レビュー
東京マルイ「サイガ-12K」レビュー
2023年6月27日 00:00
驚異の反動と連射性、実用性溢れる弾道のコンバットショットガン爆誕
新基軸の「サイガ-12K」のマガジンは、快調に作動させるために樹脂製ケースとアルミガスタンクを備えた内部をワンタッチで分割できるようになっている。分割によって内部の大容量アルミガスタンクを暖められるのに加え、シール式の温度センサーによって作動に最適になるように管理できるのだ。このシール式温度センサーはありそうで無かったアイデアで、東京マルイらしい確実な作動と実用性へのこだわりを感じる。
ガスとBB弾を装填したら、使用するまでマガジンは暖めておくとより快調な作動が行なえる。筆者が「サイガ-12K」を使用した日は湿気で蒸し暑いが外気温は25度程度だったので、充電式カイロでアルミガスタンクを暖めて使用した。逆に真夏であれば熱くなりすぎない様に注意が必要だ。40度以上になると危険なので、直射日光に当てたりしないようにしたい。
ガスの注入はケースに入れた状態でも可能だが、マガジン内部を出した方が注入バルブが見やすく注入しやすい。ガスを充填し、注入バルブから少し吹き戻しがきたら満タンだ。
「サイガ-12K」は装弾数45発、3発同時発射で15回の射撃が可能。ガス消費量は満タンにして15回射撃しBB弾を撃ち尽くした後、BB弾を再装弾し一旦インターバルをおいて15回の射撃を行なっても若干ガスが残るぐらいとなっている。大きく重いボルトのブローバックと3発同時発射を行なっているとは思えない余裕のある燃費の良さだ。
BB弾は、専用ローダーで15発づつ入れ3回装填する。数え間違った場合には1発、2発での発射も可能だが、発射用ガスのロスによって弾速が大きく下がってしまう。BB弾が不揃いでも同様にロスがあるので、東京マルイ純正0.2~0.25弾が推奨される。
BB弾が残った状態でマガジンを抜き、補弾する場合は一旦ロックを解除してBB弾を抜き、改めて装弾していく方が最後まで均等なパワーを保てるだろう。
また、「サイガ-12K」には「AKM」同様にBB弾を撃ち尽くした時に作動を止めるオートストップシステムが搭載されている。このシステムをオフにするスイッチが「AKM」では本体にあったが、「サイガ-12K」ではマガジンに付いている。マガジン上部にこの機能を解除してカラ撃ちを楽しむためのキャンセルスイッチがあるので、装填前に確認しておきたい。
ガスを充填し、BB弾を籠めたらマガジンを給弾口に装填する。「サイガ-12K」のマガジン装填口にもAKシリーズでお馴染みの角度がついているので、前部のツメを確実に引っかける。大口径のガスルート、マガジンガスケットを密着させるために最後まで確実に装填し、マガジンキャッチのレバーがロックするのを確認しよう。前部のツメを支点にしてテコの原理を効かせると上手くいく。
マガジンを装填したらセレクターを発射位置に押し下げ、ボルトハンドルをストローク一杯に引いて“パッ”と放して戻し、チャンバーが確実に閉鎖するのを確認しよう。手で戻したり、勢いが付いていないために半閉鎖状態になってしまったらマガジンを抜いてボルトを再度操作してやる必要がある。
既に触れた通り、これまで東京マルイのショットガンは3発のBB弾を同時に3つのチャンバーに装弾するという難しいギミックを、エアコッキング、ガス、電動で実現してきた。デカ広報こと島村氏によれば「これまでの手動やモーターと違い、気化したガスの圧力でボルトを前後させる必要がある「サイガ-12K」ではより困難だった」とのこと。
東京マルイでは「サイガ-12K」の製品化にともなって、シリンダーと独立させたチャンバーノズルを60以上もの試作を重ね、ガスブローバックでの3発同時給弾を実現させている。今回お借りした製品版で数百発の発射を行なったが、作動不良は一度もなくBB弾が発射され続けた。国内向けの比較的低圧なガスによるブローバックで、当然の様に作動し続けたことには驚かされたし、改めて東京マルイの技術力を感じた。
ノズルによってチャンバーに綺麗に送り込まれた3発のBB弾は、固定式ホップの付いたチャンバーパッキンで一旦保持される。チャンバーパッキン後端はある程度タイトなので、ガスブローバックマシンガン「AKM」の様にチャンバーのBB弾を下向きに落としてチャンバーをクリアにすることはできないので注意しよう。
なお、マガジンを装填すると、1発だけマガジン給弾リップとチャンバーの間にフリーになるので、マガジンを抜くと落下する。
チャンバーの閉鎖を確認したら、あとはターゲットに銃口を向けトリガーを引けば激しいリコイルと共にBB弾が3発同時に飛んでいく。
