インタビュー
Cerevo「S.E.E.S.制式召喚器」開発者インタビュー
ゲーム「ペルソナ3 リロード」の世界を現実化するこだわりに満ちたアイテム
2025年6月25日 12:00
- 【S.E.E.S.制式召喚器】
- 6月1日発売
- 価格:110,000円
- 全長:約205mm
- 重さ:約420g(カートリッジ含む)
Cerevoが6月に発売した「S.E.E.S.制式召喚器」は、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Windows用RPG「ペルソナ3 リロード」に登場する同名のアイテムを実物大で立体化した製品だ。価格は110,000円。
「ペルソナ3 リロード」は「影時間」に現れる謎の怪物「シャドウ」と戦うS.E.E.S.(特別課外活動部)の活躍を描く。主人公達S.E.E.S.のメンバーは"召喚器"によって、「ペルソナ(自分の中に眠る『もうひとりの自分』が『伝来の神や悪魔』の姿となって出現したもの)」を召喚し、シャドウと戦うのだ。
召喚器は銃の形をしており、ペルソナを召喚する際、自分に召喚器の銃口を向け、引き金を引くというショッキングなアクションも本作の世界観にマッチしており、召喚器はゲーム内で特に印象的なアイテムとなっている。
「S.E.E.S.制式召喚器」はゲーム内の召喚器を立体化、金属風の重量感のある外見に加え、ゲーム内のBGMが流れる中、引き金を引くことで各キャラクターのペルソナを召喚する台詞が楽しめる。さらに「ペルソナ3 リロード」で追加された必殺技「テウルギア」も劇中同様カートリッジの交換で再現している。
その上に劇中にも登場した召喚器を収めるアタッシュケース、召喚器ホルダー、S.E.E.S.の腕章なども各種同梱され、まさに「ペルソナ3 リロード」の世界に没入できるアイテムとなっている。今回は本製品の生産を担当した椚座淳介氏と、ソフトウェア担当の吉野光氏、ハードウェア担当の吉野郁弥氏に製品へ込めたこだわりを聞くことができた。
「ペルソナ3 リロード」の世界観を実感できる「S.E.E.S.制式召喚器」
――まず最初に、Cerevoさんが「S.E.E.S.制式召喚器」を手掛ける様になった経緯をお聞かせください。
椚座氏:アトラスさん側から、「ペルソナ3 リロード」に登場する「S.E.E.S.制式召喚器」をリアルな形で立体化してくれないか? という提案があったんです。それでアトラスさん監修の元、Cerevoによる「S.E.E.S.制式召喚器」の開発がスタートしました。
当社は「PSYCHO-PASS サイコパス」の「DOMINATOR(ドミネーター)」や、「ソードアート・オンライン」の「エリュシデータ」などを手掛けており、こういった実績を評価いただけたようです。アトラスさんと話し合い、実現可能なポイントを探っていき、こうして商品化をしました。
――金属の塊のような、実銃風の雰囲気のあるアイテムですね。ただ持ってみると見た目よりちょっと軽めですね。樹脂でメインフレームを製作し、部分的に金属パーツを使う、という感じでしょうか。
椚座氏:見た目はかなり金属風に仕上げましたが、銃刀法の兼ね合いもあり基本は樹脂製です。外装の大部分は強度に優れたABS樹脂を使用しています。トリガーや、ボルト、グリップの金の枠などに金属パーツを使用し、手の触れる部分で金属を感じさせるようにしています。さらに抜き出したカートリッジは金属製になっており、ずしりとした重みを感じさせます。可能な限り金属で部品を構成して、実銃に近い重量感を再現して欲しいというのがアトラスさんからのリクエストでした。
塗装の光沢、金属感もこだわったところで、例えばエアソフトガンやモデルガンを持ったことのない人には、一見全部金属のように感じさせる質感と適度な重みを持っていると思います。ゲームの中の召喚器がそのまま手の中にある、という充実感を感じさせる製品になったと思っています。
――現実に使われている銃に比べると、「S.E.E.S.制式召喚器」はナンバリングや刻印などは少なく、架空の存在であるという感じがしっかり伝わります。実銃のような存在感を持ちながら、「ペルソナ3 リロード」のアイテムであるという、いい落とし所のデザインだと感じます。
椚座氏:デザインや刻印はアトラスさんの監修を受けた上で、「ゲーム内で主人公達が使う召喚器」であることを表現しています。設定画や資料では実際の立体物として足りないところがあったり、実銃やモデルガンを参考にして、アレンジを加えた部分などもあります。S.E.E.S.(特別課外活動部)の刻印も、このアイテムではどう見えるか、など細かい調整をしています。
形状、デザインの設定やゲーム内で使われているCGデータなどはアトラスさんからいただいていますが、実際にどう立体化するか。形状や使う素材、金型での生産のためのアレンジ、盛り込むギミックなどはCerevoで細かく仕様を詰めています。これまでの製品開発のノウハウを活かしての立体化になります。
――外観部分での椚座さんのお気に入りの部分はどこでしょうか?
