レビュー

ハセガワ「VF-19A w/ファストパック & ハイマニューバミサイル」レビュー

デュラハンの部隊マークなどたっぷりのデカールでディテールアップ

 「VF-19A デュラハンズ」は、複雑なファイアパターンの機体模様もデカール化されており、デカールを指示通り貼っていけばかなり質感はアップする。しかし大きく長いデカールが多い。筆者もこのファイアパターンを貼ろうと思ったのだが、難易度が高かった。

 デカールは「スライドシール」という別名の通り、まず水に濡らして台紙からデカールを浮き上がらせて、徐々に台紙からずらして貼っていくのが理想だ。大きいデカールはかなりの慣れが必要で、うまくいかないとちぎれてしまったり、途中でデカールが巻き上がってしまったりする。本商品のデカールは、強度も強く練習にも向いていると感じたが、ファイアパターンは大きく、難しかったので今回は断念した。

 プラモデルは決まった完成形はない。逆に模型スキルがなくても楽しめるものだ。技術の高いモデラーは全塗装をした上できっちりデカールを貼ったり、自分の塗装でこのカラーリングを実現するかもしれない。しかし、筆者の腕ではファイアパターンを貼るのが難しかった。あえて貼らない方がかっこよく仕上げられると判断し、灰色の基本色に部隊マークを貼ることで自分なりの完成を目指すこととした。

【デカール】
貼り付けるために切り抜いたデカール。細かいファイアパターンもデカールを貼り付けることで再現できる。筆者も試してみたが失敗し、ファイアパターンを貼らない方向での完成を目指した
全塗装とデカールをきちんと貼れば完成見本のように見事に仕上げられる。筆者は部隊マークなどを絞って使ってみた

 部隊マークなどはデカールも小さいため貼りやすい。マクロスメカではおなじみの統合軍のマークや、盾や尾翼に付けるデュラハンのマークなど指示通りに色々なところに貼っていった。キットでは他にも各種注意書きや、バーニアの噴出口など、塗装での塗り分けが難しい部分もデカールでカバーしている。じっくり時間を掛ければ、塗装技術が高くなくてもかなり緻密な色分けで組み上げられるのだ。

 デカールを貼ると戦闘機としての雰囲気が増す。どの部隊に所属して、機体番号はいくつかがはっきりする。派手なデュラハンズのマークもあり現用兵器とアニメのキャラクターとしての機体の中間的なイメージで組み上げられたと思う。

 各部を写真で細かく見せたい。VF-19Aのファイイター形態のスマートなカッコ良さが非常に見事に再現されていると感じた。VF-19は特に機体後方にボリュームがあるデザインだが、飛行形態に特化した本モデルは飛行機らしさがより強調されていてしげしげと眺めてしまう。

【部隊マークを貼る】
部隊マークなどいくつかのシールを貼ることでそれなりにカッコ良くなった
機首には機体番号も
固定装備であるレーザーガンの注意書き
翼や脚部ファストパックにも貼ってみた
尾翼と盾には部隊マークの「デュラハン」のイラスト

 翼端が前方にあり、後ろから見るとVの字を描く前進翼、大型のハイマニューバミサイルを付けたVF-19Aは戦闘機としてかなり異質なシルエットで、未来的なデザインだと感じる。プラモデルは全体的にシャープになっているので、より前衛的なデザインが映えると感じた。

 作ってみて感じたが、やはり「VF-19A デュラハンズ」は上級者向けキットと感じた。接着必須の設計のためか、パーツの位置を決めるためのガイドが少なく、パーツ位置をきめずらい箇所もあった。一方でデザインはシャープでパーツも薄く、航空機モデルならではのスマートさも前面に出ている。

 飛行機モデルはやはり手に持ち飛んでいる姿を想像するのが楽しい。航空機モデルとしてのスマートさがあるバランス、シャープな造型、クリアパーツ越しにのぞくパイロットとコクピット、エアインテークからのぞくファン……。目の前で角度を変え飛ぶ姿を想像したり、着陸脚をしげしげと眺めてみたり細部や全体のシルエットをチェックするのがとても楽しい。

 「VF-19A デュラハンズ」は可動する部分は足先と頭部のレーザー機銃くらいだが、動かなくても眺めているだけでそのカッコ良さに満足感がこみ上げる。そして自分が貼ったマーキングシールは細部のチェックの楽しさをさらに増してくれる。

 プラモデルは技術のある人は全塗装や、しっかりしたデカール貼り、作例のように見事に仕上げることもできる。さらに腕がある人は本商品を飛行中のモデルに改造したり、さらに完成度を上げることができるだろう。

 一方で技術のない人でもVF-19Aならではの機体のスマートさ、戦闘機形態に特化したデザインアレンジ、ハセガワだからこその航空機モデルの経験を活かしたシャープな造型を楽しむことができるし、今回のように一部のデカールを使った自分なりの完成形を目指すことができる。作例のように作る自信がない人も筆者のように手に取り、組み立ててその魅力を感じて欲しい。

 改めて、VF-19はカッコイイ。「VF-19A デュラハンズ」は戦闘機形態の魅力に特化したプラモデルだ。眺めて、手にすると満足感がこみ上げてくる。他のハセガワの「マクロス」モデルにも挑戦したくなった。