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モデルガンの見栄えを向上する「ダミーブレッド」、透き通った「爆砕グリップ」など、ユニークなカスタムパーツの数々!【#Vショー】

【第108回ビクトリーショー】
6月1日開催
会場:都立産業貿易センター浜松町館
入場料:1,000円(中学生以下は無料)

 Vショーはミリタリー用品愛好家達のコレクション売買ならびに情報交換を目的としたイベント。外観パーツを自作したり、樹脂で銃の形に成型して販売しているメーカーもある。

 クルマやバイクなどもそうだが、トイガンにもオリジナルパーツをつけてカスタマイズする文化がある。性能アップのためなど内部機構のカスタムパーツもあるが、映画に登場した銃の再現とか、有名な特殊部隊の使用するカスタムの再現など好みの外観にするのも面白い。

 近年では3Dプリンターなどで、気軽に自作のカスタムパーツなどを作ってブースを構える人たちも増えてきた。3Dプリンターなど道具の性能向上と低価格化によって、オリジナルのカスタムパーツを作るという敷居が下がって、アイディアと情熱があれば形にすることができるようになった。中にはメーカ顔負けのクオリティのものもあり、「欲しいけど、売っていない、無いものは作る」という趣味の原点に触れられて刺激を受けた。

 本稿では、その中でも特にユニークなモデルガンをカスタマイズするパーツや、ドレスアップパーツなどのメーカー、個人の出展を紹介したい。

TK RED、発火できるダミーブレッド、タクティカルサイトなど、モデルガンカスタムパーツを出品

 個人でモデルガンのカスタマイズや調整の情報を発信しているブログを運営する傍ら、モデルガン用の修理パーツ、カスタムパーツなどを制作、販売しているTK REDブースでは、シリンダーインサートに取り付ける発火可能なダミーブレッド「ファイヤーブレッド」などを展示、販売していた。

「ファイヤーブレッド」の製品説明パネル

 リボルバーのモデルガンは、バレルのインサートだけでなく、シリンダーにもインサートが存在する。実弾を装填できないようにするため、装填しても弾丸が発射できないようにするための安全策だが、そのためにモデルガンのカートリッジは実際よりも短く作られており、シリンダーから覗く弾頭が奥まって見えるのがこだわりのユーザーにとって残念な点なのだ。

5発セットが4500円。6発セットが5400円

 よりリアルな外観を求める人向けに、サードパーティからシリンダーの前部に嵌め込むタイプのダミーブレッドが発売されているが、機構を邪魔してしまう形になるので、この状態で発火はできない。発火させたいとなった時にはダミーブレッドを外さなければならないのだ。

 リアルな見た目を再現しつつ発火もしたい。そこでTK RED氏が閃いたのが、「ダミーブレッドと発火させるためのデトネーターパーツを組み合わせる」というアイデアだ。ダミーブレッドは中空なので音も火花も迫力がある。見た目もホローポイント弾のような印象だ。カートリッジは、メーカー純正のものを、弾頭部を外して使用する。

ディテクティブスペシャルに取り付けた状態。リアルな感じが良い

 現時点では、タナカワークスの「ディテクティブ」シリーズと「チーフスペシャル」シリーズ向けのみの対応だが、「SAKURA」や「M10」シリーズなど357マグナム用も検討しているという。ファイヤーブレッドを取り付けることで、シリンダーインサートも目立たなくなり、さらにカートリッジの弾頭部分を使用しないので、打ち終わった後で排莢する際、薬莢だけがシリンダーから抜けてゆくリアルさを味わえるのも良いポイントだ。

 TK RED ブースにおいてもう一つ注目したのが、「タニオコバ GM-7用の10-8タイプリアサイト」だ。ナイロン製とステンレス製があり、それぞれ900円と8,000円。

ナイロン製の製品を加工して取り付けた状態。この仕上がりにできるなら900円は高コスパと言える

 タクティカルシューティングのインストラクターでもあるヒルトン・ヤム氏が経営に携わっている10-8パフォーマンス社製のサイトシステムをイメージしたリアサイトで、反射防止の溝や独特の形状が見やすい(サイティングしやすい)と高い評価を得ており、近代的なタクティカルカスタムに採用されていることが多い。近代的なカスタムが再現できるというのもあるが、ドレスアップの選択肢が増えるのが単純に嬉しい。自分好みのガバメントに仕上げたい、他人と違うカスタムにしたいというニーズに対応する。

ステンレス製(左)とナイロン製(右)の比較。質感や重量感はステンレス製の方が格段に上だが、ステンレス製は8,000円。価格差も大きいので悩ましい

 スレンレス製の方が重量もあり、質感、仕上がりも上なのだが、価格が高いのが難点だ。一方、ナイロン製のものは自分で仕上げをしなければならないが、圧倒的なコストパフォーマンスを発揮するので腕に覚えのある人たちがこぞって買い求めていた。