椚座氏:全体的なバランス、そして見た目では樹脂ではなく金属に見える質感と塗装です。光沢、冷たさ……。見たときに"玩具"ではなく、ゲーム内のアイテムが現実化し、拳銃のような外観を持った「S.E.E.S.制式召喚器」にきちんと見える。その質感を実現できたんじゃないかと思っています。
この製品の仕様を決めて行くにあたり、実銃、モデルガンなどを参考にしています。実際の銃の機構や仕組みも勉強し、召喚器は「ペルソナを召喚する」という、銃とは異なる役割を持つ機械ですが、拳銃の形をしているので、実銃が持つリアリティ、といった要素も盛り込みました。
銃の研究の上で「S.E.E.S.制式召喚器」に込めたこだわりがグリップ部分の"チェッカリング"です。銃は撃った反動で手から抜け落ちないようにグリップにチェッカリングと呼ばれる滑り止めの彫刻が入っています。実銃同様の指や手のひらに食い込む"トゲ"になるよう特殊な型を作って成型しています。
――カートリッジ中央の色も非常にいい色ですね。
椚座氏:「S.E.E.S.制式召喚器」ではカートリッジを装填して、自分に向けて引き金を引くことで"もう1人の自分"、ペルソナを召喚します。製品では劇中さながらの独特の美しい緑の色がスリットから見えている。この色は様々な候補から選びました。イギリスの樹脂メーカーがこの色の樹脂を作っていたので、そこから取り寄せています。
ギミックで詳しく紹介しますが、「S.E.E.S.制式召喚器」はもう1つのカートリッジに交換することで必殺技「テウルギア」を発動できます。こちらのカートリッジに使った赤い樹脂も同じメーカーから取り寄せています。
「S.E.E.S.制式召喚器」はカートリッジを入れ替えることで緑と赤2色に発光するんですが、実際の発光はこの樹脂とは関係なく、LEDによるものですが、この独特の色が召喚器に特別な雰囲気を出せたと思います。「どうしてもこの色がいい」という色を選んでから世界中をあたって探し出した素材なんです。
――カートリッジと銃の接続口が電気的な端子になっているのが面白いです。
椚座氏:これはカートリッジを召喚器に認識させる役割と給電口の役割をしています。本製品はカートリッジ底部からUSB Type-Cで充電することができるので、充電はカートリッジをさした状態で行い、バッテリーは召喚器内部にあります。この接続口は実用的なデザインなのですが、雰囲気のある感じになりました。
――グリップの背面部分にも仕掛けがありますね?
吉野郁弥氏:これがスイッチになります。これを3秒くらい長押しすることで、「S.E.E.S.制式召喚器」のスイッチが入ります。
音と振動、光の演出にこだわった「S.E.E.S.制式召喚器」のギミック
――ではここからギミックの話をしていきたいと思います。通常モードでは「S.E.E.S.制式召喚器」はペルソナを召喚するアクションができるのですね。
椚座氏:通常モードではLEDは緑に光ります。グリップの右上部分にモードスイッチがあり、操作しなくてもBGMと音声がランダム再生される「デモモード」。引き金を引くたびキャラクターの音声とBGMがランダムに出る「ランダムモード」、そして召喚器としてのギミックが楽しめる「召喚器モード」があります。
吉野光氏:「召喚器モード」ではトリガーを引きながら電源ボタンを長押しすることで「設定モード」に移行できます。ここで設定することで主人公を加えた10人のキャラクター、そして5種類のBGMが設定できます。ゲーム内の雰囲気や、実際に召喚器を手にした雰囲気を味わっていただくことができると思います。
――引き金は半分くらい引くと「カチッ」と言う音が鳴って、その後さらに深く引くとペルソナ召喚のボイス、そして振動がありますね。
吉野光氏:半分で引いた状態で鳴る音は主人公が召喚器をこめかみに当てる際の効果音です。そこからペルソナを召喚し攻撃するというのがゲーム内のアクションです。キャラクターは召喚器の銃口にあたる部分を自分に向け引き金を引いてペルソナを召喚する。「S.E.E.S.制式召喚器」はその雰囲気を実感できます。
――ペルソナを召喚したときに、銃全体が震えて、いかにも何かが体の中から現れたような、臨場感のある震えと、振動音がしますね。
吉野郁弥氏:気持ちのいい震え方を目指して、調整を重ねました。スマートトイとしての面白さを感じてもらえると思います。
吉野光氏:引き金を引くアクションは実は2種類用意しています。引き金をゆっくり引くと、「カチッ」という音が鳴った後、「ペルソナ召喚」ですが、一気に引き金を引くと準備音が鳴らずに直接ペルソナ召喚アクションになります。ここはアトラスさんから意見をいただいたこだわりポイントです。結構タイミングがシビアだったんですが、プログラムとして頑張った部分です。
――BGMをならしているときに引き金を引き各キャラクターのボイスや演出が出てもBGMは途切れず、ボイスが出てるときはBGMが小さくなりますね。
