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プラモデルを自分の手で設計しよう!「BHC PDII ミュージアム」体験レポート

技術を学び、手足が太いガンダムや、キラキラのパッケージ作りも可能

【BANDAI HOBBY CENTER PLAMO DESIGN INDUSTRIAL INSTITUTE MUSEUM】
9月2日 オープン予定
営業時間:9時~17時30分
住所:静岡県静岡市葵区長沼500-15
入場料
大人(13歳以上):2,860円
小人:1,100円
未就学児:無料
※当施設は完全予約制です。

 BANDAI SPIRITSは新しいプラモデル生産拠点「バンダイホビーセンター プラモデル デザイン インダストリアル インスティチュート(BHC PDII)」を静岡・長沼にオープン、9月2日からはこの工場を見学可能な「BHC PDII ミュージアム」をスタートする。8月20日にはこの施設の内覧会が行われ、いち早くミュージアムを体験することができた。

 このミュージアムは予約制で、チケットは13歳以上が2,860円、6歳以上12歳未満が1,100円、未就学児が無料となっている。予約は3カ月前に申し込むことができる抽選制で、2カ月前に結果が告知される。予約枠に余裕がある場合に限り、先着販売が行われる。施設を見学する場合は3カ月前の申し込み抽選で選ばれるか、2カ月前の先着販売でチケットを購入することが必須になる。

 ミュージアムではBHC PDIIで生産されているプラモデルがいかに設計され、生産されているかを学ぶことができる。そして体験用IDカードで、プラモデルの設計、カラーリング設定、効率のいい金型の設計、さらにはパッケージの制作と、市販されるプラモデルがどのように企画・生産されるか学ぶことができるのだ。ミュージアムの各所を紹介していこう。

プラモデル公式アンバサダーの「LINKL PLANET」の案内でミュージアムを見ることができた

プラモデル生産の知識、工場の機能を学べる「スタディエリア」

 まず見ることができるのはミュージアムの入り口である「モニュメント・エントランス」。ここにはガンダムの頭部がプラモデルの組み立て前の形、ランナー状態で展示されている。実はこれは「MG 1/100 RX-78-2ガンダム Ver2.0」のランナーを再現したもので、サイズは全長18mのガンダムを1/1スケールで再現した物になっている。ミュージアムの入り口に向かうとランナーの裏側を見ることができ、パーツの形状を目の前でチェックすることができる。

【モニュメント・エントランス】
「MG 1/100 RX-78-2ガンダム Ver2.0」のランナーを実物大ガンダムのサイズに拡大したモニュメント
ミュージアム入り口に向かうと、ランナーの裏を見ることができる

 入り口のホールはガンプラの金型と、成形射出機の模型を展示、ここからがバンダイのプラモデルの技術と歴史を学ぶ「スタディエリア」となる。「商品企画書」をずらりと並べた「デザインロード」を経て、プラモデルの製造工程の解説、さらにはバンダイがこれまでプラモデルを開発していく中で投入された技術などを学ぶことができる。

 「スタディエリア」の目玉は4,000体ものガンプラが展示されているコーナー。これはBHC PDIIの多色成形機が1日で4,000枚のランナーを製造可能なことを直感的に表現している。この工場は1日でこれだけのガンプラを生産できる、ということが伝わる展示だ。

【スタディエリア】
ホールには射出成形機の模型が
金型も展示されている
「商品企画書」をずらりと並べた「デザインロード」
実際のプラモデルの生産工程を紹介
新工場の生産力を実感できる4,000体のガンダム。1日にこれだけのガンプラを生産可能なのだ
バンダイのプラモデルに関する様々な革新技術の説明

実際にプラモデルの設計・生産を体験できる「ラボラトリーエリア」

 そして本ミュージアムならではの「ラボラトリーエリア」では、プラモデルの企画、設計などをコンテンツを通じて学ぶことができる。各ルームには20台の端末が用意されており、タッチパネルで操作して様々な工程を疑似体験できる。

