特別企画

アオシマの痛車シリーズ「ウマ娘 プリティーダービー ZN6 TOYOTA86 '16(トヨタ)」をチョコっと改造

公式パーツでホイールをカスタム。シャーシはディスプレイ台座仕様に

【ウマ娘 プリティーダービー ZN6 TOYOTA86 '16(トヨタ)】

発売元:青島文化教材社

価格:5,060円

発売日:2024年11月

ジャンル:プラモデル

サイズ:全長約178mm

約10年ぶりの新商品となった痛車キット

 自分好みのキャラクターで自身の愛車を彩る痛車は自身のキャラクター愛を表現する一つの方法ですが、自身の愛車を痛車に改造することは少々ハードルが高いものです。筆者個人も興味はあるものの実車を痛車に改造はしていません。本記事ではそんな思いを青島文化教材社の痛車プラモデル「ウマ娘 プリティーダービー ZN6 TOYOTA86 '16(トヨタ)」にぶつけてみようと思います。

カーモデルは簡単にカスタマイズできる点も魅力の一つです。

卓上にコレクションできる痛車シリーズ新弾は「ウマ娘」モデル

 青島文化教材社から発売されている痛車シリーズは、同社の主力商品ともいえるカーモデルに痛車仕様のデカールを付属させたプラモデルシリーズです。シリーズ第1弾となるキットが2008年に発売され2013年まで旧シリーズとして商品展開されてきました。そして、前キットの発売から約10年の時を経て新シリーズとして新たに商品展開されることとなりました。新シリーズ第1弾は大人気スマートフォンアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」より「メジロマックイーン」と「トウカイテイオー」をデザインしたキットが発売になり、2025年3月には「ラブライブ!サンシャイン!」の痛車キットの発売も決定しています。

 今回制作する「ウマ娘 プリティーダービー ZN6 TOYOTA86 '16(トヨタ)」のデザインに採用された「ウマ娘 プリティーダービー」とは、サイゲームズが運営する育成シミュレーションアプリです。かつて、各地の競馬場を熱狂させた実際の競走馬を擬人化した魅力的なキャラクターを最強の競走馬に育成する内容となっています。筆者もサービス開始初期よりプレイしており、日々最強のウマ娘を目指して育成中です。

大判デカールを使用したキットとなっています。
2020年発売のキットをベースとしているため、内装表現もばっちりです。

最新痛車キットを自分好みに仕上げる

 今回の作例では説明書の順序にとらわれず、効率を考えた制作順にて制作を行ないます。カーモデルは一番の見せ場となるボディの塗装に一番時間がかかるため、ボディパーツから制作を始め、ボディパーツ塗装の乾燥時間中にその他、内装パーツを仕上げていきます。

本作例における制作順序。ボディパーツの乾燥時間を利用して内装パーツの制作を進めます。

 なお、本記事ではわかりやすさ重視のため、ボディパーツの制作を一通りお見せした後に内装パーツの制作をお見せします。

デカールに合わせて2色のパールを使用したボディカラーで仕上げる

 カーモデルのボディパーツに取り付けるサイドミラーとシャークフィンはパーツ取り付け位置が凸モールドにて指示されています。カーモデルのボディパーツはクリアコートの後に研ぎ出しを行なうため、この凸モールドは消えてしまいます。そのため、このままでは取り付け位置がわからなくなってしまうため、0.5mm真鍮線を使用してダボを作成します。

サイドミラーとボディパーツに刻印された凸モールド。凸モールドは鉛筆で強調しています。
真鍮線を使用してダボを作成しました。

 サイドミラー等の取り付けモールド以外のモールドも塗料の重ね塗りによって埋まってしまう可能性があります。そのため、各部モールドを全て彫り直していきます。モールドの彫り直しはファンテックの「超硬けがきニードル10°」を使用して掘り直しを行なった後、アートナイフにて側面の仕上げを行ないます。

「超硬けがきニードル」を使用してモールドの彫り直しを行ないます。
アートナイフではモールド側面の仕上げを行ないます。
モールドの彫り直しが完了したボディパーツ。モールドがよりはっきりしました。

 モールドの彫り直しが完了した後はボディの表面処理およびパーティングラインの処理を行なっていきます。ボディの表面処理は「神ヤス #400」から始め、「神ヤス #600」で仕上げを行ないます。

神ヤスを使用してボディを磨いていきます。
表面処理が完了したボディ。つや消し状態に仕上がりました。

 ボディの下地処理が完了したら、下地のサーフェイサーを塗布していきます。今回の作例にて使用したサーフェイサーはクアトロポルテの「Tipo G. プライマーサーフェイサー [ グレータイプ ]」を使用します。また、ボディ色の塗装を行なう際はボディ以外でもボディ色にて塗装する箇所をまとめて塗装します。

