レビュー

「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダーファイズ」レビュー

最新技術で細部まで作り込まれたファイズの新たなアクションフィギュア

【S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダーファイズ】

8月26日発売

価格:8,800円

全高:約145mm

材質:ABS、PVC

 今年放映から20周年を迎えた「仮面ライダー555」の主役である「仮面ライダーファイズ」のアクションフィギュアがBANDAI SPIRITSより、8月26日より発売となった。この「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダーファイズ」は、今年1月の発表で披露された試作品の段階からそのクオリティに注目が集まり、翌2月開催の「S.H.Figuarts 15th GALLERY」では、TAMASHII NATIONS STORE TOKYOには実物が展示され、弊誌でもそのレポートを伝えている。

「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダーファイズ」。8月26日発売。価格は8,800円。一般店頭での発売となった

 情報発表時から話題となり、購入者がSNSでそのクオリティに喜びの声を挙げているのが見られた。今回このアイテムの発売にあたって、BANDAI SPIRITSから製品版のサンプルを借りることができたので、そのレビューをお届けしていきたい。実際に触ってみることで、見た目だけでは気づけないこだわりのポイントがたくさんあったので、そちらも注目してほしい。

誰もがシビれたBANDAI SPIRITS公式の試作写真。ハイクオリティな真骨彫製法版「仮面ライダーファイズ」の発売に、ファンは湧いた

変身ベルト「ファイズギア」で変身する、メカニカルなイメージの仮面ライダーの姿を立体化

 「仮面ライダー555」は、今から20年前の2003年に、いわゆる“平成仮面ライダー”シリーズの第4弾として放映された。夢を持たない主人公の乾巧(いぬいたくみ)が、変身ベルト「ファイズギア」を持つヒロイン園田真理と出会い、そのベルトの力で「仮面ライダーファイズ」へと変身し、異形の怪人「オルフェノク」と戦う物語が展開する。

 その一方で、人間が絶望の後に死を迎えるなどして“覚醒”するオルフェノクや、彼らを中心とした世界を作ろうとする巨大企業「スマートブレイン」の存在など、怪人側のドラマも深く描かれていて、その中心となる「ホースオルフェノク」の木場勇治は、本作のもう1人の主人公ともいえる人物である。

現在プレミアムバンダイ内「魂ウェブ商店」にて受注が行われている、「S.H.Figuarts(真骨彫製法) ホースオルフェノク」。人間のオルフェノクの間で揺れる彼らと、それを取り巻く人々の葛藤が描かれている

 そんな物語のカギとなるファイズギアをはじめとする変身ベルトは、強化スーツのようなツールとして描かれているのも作品の特徴で、適合者であれば誰でも仮面ライダーになれるという設定も、当時の「仮面ライダー」シリーズとしては異色であった。劇中ではファイズギアを奪ったオルフェノクがファイズへと変身して人間を襲うシーンがあり、それが後のエピソードで巧が(ファイズに変身できる)オルフェノクだったことを示唆する伏線だった展開は、筆者を含め当時の視聴者は大いに驚された。

【仮面ライダー555(ファイズ) 第01話[公式]】

 昭和ライダー世代の筆者だが、2002年の「仮面ライダー龍騎」から平成ライダーシリーズにもハマり、この「仮面ライダーファイズ」も前年から引き続き視聴し、ファイズギアの玩具や「装着変身」、「S.I.C.」などのアクションフィギュアを購入して楽しんでいた。劇場版「仮面ライダー555 パラダイス・ロスト」では、公募エキストラに当選し、“10,000人のオルフェノク”の1人としてさいたまスーパーアリーナでの撮影に参加して、同シーンの映像にチラッと映っていたりもする、非常に思い出深い作品である。

「S.H.Figuarts(真骨彫製法) 仮面ライダーファイズ」パッケージ。従来の真骨彫製法シリーズのフォーマットに則ったデザインと形状だ
ブリスターは2枚。各種装備と交換用手首パーツが付属する

 そんな仮面ライダーファイズが「S.H.Figuarts(真骨彫製法)」で発売される知らせを聞いたときは、「ついに来たか!」と心が躍った。何より今回の「真骨彫製法」ならではの実物のスーツに近いシルエットには強く惹かれた。同じ気持ちで購入を決めた人も少なくないはずだ。

 パッケージを開けて本体を取り出して最初に思ったことは、ポーズを取らなくてもそのプロポーションの良さが際立っていたことだ。骨格から造形を重ねていき、人体の造形・可動と仮面ライダーの外観を両立していくその造形は、手に取るだけでそのボリュームを感じられる。ファイズギアには、ファイズフォン、ファイズポインター、ファイズショットの全ての装備が最初から取り付けられているので、ブリスターから出した瞬間から自分の手の中にファイズが存在する感覚はたまらないものがある。

劇中に忠実なマッシブ体型とディテールが素晴らしい
実物のスーツと同様、一部の模様はスミ入れされている。「仮面ライダー」公式ポータルサイトでその姿を確認してみよう

 実物を手にして最初に目が行くのは、やはり頭部だろう。顔部分のほとんどを占めている目の部分「アルティメットファインダー」はクリアパーツの下に無数の円モールドがあり、眉間の「サテライトシグナル」を中心に、外側へいくほど大きくなっていく実物のマスクと同じ形状だ。アンテナの「グローバルフィラー」は横から見ると三日月のような形で、前方がメタリックレッド、後方がシルバーに塗り分けられている。そこにはストライプ模様があり、ここもスミ入れされている非常に凝った仕様だ。

