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【エアガン施設探訪】エアガン競技に特化!公式大会と同じ仕様にこだわった「BATON range」

BATON range
場所:埼玉県所沢市坂之下296
営業日時:9時〜17時30分
アクセス:JR武蔵野線「東所沢駅」からバスで10~14分
利用料金:2,000円(時間無制限)
会員料金:月額 5,000円(撃ち放題)
貸切料金:8,000円~

 Gunsmith BATONが運営するシューティングレンジ「BATON range(バトンレンジ)」は、室内ながら30mロングレンジを有するだけでなく、エアガン競技を想定した豊富なターゲット環境が特徴で、自由練習から大会対策まで幅広い用途で利用できる。

 年齢や性別を問わない精密射撃シューティング「APS」をはじめ、「スチール競技」「JANPS」「プレート」と呼ばれる競技用の練習に特化した関東有数の施設となっており、多くのシューターから支持されている。

 スコア記録ありの真剣勝負から、自由なフリー練習まで使い分け可能。まさに競技志向のプレイヤーや、JASG公式試合参加を目指す方にとって“理想的な練習場”だ。

 今回は、そんな個性的なシューティングレンジ「BATON range」についてレポートしていく。

 なお、「エアガン射撃競技ってなに……?」という方もいるだろう。一言で説明するならば、サバイバルゲームのような対人ではなく、オリンピックで注目されたライフル射撃のようなもの。エアースポーツガンを使用し、ルールに則ってターゲットを狙い撃ち、精度の高さやタイムなどを競う競技だ。銃をコントロールする能力はもちろん、集中力を持続させる精神面も問われ、自分自身との戦いが非常に重要になる。

 それでは早速「BATON range」の紹介に入る。

BATONが運営する“射撃競技”特化のシューティングレンジ

 「BATON range」を一言で表すなら「競技特化型のシューティングレンジ」だ。JASGの認定を受けており、店内にあるレンジはほぼ本番仕様。これまで様々なサバイバルゲームフィールドやシューティングレンジに足を運んでみたが、ここまで“競技”に特化した施設は見たことがない。

 場所は所沢インターの近く。駐車スペースは11台分ある。電車の方は最寄りのJR武蔵野線「東所沢駅」から約1時間に1本の公共バスを利用すれば、時間帯にもよるが10分程度で到着する。入口には「Gunsmith BATON」ショップ兼事務所があり、店舗内で受付を済ますスタイルとなっている。

 なお、「BATON」はエアソフトガンメーカーとしても有名で、昨年は数多くのCO2ガスガンを発売。HOBBY Watchでは「BATONの2024年おすすめエアガン5選」など同社のエアガンを紹介しているので、こちらもぜひチェックしていただきたい。

「Gunsmith BATON」入口
ショップ内ではAPS競技銃を専門に扱う「蔵前工房舎」のパーツを多数販売している

 シューティングレンジ「BATON range」は奥の倉庫に位置している。こちらは2階建ての施設となっており、1階に「30mロングレンジ」、2階に「APSレンジ(ハンドガン/ライフル)」「マルチレンジ(スチール競技、JANPS、プレート等)」が用意されている。

1階は屋内無風の30mレンジを完備! 愛銃の調整にうってつけ!!

 まずは1階の「30mロングレンジ」から紹介する。こちらには、10/20/30mそれぞれに設置されたターゲットのほか、任意の距離までターゲットペーパーを送れるムーバーや電子ターゲットなどが用意されている。銃を固定して射撃できる「ガンレスト」もあり、無風の環境でしっかりとした調整が可能だ。

 また、電子ターゲットはPCと連動しており、射撃結果をすぐに確認できる。当たった箇所のみならず、その際のパワーも表示するという優れもので、精密な調整にうってつけだ。

最奥の左側が電子ターゲット、中央側にはプレートなどがある
レールを伝ってターゲットペーパーを任意の場所まで送れる。便利だ
電子ターゲット
結果は近くのPCに反映される

 なお、ターゲットのなかにはエアガンとサバイバルゲームの情報ホビーサイト「ハイパー道楽」より寄贈の「Eタイプ シルエットターゲット」もある。米軍をはじめ、NATO諸国の軍隊でも使用されるマンターゲットを参考に、エアガン用として作製されたものだという。

 関東のシューティング施設に「無風の30mレンジ」を試せる場所は少ない。愛銃の調整にもってこいだ。

右側の緑色の人型ターゲットが「Eタイプ シルエットターゲット」

己の腕をとことん磨け! 2階に広がる各種競技に適した練習環境!!