ボディ塗装に使用した塗料。本作例ではコーティングにウレタンコートを使用しています。
ボディ色にて塗装するパーツ達。シャーシや一部内部フレームもボディ色にて塗装します。
「Tipo G. プライマーサーフェイサー [ グレータイプ ]」を塗布したボディ。希釈済みの塗料のため、そのままエアブラシで塗布することが可能です。

 サーフェイサー塗布後のボディはミストにより表面がガサガサになっています。そのため、「神ヤス #800」にて表面を撫でて塗膜を均一にならします。これにて塗装前の下地処理は完了とします。

下地処理の完了したボディ。滑らかな表面に仕上がりました。

 今回の作例にてボディ色は白をベースとして塗装していこうと思います。仕上げ色を白とする際には発色をよくするため下地にシルバーを塗布します。下地のシルバーにはクレオスの「Mr.カラー 8 シルバー」を使用して塗装していきます。

下地色を塗布したボディ。滑らかなシルバーに仕上がりました。

 仕上げ色のホワイトはガイアノーツの「Ex-ホワイト」を使用して塗装を行ないます。ホワイトの塗装は発色が弱いため、最初は濃い状態にて塗布を行ない、仕上げに薄めた塗料でコーティングして表面を仕上げます。

「Ex-ホワイト」を塗装したボディ。光沢仕上げになっています。

 仕上げ色の塗装後はそのままデカールを貼って仕上げてもいいのですが、せっかくなので少し色気を追加していきます。本キットのデカールは右半分がグリーン、左半分がブルーをメインカラーとしたデカールになっています。この点を利用して、左右で異なるカラーのパールを塗布することとしました。右半分にはクレオスの「Mr.クリスタルカラー(パール塗料) トルマリングリーン」、左半分にはクレオスの「Mr.クリスタルカラー(パール塗料) サファイアブルー」を使用して塗装を行ないます。

「Mr.クリスタルカラー(パール塗料) トルマリングリーン」を塗装した右半分。うっすらとパールを利かせています。
「Mr.クリスタルカラー(パール塗料) サファイアブルー」を塗装した左半分。光の反射によりかすかにブルーの輝きがあります。

 仕上げ色の塗装が完了したら本キット最大の難所となるデカールの貼り付けを行ないます。大判デカールはパーツを跨いで貼り付ける仕様となっているため一度ボディを仮組した後にデカール貼り付けを行ないます。デカールの貼り付けにはクレオスの「Mr.マークセッター」と「Mr.マークソフター」を使用しながら貼り付けを行ないます。

デカールの貼り付けを行なったボディ。大きく印象が変わります。

 ここからは艶出しコーティングを行ないます。最初にガイアノーツの「Ex-クリアー」を砂吹きし、デカールへのコーティングを行ないます。この際は表面は光沢仕上げにせず、つや消しになるよう塗装していきます。

「Ex-クリアー」を塗布したボディ。砂吹きなのでツヤ消し仕上げに仕上がっています。

 クリアーの乾燥が完了したら、仕上げのコーティングを行ない、光沢を出していきます。今回の作例では2液式ウレタンコートを使用して光沢を出していきます。ウレタンコートにはSHOW UPの「ホビークリアーセット」を使用してコーティングを行ないます。2液式ウレタンコートはラッカー系塗料と違い、主剤と硬化剤を一定の割合で調合し、塗布を行ないます。

ウレタンコートを行なったボディ。この状態でも十分に光沢がありますが、ここからより光沢に仕上げます。

 ウレタンコートを行なったボディはこれだけでも光沢を放っていますが、研ぎ出しを行なうことでより輝きをもたせます。研ぎ出しには紙やすりの1500番から研ぎはじめ、コンパウンドを使用することで最高の鏡面を目指します。

研ぎ出し前のボディ。光を反射させると表面が平滑でないことがわかります。
研ぎ出しが完了した表面。きれいなボディに仕上がりました。
研ぎ出しが完了したボディのアップ。実車のような光沢あるボディに仕上がりました。

 ここからはボディパーツのスミ入れと部分塗装を行ないます。スミ入れにはタミヤの「スミ入れ塗料 (ダークグレイ)」を使用してスミ入れを行ないました。

スミ入れを行なったボディ。モールドがよりはっきりしました。

 内装の部分塗装はタミヤの「エナメル XF-1 フラットブラック」を使用して筆塗で行ないます。本キットの窓パーツはクリアパーツ側に窓枠が取り込まれているため、ボディの部分塗装はマスキング無しで塗装していきます。

部分塗装が完了したボディパーツ。これにてボディパーツは完成となります。