マガジンを30度以上に暖めて0.2gBB弾を使用した場合の初速は73.15m/sで0.53Jほど。ガスブローバックのショットガンながら、サバイバルゲームでも実用充分なパワーが出ている。
初めてのガスブローバックショットガンである「サイガ-12K」撃った感覚として、まず大口径シリンダーによる反動の大きさに驚く。ガスブローバックマシンガン「AKM」では、AKならではの軽快な作動感により、シリンダーが後ろに向かって蹴り飛ばされる様なリコイルが肩に伝わってきた。
今回の「サイガ-12K」もAKを踏襲した部品構成による作動感はあるが、12ゲージ用に大型化したシリンダーブロックを、大口径化したピストンで強力に動かしている。それにより、金属の固まりが激しく肩に突進してくる様な強烈な感覚を味わえる。
そして後退するボルトと反比例する様に、前方に向かって3銃身の銃口からフラットに3発のBB弾が飛んでいく。シューティングレンジで撃ってみると、30m程までは固定ホップで3発がまとまってフラットに直進し、そこから3方へ散って50mを超える飛距離を見せる。
サバイバルゲームの交戦距離である30m前後までの精密な狙撃性がありつつ、それ以上の遠距離に対して制圧性を兼ね備えた実射性能が感じられた。「サイガ-12K」は猟銃らしい実用的狙撃性と、ショットガンらしい弾幕効果を再現していると言えるだろう。
続けてトリガーを引くと、連射してもリコイルもBB弾の弾道も衰えず、15×3で45発を撃ちきれる。そして、オートストップシステムをオンにしたまま最終弾を撃ちきると、ガスブローバックマシンガン「AKM」でも再現された、AKならではのハンマーダウンとなる。これはBB弾が無くなったことを教える実用性を持ちつつ、リアルな作動で、カラシニコフのファンには嬉しいギミックだ。
全弾撃ち終えたら、マガジンを抜いてチャンバーの残弾を確認し、セイフティをかければ操作は終了だ。この日は、撃ち終わってマガジン内部を抜き出して確認すると25度を保っていた。ここで再度30度まで暖めてBB弾を装弾したところ、もう1マガジン分を余裕をもって撃ち尽くせた。
実射性能が解ったところで、ガスブローバックショットガン「サイガ-12K」を千葉県印西市の「東京サバゲパーク」の定例会に持ち込んで使ってみた。この日は「サイガ-12K」発売後ということで、同じく「サイガ-12K」を使っているゲーマーの姿も複数見受けられた。
フルオート戦、セミオート戦問わず「サイガ-12K」を使ってみて、改めて確実な作動と実射性能が感じられた。連射しても確実に作動する安心感があり、ダブルタップでの狙撃はもちろん、複数の相手に連射して牽制征圧をかけたりと、ガスブローバックショットガンならではの闘い方が楽しめた。
また、ショットガンらしいノーマルのサイトも充分実用的だが、射線がまとまる30m前後までは、サイドマウントにダットサイトやスコープを載せての3発同時発射による狙撃も可能だろう。
撃って反動を感じるだけでも楽しいが、サバイバルゲームで使うと、コンバットショットガンとしてのポテンシャルが発揮され、今までにないプレイが堪能できた。
ガスブローバックショットガン「サイガ-12K」が切り拓く新たなプレイスタイル
AKシリーズや旧東側銃器ファンが、発表になった時から待ち望んでいたのがガスブローバックショットガン「サイガ-12K」だ。延期が重なっての待望久しい登場となったが、待った甲斐のある満足度の高い製品だった。
まず、なんと言っても“よくぞ「サイガ-12K」をモデル化してくれた”という想いが強い。その上で、本物感溢れる外観と操作性、細部にこだわった“リアルさ”を味わえる点が素晴らしい。何よりも、本製品はガスブローバックショットガンという新しく難しいジャンルの製品を確実に作動させるために、温度センサーを備えた分割可能なマガジンや3発同時発射を実現させた内部機構、実用性が高い実戦向けの射撃性能を合わせ持っている。総合して完成度が高く、流石東京マルイ製品だと唸らされた。
カラシニコフや東側銃器、各種ゲームで好きになった「サイガ-12K」のファンは当然買いの一挺だ。加えて、アクション映画シリーズ「ジョン・ウィック」でキアヌ・リーブスさんが見せた、オートコンバットショットガンならではの激しい闘い方に見せられたユーザーにも、機種の違いはあれどあのアクションを再現出来るポテンシャルを持った製品としてオススメしたい。
これまでになかった、3発同時発射のガスブローバックショットガンによる新たなプレイスタイルを開拓してほしい。