レビュー

東京マルイ「サイガ-12K」レビュー

東側銃器ファン待望! AKの遺伝子を持つ撃って楽しい新基軸ガスガン

【サイガ-12K】

6月2日 発売

価格:60,280円(税込)

全長:666mm/908mm(ストック展開時)

銃身長:300mm

重量:3,140g(空マガジン含む)

弾丸:6mm BB(0.2~0.25g)

動力源:専用ガス

装弾数:45発

 東京マルイから6月2日に発売されたガスブローバックショットガン「サイガ-12K」は、本物感に溢れ撃つ楽しさとサバイバルゲームの実用性を兼ね備えた新基軸のコンバットショットガンだ。

 「サイガ-12K」は、2021年の発売予定から延期となっていた。本稿では、「サイガ-12K」をお借りして、発売直前の「第61回 静岡ホビーショー」では確認できなかった外観や内部機構を仔細に紹介し、シューティングレンジやサバイバルゲームで実際に使用した感触についてもお届けする。

【東京マルイ「サイガ-12K」レビュー】

実銃の「サイガ-12K」とこれまでの東京マルイ製ショットガンの歴史を振り返る

コンパクトな12ゲージショットガンの「サイガ-12K」

 実銃の「サイガ-12」は、冷戦終結とソ連崩壊で混乱期の1990年代ロシアで、イズマッシュ社が「AK(カラシニコフ自動小銃)」を元に開発した民間向けの猟銃「サイガ」を12ゲージ口径(18.5mm)化したショットガンだ。「サイガ-12」を法執行機関向けに短銃身(17インチ=431.8mm)化し、サイドスイング式ストックと安全機構を持たせたバリエーションが今回再現された「サイガ-12K」となる。

 「サイガ-12」は、部品を宙に浮いた様に組み合わせたAKの信頼性の高い機構を踏襲。それまで作動に難が多かった12ゲージショットガン用の樹脂製ボックスマガジンの確実な作動を実現させていて、民間向け猟銃でありながら、軍用銃並みに堅牢で信頼性が高い。

 「サイガ-12K」は、「サイガ-12」にサイドスイング式ストックやサイドマウントなどAKの流れを組む構成と合わせ、軍用のコンバットショットガンかと見紛う無骨な雰囲気を漂わせている。従来のショットガンとは一線を画した外観から、バトルロイヤル「PUBG:BATTLEGROUNDS」などゲームを中心にフィクション作品でも登場することが多い人気のショットガンとなっている。

「サイガ-12K」は「PUBG:BATTLEGROUNDS」などゲームでもお馴染み

 そんな「サイガ-12K」を初めてガスブローバックショットガン化した東京マルイは、これまで「エアコッキング式」、「ガス式」、「電動式」でショットガンのエアソフトガンを多数発売してきた。

筆者の東京マルイショットガンコレクションとの比較。上からエアコッキング式「スパス-12」、ガス式「M870タクティカル」、電動式「AA-12」、ガスブローバックショットガン「サイガ-12K」

 永らく、1銃身からBB弾を数発撃ち出すロマン銃か、ショットガンの形をした単発銃が主流だったエアソフトガン界だが、1998年に東京マルイがリアルなシェル型マガジンと3銃身独立ホップ、3シリンダーによる3発同時発射という実用性の高い「スパス12」を投入。幅広く普及させた。

 エアソフトガン界に実用的ショットガンという概念を構築した東京マルイは、2013年に同じシェル型マガジンを使用するガス式ポンプアクションの「M870」、そして2016年には電動オートショットガン「AA-12」を発売し、進化・発展させてきた。特に「AA-12」の連射による制圧性は強力で電動ガンのフルオート射撃に勝るとも劣らない性能に仕上がっており、セミオート戦では使用禁止というフィールドもある究極のショットガンと言える。

 そして東京マルイがショットガンの新基軸として起ち上げたのが、ガスブローバックショットガンであり、その第1弾が今回紹介する「サイガ-12K」ということになる。次項では遂に発売された東京マルイのガスブローバックショットガン「サイガ-12K」を仔細に見ていく。

金属パーツを多用し頑丈で本物感溢れる外観!

シンプルなロゴで一見してエアソフトガンと解らない外箱
ローダーやキャップなどの付属品。銃の作動の前に必ず説明書を熟読しよう

 セミグロスブラックの存在感ある外箱を開梱すると、黒い布の上に、マットブラックの「サイガ-12K」が収められている。ようやく製品版との対面となった「サイガ-12K」は、一見してボックスマガジンを使用する12ゲージ口径のショットガンと思えない短めの全長で、かつスリムな印象の外観だ。

 法執行機関向けのショットガンならではの太短い銃身とハンドガード、ブリッジ式のサイトは、ゼミグロスの金属パーツとマットな樹脂の組み合わせで高級感が溢れている。

12ゲージショットガンながらコンパクトで秘匿性が高い

 ボックスマガジンの微妙なアールの再現度も高い。そして「サイガ-12K」の外観の特徴である独特のセレクターとレシーバー、サイドスイング式ストックは、既発のガスブローバックマシンガン「AKM」同様に、ロシア製AKらしさを再現している。

 また、成型されたロアレシーバーとプレス式のレシーバーカバー、ボルト、ボルトカバーなど、金属製でありながらも表面処理を微妙に変え、素材の違いが表現されている。特にレシーバーカバーのロック機構は、ガスブローバックの強烈なリコイルを抑える実用性も兼ね備えている。

レシーバーカバーはロックボタンがありブローバックの衝撃でのズレを抑える
ソ連時代には世界随一の技術力を誇った伝統のプレスレシーバーをキリル文字による「Сайга(サイガ) 12K」の刻印含め再現

 ガス式ならではリアルサイズのグリップは、細く握り易く、サバイバルゲームでの移動と射撃の繰り返しで重さを感じさせない。

モーターが収納される電動ガンに比べるとスリムなリアルサイズグリップ

 また、樹脂製ストックもグラつきがなく、AKファミリーらしい堅牢さを感じる。折り畳み、展開も自在に行なえる。

近代化改修されたAKを想わせるサイドスイング式ストック
ロックボタン、オイラートラップドアも再現されている

 「サイガ-12K」を実際手にすると、見た目のイメージ以上にコンパクトで、12ゲージショットガンとは思えない程良いバランスで重みを感じさせない。長時間動き回っても苦にならず身体にしっくり馴染む製品となっている。

筆者のコレクション次世代電動ガン「AK102」との比較。非常にコンパクトだ
見比べるとレシーバーなど意匠を受け継ぎつつも別物であることが解る。ガスブローバックマシンガンAKMとも共通の部品は全く無い

 ここからは、内部機構を見ながら実際にガスを注入しBB弾を撃っていく。