ニュース
「ARTPLA ゴジラ Re:イマジネーション」が表現するのは、松村しのぶ氏が現在のゴジラへの想いを注ぎ込んだ新たなる姿!【#静岡ホビーショー】
2025年5月17日 12:31
- 【第63回 静岡ホビーショー】
- 会期
- 業者招待日:5月14・15日
- 小中高校生招待日:5月16日
- 一般公開日:5月17・18日
- 会場:ツインメッセ静岡(静岡市駿河区曲金3丁目1-10)
- 入場料:無料
- ※入場には事前登録が必要
海洋堂はプラモデル「ARTPLA ゴジラ Re:イマジネーション」を「第63回 静岡ホビーショー」にて発表した。本商品は10月発売予定、価格は8,800円。会場で開発スタッフから、原型を担当した造型師松村しのぶ氏の想いや、開発のこだわりポイントを聞くことができた。
本商品は松村しのぶ氏がかつて製作したポリストーン製の完成品フィギュアを原型としてプラモデルとして開発する、という企画だった。このためフィギュアを3Dスキャンしデータの監修を松村氏に依頼したところ、松村氏はそのデータを元に大きく異なるデータ原型を開発チームに提示した。このため商品名に「Re:イマジネーション」が冠されることとなった。
「松村さんはやはりクリエイターなので、『当時と同じものを商品化しましょう』といわれても納得しないんですよ。フィギュアを手がけた頃から松村さん自身もゴジラに対しての想いや、イメージも変わっている。原型は初代ゴジラがモチーフで、そこに当時の松村さんのアレンジが加えられていましたが、当時本当はやりたかったこと、を盛り込んだ上で、そこからさらに変化した現在の松村さんのゴジラへの想いが形になったんです」と開発スタッフは語った。
最初のイメージは1954年の初めて観客の前にその姿が提示された映画「ゴジラ」のゴジラ。電車を咥えて立つ姿は映画を象徴するシーンの1つだが、松村氏はこのゴジラに70年に及ぶゴジラのイメージを重ねアレンジを加えた。生物としての躍動感、力強さ……。動物など実際の生き物を躍動感あふれる姿で表現する松村氏ならではのゴジラになったという。
ゴジラは映画ごとに解釈やテーマが異なり、その姿は変化し続けている。松村氏はその変遷を意識した上で、「俺のゴジラ」を組み上げている。今回の試作品の彩色バージョンは松村氏が担当したのだが、ゴジラは黒い瞳のない白目なのだ。「は虫類の目はこういう光り方をする」という松村氏の解釈とアレンジの面白さの1つだ。
力強い上半身と、がっしり電車を掴む腕、咥えた電車の角度も調整されている。体をひねり電車を振り回す体のひねり、先端が上を向き、かなりのカーブで表現された尻尾など、躍動感あふれる姿だ。面白いのは松村氏は今回のゴジラにあえて"決め角度"を作らなかったところ。正面を向けると尻尾が体に隠れてしまうし、他の角度にしても全体像が捉えきれない。立体物として、全体を見ることで産まれるイメージこそ、この原型で表現したいことだという。
ゴジラだけでなく台座である踏みつけられた廃墟もこだわりポイント。単体のゴジラではなく、崩壊した有楽町の線路を配置することで、ゴジラがどのくらいの大きさか、今まさに東京を破壊している、といったストーリーが浮かび上がってくる。廃墟を造型し、プラモデルとして表現することで、本体を製作する感触とはまた違った模型の雰囲気、そして2つが組み合わさることで生まれる世界観を感じて欲しいと開発スタッフは語った。
プラモデルとしての技法も見逃せないところ。ベースとなる本体部分に皮膚を貼り付けることでゴジラの姿が形成されていく。これはランナーの時点で全体像が想像できず、ユーザーが組んでいくことでその姿が明らかになっていく演出も意識している。精度の高いパーツは完成するとつなぎ目が目立たない。背びれ部分など分割線を見せない工夫もパーツや組み方で行っているとのこと。
また本体に体表パーツをくっつけていくこの手法は、完成したプラモデルに心地よい重さと、密度感をもたらすのだ。飾るだけでなく、手に持っていろいろな角度で楽しんで欲しい、というメッセージのこもった商品となったという
加えて開発がこだわりを込めたのが"成型色"。黒が基本色だが、ここに茶色も感じさせるような独特の黒色にしている。セピア風の色彩になり、色を塗らなくても満足する成型色を目指した。原型だけでなく「プラモデル化」にあたっても開発者達の様々な想いがこもっているのだ。
TM&(C)TOHO CO., LTD..