ニュース

「龍が如く」の桐生一馬の“実写化”、イラストレーターの作風を活かしたフィギュア表現、コトブキヤの新たな挑戦【#メガホビEXPO】

【メガホビEXPO2024 Past to the Future】

日時:9月28日11時~18時(17時45分 最終入場)

会場:AKIBA_SQUARE、ベルサール秋葉原

入場料:無料

 メガホビEXPO2024では様々なコトブキヤのフィギュアが出展されているが、本稿では、コトブキヤの“挑戦”として「桐生一馬」と2つの「イラストレーター作品フィギュア」を取り上げたい。

 「桐生一馬」はセガの「龍が如く」シリーズを代表するキャラクターだ。これまでいくつかの立体化商品もあるが、コトブキヤとしてはどのような取り組みをしているか? また「イラストレーター作品のフィギュア化」はフィギュア業界として人気の手法だが、コトブキヤでは今回が初挑戦となるという。広報担当者にそれぞれに込めた想いを聞くことができたので、紹介していきたい。

桐生一馬が実在していたら? 素材感とポーズにこだわったフィギュア

 コトブキヤの「桐生一馬」は1/6スケール。発売日、価格は未定。コトブキヤのフィギュアは1/7の商品が多い。1/6スケールは他の商品と比べ大きく、表現もディテールを強める方向だ。本フィギュアは独特の迫力がある。歯を食いしばりボディをえぐるように突き出された拳は、凄まじい威力を感じさせる。

ボディへの激しい打撃を込めたような激しい動き
桐生一馬が実際にいたら? というアプローチのリアルよりなフィギュアになるという

 桐生一馬はセガの「龍が如く」の看板と言えるキャラクターだ。ゲームでもリアルなCGで表現されているが、コトブキヤは1/6スケールだからこそのこだわりの造型でこのキャラクターに挑戦するという。アプローチとしてはアニメよりではなく、実写の、“実在の人物をフィギュア化する”という方向性でのフィギュアになるという。

 セガからはCGデータとして資料を提供されているが、ポーズもフィギュア担当者のオリジナル。桐生には“静”と“動”の両方のイメージがあるが、激しい戦いを感じさせる動のフィギュアとなった。広報のお気に入りポイントは“動”を感じさせる演出。シャツのはためきや、服の裾の表現など、固定ポーズのフィギュアだが、しっかりとした動きの演出に注目してもらいたいとのことだ。

 目を近づけて見えてくるのは服の“素材感”だ。現在は無塗装の試作品だが、この時点で上着の布の感じ、裏地の表現、シャツとベルト、ズボンの素材感がしっかり造型で出ている。表面処理できちんと違いを感じさせるリアルな表現は他の商品と比べても力が入っているのがわかる。

広報お気に入りの「動きの表現」。服がはためく演出が良い
ズボン、靴、ベルトなど造型の時点で素材の違いがきちんと伝わる

 これは本フィギュアが「桐生一馬が実在していたらどんな姿になるか」が大きなテーマになっているからだという。他のフィギュアでももちろん「この服は何の素材でできているか」、「布の剛性と動きでどう変形するか」といったことを考え造型するが、本フィギュアはそこをさらに突きつめていると感じた。試作品の表面処理から明確に布の違いが出ており、「実在の人物の雰囲気」にこだわっているのがわかった。彩色なども注目したい。

繊細なイラストの“味”をしっかり表現するコトブキヤのフィギュア技術

 そして昨今のコトブキヤの新たな挑戦が「イラストレーターの作品のフィギュア化」だ。「snowdrop by みわべさくら」の試作品展示と、「早乙女 志乃 ナースver. by 千種みのり」、「白雪 恋 ナースver. by 千種みのり」のパネル展示が行われていた。

 コトブキヤはこれまでイラストレーターの作品のフィギュア化は積極的には行ってこなかった。今回は新たな挑戦となる。人気のイラストレーターにスポットを当て、フィギュア化していく流れは今後ユーザーの反応を見て強化していきたいとのことだ。

「snowdrop by みわべさくら」、発売日・価格未定
髪の毛の質感、目の表情などイラストレーターの“味”をしっかり再現
こちらが元となったイラスト。繊細なタッチだ

 イラストレーターの作品の繊細な表現をどのように立体化するか、ここにコトブキヤのフィギュア化技術が注がれていく。2Dで描かれたイラストをその味を活かしたままいかに立体化するか? イラストと違う角度でフィギュアを眺めたとき、キャラクターのイメージが変わらないようにするにはどうするか、フィギュアならではの“味”をどのように盛り込むか……。コトブキヤはこれまで、アニメやゲームキャラクター、実写映画のキャラクターなど様々なキャラクターをフィギュア化したノウハウがあり、新しい挑戦としてイラストレーターの作品をモチーフにしていく。

 「snowdrop by みわべさくら」はイラストとしては足から先は設定されていなかったが、フィギュア化にあたり細かい仕様を詰めていったという。複雑なドレープ(ひだ、たるみ)の表現。ラメ塗装がなされており、目線を変えるとキラキラと輝く。ガーターベルトとニーハイソックスの柔らかそうな質感、布をつまんだ指の表現。もちろん繊細な髪の毛の表現や、イラストレーターの筆致を活かした表情表現などにも力が入っている。また、上腕のリングや手に持ったランタンなどの金属表現にも注目だ。

複雑なスカートの造型。ラメが入っておりキラキラと光る
つまんだ指先の表現
ランタンの金属感など、表現に力が入っている

 アニメで動かす前提のアニメキャラクターのフィギュアとはベクトルが異なる、造型と彩色へのこだわり、こういった“幅”を見せられるのはコトブキヤの強みだろう。

 パネル展示の「早乙女 志乃 ナースver. by 千種みのり」、「白雪 恋 ナースver. by 千種みのり」は、9月28日にコトブキヤ公式Xからさらに追加情報もあるとのことで、続報に期待して欲しい

広報お気に入りの「動きの表現」。服がはためく演出が良い
「早乙女 志乃 ナースver. by 千種みのり」、「白雪 恋 ナースver. by 千種みのり」はパネル展示。公式Xで追加情報が出るとのこと
こちらが元となったイラスト。2人の表情や雰囲気が再現されているのがわかる