レビュー
マルゼン「ワルサーPPK クラシック」レビュー
セカンダリーにピッタリな携帯性抜群の1丁
2025年6月17日 11:30
- 【ワルサーPPK クラシック】
- メーカー:マルゼン
- 価格:16,280円
- 全長:158mm
- 銃身長:81.2mm
- 重量:370g(空マガジン含む)
- 弾丸:6mm BB弾(0.20g弾推奨)
- 動力源:エアガン専用ガス
- 装弾数:18発(マガジン単体)+1発
サバゲーマーの間では、ハンドガンなどの「セカンダリー」が必要かどうかについて意見が分かれることが多い。しかし、セカンダリーを持っていればアサルトライフル、サブマシンガンなどの「プライマリー」を撃ち切った際に、咄嗟に切り替えられるメリットがある。また、CQB(近接戦闘)エリアなどでは取り回しが圧倒的に良いというメリットもある。
とはいえ、1日フィールドを走り回るとただでさえヘトヘトなのに、あまり使わないハンドガンを持つことで装備がより重たくなるのを億劫に感じる方も多いことだろう。
そんな方にお勧めしたいのが、今回レビューするマルゼンの「ワルサーPPK クラシック」。約370gと軽量なので負担なく携行可能な点が魅力的だ。早速本製品の外観や使い勝手などについてレビューをお届けする。
ジェームズ・ボンドの愛用銃として有名な秘匿性に優れた小型銃
まずは、本製品の元となった実銃「ワルサーPPK」について紹介していく。「ワルサーPPK」は、ドイツのワルサーが開発した「ワルサーPP」の後継モデル。「PPK」の「K」は「Kriminal(意:刑事)」の頭文字で、私服警察官や刑事向けにさらに小型化されたモデル。口径は.32ACP(7.65mm)、装弾数は6+1発。ダブルアクション/シングルアクショントリガーシステムと、デコッキング機能を搭載している。
また、安全装置をかけるとハンマーがダウン位置に移動し、撃鉄、引き金が固定される。弾薬を装填したまま比較的安全に携行できるようになっている。
「ワルサーPPK」最大の長所は携帯性だ。全鋼製構造により約539gと重かったものの、服の下に隠れるコンパクトさにより、隠密携帯を必要とするユーザーに支持を受けた。1963年に公開された「007」シリーズの第1作目「007 ドクター・ノオ」に登場して以来、ジェームズ・ボンドの愛用銃として活躍してきたことでも知られている。
「ワルサーPPK」は、コンパクトなサイズながら人間工学と射撃性能に優れていると評価された一方で、装弾数が6+1発と少ないことは明確な短所とされている。
なお、今回レビューしていくエアガン「ワルサーPPK クラシック」は、BB弾を2列に並べて装填するダブルカラム構造となっており、18+1発を装填可能だ。実銃をリアルに再現したコンパクトさながらも、弾数も多いという、いいとこ取りのエアガンに仕上がっている。
ブラウンマーブルカラーのグリップとフラットボトム仕様のマガジンを採用 ここからは「ワルサーPPK クラシック」の紹介に入る。まずは製品の概要についてだ。
今回紹介するマルゼンの「ワルサーPPK クラシック」は、対象年齢18歳以上用のガスブローバックハンドガン。パッケージは濃い茶色でシンプルなデザインとなっている。
同梱品は本体、「PPK ブローバック専用18連フラットボトムマガジン」、「リリース棒」、説明書。全長は158mm、空のマガジンを装着した状態での重量は370g。実測重量は、銃本体が277.8g、空のマガジンが93.3g、ガスをフル充填したマガジンが97.8g。ガスをフルチャージし、0.20gのBB弾を19発装填した際の合計重量は379.4gとなる。実銃より約160g軽く扱いやすい。
材質はABS、ジンクダイキャストなど。スライド、フレームは成形色だが、マット地により絶妙な風合いを醸し出している。「ワルサーPPK クラシック」独特の意匠は、ブラウンマーブルカラーのグリップと、フラットボトム仕様のマガジン。このグリップはブラウン樹脂で成形後に、マーブル模様の塗装が施された特別仕様となっている。また、マガジンのフラットボトムの部品は本製品用に作られた金型で製作されている。
マルゼンからは「ワルサーハンドガン」として「PP」、「PPK」、「PPK/S」などのさまざまなバリエーションが展開されているが、本製品はそのなかでも特にクラシックスタイルのモデルとして仕上げられている。
インナーバレルの長さは81.2mm、内径は6.05mm、外径は8.0mm。ホップアップは可変式ではなく固定タイプの「固定レンジアップ」を採用している。純正オプションとして「ワルサーPPK・PPK/S ブローバック用 サイレンサー & 可変ホップバレルセット」(6,380円)も用意されているが、現在は多くのショップで品切れとなっている。マルゼン公式サイトには「スポット生産」と記載されているので、転売価格で取引されているものを買うよりも再販をゆっくりと待つことを強くお勧めする。
同梱のマガジン「PPK ブローバック専用18連フラットボトムマガジン」は、前述した通りフラットボトム部品が装着された特別仕様だ。残念ながら現時点ではマガジン単体の販売は未定。もし早急にスペアマガジンが必要であれば、フィンガーレスト(マガジンバンパー)付きの「ワルサーPPK ブローバック用 18連スペアマガジン」(3,520円)も使えるので、そちらを検討してもいいかもしれない。
