特別企画
新作TCG「ゴジラカードゲーム」の体験会も開催!「ゲームマーケット2025春」レポート
ゴジラvs対ゴジラ兵器の攻防が楽しめるボードゲーム的作品
2025年5月21日 00:00
- 【ゲームマーケット2025春】
- 開催日:5月17日、18日
- 会場:幕張メッセ(5~8ホール)
- 入場料:1,500円~(時間帯で変動)
2025年5月17日と18日に「ゲームマーケット2025春」が幕張メッセで開催された。
ゲームマーケットは、国内最大規模のアナログゲームイベントで、最近は毎年東京で春と秋、大阪で1回の合計3回開催されている。2013年から2024年春までは、東京ビックサイトで開催されていたが、参加者が増え手狭になってきたため、2024年秋から幕張メッセで開催されている。
今回開催された「ゲームマーケット2025春」の参加者数は、5月17日が1万5,000人、5月18日が1万2,000人、2日間合計2万7,000人と、新型コロナ禍以降では最高人数を記録し、大盛況となった。
そこで、今回の「ゲームマーケット2025春」で気になったゲームや、ゲームマーケットで分かったアナログゲームのトレンドを紹介する。
突出したジャンルはなく、さまざまなジャンルがほぼ均等に出展
ゲームマーケットの出展対象となるのは、電源を使わないアナログゲーム一般と、それに付随するアイテムだ。
一口にアナログゲームといっても、カードゲーム(TCGを含む)、ボードゲーム、謎解きゲーム、TRPG、ゲームブック、マーダーミステリーなど、さまざまなジャンルがある。
2年前の「ゲームマーケット2023春」では、“推理小説に出てくる登場人物の一人になりきって、犯人を推理したり、その人物の目的を達成することを目指す”ゲームであるマーダーミステリーを出展するブースが目立っていたが、今回はマーダーミステリー関連の出典は、以前に比べると減っており、特定のジャンルが突出しているというよりも、各ジャンルが均等に出ているような印象を受けた。
TCGでは7月発売予定の「ゴジラカードゲーム」と1月に登場した「ディズニー・ロルカナ」が人気
まずは、TCG(トレーディングカードゲーム)で目立っていたところを紹介しよう。TCGといえば、「ポケモンカードゲーム」や「遊戯王」「マジック:ザ・ギャザリング」「デュエル・マスターズ」などが長い歴史を誇っているが、最近でも「ONE PIECEカードゲーム」や「名探偵コナントレーディングカードゲーム」など、新しいTCGが次々と登場している。
「ゲームマーケット2025春」では、「ゴジラカードゲーム」と「ディズニー・ロルカナ」の新規2タイトルがそれぞれ大きなブースを出して、体験会などを行なっていた。
「ゴジラカードゲーム」は、2025年7月発売予定のTCGで、遊宝洞が開発し、ブシロードから販売される。「ゴジラカードゲーム」は、ゴジラを巡る一大攻防戦を繰り広げる、進攻/撃退型カードゲームであり、互いにゴジラを進攻させていき、相手の戦場まで到達するか(進攻勝利)、相手のゴジラを完全に撃退することで勝利となる(撃退勝利)。
両プレイヤーともゴジラの怪獣カードを持ち、1から8までのエリアに分かれた盤面上を進めていく。相手のゴジラに対して、こちらのゴジラが直接戦うわけではなく、相手のゴジラvs自陣の対ゴジラ兵器という攻防になる。カードは、「怪獣カード」「交戦カード」「戦略カード」「怒りカード」の4種類で、交戦カードがいわゆるユニットやクリーチャー、戦略カードが呪文に相当する。
実際に体験会でプレイしてみたが、一般的なTCGとはかなりプレイ感覚が異なり、ボードゲーム的な要素が大きく、新鮮であった。倒したと思っても、より強力になって復活するというゴジラの特性が上手にゲームに反映されており、TCGとしての完成度も高く、発売開始が楽しみだ。
「ディズニー・ロルカナ」は、タカラトミーが2025年1月から販売しているTCGで、タイトルの通り、ディズニーの世界が舞台となる。海外では先行して販売されており、本格TCGとして評価の高いタイトルである。こちらは、ブースでの体験会のほか、製品販売も行なわれていた。
「アニマルカードゲーム」や「さいたま伝」などユニークなTCGも登場
大手メーカーから発売されるTCGだけでなく、サークルなどが制作したユニークなTCGも多数出展されていた。その中から、Web漫画がTCGになった「アニマルカードゲーム」と浦和と大宮の戦いをテーマにした「さいたま伝」を紹介する。
「アニマルカードゲーム」は、わたる氏がWebで連載していたカードゲームあるある漫画「カードゲームうさぎ」が元となったカードゲームで、クラウドファンディングでの成功を経て、2025年2月28日に一般販売が開始された。
「アニマルカードゲーム」の企画・運営を行なっているのが大興印刷であり、「ゲームマーケット2025春」では、大興印刷のボードゲーム事業部であるoctpathボードゲーム研究所のブースで、「アニマルカードゲーム」関連製品の出展や販売が行なわれていた。第1弾のデッキはもちろん、先攻後攻マーカー、アクリルスタンド、プレイマットなど、サプライ品の品揃えも充実しており、人気をうかがわせた。
PANTSのブースでは、新作TCG「さいたま伝」の展示と販売が行なわれていた。「さいたま伝」は、浦和vs大宮という、埼玉人ならきっと理解できるだろう、因縁の戦いをモチーフにしたTCGで、実在のスポットやカルチャーが登場する。関係各所の許可を取るのが大変で、構想から完成まで3年を費やしたという。
カードを使って市民を生産し、「さいたま」の土地に定住者を増やし、先に4つのエリアを占領したプレイヤーが勝ちとなるルールで、こちらもTCGとはいってもボードゲーム的なデザインである。
サントリースポンサードのお酒をモチーフにしたボードゲームが人気
LIQUOR GAMERS CLUBのブースでは、その名の通り、お酒をモチーフにしたさまざまなボードゲームが出展・販売されていた。
LIQUR GAMERS CLUBは、ウイスキーやカクテルなど、洋酒をたしなみながらボードゲームを遊ぶ、サントリーがスポンサードしている大人のコミュニティで、オリジナルボードゲームの開発も行なっている。
今回の「ゲームマーケット2025春」では、人気の「ミッドナイトカクテル」の拡張セット「マジックジュエルカクテルズ」や、「スパイインザバー」の拡張セット「ラブロマンス」「クレイジーパーティ」、一人で謎解きを楽しめる「ミステリーカクテルコースター」が新作として出展されていた。
「ミッドナイトカクテル」は、自分と同じカクテルを持つ相手と乾杯を狙う推理ゲームで、「スパイインザバー」は、「秘密の合図」で通じ合う、大人のパーティーゲームである。
その他にも、騙し合いを行なうブラフゲーム「バーテンダウト」やBARの棚にお酒を並べて、注文をこなす戦略カード配置ゲーム「リカーマイスター」など、バラエティに富んだボードゲームを出展・販売しており、試遊コーナーも大人気であった。
言葉を考えて相手のひらがなカードを削る「hsb」や格ゲー+スピードの「テーブルファイター」
その他、筆者が気になったカードゲームとして、locogameが展示・販売していたひらがなサバイバルバトルゲーム「hsb」や、TERIYAKI GAMESが展示・販売していた「テーブルファイター」を紹介する。
「hsb」は、カードに書かれているお題にあった言葉を考え、相手の手札からその言葉の頭文字のカードを捨てさせていき、最終的にカードがなくなったら負けというゲームだ。ターン制ではなく、早い者勝ちでどんどん言葉を言っていけばいいので、瞬発力も要求される。
「テーブルファイター」は、ストリートファイターなどの格闘ゲームのコマンド入力と、トランプの「スピード」を合体させたようなゲームで、コマンド通りに十字カードを重ねて、最後にパンチやキックなどの技カードを出すことで、その技が発動し、相手にダメージを与えられるというゲームだ。相手のコマンド入力の途中でガードカードを置くことで、相手の技をキャンセルできるのも面白い。慣れてくればかなりスピード感あふれる戦いが繰り広げられそうだ。
また、京大ボドゲ製作所は、新作の「ユーリカ・モーメント」や既発売の四則演算を使った対戦ゲーム「TEN」、遊びながら英単語を覚えられる「キオクコネクト」、他プレイヤーの行動や毎ターンのイベントから市場の値動きを予想し、株を売り買いして資産を増やす「株トレ」を出展・販売していた。
「ユーリカ・モーメント」は、原始的な世界から科学と社会を発展させて未来の文明を築く、「シヴィライゼーション」のようなテーマのエンジンビルド型・拡大再生産カードゲームであり、なかなか遊び応えがありそうだ。
タイパ重視の若者向けに短時間で遊べる「百人一首」「花札」「麻雀」が登場!
