レビュー

「METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」レビュー

高級感と重量感を備えた至高の変形型オーラバトラーがここに

【METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売:2021年12月29日

価格:14,300円(税込)

ジャンル:アクションフィギュア

全高:約155mm(オーラバトラー時)

材質:ABS、PVC、ダイキャスト

 BANDAI SPIRITSは、「METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」を2021年12月29日に発売した。これまで「ガンダム」シリーズの「<SIDE MS>」や「コードギアス反逆のルルーシュ」の「<SIDE KMF>」などを展開してきた「METAL ROBOT魂」シリーズに、新たに「聖戦士ダンバイン」のオーラバトラーが加わったのだ。

【METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン】
「METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」

 「超合金」シリーズから受け継ぐダイキャスト素材による重量感を「ROBOT魂」シリーズへと融合したMETAL ROBOT魂シリーズで立体化されたビルバインは、2012年に発売された「ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」とは、ひと味もふた味も違うアクションフィギュアとして完成していた。本稿ではその製品版のレビューをお届けしていこう。

29話より登場したナの国製オーラバトラーを、ボリュームのあるシルエットで構築

 オーラバトラービルバインは、「聖戦士ダンバイン」29話より登場した。ナの国がダンバインを参考に独自開発した可変機構を持つ機体で、ドレイク軍のラウの国攻略戦の折、アレンのビランビーやトッドのビアレスとの戦闘により傷ついたダンバインを駆るショウ・ザマに、ナの国の王女シーラ・ラパーナから贈られた。オーラバトラーから飛行形態であるウイング・キャリバーへと変形する機構を備え、前者は戦闘力に優れ、後者は巡航速度と積載能力が向上し、あらゆる戦況に対応できる高性能機体だ。しかしそれは搭乗者の高いオーラ力に依存されるため、結果として他の誰も搭乗することはなかった。

【パッケージ】
「METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」のパッケージ。商品写真を使用していて、商品名やブランドロゴは金の箔押しだ

 メカデザインは同作のキャラクターデザインも手がけた湖川友謙氏によるものだが、その初期画稿とは大きく異なっていることが書籍などで明らかにされている。変形メカというおもちゃとしての意向が強く反映されていて、それまでの昆虫的なデザインを主体としてきた機体とは一線を画し、メカニカルな意匠と鳥を思わせるシルエット、そして赤・白・紺というヒロイックなカラーリングが採用されている。

 また終盤の最終決戦時には、ブルーの夜間迷彩に塗装された姿で登場した。おもちゃとしての意向を取り入れたデザインながら、当時ダンバインのおもちゃを発売していたスポンサーのクローバーが放映中に倒産してしまったため、新スポンサーとなったトミー(現タカラトミー)が発売したという逸話もある。

【ブリスター】
ブリスターは2枚。小さなクリアパーツもあるので、開封時は要注意

 当時のおもちゃ以外にも、プラモデルやガレージキット、アクションフィギュアなどで立体化されてきた機体で、2012年にはROBOT魂のオーラバトラー第1弾としてダンバインよりも先に発売され話題となった。以降「ROBOT魂<SIDE AB>」シリーズとして30種以上の機体が登場し、そのラインナップはフォウやバラウなどのオーラマシンや、OVA「New Story of AURA BATTLER Dunbine」や雑誌連載「オーラ・ファンタズム」の機体にまで及んでいる。

 この「METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」は、BANDAI SPIRITSが10年近くにわたって展開してきたシリーズのノウハウを詰め込みつつ、ROBOT魂にはない魅力を兼ね備えたアイテムとして発売となった。

【パッケージから取り出す】
パッケージから出した状態のビルバイン
ウイングと羽をオーラコンバーターの下に取り付ける。ジョイントの構造はROBOT魂と同じだ
オーラ・ソードと鞘。ジョイントは別パーツとなっている
オーラ・ソードは右側のオーラコンバーターに取り付ける

