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心臓部の部品形状まで実銃に近づける、東京マルイのガスブローバック「P320 FULL SIZE」はモデルガン的アプローチが魅力【#静岡ホビーショー】

【第63回 静岡ホビーショー】
会期
業者招待日:5月14・15日
小中高校生招待日:5月16日
一般公開日:5月17・18日
会場:ツインメッセ静岡(静岡市駿河区曲金3丁目1-10)
入場料:無料
※入場には事前登録が必要

 「第63回 静岡ホビーショー」で、東京マルイはガスブローバック「P320 FULL SIZE」を出展した。本商品は数年前に商品化が発表されたものの、その後開発の進展が語られなかった。今回その具体的な姿が明らかになった。現在はまだ発売日、価格未定だが、ファンにとって待ち望んだ発表といえる。

 モチーフとなるのは「SIG SAUER P320」。改修型モデルがアメリカ軍の軍用モデル・M17/M18に制式に採用された。今回のモチーフは民間販売モデルがモチーフとのこと。今後のバリエーション展開を視野に入れてのモデルアップということだ。

【東京マルイの新型モジュラーハンドガンシステムを採用した「P320 FULL SIZE」の心臓部に迫る【新作ガスブロ】】
動画で本商品の大きな特徴である「テイクダウン(銃の分解)」を行っている

 ガスブローバック「P320 FULL SIZE」の大きな魅力は開発者のこだわりに満ちた"実銃表現"にあるという。本来、エアソフトガンは発射機構の違いから外観はともかく、内部機構においては全くの別なデザインになりがちだ。また、商品化を優先しコストを下げた構造にする方が作りやすい。しかしあえて本製品では、まるでモデルガンのような内部機構表現がセールスポイントだという。

スライドを外し内部機構を取り出す「テイクダウン」。部品の形状にこだわっているのが本製品の特徴だ

 開発者の挑戦心を燃やしたのがP320ならではの内部機構にある。P320は「モジュラーハンドガン」という設計思想で製作されている。P320はシリアルナンバーが刻印されたFCU(ファイア・コントロール・ユニット)と呼ばれる内部機構を核に、交換可能なグリップモジュール、スライド、バレルと組み合わせることで、ユーザーが容易に銃のサイズや口径を変更できるようにしている。これは銃を買い換えるコストの低減につながるだけでなく、法務執行機関や軍隊で、任務や用途に合わせた銃の特性を変更させることができる。例えば任務に合わせてコンパクトキャリー型に変更、といったことができるのだ。

 ガスブローバック「P320 FULL SIZE」は心臓部である部分を可能な限りこのFCUに近づけている。本来ガスガンとしては必要のない部品形状にもこだわることでデザインを追求したのだ。このFCUの形状を確認するには銃を分解する「テイクダウン」を行う必要がある。

【FCU(ファイア・コントロール・ユニット)】
本製品のFCUはその形状に強いこだわりが込められている
こちらが実銃のFCU、そのこだわりがよくわかるだろう
自慢のFCUは裏側までも展示

 P320はテイクダウンレバーを抜き取るだけで器具を使わずスライドが外せ、内部機構を取り外すことができ、分解、メンテナンスを行える。ガスブローバック「P320 FULL SIZE」は実銃の手入れには欠かせないこのアクション「テイクダウン」が実銃同様の手順で実行でき、FCUの形状を再現したガスガンの機構をしっかり見ることができる。ユーザーはまるで実銃を分解したような雰囲気を味わえるのだ。「テイクダウンした時に、実銃と全然違う機構が出てきたら興ざめだよね」という開発者の強い想いがガスブローバック「P320 FULL SIZE」の部品1つ1つに込められている。東京マルイでもここまで内部機構のデザインにこだわった製品はない。FCUを持つP320だからこそのアプローチだという。

 もう1つの特徴が「カーボンのスライド」。本製品はこれまでの東京マルイのエアソフトガンと異なり、従来のABSではなく、カーボンを使用している。これは昨今の素材の調達事情により、従来型の原料が手に入りにくい状況があるためだという。加工しやすさ、表現の細かさ、耐久性の高さなど複雑な特性を持つ素材が樹脂メーカーの仕様変更などで入手しにくくなる中、東京マルイと樹脂メーカーの試行錯誤でカーボンを使用することになった。精度の高い造型を実現し、質感もユーザーの希望を満たす素材を探していく中、たどり着いたという。今回の加工技術のノウハウや、ユーザーが使用したことで得られるデータなどで、今後の製造の方向性が見えてくる。ガスブローバック「P320 FULL SIZE」のスライドは"今後の東京マルイ"を占うチャレンジの1つとのことだ。

【こだわりポイント】
各部のこだわりを会場で見ることができた
アンダーハンマーの構造
ブローバックした時のアウターバレルの跳ね上がり角度も実銃の角度を追求
マガジン上部の形状も実銃の形状に近づけている。ガスガンのマガジンはBB弾とガスを入れるため、カートリッジ方式のマガジンとは機能が大きく違うのだが、形を近づけるこだわりがある
マガジンは通常の26発と、オプションの36発のロングマガジンも発売

 さらに東京マルイのガスガンでは初となる「アンダーハンマー方式」を採用。ピストン部分の設計を稼ぐために、ハンマーがピストンの下部分に動く方式を採用している。実銃が似たような方式で設計的にもこの機構が入るスペースがあったとのこと。内部機構において、これまでの製品以上に注目ポイントの多い商品なのだ。スライドと内部機構のずれをなくすシステムなど、機構の外見再現以外にも様々な機能が組み込まれている。

 他にもテイクダウンレバーの角度や、マニュアルセイフティの重さなど細かいこだわりをあげればきりがないとのこと。マニュアルセイフティはガスガンとしての機能を考えれば重くする必要は本来ないのだが、「実銃が重めの設計だから」わざと操作が重くなっているし、テイクダウンレバーが深く曲がる角度も実銃追求だからだ。

 トイガン、エアソフトガンには製品によって様々な方向性がある。サバイバルゲーム向けに実銃再現と大きく異なるアプローチをする製品もあるが、ガスブローバック「P320 FULL SIZE」はまるでモデルガンのように実銃の構造までも学べるガスガンとなっている。もちろん大型シリンダー採用により実射性能の追求も行われているが、テイクダウンし部品の形状をじっくり眺めるというユニークな楽しみ方もできる。手に取ってみたくなる製品である。

モデルガン的なアプローチの楽しさを持ったガスブローバック「P320 FULL SIZE」