 続いて競技専用エリアである2階を紹介していく。じつは2階の方が「BATON range」の真骨頂と言っても過言ではない。それぞれ各競技のルールに則ったスコアを記録しながら、本番さながらの緊張感のなかで自分の技術を試すことができるのがウリだ。

様々な競技に対応。公式と同じ専用ターゲットが設置されている

 まずはじめに、「APSカップ」「JANPS」「プレートマッチ」といった競技を知らない方のために各競技を下記に簡単にまとめておく。

【APSカップ】

APSカップ:Air Precision Shootingの略語で、日本エアースポーツガン協会(JASG)が主催するエアーガンによる精密射撃競技のこと。ハンドガンクラス、ライフルクラスがあり、ハンドガンクラスはブルズアイ/プレート/シルエットの3競技、ライフルクラスはブルズアイ/プレート/ムーバーの3競技で構成されている。

【JANPS】

JAPAN Action Pistol Shooting Championshipの略語で、米国NRA Action Pistol Shooting Championshipをエアソフトガン用にアレンジしたスピードと精度の両立による高度なピストル射撃技術を競うシューティングマッチのこと。ガンのハンドリングやコントロール要素等も求められるのが特徴。

【プレートマッチ】

直径8~10cmの円形プレートを制限時間内に1発ずつ射撃し、倒したプレートの枚数によって順位を決定する精密系競技のこと。

 「BATON range」では、それぞれ実際の競技の配置・距離・サイズ感に即しており大会本番仕様となっている。制限時間によるターゲットのリセットや、自動制御によるターゲットの移動など、並のシューティングレンジ施設では見られない本格的な機能も多数完備しているのに加えて、撃った際の金属音やレスポンスの感触もリアルで、実践感覚を養うには最適な環境となっている。

 ここからは本施設にて練習できる競技をいくつか紹介していく。

「ブルズアイ競技」(APS CUP ハンドガン/ライフルクラス)

 「ブルズアイ競技」は、円を重ねた図が描かれた1枚のターゲットを2分間で5発撃ち、2回繰り返す競技。ハンドガン/ライフルクラス共に競技内容は同じだが、ライフルは10m、ハンドガンは5mとターゲットまでの距離が異なる。ターゲットに描かれた図の中心に当てるほど点数が高くなり、最も高い10点圏の直径は22mmとなっている。本施設では着弾観測用の観的装置が用意されているため、1発毎に着弾点を確認できるため効率的に練習できる。

5mと10mに設置されたブルズアイターゲット。手前に設置されたモニタで着弾箇所を確認できる

「プレート競技」(APS CUP ハンドガンクラス)

 「APS CUPハンドガンクラス」の「プレート競技」は、規則正しく並んだ15枚のプレートターゲットに対し、3秒内に1発のみ発射×15回繰り返すという腕と集中力が問われる競技。本施設では自動ブザー音で3秒を計ってくれる。

半透明のカバーに囲まれている白い楕円形のものがターゲット

「シルエット競技」(APS CUP ハンドガンクラス)

 「APS CUPハンドガンクラス」の「シルエット競技」は、6、7、8、9、10mの異なる距離にある3cm×3cmのアルミターゲットを狙う競技で、1m離れるだけで、難易度が段違いに増すのが特徴。本施設では練習用として、倒したターゲットが自動的に復帰する仕組みを導入しているので手動で元に戻す手間がない。

黒い支柱の上に載っている小さな白い四角形のものがターゲット

「プレート競技」(APS CUP ライフルクラス)

 「APS CUPライフルクラス」の「プレート競技」は、10m先にある上下に並んだ5枚とジャマーと呼ばれる遮蔽物に遮られた3枚の計8枚のプレートを撃つもので1プレートに1発のみ撃てる競技。なお、うち右側にある3枚はジャマーを倒した瞬間に競技終了というシビアなルールとなっている。

画像中央に並んでいる白い楕円形のものがターゲット。緑のジャマーの裏にあるものも

「ムーバー競技」(APS CUP ライフルクラス)

 「APS CUPライフルクラス」の「ムーバー競技」は、左右に20回移動するターゲットを制限時間内に撃ち抜く競技。使用可能弾数は、1回につき1発のみだ。本施設ではAPS CUP本戦で使われるものと全く同じ機材が設置されており、自動音声による本番さながらの練習ができる。

レーンから少し飛び出している白いものがターゲット。動く

「バリケイド」(JANPS)

 「JANPS」の「バリケイド」は、遮蔽物の左右からそれぞれのターゲットに向かって片方6発ずつ撃つ競技。左右への持ち替えの技術も必要になるのが特徴だ。本施設ではしっかりとしたバリケードも用意されている。