出展者によるモデルガンやホルスターの展示もあり、モデルガン談議にも花が咲いた

エルフィンナイツは、ブレードランナーのブラスターをイメージした「爆砕グリップ」を出展

 エルフィンナイツは、架空の銃器や劇中登場のブラスターなどを再現したレプリカモデルや、トイガン向けのカスタムグリップなどをデザイン、製作するサークルで、Vショーにはトイガン関連のアイテムを出品している。

デザートイーグルのグリップが、ワルサーP38のようなイメージになる三十八式グリップ
会場限定特価での販売

 イスラエル製のデザートイーグルに、ドイツ製のワルサーP38のようなデザインのグリップをつけるという発想もユニークだが、違和感なく馴染むデザインにアレンジするセンスも素晴らしいと思った。

S&W M500用の「爆砕グリップ」。異形の大口径M500には、個性的なグリップがよく似合う
コルトSAA(ピースメーカー)にもよく似合う
デトニクスに装着

 「爆砕グリップ」は、ブレードランナーに登場するブラスターのグリップをイメージした透明なオレンジの樹脂製で、本体の色合いなどによって、その表情も変わるのが面白い。モデルガン、エアガンの個性を出すために、グリップを交換するのはカスタマイズの第一歩だが、木製グリップ以外にもこういったオリジナルのカスタムグリップも選択肢に入れてみたい。

感性に突き刺さるユニークなアイテムが魅力のガンガール

 ガンガールブースでは、「オタクの科学と学習」および付録としてモデルガン「リベレーター1/1サイズ」が展示、販売されていた。

同人誌「オタクの科学と学習」および付録「リベレーター1/1サイズ」セットで5,000円

 「リベレーター」は、第二次世界大戦下ドイツ占領下の国々で抵抗活動をするレジスタンスを支援する目的で緊急に大量生産された銃だ。製法は極限まで簡略化され、銃身にはライフリングもなく、プレス加工で製造された。撃つたびに手動で弾を入れ替える必要があり、10発~15発撃つと溶接部が破損してくるなど耐久性も低かったことで、ほとんど使用されなかった(結局箱に入ったまま廃棄されたものも多い)という話がある。

モデルガンは、引き金と激鉄が可動する
カートリッジを装填するアクションが行える(ダミーカートなどの装填は不可能)

 数奇な運命を辿ったリベレーターは、会話の中でネタにされたりエピソードが創作されたりすることも多い。日本では、マンガ「MASTERキートン」で決闘用の武器として、暴発の危険性が高い銃という情報とともに登場したことで知られているほか、ハートフォードが樹脂製モデルガンとして発売している。

 冊子では、「リベレーターの開発経緯から性能と幻に消えた後継モデルまで」触れられているという。リベレーターはその印象的な外見と、「いざ作ったらもっといい銃が使われ、結局大量に廃棄された」といったエピソードなど、ミリタリーファンにとって興味深い存在だ。そして3Dプリンターで作ったモデルガンを付録につけるという発想も面白い。隣接ブースのクレイン研究所、鶴川文庫との協力でこの構成が実現したという。

マニアックでレアな銃を3Dプリンターで再現した、縁側アーモリー

 縁側アーモリーのブースでは、3Dプリンターによるモデルガン「M61 escort」と「raven arms MP25」の展示があった。

 S&W M61 エスコートといえば、映画「タクシードライバー」でロバート・デ・ニーロ演じる「トラヴィス」が隠し持つ小型の銃だ。過去にヨネザワがガスガンで出していたが、今は存在しない。こういったユニークな銃がモデルガンとして再び登場するのは面白いしワクワクする。このようなものに出会えるのもリアルなイベントならではだ。

「M61 エスコート」と「MP 25」
「MP-25」を分解、マガジンを抜いたところ

 現時点では、両モデルともトリガーを引くこと、スライドを引くことができ、マガジンの着脱、簡易な分解まで可能だという。トリガーを引いた際、カチンとハンマーが作動するまでは作り込みたいとのこと。ゆくゆくは販売をめざして完成度を高めていきたいという。

 Vショーでは、個人出展の小さなブースも多く、行くたびに新しい発見もあるのが楽しい。初めてあった人同士でも、トイガンが好き、ミリタリーアイテムが好きという共通点があるので、カスタムの相談やアドバイスなどの談義で盛り上がることもある。情報はネットで入手できることも多くなったが、その場でしか味わえないこともあるので、機会があればぜひ一度、参加してみてはいかがだろうか?