椚座氏:BGMとボイスのバランスや、アクションとの連動は「S.E.E.S.制式召喚器」でもかなり力を入れたところです。BGMが切り替わるときのフェードアウトなど、内部にフェーダーを入れていて自然な演出になるようにしています。
――次が「ペルソナ3 リロード」での新要素「テウルギア」ですね。
吉野光氏:赤いカートリッジを挿し込むことでテウルギアモードになります。ゲームと同様にテウルギアゲージがチャージされた状態でグリップを握るとボルトが後退し、ボルトと排莢口部分が赤く光ります。その後、引き金を引くことで、選択したキャラクターの必殺技・テウルギアが発動するボイスと効果音が鳴り響き、召喚器自体も振動します。
――一度テウルギアを発動させるとしばらく赤い光が弱くなり、待機状態になった後、自然にボルトが後退し、赤い光が輝き始めますね。準備ができると「よし!」など、キャラクターボイスが入り、テウルギア準備状態になりますね。
吉野光氏:テウルギア発動の準備状態にするには、銃のようにスライドを引くのではなく、しばらくするとグリップLEDが強く光るので、その後グリップを握るとボルトが後退し、準備を完了させます。テウルギアは戦闘中たまったゲージを消費して発動する技なので、時間がたつと準備完了になるようにしています。ゲームと同じくテウルギアは連射できないようになっています。
吉野郁弥氏:グリップのLEDの周りの金属部分は飾りではなくセンサーになっていて、ユーザーが握ってることを検知しています。
――ハードウェア担当者としてのこだわったところを教えてください。
吉野郁弥氏:S.E.E.S.制式召喚器というのは現実には存在しない、架空の存在ですが、「もし存在したら?」という想いを突き詰め、現実感がある存在にするか、そして「ゲーム世界を感じさせるものにするか」というバランスを考えました。「本来触れることができない架空の存在に触れられる」という気持ちを大事に設計しました。
外観だけでなく、"震える"というのは銃には全くないアクションでこの振動が「ペルソナを召喚し、戦っている」という雰囲気を感じてもらえるように力を入れました。「召喚のデバイスだとしたら、どんな感触がするんだろう」というのを振動で表現しました。こちらで演出を考え、アトラスさんに見ていただいて調整を進めました。
テウルギアモードでのボルトが後退し準備完了になるのも、銃のブローバックとは全く異なる演出です。召喚器らしい見せ方を考えています。
――ハードウェアの設計として電源ボタンをグリップの背面にするのは面白いアイディアですね。
吉野郁弥氏:目につきやすく、デザインとしても一見電源ボタンとしてわからないデザインとしてこの設計になりました。作動時に数秒間長押しするのも「S.E.E.S.制式召喚器」で遊んでいるとき、簡単に電源OFFにならない様にするためです。遊んでいて意図せず電源が切れたり、モードが変わるのは萎えてしまいますから、遊びやすさも考えて設計しました。
電源を入れたり、切ったりするときは、召喚器を握っている手を離して操作しなくてはならない。電源を操作するときは遊んでいるときとは違う操作にしました。召喚器を握ってるとき、電源が操作されないように接触面の配置も調整しています。
――スピーカーにもかなりこだわっているということですが。
椚座氏:高品質なスピーカーユニットを内蔵しています。しかもこういった製品には珍しいんですが、ステレオスピーカーです。BGMとの関係もそうですが音にもかなりこだわっています。クリアに聞こえるBGMと各キャラクターの台詞を楽しんでほしいです。
――ぱっと見どこにスピーカーの穴が空いているのかわからないですね。
椚座氏:一見わからないところに仕掛けています。使った方はきちんとしたステレオで音が聞こえるところに注目してほしいです。
――音と演出という所では、ソフトウェアの調整は難しかったと思います。
吉野光氏:「S.E.E.S.制式召喚器」は、そのまま放置していてもランダムでBGMと台詞が流れる「デモモード」、ランダムにBGMや音声が再生される「ランダムモード」、そして「召喚器モード」と3種類あり、カートリッジを挿し替えることで「通常モード」と「テウルギアモード」に切り替わります。これらの多彩なモードに加えて、実際のアクションと連動して音を鳴らすというのは大変でした。
吉野郁弥氏:この製品は特に"組み合わせ"が多かったんです。引き金を引くと台詞が出る。テウルギアの準備が可能になると音が鳴るなど、これに複数のモードですからね。これらを実装した上でバグや誤動作が起きないようにテストする、というのは、開発で苦労したポイントです。特に演出は物理的な動きと音と光の制御、タイミング、それらがきちんと自然に見えるように雰囲気を重視しました。
――ソフトウェア担当者として特にお気に入りのポイントはありますか?