 「ラボラトリーエリア」ではまず最初に「ガンダム」、「恐竜」、「美少女プラモデル」の基本のモデルから1つを選択。、「モデリングデザイン」、「カーラーリング」、「ランナー設計」、「射出成形」、「パッケージデザイン」と実際の作業を追体験し自分だけのプラモデルを開発していく。各項目には評価ポイントがあり、評価の高い理想的なプラモデルを目指すのも、自分なりのプラモデルを追求することも可能だ。選択したデータは体験用IDカードに記録され、自分だけのプラモデルデータを入手したり、印刷されたパッケージをお土産としてもらうことが可能だ。

【ラボラトリーエリア】
プラモデルを設計、生産できるラボラトリーエリアでは各操作の結果を体験用IDカードに記録できる
各コーナーには20台の端末が用意され、来場者1人1人が自分だけのプラモデルを作れる

 「モデリングデザイン」では手足、肩や頭などパーツを太くしたり、大きくしモデルの調整を行うことができる。手足を大きくしてより力強いデザインにしたり、スマートさを追求もできる。アドバイスを元に理想的なモデルを追求することも可能だが、下半身をぐっと大きくするなど、思い切ったモデリングをするのも楽しそうだ。

【モデリングデザイン】
ガンダム、恐竜、美少女プラモから基本モデルを選択
各パラメーターを変更して自分なりのバランスを追求
各項目の評価は総合評価へ繋がっていく

 「カラーリング」は各部のカラーを変更できる。選べる成形色は5色で、各部のカラーリングを設定することが可能。このカラーリングは次の「ランナー設計」に繋がっていく。

【カラーリング】
ガンダムの各部の色を指定
シンプルな基本色だけでなく、濃淡のあるスペシャルカラーの項目も
モデルデータは自由に移動させ各部をチェックできる
色々な部位の色を指定できる。配置できるのは5色まで

 「ランナー設計」は効率的な“射出成形”を考えていく。各パーツの位置、向きを調整することで、樹脂を流し込んできちんと成形する方法を学んでいく。パーツの位置を変更することで、きちんと金型全体に短時間で樹脂が流し込まれるように調整していく。この射出成形はパーツの色分けも大きく変わっていく。

【ランナー設計】
樹脂がきちんと流れ込むように、金型の配置を考える
時間がかかりすぎて金型に樹脂が行き渡らない
パーツの位置、金型の向きを調整し、効率を上げる
位置を変更することで流し込み時間を大きく短縮
レビューで評価を得ることができる

 「射出成形」は実際にプラモデルがどのように生産されているか、その手法を見ることができる。射出成形機でどのようにランナーが射出されるか、その場で見ることができるうえ、ランナーをお土産としてもらえる。最後は「パッケージデザイン」。「背景」、「ポーズ」、「ロゴ」の位置を決め、いくつかの候補からインパクトのあるパッケージ構図を作成し、シールとして出力、お土産としてもらったランナーの箱に貼り付けることが可能だ。

【射出成形】
本物の射出成形機を前にプラモデルの生産過程を学ぶ
できたてのランナーをお土産でもらえる
【パッケージデザイン】
いくつかのスタイルからイメージを選択
背景、ポーズ選択、ロゴの位置などを決めていく
ここで各項目の評価と、最終評価が得られる
最後はデザインしたパッケージがシールとして出力される

 今回「ラボラトリーエリア」で体験できる要素はプラモデル生産の要素を抜き出し、簡単に体験してもらうコンテンツとなっている。この体験で来場者は実際のプラモデルがいかにして企画され、工場で調整され生産されるかを学ぶことができ、企画や設計、パッケージデザインなど様々な分野の仕事に興味を抱くことができる。

 従来の工場、そして工場見学は生産機械の機能を説明するだけでしかなかったが、エンタメ性を考えたこのミュージアムではプラモデルの企画や設計の要素まで踏み込み、そして実際に工場で銅生産されているかも見ることができる。このミュージアムは「モノ作りそのものに興味を持ってほしいし、能動的にプラモデル生産を体験してほしい」という想いを込めているとのことだ。次世代のプラモデルデザイナー誕生にも期待したい。

【実際の工場】
ミュージアム見学では実際の工場内には入れないが、いくつかの部屋がガラス張りになっていて、実際の工場での作業風景を見ることができる。