レビュー
「1/35 サンドランド国王軍戦車隊104号車」レビュー
2024年3月14日 00:00
トリオの1/35スケールフィギュアの完成度が高い! 造形だけでなく色分けも秀逸
車体上部もやはり内装がしっかり造形されていて、組み立てる前に見ておくといい。特筆すべきはベルゼブブ、ラオ、シーフのフィギュアで、劇中通りのプロポーションや表情まで造形されているだけでなく、可能な限り色分けされているのも嬉しい限り。成形色を生かせば最低限の塗装でもリアルな3人の姿を再現できるだろう。
内装が完成したら、組み立てた外装をとフィギュアを取り付けていく。外装は装甲の継ぎ目に沿って分割されているので、組み立ててしまえば合わせ目は見えづらくなる。ハッチはもちろん開閉が可能で、走行シーンを再現する場合は、ラオのフィギュアをハッチを開けたところに取り付け、ハッチを閉じたい場合は内部の別の場所に取り付けるか、取り除いておく。砲塔は90度回した状態で取り付け、正面に回せば外れなくなる。
最後は車体後方に各種パーツを取り付ける。砲塔から伸びた旗ポールはパーツが2種類用意されていて、ポールと旗が造形されたパーツと、金属棒にシールの旗を取り付けるどちらかで、接着しなければ根元のパーツから交換も可能だ。
マーキングはシールと水転写デカールの両方があり、選択式だ。砲塔の目のマークと左右ハッチのナンバリングのみだが、ズレてしまうとと格好悪くなってしまうので、説明書の例を見て確実に位置を決めてから貼るようにしたい。
単に作りやすいだけではない、見えないところまで作り込める、スケールモデルの精神が感じられるキット。初心者向けの手ほどきも嬉しい
完成した戦車は、冒頭で組み立てた台座に乗せることで、走行シーンを再現できる。ただ乗せているだけだが雰囲気はバッチリで、砲塔の向きを変えたり、ハッチを開閉したりすることで表情を付けられるのも楽しい。
いわゆるキャラクターモデルとはひと味もふた味も違うミリタリー寄りのキットではあるが、BANDAI SPIRITSの技術が投入され、劇中通りの造形と作りやすい設計を両立させている。戦車自体はシンプルなルックスだが、細部ディテール再現のこだわりはかなりのもので、組み立ててハッチを閉じれば見えなくなってしまう内装のコクピット周辺や後方の収納棚、燃料用のジェリ缶、さらには床に部分的に成形された縞鋼板やシールによる“ラオのおまもり”まで再現されているのは、企画者の並々ならぬ情熱を感じられた。
また説明書にはメラミンスポンジによる表面処理や鉛筆を使った履帯の汚しなど、ビギナー向けの手軽なミリタリー仕上げについても描かれているのが好感触だ。逆に上級者は長砲身の101号車への改造や、内装を生かしたカットモデルなどを作ってみるのも面白いかもしれない。
「SAND LAND」が好きな人、映画を観た人はもちろん、ミリタリーテイストの濃いプラモを作ってみたいという人にも薦められるキットで、物語は知らなくても鳥山明氏がデザインしたメカが好きなら、これを作ってから原作を楽しむ手もあると思うので、ぜひこの機会に組み立てていただければと思う。
(C)バード・スタジオ/集英社 (C)SAND LAND 製作委員会