レビュー

「1/35 サンドランド国王軍戦車隊104号車」レビュー

トリオの1/35スケールフィギュアの完成度が高い! 造形だけでなく色分けも秀逸

 車体上部もやはり内装がしっかり造形されていて、組み立てる前に見ておくといい。特筆すべきはベルゼブブ、ラオ、シーフのフィギュアで、劇中通りのプロポーションや表情まで造形されているだけでなく、可能な限り色分けされているのも嬉しい限り。成形色を生かせば最低限の塗装でもリアルな3人の姿を再現できるだろう。

左右装甲板のパーツ
各種パーツを取り付けていく
反石収納部とハッチの組み立て
組み立てたパーツを取り付ける
左右を組み立てて装甲板が完成
左からシーフ、ベルゼブブ、ラオのパーツ
シーフの組み立て。体を服のパーツで挟み込む設計
ベルゼブブの組み立て。頭部は10mmほどのパーツだが、髪の表現に3パーツを使い、口の中やゴーグルまで造形されているのが凄い
ラオの組み立て。頭部は右手側に向くよう取り付ける

 内装が完成したら、組み立てた外装をとフィギュアを取り付けていく。外装は装甲の継ぎ目に沿って分割されているので、組み立ててしまえば合わせ目は見えづらくなる。ハッチはもちろん開閉が可能で、走行シーンを再現する場合は、ラオのフィギュアをハッチを開けたところに取り付け、ハッチを閉じたい場合は内部の別の場所に取り付けるか、取り除いておく。砲塔は90度回した状態で取り付け、正面に回せば外れなくなる。

内装のパーツ
水のボトルと消化器にシールを貼る
コクピット周りのパーツを取り付け
3人のフィギュアを所定の場所に取り付ける。ラオを固定するためのダボ穴は2つあり、立ち位置を変えられる
前面装甲板と後部エンジンカバーのパーツ
前面装甲裏の右側に“ラオのおまもり”のシールを貼る。芸が細かい!
装甲板を組み立てていく
前面ハッチと反石収納部を組み立て
前面ハッチと後部エンジンカバーが完成
内装に装甲とエンジンカバーを取り付ける
前面装甲、車体下部、砲塔を取り付ける

 最後は車体後方に各種パーツを取り付ける。砲塔から伸びた旗ポールはパーツが2種類用意されていて、ポールと旗が造形されたパーツと、金属棒にシールの旗を取り付けるどちらかで、接着しなければ根元のパーツから交換も可能だ。

車体後方のパーツ
ツールとマフラーの支柱を取り付け
金属棒を使う旗ポールは、シールの旗を貼る
旗ポールの根元にパーツを取り付ける
マフラーを組み立てる
旗ポール、マフラーを取り付ける

 マーキングはシールと水転写デカールの両方があり、選択式だ。砲塔の目のマークと左右ハッチのナンバリングのみだが、ズレてしまうとと格好悪くなってしまうので、説明書の例を見て確実に位置を決めてから貼るようにしたい。

マーキングは砲塔の防盾の横と左右のハッチに貼る
台座に乗せてサンドランド国王軍戦車隊104号車が完成

単に作りやすいだけではない、見えないところまで作り込める、スケールモデルの精神が感じられるキット。初心者向けの手ほどきも嬉しい

 完成した戦車は、冒頭で組み立てた台座に乗せることで、走行シーンを再現できる。ただ乗せているだけだが雰囲気はバッチリで、砲塔の向きを変えたり、ハッチを開閉したりすることで表情を付けられるのも楽しい。

「1/35 サンドランド国王軍戦車隊104号車」前面。台座、旗ポールを含まない全高は約110mm
車体背面。細部まで劇中通りのデザインに設計されている
主砲の内側にはライフリングのモールドが!
反石収納部は内部の裏側にもディテールがある
主砲は上下可動、砲塔は回転、スコープカメラは伸縮する
キューポラのハッチを開けると、主砲の発射装置と座席が見える
履帯も劇中設定に合わせた形状で設計

 いわゆるキャラクターモデルとはひと味もふた味も違うミリタリー寄りのキットではあるが、BANDAI SPIRITSの技術が投入され、劇中通りの造形と作りやすい設計を両立させている。戦車自体はシンプルなルックスだが、細部ディテール再現のこだわりはかなりのもので、組み立ててハッチを閉じれば見えなくなってしまう内装のコクピット周辺や後方の収納棚、燃料用のジェリ缶、さらには床に部分的に成形された縞鋼板やシールによる“ラオのおまもり”まで再現されているのは、企画者の並々ならぬ情熱を感じられた。

ハッチを閉じるときは、ラオの立ち位置を奥側に変えるか取り外す。砲塔を外すと作業がしやすい
ハッチを閉じると、ラウンドフォルムが強調される
装甲を取り付ける前の内装のカット。レバーやパネル周り、足元の縞鋼板のディテールなどにも注目

 また説明書にはメラミンスポンジによる表面処理や鉛筆を使った履帯の汚しなど、ビギナー向けの手軽なミリタリー仕上げについても描かれているのが好感触だ。逆に上級者は長砲身の101号車への改造や、内装を生かしたカットモデルなどを作ってみるのも面白いかもしれない。

別売りの「カスタマイズエフェクト」を使えば、戦闘シーンを簡単に演出できる

 「SAND LAND」が好きな人、映画を観た人はもちろん、ミリタリーテイストの濃いプラモを作ってみたいという人にも薦められるキットで、物語は知らなくても鳥山明氏がデザインしたメカが好きなら、これを作ってから原作を楽しむ手もあると思うので、ぜひこの機会に組み立てていただければと思う。