 またこの手の造形ならではの、頭部の分割線が見られないのも嬉しいところ。分解できないので具体的な構造はわからないが、頭部の黒い部分とシルバーの部分を別パーツで構築していて、分割線が目立たないよう工夫が施されている。

アルティメットファインダー内部には、波紋状の円模様が入っている
顔の前方から延びるグローバルフィラーの曲線が美しい

 体格は全身ががっしりとしているうえに、胸部のフルメタルラングに厚みがあることで、かなりのボリューム感がある。上半身を起点に四肢に延びた赤いラインの「フォトンストリーム」もしっかり再現されている。

フォトンストリームのラインの塗装もバッチリだ
ファイズの特徴である指先や手の甲の模様も再現。もちろん全ての交換用手首にほどこされている

 ファイズギアはもちろんのこと、ファイズポインターをセットする右脚の「エナジーホルスター」は造形のみならず塗装も完璧だ。ファイズフォンは開閉ギミックがあり、これにより必殺技発動時にボタンを押す「エクシードチャージ」のポージングも行えるというわけである。

ファイズギア中央のファイズフォンは、ミッションメモリーの模様まで再現
開閉ギミックを備え、エクシードチャージ時にボタンを押すポーズも可能
ファイズフォンの接続部は、取り外し時の上側に向けられるギミックがある

 本商品を触った際に驚いたのは、足の裏のモールドである。ファイズギアなどと同様に細かく塗り分けられており、「クリムゾンスマッシュ」のポーズを付けた際、この足裏が見えるのはかなりグッとくるはずだ。

細かく塗り分けられた足の裏のモールド。クリムゾンスマッシュのポーズも映える

 アクションフィギュアとしての可動については、公式の画像で見られたクリムゾンスマッシュ発動前のしゃがんだポーズや、ファイズショットで決める必殺技「グランインパクト」のポーズなど、ファイズらしいポーズがバッチリ決まる。素立ちに近いおとなしめのポーズでも、体型の説得力により、劇中の雰囲気が出るのも素晴らしい点だ。

 また、面白く感じたのは、上腕がわずかに湾曲した独自の形状になっていた点で、これによりファイズ独自の“垂らした手首を振るときポーズ”をよりリアルに再現できるのである。

腕を振ったときの「チャッ」という音が聞こえてきそうだ
ファイズフィギュアを飾るときの定番となった、クリムゾンスマッシュ前の中腰にかまえるポーズ
クリムゾンスマッシュのポーズを再現するときは、「魂STAGE」を用意しよう

 その他にも可動に関するこだわりはそこかしこにあり、例えば発表時からアピールしていた肩アーマーの可動は、接続に軟質パーツを採用することで、劇中と同じように腕を動かせるようになっている。また足首の「パワーアンクレット」は軟質パーツで、上下に動かせるよう遊びが設けられているので、しゃがんだポーズを付けたときに無理に曲げてパーツを傷めてしまうことがない。

劇中と同様の形で肩を上げられる
軟質パーツのパワーアンクレット
パワーアンクレットは上下に遊びがあるので、足首を深く曲げるときは上側にずらすといい

 装備武器は、フォンブラスターと、ファイズポインター キックモード、ファイズショットが用意されている。さらにファイズポインターやファイズショットを使うシーンを再現するときのために、ファイズフォン(ミッションメモリー無)とファイズショットホルダー(ブランク)なども付属していて、あらゆるシーンを再現できる仕様だ。

ファイズフォンはミッションメモリーの有無と、フォンブラスターが付属。前者2つはともに開閉ギミックがある
左からファイズポインターキックモード、ファイズショットナックルモード、ファイズショットホルダー(ブランク)。ファイズショットは持ち手が可動
持ち手を交換して、各武装を使用しているポーズも可能だ
【ポーズ集】
ファイズは格闘シーンも多く、劇中のようなアクションポーズがバッチリ決まるのがたまらない

 実はこの記事の執筆中に、現在「仮面ライダー555」のイベントを開催しているバンダイナムコ Cross Store横浜での抽選販売当選の知らせが届き、無事入手できることが判明。その喜びで、前述の「S.H.Figuarts(真骨彫製法) ホースオルフェノク」も予約してしまった次第である。

バンダイナムコCross Store横浜で開催をしている「仮面ライダー555 20th EVENT ~My Mission Memories~」にて、「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ホースオルフェノク」が展示されている
プレミアムバンダイ内「魂ウェブ商店」にて「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ホースオルフェノク」は現在受注が行われている。2024年3月発送予定で、価格は8,800円

「S.H.Figuarts(真骨彫製法)ホースオルフェノク」の発表があったことから、今後の「仮面ライダー555」シリーズのラインナップにも期待が大いに高まっている。BANDAI SPIRITS 「魂ウェブ」公式サイトや公式 SNSをチェックしておきたい。