吉野光氏:テウルギアが準備段階になるときに、銃の中心から後ろに向かって光が増していく、という演出もアトラスさんと話して決めました。LEDが一気に全部光るのではなく、ボルトの前方から後ろに向かって光が満ちていく、エネルギーが充填されるような演出にしています。ここが私のお気に入りのポイントです。
もう一つ、振動と演出の場合、通常モードの場合は引き金を引いてペルソナが召喚されるタイミングで振動するのですが、「テウルギア」の場合、効果音にあわせて振動します。こちらはゲーム内のカットシーンをそのまま想起できるような演出になっています。爆発シーンは大きく、剣で数度切りつけるようなときは切れのいい振動を、といったように場面を感じさせる震え方をしています。
椚座氏:最近はゲームのコントローラにも使われていますが、視覚以外で情報をユーザーに伝える技術を「ハプティクス技術」といいます。音や振動で体験を伝えるハプティクスはCerevoの得意とするところで、「S.E.E.S.制式召喚器」はこれまでの弊社のノウハウが活かされています。
このハプティクス技術に必要だったのが「高音質の音」で、だからこそスピーカーや出力音声には力を入れました。この豪華な音声と振動ユニットがあるからこそ、臨場感のある体験が可能になっています。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
椚座氏:感動するくらい見事な製品になりました。ぜひ手に取ってください。
吉野光氏:演出にこだわり、ゲームをプレイした人はもちろん、これをきっかけにゲームをプレイしていただいても感心していただけるものになりました。手にしていただければ幸いです。
吉野郁弥氏:ファンの方が待ちに待った、夢が叶った実物大召喚器です。是非手に取って、楽しんでください。
「ペルソナ3 リロード」において、召喚器は非常に印象的なアイテムだ。ペルソナは"もう1人の自分"であり、ペルソナ使い達は自分に銃のように見える召喚器の銃口を自分に向け、引き金を引くことで自分の中からペルソナを召喚する。この印象的な召喚方法は、本作を象徴するシーンと言える。
ゲームをプレイした人はこの召喚のアクションをやってみたくなる。「S.E.E.S.制式召喚器」はその想いを完全に実現してくれる夢のアイテムだ。質感はもちろん、動作、そしてサウンドに強いこだわりがある。Cerevoの"本気"をしっかり感じさせるアイテムだ。
ゲームと現実をつなぐこの独特の面白さは製品を手にすることで強く感じた。今回話を聞くことで、さらに製品の魅力が大きくなった。興味を持った人は、ぜひ手にしてほしいと思う。
(C)ATLUS. (C)SEGA.































![マックスファクトリー[Max Factory] figma 強殖装甲ガイバー ガイバーギガンティック ノンスケール プラスチック製 塗装済み可動フィギュア 製品画像:5位](https://m.media-amazon.com/images/I/41f4NDcn99L._SL160_.jpg)
































![ゴッドハンド(GodHand) 神ヤス! 10mm厚 3種類セットB [#600/#800/#1000] GH-KS10-A3B 製品画像:8位](https://m.media-amazon.com/images/I/41SoT5eE7fL._SL160_.jpg)