「バリケイド」ではバリケードから体を少し出して撃つ
専用にカスタムされたハンドガンで、遮蔽物に固定するのが一般的

「ジャパンスティールチャレンジ」

 「ジャパンスティールチャレンジ」は、設置された5枚のターゲット(鉄板)を撃つタイムの速さを競う競技。いくつか並び方の種類がある。本施設ではターゲットの位置を自由に変えられるので、公式が定めたステージ内容にいつでも切り替えられる。床にはバミリも付いているので初心者でも分かりやすい。

定められたストップターゲット以外の4枚をどの順番で撃つかは不問。ちなみに画像の並べ方は「Five to Go」というステージ
本施設では各ステージの設定を細かく記載された物が用意されている。地面にはバミリがあるので、初心者でもセットが簡単

APSプレイヤーから気軽な趣味勢まで楽しめる居心地の良さ

 ここまでの紹介で、本施設は競技者が練習する場所とイメージするかもしれないが、決してそれだけではない。スコアにこだわらず、自分のペースでターゲットを撃ったり、構えや動作の確認をしたりといった自由練習ももちろんできる。初めて来た方や、まだ競技に本格参戦していない人でも、プレッシャーなくシューティングの楽しさに触れられる環境がなによりの魅力だ。

 かくいう筆者も、サバイバルゲームはしていても本施設を訪れるまで“競技”としてエアガンを楽しんだことがなく、まったく未知の状態だった。しかし、取材に際してスタッフから専用銃をお借りし、いくつか試射させて頂いたところ、その面白さの一端を体感できた。

編集部員も「プレートマッチ」にチャレンジ。なぜか撃つときは遠く感じる……。

 ターゲットに当てることだけに集中して射撃する。サバイバルゲームとは異なる緊張感のなかで、当てたときの快感と、外したときの悔しさは、言葉にできない独特の面白さがある。

 また、スタッフの話で印象的だったのが、「続けることで徐々に上達していることを感じられる。そこが面白いんです」という言葉。今回、実際に体験したのはごく短時間だが、そのなかでも上手くできたときは、かなり興奮してしまった。これが練習を重ねてコツを掴み、しっかりと記録に残ったとしたら、その時の達成感はかなりのものだろう。

 競技は激しく動くものではないため老若男女問わず楽しめる。大会出場を目指さない方でも、自分の趣味のひとつとして遊ぶのもよさそうだ。

【BATON  range プレートマッチ実射(by BATONスタッフ金子氏)】

 ちなみに、本施設に取材に訪れた際も常連の方が数名、練習に訪れていた。集中、そして射撃を繰り返えし、リズミカルにターゲットに当てていく。その姿が実に格好良く、練習の合間に撮影させて頂いた。この場を借りて感謝申し上げます。

常連の方が「ジャパンスティールチャレンジ」を練習。かなりの腕前で、素早く正確にターゲットに当てていた

手軽に利用できる最高峰の練習場! サバゲーマーにもオススメ

 射撃する楽しさを、競技というサバイバルゲームとは異なるベクトルから楽しめる「BATON range」。これだけの設備が整っていながら、利用料は時間無制限で2,000円。会員になれば月額5,000円で撃ち放題という安さで楽しめる。

 「シューティングレンジをそんな長時間&長期間利用するの?」と思った方こそ、一度訪れてみてほしい。本当にあっという間に時間が過ぎる。

 なお、今回取材するにあたって、競技者のひとりであるスタッフに、大会専用銃をお貸し頂いた。通常のサバイバルゲームでは絶対に見られない、まさに“競技特化”のカスタムに思わず興奮してしまった。

今回お貸し頂いた競技専用のガスハンドガン。普段のサバイバルゲームでは見ないカスタムパーツがずらり

 なお、本施設では「レーザーライフル」「レーザーピストル」のレンタルも可能。レンタル料は2,000円で2時間利用できる。この2つは、オリンピック競技の「エアライフル」「エアピストル」競技の訓練用機材だが、使用に資格は必要ないため誰でもオリンピックと同じ難易度、競技内容を体験できる。腕に自身がある方は試してみてはいかがだろうか。

「レーザーピストル」
「レーザーライフル」
電子ターゲットに向かって撃つと即座に結果が反映される。エアガンとは違った面白さがある

 個人の趣味嗜好にもよるが、今回紹介した競技の面白さにハマったときの沼っぷりは想像に難くない。かくいう筆者も、すでにもう一度プライベートで訪れてみたくなっている。ぜひ一度訪れてみてほしい。

□「BATON Range」のページ