レビュー
ミニ四駆の新たな挑戦!「ファンブルン(EZシャーシ)」レビュー
低速、高トルクが生み出す、走る姿をじっくり楽しむ遊び
2025年6月11日 00:00
- 【ファンブルン(EZシャーシ)】
- 5月24日発売
- 価格:1,320円
- 全長:130mm
- ※単3形電池1本(別売)使用
タミヤが5月24日に発売したミニ四駆「ファンブルン(EZシャーシ)」はこれまでの「コースをいかに速く駆け抜けるか」というテーマが多かったミニ四駆とは一線を画すコンセプトの製品となっている。およそ1km/hという低速だが、高トルクで坂道もどんどん登るパワフルさが楽しいマシンだ。
今回この「ファンブルン(EZシャーシ)」を組み立て、その走りを楽しんだ。かっこよくするために塗装も施し、パワフルな走りを堪能するための仕掛けも作ってみた。「トレイルミニ四駆」という新しいジャンルを提示する新しいミニ四駆の魅力を紹介したい。
多用途バギーをイメージ、悪路も駆け抜けるパワフルマシン
「ファンブルン(EZシャーシ)」は、多用途バギー、UTV(ユーテリティ・タスク・ビークル)がモチーフ。優れた走行性能でアウトドアシーンを中心に活躍し、アメリカやヨーロッパではレースも行われている「スポーツUTV」をイメージしているという。製品ではパワーに優れたEZシャーシに、このバギーのボディーが乗る。まずはパッケージと構成パーツを紹介したい。
製品のパッケージではジャンプするファンブルンが描かれており、アウトドアの凹凸が激しいコースを駆け抜けるような活躍イメージが膨らむ絵が描かれている。
パッケージを開けるといくつかのパーツと、ギヤ、モーターなどが確認できる。Aパーツ、Kパーツは透けて見えるクリア素材が使われたシャーシパーツ。このパーツで4輪駆動の「EZシャーシ」を作ることができる。Bパーツはホイール。Cパーツがタイヤ、Dパーツが青い成型色でのボディ部品となる。
Pパーツはギヤ、シャフトやモーター、金具も1つの袋に収められている。これにステッカーがつく。パーツ構成はシンプルで、接着剤も使わないのでプラモデル初心者でも組み立てやすい。部品をランナーから取り外すニッパーだけ用意すれば組み立てられるが、一部のパーツを塗装することでさらに見映えが良くなる。今回は塗装も加えてみた。次章から早速組み立てていこう。
簡単組み立てで4輪駆動の仕組みも学べる。塗装することで見映えも向上
「ファンブルン(EZシャーシ)」は最初にEZシャーシを組み立てていくことになる。このシャーシの心臓となるのはモーターの前後に軸が飛び出した“両軸モーター”だ。ここにピニオンギヤを取り付けていく。ピニオンギヤの取り付けには専用の治具が用意されており、ピニオンギヤを治具に入れ、軸を押し込むことでしっかり取り付けられる。この小さな治具で堅いピニオンギヤがすんなり軸にはめ込めるのは驚きがあって楽しい。
次にシャーシの基部にシャフトを刺し、ギヤを取り付けていく。ギヤはP2、P3、P4の3種類がある。ギヤそのものにしっかり文字彫刻がされているので、組み立て時に間違いにくいようになっている。EZシャーシは“ギヤ駆動”でモーターの力をギヤによって前輪、後輪に伝える。
基部の中心にモーターをはめ込み、上から蓋をはめ込むことでしっかりギヤとモーターが固定される。本製品ではシャーシにクリア素材が使われているので、組み立てた後も、モーターの回転がギヤを回し、車軸を動かす様子を確認できる。四輪駆動の構造をギヤの動きで学ぶことができるのだ。
次はモーターに電力を供給する金具とスイッチの取り付け。モーターの金具部分に合うように電池金具を配置する。電池金具もシャーシもしっかりはまるように設計されているので取り付けは簡単だ。
スイッチを取り付け、基部にかぶせるようにカバーを取り付ければ電池を入れる機構が完成する。次にシャーシの前後にP2ギヤを縦に入れる。モーターから横回転で伝えられていた動きが縦に変わる。ここにカバーをかぶせ、両端を止める。シャーシは密閉され、走行中に砂や小石がギヤに入ってしまわないように保護される。
P2ギヤの穴は車軸の六角シャフトとぴったり合うようになっており、ギヤの力を余すことなく車軸に伝えられるように設計されている。ホイールも同様でタイヤにホイールをつけて、しっかり車軸にはめ込めばシャーシの完成となる。
ボディはプラモデル感覚で組み立てられる。ドライバーを乗せてルーフを取り付け、ステーカーを貼る。アクセサリとしてダンパーパーツをシャーシに取り付け、ボディを乗せ、後部をボディキャッチでしっかり取り付けたら完成だ。
素組みではボックスアートのカラーリングを再現できていないところがあるので、今回はスプレー塗装による部分塗装を行ってみた。今回はコクピット内部とルーフ、ダンパー部分をスプレーで、ドライバー部分を筆で塗った。塗装をすると見映えが良くなり、バギーとしての雰囲気も向上する。簡単な塗装でよりバギーらしくなるのでオススメだ。次章ではいよいよ走らせてみよう。
低速でパワフルな走りを撮影して実感してみる!
