レビュー
「POP UP PARADE 竈門炭治郎」レビュー
鬼滅ファンならコレクションに加えたくなるお手頃価格なフィギュア
2021年5月17日 00:00
- 【POP UP PARADE 竈門炭治郎】
- 出荷日:2021年5月19日
- 価格:3,900円(税込)
- ジャンル:ノンスケールフィギュア
- サイズ:全高約145mm
- 発売元:グッドスマイルカンパニー
- 原型制作:石山裕記
昨年10月に公開された映画は、BD/DVDのリリースが決まった後でも順調に客足を伸ばし続け、この記事を書いている時点で興行収入400億の大台目前にまでのぼり詰めた。まさに、国民的作品ともいえるのが、「鬼滅の刃」だ。もはや作品についてあれこれ語る必要もないぐらい、皆さんの方がご存じだと思うが、その主人公である「竈門炭治郎」を題材にしたノンスケールフィギュア「POP UP PARADE 竈門炭治郎」が、グッドスマイルカンパニーより2021年5月に発売される。
この「POP UP PARADE」シリーズは、思わず手に取ってしまいやすい3,900円(税込)という安価な価格と、全高17~18cmという飾りやすいサイズ感、そして素早く入手できるということをコンセプトにしている。最近のフィギュアは精巧にできているが、その分値段も高くなりがちだ。また、予約受付から入手できるようになるまで1年以上かかるということも多い。そうしたフィギュア自体が持つ課題を克服するために生まれたのが、この「POP UP PARADE」というわけだ。
発売に先駆けて本作をお借りすることができたので、今回はそのレビューをお届けする。
箱から取り出してすぐに飾れるシンプルさ
パッケージに含まれているのは、フィギュア本体と専用台座、そして補助パーツのみというシンプルな構成だ。基本的には箱から取り出して、すぐに飾ることができるため、そのお手軽さも「POP UP PARADE」シリーズの魅力といえるだろう。ちなみに付属する台座は見本の写真ではクリアカラーだったが、やや厚みのある青緑っぽいクリアカラーのものが採用されている。高さは、台座部分を含めても15cmちょいといったサイズ感だ。
今回立体化された炭治郎は、目前にいる敵に向かって挑むべく、日輪刀に手をかけたところといった瞬間を再現している。額にはおなじみのアザがあるほか、デザインはやや簡略化されているが、耳飾りもしっかりと再現されている。何かににらみを利かせているかのような大きな瞳は、三色で塗り分けされており力強さがみなぎっている。流れるような髪は、毛先が濃く毛の隙間がやや赤茶っぽく彩色されており、このコントラストもなかなか面白い。
炭治郎が身につけている衣装の再現度も素晴らしいものがある。もはや「鬼滅カラー」とも呼べるような、黒と緑の市松カラーの羽織にやや茶色がかった黒の隊服というおなじみのスタイルだ。隊服部分は襟やボタン、ベルトなどもしっかりと再現されているほか、服のしわに至るまでよく作り込まれている。あまり注目されることは少ないかもしれないが、後ろ姿も凜々しい。複雑な髪の毛の形状や腰のあたりにかけて羽織にシワが寄っているなどの、ディテール感もよく出ている。
炭治郎といえば、足下は草履だが、足首部分の脚絆も特徴的だ。こちらも、シワや細かな向きの違いなども含めて再現されている。一見同じ色のようにも見えるが、膝の部分はやや色が薄くなっているなど、かなり気を使って彩色されていることがわかる。炭治郎の武器でもある漆黒の日輪刀は、柄の部分は黒をベースに赤い模様がアクセントになっている。金属の部分もしっかりとメタリックカラーに塗られているため、間近で見ても鑑賞に堪えうるレベルだ。
飾るだけじゃなくシチュエーション別に写真を撮っても楽しい!
基本的に台座が変更できる以外に可動部分はないため、プレイアビリティという点ではほぼ皆無だ。しかし、フィギュアとしての完成度はかなり高いため、単純に飾っておくだけではなくほかのフィギュアや背景などを組み合わせて写真を撮るなど、様々な楽しみ方ができそうである。
ということで、早速いくつかのパターンで写真を撮ってみることにした。まずは、付属のパッケージを活用したものから。このパッケージの背景は、緑色をベースに近代的な三角形の模様と「すやり霞」のような古典的な表現が融合したものとなっている。言ってみれば「ザ・和風テイスト」になっており、この炭治郎のフィギュアともかなりマッチしている。まぁ、商品のパッケージに使われているぐらいなので当たり前といえば当たり前のだが・・・・・・せっかくなので、こちらを利用して撮影してみた。実際、かなりいい感じになっているのではないだろうか?
「和テイスト」という意味では、100円均一ショップで和風柄のおりがみを適当に見繕って、いくつか購入してみた。こちらもパッケージ同様に、作品自体が時代劇風でもあるため相性はなかなか良さそうだ。
個人的「鬼滅の刃」は「那田蜘蛛山編」の印象が強いということもあり、森の中のイメージに近い写真を撮ってみることにした。そこで用意したのが、アマゾンで売られている「ジオラマシートPRO-S 森A1」だ。ものとしては、やや大きめの紙にインクジェットプリンターで印刷したかのような質感であまり高級感はないが、サイズに的にもフィギュアの背景としては必要十分だ。
まずは普通に昼間風の写真を撮ってみて、次に闇に染まる頃の時間帯をイメージして照明を調整しながら撮影してみた。これもやっていること自体はシンプルなのだが、やはりフィギュアそのものの出来の良さからか、なかなか写真映えしやすい感じがする。
ちなみに今回原型制作を担当したのは、石山裕記氏だ。2021年6月に発売される「POP UP PARADE 竈門禰豆子」も、同じ石山氏が原型制作を手がけているということなので、両方合わせて入手して飾ることで、より融合性が増しそうだ。さらには後続でリリースが予定されている我妻善逸、嘴平伊之助と並べて飾ることで、TVアニメ「鬼滅の刃」のキービジュアルを再現することもできる。
今回初めて「POP UP PARADE」シリーズのフィギュアを間近で触れることができたのだが、思っていた以上のクオリティの高さに驚かされた。年々値段が高騰化していく傾向にあるフィギュア界隈だが、この「POP UP PARADE」のように、そこそこの安価でありながら鑑賞にも十分に堪えうるクオリティの作品を望んでいる人たちは多いのではないだろうか。
とくに「鬼滅の刃」などではフィギュアマニアではないライトな層もファンには多く、こうした商品の充実は非常にありがたいところである。これから登場するラインナップも含めて、ぜひ注目して欲しいシリーズだ。
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable