レビュー

BATON「BG-PCC Lite CO2GBB」レビュー

高コスパと実用性兼ね備えたCO2ガスブロ。従来モデルより軽量化&集弾性UP

【BG-PCC Lite CO2GBB】
開発・発売元:Gunsmith BATON
価格:54,800円
全長:約560~640mm(ストック伸長時)
銃身長:103mm
重量:1.9kg
弾丸:6mm BB
動力源:CO2 12gカートリッジ
装弾数:24+1発

 BATONより、同社の「GLOCK G17 Gen5 MOS CO2GBB」や「同G19」とマガジンを共用できるCO2ガスブローバックガン「BG-PCC Lite CO2GBB」が、7月18日に発売された。価格は54,800円とCO2ガスブローバックとしては手頃な価格に設定されている。

 製品名の「PCC」とは、ピストルキャリバーカービンのことでピストル弾を使うライフルを意味している。ピストルキャリバーカービン最大の魅力はハンドガンとマガジンを共用できること。特にガス残量管理が難しいCO2カートリッジの場合、長物とハンドガンで異なるマガジンを携行すると、ガス残量を把握するのが困難なので、その手間を省けるのは大きなメリットだろう。

 また、フルサイズのM4やAKよりコンパクトなので、狭い場所での取り回しがいいのもポイント。バリケード裏でのスイッチングもスムーズに行なえる点も見逃せない。

 本稿では従来モデル「BG-PCC CO2GBB」からの進化点にスポットを当てて、詳細レビューをお届けする。

強化樹脂製パーツ採用により軽量化、新型ホップシステムで集弾性向上

 従来モデルの「BG-PCC CO2GBB」は、PCC専門メーカー「QuarterCircle10」が販売している9mmロアーをモチーフにし、Troy Industriesの正規ライセンスを取得して、「Battle Rail SOCC105」を忠実に再現したハンドガードを採用していた。

 一方、今回の「BG-PCC Lite CO2GBB」は従来モデルからの大幅な軽量化と、手頃な価格を実現するため強化樹脂製のレシーバー、4面RAS(レイル・アダプター・システム)のハンドガード、6段階ストックを採用している。また、全長も実測560~640mm前後とコンパクトに仕上げられている。軽量化と全長の短縮で取り回しのよいピストルキャリバーカービンに進化したわけだ。

アッパーレシーバー、ロアーレシーバーともに強化樹脂製に変更
ハンドガードは短くなったが、20mmレールが4面に用意されている
6段階調整可能な細身のストックを装備

 「BG-PCC Lite CO2GBB」最大の進化点は、新型ホップシステムの採用。詳細は公表されていないが、新たなチャンバー、ホップアップパッキンが採用されていると思われる。「BG-PCC CO2GBB」は弾道が上下に散らばってしまっていたが、「BG-PCC Lite CO2GBB」はまったくの別物と言っていいほどの集弾性の改善が見られた。

 「BG-PCC CO2GBB」シリーズ用には公式サイトで多くの純正パーツが販売されている。ぜひ「BG-PCC CO2GBB」向けにも、新型ホップシステムを販売してほしいところだ。

 なお、BATONに伺ったところ、改良されたホップアップシステムについては「BG-PCC用としても後日販売する予定」とのことなので、続報に期待したい。

「BG-PCC Lite CO2GBB」は新型ホップシステムを採用
「BG-PCC Lite CO2GBB」用パーツはすでに販売されているが、新型ホップシステムは提供されていない

樹脂製ボディは精度が高く、剛性も確保されサバゲーでの実用性が高い

 ここからは「BG-PCC Lite CO2GBB」の基本スペックを解説していく。本製品はBG-PCC CO2GBBシリーズの第2弾。「BG-PCC CO2GBB」は98,780円だったところ、「BG-PCC Lite CO2GBB」は54,800円とその約55%相当の価格に設定されている。CO2 12gカートリッジを使用する長物としては、高コスパであることは間違いない。

 価格の差についてもBATONに伺ったところ、「CO2ブローバックガスガンとしての基本構造の開発が、BG-PCCで完成していたこと」「オリジナルデザインのため、ロイヤリティがかかっていないこと」「何よりハンドガードや上下レシーバーといった主要パーツを強化樹脂製にしたこと」が理由として挙げられた。

