レビュー

東京マルイ「P320 フルサイズ」レビュー

工具要らずで分解する楽しさ+32mヘッドショットもできる性能

【P320 フルサイズ】
メーカー:東京マルイ
10月9日 発売
価格:25,080円

 「東京マルイは電動ガンが有名だが、ガスブローバックも高性能」ということに異論を唱えるサバゲーマーはほぼいないはず。最近の人気製品で言えば、現在でも再販が強く望まれている「G17 Gen5 MOS」は、気温10℃前後であっても屋外ゲームで使用できる作動性を実現しており、まさにガスブローバックハンドガンの完成形といえる。

 そんな東京マルイが、新機軸のガスブローバックハンドガンとして10月9日に発売したのが「P320 フルサイズ」(25,080円)だ。実銃譲りの「FCU(ファイア・コントロール・ユニット)」というモジュラーシステムを採用しているので、トリガーやハンマーなどを含むFCUを工具なしにグリップフレームから取り外せるのが特徴。モデルガン的ないじる楽しさ、愛でる喜びを堪能できるエアガンとなっている。

 もちろん、高い質感や、素直な弾道などの東京マルイ製ガスブローバックハンドガンならではの美点も備えている。本稿では、そんな2025年ガン・オブ・ザ・イヤー最有力候補と言える本製品の実機レビューをお届けしていく。なお、今回は「G17 Gen5 MOS」との比較が含まれているので、以前掲載した「G17 Gen5 MOS」レビューも参考までにご覧いただきたい。

口径やフォームファクターを最小限のパーツで切り替えられるモジュラー式自動拳銃

 実銃の「P320」は、FCUを中核に据えたモジュラー式自動拳銃だ。グリップモジュール、スライド、バレルを交換するだけで口径やサイズを手軽に変えられるため、9mm、.40 S&W、.45 ACPといった使用弾だけでなく、フルサイズ、キャリー、コンパクトといったフォームファクターを最小限のパーツで切り替え可能だ。用途や手の大きさに合わせて素早くカスタマイズできるのが最大の特長である。

 代表的なフルサイズ仕様では、全長約8インチ、銃身長4.7インチ、重量802g(未装弾時)、装弾数は9mm×19弾で17+1発となる。モジュール設計は拡張性に優れるだけでなく、テイクダウン操作で工具を使わずにFCUを取り出せるため、分解・整備が容易なのも利点だ。

 東京マルイの「P320 フルサイズ」も外観だけでなく、分解しやすいという特長を実銃から継承している。「メンテナンスのためにFCUを取り外す必要はない」とされているが、モデルガン的な楽しさを味わえるという意味で、これまでのガスブローバックハンドガンよりもさらにリアルさに磨きがかかっている。

東京マルイ「P320 フルサイズ」。工具なしでここまで分解できる
「P320 フルサイズ」のFCUはエアガン用の独自設計。側面には個体ごとにユニークナンバーがレーザー刻印されている

FCUのイラストがあしらわれた内ブタを用意

 東京マルイの「P320 フルサイズ」は、対象年齢18歳以上用のガスブローバックハンドガンだ。パッケージの外側は比較的シンプルだが、開くと「INNOVATION BY ENGINEERING. TOKYO MARUI」と印刷された内ブタが用意されており、FCUのイラストがあしらわれている。完全新設計のFCUを搭載したガスブローバックハンドガンにふさわしいクールな演出だ。

比較的シンプルな外観のパッケージ
FCUをアピールする内ブタが用意されている
内ブタを開けると、「P320 フルサイズ」が姿を見せる

 パッケージ内には本体、マガジン、クリーニングロッド、保護キャップ、0.2g BB(100発入り)、フォロアーストッパー、取り扱い説明書などが同梱。いつも通り読み応えのある詳細な説明書だが、FCUの取り外し・取り付け方法は別紙となっている。チャンバー内のクリーニングや作動部への注油のためにFCUを取り外す必要はないので、別紙となっているのかもしれない。

同梱品一覧
FCUの取り外し方法、取り付け方法は別紙に記載

 本体の全長は205mm、銃身長は106mm、重量は空マガジン込みで690g。スライドは強化樹脂製で、フロント/リアサイト、エキストラクター、エキストラクタープランジャー、エキストラクターSPガイド、スライドリアキャップは別素材で再現されている。

 またグリップ前後左右の滑り止めは一般的なシボ加工ではなく、金型にレーザーで彫ることで再現している。実銃は802g、本製品は690gと112gの差があるが、心地よい重さだ。

左側面
右側面

 スライドでは斜めカットとセレーションが再現され、スライドリアキャップとシアハウジングの分割ラインは実物と同じデザインだ。また、マニュアルセフティとスライドストップは左右に配置したアンビ仕様となっている。

 実物と同じ外観を再現しているのはもちろんのこと、操作性という点でも扱いやすいエアソフトガンに仕上がっていると言える。

前面と背面
上面と下面

 内部的には直径15mmの大口径ピストンを装備。最大限のピストンストローク距離を確保するため、ハンマーをピストン下に配置した「アンダーハンマー方式」を採用している。さらに、FCUとブローバックエンジンの位置ズレを起こさないように、ピストンの下部にレイルを一体成型した「レイルドエンジン」、チャンバーカバーへの傷を防止し、円滑な作動を実現するための「アウターバレル・ティルトアシスト機構」も導入されている。