タイパ至上主義は、その名の通り、タイパ重視の風潮にあったボードゲーム3種類を出展・販売しており、注目が集まっていた。
タイパ市場主義シリーズの第1弾が、2024年に発売された「タイパ市場主義麻雀」であり、基本的なルールは麻雀に近いが、牌が全部で36枚しかなく(本来の麻雀は136枚)、6枚の牌で3枚一組を2つ作るだけであがれるので、あっという間に決着がつく。役もシンプルなので、すぐ覚えられる。「ポン」とか「チー」とか「ロン」とか言ってみたいが、麻雀は難しそうと敬遠していた人にもおすすめだ。
新作は百人一首の競技かるたをモチーフにした「タイパ市場主義百人一首」と花札の「こいこい」をモチーフにした「タイパ市場主義花札」の2つで、どちらも元となったゲームの面白さを損なうことなく、枚数やルールを簡略化することで、誰にでも短時間で気軽に遊べるゲームへと昇華させていた。
色つき透明シートを重ねてお題と同じ色の配置を作る「かさねイロ」
アナログゲームのヒットメーカーであるGEO GAMESは、新作パズルゲーム「かさねイロ」を出展・販売しており、ブースには多くの人が集まっていた。
「かさねイロ」は、6枚のタイルを使って、お題カードと同じ色の配置(3×3)を相手よりも早く完成させるパズルゲームだ。タイルは長方形で色が付いた透明シートが2カ所に貼られており、タイルを重ねることで、透明シートの色が変わって見えることがポイントだ。
例えば、黄色と青色が重なると緑色に見える。この色の変化を利用して、お題カードと同じ色の配置を作ればいいのだ。ルールはシンプルで、タイルも綺麗だが、慣れないとなかなか難しい。複数人での対戦も面白いが、1人で取り組んでも、お題を完成させると達成感がある。
気軽に出展できるチャック横町
ゲームマーケットでは、綺麗なパッケージに入ったカードゲームやボードゲームを出展・販売しているブースが多いが、パッケージの制作にはかなりコストがかかる。そこで毎回、箱に入れずに透明チャック袋に入れて販売するゲーム専用コーナー「チャック横町」というコーナーが用意されている。
「チャック横町」は、出展料も安く設定されているので、個人制作のゲームなども出展しやすい。筆者は遊びながら拡張子を覚えられる「拡張子かるた」が気に入った。「拡張子かるた」を開発したのは、ありえんジニ屋で、やはりエンジニアの集団だという。
ダイスや砂時計などのサプライ品の販売に行列
「ゲームマーケット2025春」では、ダイスや砂時計など、アナログゲームでよく使われるサプライ品を販売しているブースもいくつかあり、購入希望者の行列が絶えない人気ブースもあった。
ダイスやカウンターはTCGでもよく使われており、デザイン性に優れたダイスを買い求める参加者が多かった。また、自分で作っているアナログゲームに使うために、ダイスなどを買っている人もいるようだ。
子ども達に人気の「ビッグゲームパーク」や「こどもゲームコーナー」
特設ブースとして、お馴染みのゲームを巨大化した「ビッグゲームパーク」や、子ども向けの「こどもゲームコーナー」が用意されており、子ども達に人気を集めていた。
また、会場内に散りばめられた謎やパズルを解いていく体感型のドラマチック謎解きゲーム「狂気の山脈より生還した謎の男」も実施されていた。参加費は1,000円(中学生以下は500円)で、所要時間は1時間程度という比較的軽めの謎解きゲームだが、会場のあちらこちらで謎解きに興じる参加者の姿が見られた。
アナログゲームに興味がある人におすすめのイベント「ゲームマーケット」
ゲームマーケットは、今後のアナログゲームのトレンドを占う上で重要な役割を果たすイベントであり、ゲームマーケットで初披露されたサークル制作ゲームが大ヒットして、ショップなどでも販売されるようになった例も少なくない。
荒削りだがキラリと光るゲームがそこかしこに埋もれている、そんなイベントである。アナログゲームに興味があるなら、是非一度ゲームマーケットに参加してみてはいかがだろうか。
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