ミニ四駆の最大の魅力はやはり「走る」ことだ。「ファンブルン(EZシャーシ)」は、速いスピードでコースを駆け抜ける従来のミニ四駆とは異なり、1km/hという低速ながらパワフルな走りを見せてくれる。
このスピードだからこそ、ユーザーは一緒に動きながら「ファンブルン(EZシャーシ)」の走る姿を見ることができる。走っている姿をスマホで撮影しながら移動することも可能なのだ。今回は家の周りを走らせてみた。
今回は筆者の家の庭の砂のある場所や、小石を敷いた場所で走らせてみた。やはり自然の地形をバギーが進む姿はカッコイイ。「ファンブルン(EZシャーシ)」が持つ走りの魅力を引き出す場所としてはこういった自然の地形はとても楽しい。「これぞバギーだ!」と感じる。
家の中でも遊んでみた。高トルクを実感するため、今回はダンボールを傾けて坂を作ってみた。そしてタイヤの食いつきをよくするため、タオルを敷いて坂を登らせてみた。タオルをしっかりタイヤが捉え、ぐんぐん登る姿を見てほしい。
バギーが急勾配の坂を登る姿はロマンがある。低速だからこそ撮影も楽しい。「ファンブルン(EZシャーシ)」のトルクの凄さを実感するのにダンボールとタオルの組み合わせはお手軽で楽しい方法だ。
岩がゴツゴツしている場所を車体を激しく前後に傾かせながら走る、というのもバギーのかっこいいイメージの1つだ。室内で何かを組み合わせて凹凸のある地形を作れないか考え、「画用紙をくしゃくしゃにしてその上を走らせるのはどうか?」というアイディアを思いついたが、画用紙は柔らかいので車の重みに負けてしまう。
そこで画用紙の下にものを置くことで、ゴツゴツしたコースができるのではないか? と考えた。いくつか下に敷くものを試したのだが、うまくいったのが「タミヤのスプレー缶」だった。スプレー塗装をするためにスプレー缶を何本も持っていたので、これを配置し上からセロハンテープでくっつけた画用紙をかぶせてみた。
画用紙のしわと、スプレー缶を置いたことによる地面の盛り上がりがうまくはまった。スプレー缶によって生じる凹凸を画用紙をかぶせることで走行可能なコースにでき、「ファンブルン(EZシャーシ)」は車体を上下に揺らして迫力ある走行を見せてくれた。岩場を走破するバギーの雰囲気が出たのではないだろうか?
再度、屋外で走らせてみた。より大きく、急角度の坂を作ってみた。「この角度はどうだろう?」と思って試したが、45度を超える急角度でもグングン登る! 今回使った樹脂のボードはホームセンターなどで売っている。簡単でオススメの素材だ。
最後は枯れ葉が積もっていたり、小石が多かったりする地形を走らせてみた。車体を揺らして進む「ファンブルン(EZシャーシ)」はやはりカッコイイ。走っている車を追っているとつい夢中になってしまう。屋外を走らせるときは安全に注意したい。
今回の筆者の遊びは一例にしか過ぎない。工夫次第で色々な遊び方ができるだろう。"お手軽"という意味なら布団やベッドの上は、毛布などで凹凸を作りやすく簡単に「ファンブルン(EZシャーシ)」の走りを楽しめる場所と言える。低速なのでテーブルの上で走らせても縁で落ちる前にキャッチできるだろう。
「ファンブルン(EZシャーシ)」は走らせるのが楽しいミニ四駆だ。パワフルな走りは、子供はもちろん、大人も魅了する力がある。ぜひ手に入れて走りを楽しんでほしい。