実銃をリアルに再現、MARUZENとJASGの刻印は内部に隠されている
次に外観についてみていく。「ワルサーPPK クラシック」は、ワルサーのオフィシャルライセンスを取得しており、サイズ、形状はもちろんのこと刻印も忠実に再現されている。
また、マルゼンやJASG(日本エアースポーツガン振興協同組合)の刻印はスライド内のチャンバー表面に隠すほどの凝りようで再現されている。このリアルさへの追及からはマルゼンの強いこだわりを感じる。
なお、トリガー右側面付近にはワルサーのライセンス品であることを示す「Licensed Trademark of Carl Walther」の刻印が施されている。
大き目の手だと小指が余るが、握り込むことでグリップのボトムを支えられる
ここからは「ワルサーPPK クラシック」を使用感をお伝えする。最初に握り心地についてだが、筆者の手はかなり大きめだが予想していたよりしっかりと握れた。小指が余ってしまうが、さらに握り込むことでグリップのボトムを支えることもできた。
射撃については、シングルアクションとダブルアクションではストロークが大きく異なるため同じ感覚では撃てないものの、精密射撃でもしないかぎりはダブルアクションでとっさに発砲可能だった。なお、実射性能については次項で紹介する。
トリガープルは、シングルアクション時が最大0.52kg、最小0.45kg、平均0.50kg、ダブルアクション時が最大1.44kg、最小1.31kg、平均1.39kg。平均値で比較すると、ダブルアクション時はシングルアクション時よりも278%相当の重さということになる。
ただしダブルアクション時のトリガープルは引き始めが重く、そのあと少し軽くなった。シアーが落ちる瞬間に狙いがぶれないようにコントロールしやすいと思う。
元となった銃の設計が古いだけに、サイトは削り出しで調整はできない。また、ホワイトドットなどもないので、森の中などの暗い環境ではやや見にくいかもしれない。市街地フィールドなどでは問題ないが、森林フィールドで使うのであればサイトピクチャーを使わずに射撃する「ポイントシューティング」を練習したほうがよさそうだ。
メンテナンスについては、通常分解には工具は不要となっている。マガジンをはずしてから、トリガーガードの前方をつまんで下に引き出し、左右いずれかに少しずらして固定。その状態でスライドを後方に引き切ってから、後端を持ち上げて、ゆっくりとスライドを前方にずらすとフレームから取り外せる。ここまで分解すれば注油などの推奨メンテナンスが可能だ。
初速は0.20g弾で平均63.3m/s、20~25mぐらい先のプレーヤーならヒットを取れる
最後に実射性能を確認していく。まずは初速について。初速は「HFC-134a」を使い室温25.5度、マガジン表面温度29度で計測した。0.20g弾(ファイネストBB)使用時の初速は最大65.3m/s、平均63.3m/s、最小61.4m/s。0.25g弾(ファイネストBB)使用時の初速は最大61.2m/s、平均57.7m/s、最小56.8m/sとなった。一般的なガスブローバックハンドガンとしてはやや低めの初速だ。
射撃可能回数については、ガスをフルチャージした際は51発だった。フルチャージするとマガジンの重量は4.5g増えたので、1発あたりの燃費は約0.09gということになる。50発目の初速は63.8m/sを記録しており、小さめのマガジンではあるものの燃費はよいと言える。
射撃音は、最大92.8dBA、最小78.7dBA、平均85.29dBAとなった。今回は使用できなかったが、「ワルサーPPK・PPK/S ブローバック用 サイレンサー & 可変ホップバレルセット」を装着した際に、どのぐらい静音性が向上するのか機会があればぜひ試してみたいところだ。
弾道については、気温約20.3度、湿度約65.9%という条件で試した。10m先の15cmのターゲットであればほぼ当てることができ、15m先の16cmのターゲットも数発撃てば命中できた。ただし30m先のマンターゲットはホップアップが足らないのか、多くの弾が失速してしまった。弾道は素直なので、20~25mぐらい先のプレーヤーであれば数発撃てばヒットを取れると思う。
飾っても、触っても、ゲームで使用しても楽しい1丁
「ワルサーPPK クラシック」の最たる魅力はレトロ感だろう。また、軽量でコンパクトなボディーながら、実銃とは異なり18+1発という装弾数を実現しており、サバゲーでセカンダリーとして使うのにも十分な実用性を備えている。初速はやや低いものの、CQBエリアで使用する銃としては、無用な痛みを与えないので気兼ねなく利用できるというのも大きなメリットだろう。
「ワルサーPPK・PPK/S ブローバック用 サイレンサー & 可変ホップバレルセット」が品切れになっているのは非常に残念だが、0.20g弾を使用すれば必ずしもホップを調整する必要はない。
ワルサーのオフィシャルライセンスを取得されていることもあり外観は申しぶんなし。飾っても、触っても、ゲームで使用しても楽しい1丁だ。ぜひ一度手に取ってみてほしい。
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