左側面
右側面

 全長は実測560mm、ストック展開時で実測640mm。銃身長(インナーバレル長)は103mm。重量はマガジンを含めて1.9kg。アッパーレシーバー、ロアーレシーバー、ハンドガード、ストックは強化樹脂製で、ストックパイプはアルミニウム合金製。全体の質感は樹脂製であることが一目でわかるが、精度は高く、剛性も確保されている。実銃らしさを求める方には物足りないかもしれないが、サバゲーでの実用性は高い。

前面と背面
上面と下面
フロントサイト
リアサイト
サイトピクチャー
グリップの太さは中央部分で実測123mm前後

 同梱品は、「BG-PCC Lite CO2GBB」本体、「GLOCK G17 CO2マガジン」、六角レンチ(M6)、説明書、保証書。「GLOCK G17 CO2マガジン」は直販サイトなどから7,480円で追加購入もできる。また、「GLOCK G19 CO2 8gマガジン」(7,480円)も使用できる。メーカー希望小売価格はどちらも8,228円だ。

 使用するCO2カートリッジは、「GLOCK G17 CO2マガジン」が12g、「GLOCK G19 CO2 8gマガジン」が8gのもの。12g CO2カートリッジは「PUFF DINO・BASIKOS CO2 12g カートリッジ」(6本セットで660円、50本セットで4,500円)、8g CO2カートリッジは「タニオコバ CO2 8g カートリッジ」(20本セットで2,200円)が指定されている。それ以外のCO2カートリッジは非対応、かつ保証対象外となっているので留意してほしい。

同梱品一覧
マガジン上面と下面
前面、前面(BB弾装填時)、背面、左側面、右側面
CO2カートリッジの交換はガスが残っていないことを必ず確認してから行なおう
「GLOCK G17 CO2マガジン」の装弾数は24発、「GLOCK G19 CO2 8gマガジン」の装弾数は20発
「GLOCK G19 CO2 8gマガジン」のほうがCO2カートリッジは目立たない

 ストック長は6段階に調整可能。伸縮用ロックレバーの前方にもうひとつカムロックレバーというものがあり、これを持ち上げることでストックがバッファーチューブを締め付ける形で固定され、一切のガタつきを抑えることができるようになっている。

 また、伸縮用ロックレバーを握ることでカムロックレバーが瞬時に解除できるのも利便性が高い。全長が短めの本製品に合わせて、細身なため取り回しやすく、QDスイベルマウントも備わっており使いやすいストックと言える。単品でも販売してほしいぐらい使いやすく感じた。

ストックは6段階で調整できる

 通常分解については説明書に記載がないものの、テイクダウンピンをロアーレシーバー左側から押し出し、アッパーレシーバーを開けば、ボルトアッセンブルとチャージングハンドルを引き抜ける。一般的にはロアーレシーバー側のハンマー&バッファーと、ボルトアッセンブルのシリンダー内(黒い樹脂製パーツに空けられている四角い穴)にシリコンスプレーをわずかに吹いて、ボルトアッセンブルの擦れが目立つ部分にシリコングリスを塗っておくとスムーズな動作が保たれ、パーツの消耗も抑えられる。

 特にシリコンスプレーのかけすぎ、シリコングリスの塗りすぎは性能に悪影響を与えるので注意してほしい。

レシーバーを開ける際には必ず両方を手で持って行なうこと。片手で乱暴に開くと、傷や歪みの原因となる

 実測重量は本体が1,613g、「GLOCK G17 CO2マガジン」が280.4g。これに「PUFF DINO・BASIKOS CO2 12g カートリッジ」の実測40.3gと、24発の0.25g BB弾(6g)が加わると、合計重量は1939.7gとなる。光学サイトを加えても、総重量は2.1kg前後だ。1日森林フィールドを駆け回っても苦にならない重量と言える。

本体の実測重量は1,613g
付属の「GLOCK G17 CO2マガジン」の実測重量は280.4g

ホップ調整の最終段階ではミリ単位での回転操作が必要

 新型ホップシステムとなっているため、改めてホップアップの調整方法についても紹介しておく。先に述べると、新システムを採用した「BG-PCC Lite CO2GBB」だが、ホップ調整は従来通りだ。

 調整の仕方は、ハンドガード手前にダイヤル式アジャスターが内蔵されているので、割り箸などを差し込んで回転させるというもの。ホップは左に回すと弱く、右に回すと強くなる。ダイヤル式アジャスターにクリック感はないが、そのぶん細かな調整が可能だ。ただし適正ホップ近辺では結構シビアなので、調整の最終段階ではミリ単位で動かして数発撃つという作業を繰り返す必要がある。