 パッケージを開けて最初に感じるのは、そのサイズと重量感だ。ROBOT魂版ビルバインが全高約140mmだったのに対し、このビルバインは約170mmと一回り大きく、ダイキャストを使っていることもあり、手に取ったときずっしりと重さを感じられる。ちなみに重量は実測で276gあった。ダイキャストは胴体内部、腕の装甲、ヒザ関節、スネ、脚部クローなどに採用されていて、採用範囲の大きな脚部はひんやりとした触り心地を味わえるとともに、重心が低いことによる経たせたときの安定感を確保している。

【ディテール】
「METAL ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」フロントビュー。アニメ設定よりもマッシブな体系をしている
バックビュー。体型以外の大きなデザインアレンジはないが、オーラコンバーターに関節が設けられている
公式サイトより、ダイキャストパーツの使用箇所を表した画像。赤い部分がダイキャストを採用している場所だ

 本体のほとんどが塗装されているのも高級感を印象づける要素の1つで、赤い部分と白い部分はパールカラー、手足のツメはメタリックでかなりゴージャスな印象だ。コクピットや羽はクリアパーツで、機体のアクセントとなっている。なお脚部内側には、ダイキャストパーツを固定するネジの穴を塞ぐパーツが使われている。

【ディテール】
白い部分は光を当てると緑がかったパールカラーに輝く。赤い部分もパール塗装だ
クローはゴールドのメタリック塗装。腕と脚、それぞれ可動する
脚は内側に見えるネジ穴を塞ぐパーツが若干目立つのが残念
ウイングと羽。前者は関節があり可動、後者は翅脈が細かく造形されている
頭部も複数のパーツ構成と塗装によりシャープに仕上がっている

 試作サンプルの段階から判明していたことだが、アニメ設定の細身のビルバインとは少しイメージが違っていて、体や足が太めなデザインで全体的にマッシブなプロポーションでまとめられている。イメージとしてはかつて出渕裕氏によって提案されたが不採用となったボリュームアップ版ビルバインにも近いかもしれない。ROBOT魂と差別化する意味もあると思われるが、なかなか大胆な仕様だ。個人的にはもっと出渕氏案に近づけてもいいとも思ったが、ウイング・キャリバーへの変形時のシルエットを考慮すると、現在のスタイルがギリギリの線なのかもしれない。

【ROBOT魂版と比較】
「ROBOT魂<SIDE AB> ビルバイン」(左)との比較。体型だけでなく色味もずいぶん違い、ROBOT魂版はほとんどが素材そのままの成形色となっている

 可動はROBOT魂版ビルバインのそれを継承しつつも、要所に進化ポイントが見られる。例えばヒジと前腕の間にロール軸を追加することで、前腕の装甲を外側に向けたままヒジを曲げるポーズをとることができる。またこの前腕には引き出し機構があり、より深くヒジを曲げることが可能だ。

 その他、背中のオーラコンバーターは中折れの機構が備えられた。設定では元々折れ曲がっているビルバインのオーラコンバーターだが、ウイング・キャリバーに変形させたときにこれをまっすぐにすることで、スマートな見た目になるという具合だ。胸のキャノピーも開閉可能だが、残念ながらパイロット(と同スケールのフィギュア等)を収納するスペースはない。

 次ページはビルバインの大きな特徴であるウィングキャリバーへの変形や、武装について紹介していきたい。

【関節に注目】
前腕はヒジ関節の付け根と、先端との境目にロール軸が設けられ、腕の可動における自由度は高い
前腕を引き出すことにより、ヒジをより深く曲げられる。背中のオーラ・ソードを抜くポーズも可能だ
中折れ機構が備わったオーラコンバーター。根元も二重関節なので、大きく開くことができる
胸部を開くとコクピットが露出する。レバーも可動するが、同スケールのフィギュアなどを載せるスペースはなさそうだ
このような降着姿勢も可能だ
脚のクローも内側まで凝った造形となっている。それぞれの根元と先端に関節が備えられ、表情を付けられる
付属するロゴ入りの台座。長さ、前後への角度、前端の角度をそれぞれ調整できる