗装を行ないます。暗色部分のマスキングは説明書をキットサイズに拡大コピーし、マスキングテープで固定することで迷彩を再現します。型紙を固定する際は型紙をあえて浮かせることでボケ脚を再現します。

拡大コピーした説明書塗装図。1/48スケールではA3サイズのコピーが必要なため、コンビニでコピーしました。
型紙として切り抜いた説明書。今回は先に暗色部分を塗装したため、暗色部分の型紙を利用します。
切り抜いた型紙の裏側にこより状にしたマスキングテープを貼り付けます。
マスクする部分に貼り付けたらマスキングは完了です。

 明色の塗装は暗色と同様に立ち上げ塗装にて行ないます。この際、型紙の内側を塗装しないように注意しつつ塗装を進めます。

明色の塗装が完了した本体、型紙の内側に明色のミストが入り込んでしまっていることがわかります。

 型紙による塗り分けを行なった際に型紙の内側に吹き込んでしまったミストはこのままでは汚れとして目立ってしまいます。そこでこのミスト部分のみを剥がしていきます。こういった塗装ミスト程度であればエナメルシンナーを含ませた綿棒で拭き取ることが可能です。

エナメルシンナーを含ませた綿棒でミストを拭き取ります。
ミストを拭き取った本体。明暗の境目に少しグラデーションの入った塗装が完了しました。

モールドによる塗り分けはマスキングテープを使用してはっきりと塗り分ける

 機体先端のノーズコーンや主翼の外周は、モールドを境に塗り分ける指示となっています。こういった箇所の塗り分けは色の境界をはっきりさせるため、マスキングテープを用いて塗り分けを行ないます。

マスキングを行なった本体。塗り分け部周辺をマスキングしています。
ノーズコーンおよび主翼外周の塗装が完了した本体。はっきりとした塗り分けができました。
ノーズコーンおよび主翼外周と同様にウェポンベイやスラスター、ミサイルも同様に塗り分けます。

 これにて機体の基本塗装は完了となります。デカール貼りおよびトップコートを行ないウォッシングで色気を出していきます。

ウォッシングで機体の使用感を演出

 基本塗装が完了したらウォッシングで機体に使用感を出し、色気を与えていきます。ウェポンベイおよび脚庫のウォッシングには「GSIクレオス Mr.ウェザリングカラー マルチグレー」を、その他のウォッシングには「GSIクレオス Mr.ウェザリングカラー マルチブラック」を使用してウォッシングを行ないます。ウォッシングは全体にMr.ウェザリングカラーを塗布した後、溶剤を浸み込ませたウエスで余分な塗料を拭き取って仕上げます。

ウォッシング前の本体。新品の雰囲気となっています
Mr.ウェザリングカラーを塗布した後、溶剤を浸み込ませたウエスで余分な塗料を拭き取った本体。本体の前後方向に拭き取ることで飛行中に付着した汚れを演出します。

 これにて塗装工程は全て完了です。各部パーツを組み立てれば完成となります。

ステルス戦闘機特有の光沢を表現したF-22

 まずは完成したキットを前後左右から見てみます。ソリッドカラーとメタリックカラーの中間程度に金属光沢を持つ仕上がりとなっています。

 コクピットは見る角度によって見えるものが変わるので様々な角度から見たくなります。

コクピットアップ。細かい箇所もしっかりと塗り分けました。
コクピットに追加したシートベルトにより解像度が上がっています。

 ウェポンベイおよび脚庫は展開状態にて制作しました。本キットはステルス戦闘機のため、ミサイルを展開することでアクセントカラーにしています。

ウェポンベイのアップ。密集したミサイルがアクセントカラーになっています。
脚庫のアップ。奥までしっかりと構造がモールドされています。

 最後に実機を見た際と同じ目線で写真を撮影してみます。カメラ位置を下げることでより迫力ある写真を撮影することが可能です。

カメラ位置を下げての写真。迫力ある写真が撮影可能です。

 いかがでしょうか。今回の作例では「モデルカステン ステルス・グレー[1]」を使用することで調色なしに表現しました。今回の作例ではF-22を使用したため、ライトグレーは調色にて表現しましたがF-35であれば単色のステルス戦闘機のため、「モデルカステン ステルス・グレー[1]」のみで基本塗装を完了させることが可能です。また、ガンプラ等のキャラクターモデルにてステルス機をイメージしたカラーリングで塗装してみても面白いと思います。この記事をきっかけにステルス機の塗装を楽しんでみてはいかがでしょうか。