レビュー

「はずる ポケットモンスター モンスターボール」レビュー

ポケモン捕獲用のボール4種が難易度別のメタル製立体パズルに。「知恵の輪」とは異なるアプローチの最新作

【はずる ポケットモンスター モンスターボール/スーパーボール/ハイパーボール/マスターボール】
発売元:ハナヤマ
価格:各3,300円
発売日:2025年7月26日
ジャンル:立体パズル
サイズ:直径約50mm

 ハナヤマは、同社が展開するメタル製立体パズル「はずる(HUZZLE)」シリーズで、「ポケットモンスター」シリーズのポケモンを捕獲するアイテムモンスターボールの形をしたはずる ポケットモンスターを7月26日に発売した。劇中に登場する4種類のボールの形状を、難易度別に4種ラインナップしている。発売後、品薄状態が続いていたが、増産により10月中旬から順次店頭に並びだす予定だ。

はずる ポケットモンスター。全4種が発売中。価格は各3,300円

 1980年代にパズル家の芦ヶ原伸之氏の企画にハナヤマが賛同し、亜鉛合金を素材とした鋳造式のメタル製立体パズルを、現代の技術でより遊びやすく開発した「はずる」シリーズ。造形物としても楽しめる凝った形状や仕上げも魅力で、近年はキャラクターIPを使った商品も展開している。

 その最新アイテムとなるはずる ポケットモンスターシリーズ4種のレビューを本稿にてお届けしよう。

亜鉛合金を主な素材とした、ずっしり重いピカピカのモンスターボール。設定上効果の高いボールほど難易度が高いという粋な仕様にも注目

 「はずる」シリーズは過去にも任天堂のゲームソフト「ゼルダの伝説」をテーマにした商品を発売し、劇中に登場するアイテムなどを立体パズル化して好評を得ている。

 今回ラインナップされたモンスターボールは、「ポケットモンスター」の中でポケモントレーナー達が野生のポケモンを捕獲するためのアイテムで、シリーズのシンボル的な存在として、おもちゃやグッズも多数発売されている。

Nintendo Switchの「ポケットモンスター ソード・シールド」(2019)より、モンスターボールの使用シーン。厳密なサイズの設定はなく、携帯時や投擲時、捕獲時などで大きさが変わる描写が見られる

 このはずる ポケットモンスターは、モンスターボール4種の形状を忠実に再現しつつ、ダイキャストの金属感を生かした高級感のある造形物として完成している。これだけでも価値の高いファンアイテムと言えるのに、立体パズルという他にはないお楽しみが盛り込まれているのがいいところだ。

はずる ポケットモンスター モンスターボールのパッケージ。実物の写真とボールのアイコン、ポケモンのロゴマークがあしらわれたシンプルなもの。フック用の穴がある部分は箱の中に収納できる
4種類のラインナップ。解説書は入っていないが、どうしても解けないときは公式サイトから申し込む形で解き方を確認できる

 ラインナップされたボールは4種類。モンスターボール、スーパーボール、ハイパーボール、マスターボールで、後に行くほどポケモンが捕まえやすいという設定があり、この商品ではそれがパズルの難易度に反映されている。ハナヤマはパズルの難易度を「LEVEL」(★の数)で表記していて、これは1から6まであり、最も簡単なモンスターボールでLEVEL3、最も難しいマスターボールは最高のLEVEL6となっている。

難易度は箱の横に表記されている。あくまで基準なので、好みで選んでいいと思う
パッケージの中にはブリスターがあり、本体はその中に入っている。開けるときは同梱のディスプレイ用台座が落ちないように注意
はずる ポケットモンスター モンスターボール本体と付属のディスプレイ用台座
直径は実測約50mmで、手に持ったサイズはこのぐらい。ゲーム中で携帯しているときと同じぐらいのイメージだろうか
Nintendo Switch用周辺機器「モンスターボール Plus」との比較。大きさはこれとほとんど同じだった
ディスプレイ台座は全種類共通。これを使えば置物としても楽しめる
ちょっと分かりづらいが、後方の下側にクレジット表記がある。上下に模様のないモンスターボール、実は本体の向きを表す基準として重要なものとなる
重量は実測で約144g。これは台座(約3g)込みの重量となる

 いずれもパーツは2ピースで、中心線から上下に外れる仕組み。筆者はこの手のパズルにそれほど詳しくないのだが、店頭やイベントなどで触った経験のある「知恵の輪」的なそれとは趣がまったく異なり、例えるのなら錠前や金庫のダイヤルのようなメカニカルな仕組みが実に新鮮だった。

モンスターボールの解けた状態。ネタバレになるので内部の見える部分は画像を加工している

 モンスターボールでもLEVEL3以上なので、誰にでも簡単に解けるというものではないようだが、実のところ筆者は4種のうちスーパーボール以外を自力で解いてしまった。前述の通り筆者はこの手のパズルを普段からたしなんでいるわけではなく、得意でもないのだが、もしかすると余計な知識がなかったことが幸いしたのかもしれない。手に持って回したり引っ張ったり、振って中から聞こえる音を聴いたりしていると、なんとなく違和感を覚えるところがあり、それを手がかりにカチャカチャと動かしていると「あれっ」という感じで解けてしまったのだ。

 そしてその内部を見て機構をなんとなく理解して元に戻すという形で解いているのだが、LEVEL4のスーパーボールに関しては、他とはかなり違った概念により、どうしても解くことができなかった。

【はずる ポケットモンスター スーパーボール】
はずる ポケットモンスター スーパーボール。難易度LEVEL4。本体上側に2本の太めのライン模様が入っている。模様部分はマット仕上げだ
重量は台座込みで約149g。モンスターボールよりわずかに重い
スーパーボールの解けた状態。個人的に一番難しかったのだが、その機構には感心させられた
【はずる ポケットモンスター ハイパーボール】
はずる ポケットモンスター ハイパーボール。難易度LEVEL5。本体の上半分にハイパーボール特有の模様があしらわれている
重量は台座込みで約153g。難易度に準じて重量も上がっている
ハイパーボールの解けた状態。全てにおいてこの状態から元の状態に戻して完了となる
【はずる ポケットモンスター マスターボール】
はずる ポケットモンスター マスターボール。難易度LEVEL6。マスターボールの特徴的な模様が格好いい
重量は台座込みで約174g。4種の中で最も重量がある
マスターボールの解けた状態。筆者も最初は解けたが元の状態に戻すのに時間がかかり、2回目以降は解くことができなかった……

 ポケモンIPの立体パズルを商品化するに当たり、モンスターボールを選んだのはとてもいい着眼点だと思う。置物としての高級感、重量感に加えて、手に取ることに違和感がないモチーフでもあり、ゲームファンでなくても見たことがある意匠なのもポイントだ。それぞれは変にバラバラになるのではなく、劇中で上下に割れる設定のモンスターボールのデザインや構造を破綻させていないのも好印象だ。それでいて、それぞれ違った解き方を構築させているのは、パズルゲームの老舗ハナヤマのノウハウが生きていることが感じられた。

4種類を並べてみると、置物としての魅力も倍増する

 手持ち無沙汰のときに触って楽しむフィジェットトイのような感覚で手元に置いておくのもいいし、ポケモンのフィギュアやぬいぐるみなどと一緒に飾ってもいい。ポケモントレーナーのように持ち歩いて、ポケモン仲間に挑戦させてみるのもいいかもしれない。高級感のあるポケモングッズの新機軸として大いに楽しんでいただければと思う。