ホップ調整には割り箸が最適。ドライバーなどでは傷が付く可能性がある

弾道は「BG-PCC CO2GBB」から大きく改善、サバゲーで勝てる実射性能を実現

最後に「BG-PCC Lite CO2GBB」の使い勝手や実性能をチェックしていく。まずトリガープルについては、10回の平均で最大3.97kg、平均3.69kg、最小3.37kgと重めだった。トリガーに遊びはなく、チャージングハンドルを引くと、トリガーが少し前進し、そこから引けば瞬時に発射される。

 東京マルイの「MWS」などと比べるとトリガープルが重いので好みが分かれるかもしれない。ただ、個人的には誤射の可能性が低いので、このぐらい重いほうが安心して扱える。

最大3.97kg、平均3.69kg、最小3.37kg

 射撃音はセミオート時で最大103.2dBA、平均91.9dBA、最小81.4dBA、フルオート時で最大107.6dBAとなった。新型ホップシステムを採用していても、基本的な構造を踏襲しているので、射撃音は「BG-PCC CO2GBB」とほとんど変わらないようだ。

 ただ今回サンプルを試用していて、リコイルスプリングの音がやや気になった。動作や精度に問題があるわけではないが、バネの振動音をもう少し低減する対策品がBATONから販売されることに期待したい。

射撃音はセミオート時で最大103.2dBA、平均91.9dBA、最小81.4dBA、フルオート時で最大107.6dBA
射撃音はセミオート時で平均91.9dBA
フルオート時で最大107.6dBA

 初速は、0.2g弾使用時にホップ最弱で最大77.8m/s、平均70.9m/s、最小65.5m/s、ホップ最強で最大77.6m/s、平均70.9m/s、最小62.4m/s、0.25g弾使用時にホップ最弱で最大70.0m/s、平均65.2m/s、最小62.0m/s、ホップ最強で最大67.7m/s、平均63.8m/s、最小60.0m/sとなった。

 室温24.2度、湿度54.1℃で試射したので、真夏の屋外で使用すればもっと初速は上がるだろうが、直射日光下にマガジンを放置しなければ屋外フィールドのレギュレーションを超えることはなさそうだ。またインドアフィールドでもレギュレーション内の初速に収まると思う。

【0.2g弾使用時の初速】
ホップ最弱で最大77.8m/s、平均70.9m/s、最小65.5m/s
ホップ最強で最大77.6m/s、平均70.9m/s、最小62.4m/s
【0.25g弾使用時の初速】
ホップ最弱で最大70.0m/s、平均65.2m/s、最小62.0m/s
ホップ最強で最大67.7m/s、平均63.8m/s、最小60.0m/s
【セミオートでの発射可能弾数】
セミオートでの発射可能弾数は105発
【フルオートでの発射可能弾数】
フルオートでの発射可能弾数は62発

 肝心の弾道については、「BG-PCC Lite CO2GBB」が「BG-PCC CO2GBB」から大きく改善していることは間違いない。今回は32m先の40cmターゲットの中心を狙ってテストを実施したが、24発中当たらなかったのはわずか4発。3~5発撃てば、30m先の頭や半身に当てられるだけの集弾性を備えている。

 「BG-PCC CO2GBB」のレビューでは「30mの距離のマンターゲットを狙えても、バリケードから薄く出てくる相手プレイヤーに当てるのは至難の業」と紹介したが、今回の「BG-PCC Lite CO2GBB」であればヒットを取れる。屋外フィールドで電動ガンと戦えるだけの集弾性能を備えていると言えるだろう。

【「BG-PCC Lite CO2GBB」実射】

高コスパで実用的なCO2ガスブロを待ち望んでいた方におすすめの1丁

 BATON「BG-PCC Lite CO2GBB」は、手頃な価格ながら、「GLOCK G17/G19」とマガジンを共有できる利便性、ピストルキャリバーカービンならではのコンパクトな取り回し、そして劇的に改善された集弾性を実現している。

 サバゲーで勝てる性能を備えた。CO2ガスブロならではの安定した作動性と射撃フィーリングは、ゲームの楽しさを一段階引き上げてくれるだろう。高コスパで実用的なCO2ガスブロを待ち望んでいた方に、最適な1丁だ。