 マガジンには26発装填可能な「P320用スペアマガジン」(4,378円)と、32発装填可能な「P320用32連ロングマガジン」(5,478円)の2種類が用意。グロックやハイキャパの50連ロングマガジンのように劇的に装填数が増えるわけではないが、そのぶんグリップからあまり飛び出さないデザインなので取り回しやすい。あまり増えないとは言っても装弾数は増えるので、マガジンチェンジの回数を少しでも減らしたい方は、ロングマガジンを使うといいだろう。

「P320用スペアマガジン」(左)と「P320用32連ロングマガジン」(右)の前面と背面
左側面と右側面
上面と下面
ロングマガジンはグリップから21mmほど飛び出す
標準マガジンは26発、ロングマガジンは32発装填できる
【「P320 フルサイズ」カタログスペック】

・全長:205mm
・銃身長:106mm
・重量:690g(空マガジン含む)
・弾丸:6mm BB弾(0.20~0.25g)
・動力源:専用ガス
・装弾数:26 +1発(1発は本体に装填した場合)

 スペックに掲載されていないサイズについては実測したので、参考までに紹介していく。スライドの幅は約27mm、高さは20mmレイル部で約45mm、トリガーガード部で約74mm。グリップの奥行きは約55mm、幅は約34mm、外周は約142mm。マガジンの奥行きは約33mm、幅は約22mm、長さは標準マガジンが約135mm、ロングマガジンが約160mm。重量は本体のみが約444g、標準マガジンが約241g、ロングマガジンが約289.7gだ。

 これらの数値はホルスターやポーチなどを購入する際の参考にしてほしい。なお、計測誤差がある可能性があるので多少余裕をもって選んでいただきたい。

本体のみは実測約444g
標準マガジンは実測約241g
ロングマガジンは実測約289.7g

分解、組立は容易だが、多少のコツは必要

 「P320 フルサイズ」の売りは前述のとおり、“工具なしで通常分解可能でFCUも取り外せる”という点。仕組みと手順さえ把握していれば、作業は比較的容易だ。

 ただ、筆者が分解・組立を試してみたところ、FCUを取り外すため「テイクダウンレバー」を抜き出すところでは、説明書に「テイクダウンレバーをまっすぐ抜き取ります」と書かれているが、引っ張りながら時計回りに回転させないとスムーズに抜けなかった。

 また、スライドアッセンブルを外す際も、組み込む際も、スライドストップをかけたほうが作業しやすいと感じた。いずれにしても通常分解と、FCUの取り外しに強い力は必要としないので、基本的には説明書の手順に従いつつ、上記2点の注意事項を頭の片隅に入れておいて、分解、組み立てを楽しんでほしい。

手動でスライドストップをかけたほうがスライドアッセンブルの取り外し、組み立てがしやすかった
「テイクダウンレバー」は引っ張りながら時計回りに少し回転させるとスムーズに抜き取れた

レーザー刻印は自己責任で。近代銃だけにユーザビリティは良好

 「P320 フルサイズ」はすでに発売済みということで、SNSを見ていると外装カスタムとして「SIG SAUER」のレーザー刻印を入れている方もいるようだ。リアルを追及する方の気持ちはよくわかるが、外装カスタムといえども無償修理を受けられなくなったり、修理自体を断られる可能性もある。あくまでも自己責任で挑戦してほしい。

スライドとグリップの「SIG SAUER」のロゴは省略されている
FCUにレーザー刻印されているユニークナンバーは、外からも確認できる

 「P320 フルサイズ」は、新しい設計のハンドガンということで、ユーザビリティーが高い。グリップの根元は深くくぼみが設けられており、無理なくしっかりと握り込める。アイアンサイトのサイトピクチャーは見やすいうえに、弾道も素直で当てやすいので、よほどの精密射撃でもなければドットサイトなどの光学サイトは必要ない。なお、弾道については次の項で紹介する。

 また、ホップアップダイヤルは「G17 Gen5 MOS」より軽い力で回しやすかった。サイトやグリップなどホップアップ以外の部分についてはシーンや人によって好みが分かれる可能性もあるが、筆者の周囲ではカスタムしていない箱出しの状態であっても好評だった。

グリップの根元は深くくぼみが設けられており無理なくしっかりと握り込める
アイアンサイトのサイトピクチャーは見やすい。精密射撃をするのでなければ光学サイトは必要なさそうだ
ホップアップダイヤルは「G17 Gen5 MOS」より軽い力で回しやすかった

0.25g弾であれば30メートル先のヘッドショットを狙える集弾性を実現

 最後に実射性能を確認していく。

 まずはトリガー周りについて。トリガーストロークは「G17 Gen5 MOS」より短めで、トリガープルは平均1.29kg、最小1.12kg、最大1.41kgとやや軽め。気持ちよく連射できるトリガーフィーリングに仕上げられている。

トリガーストロークは「G17 Gen5 MOS」より短い
トリガープルは平均1.29kg、最小1.12kg、最大1.41kg

 次は射撃音について。実射したところ、射撃音は平均90.88dBA、最小80dBA、最大101dBAとなった。「G17 Gen5 MOS」よりわずかに大きかったが、体感できるほどではない。インナーバレルからの発射音というよりも、スライドしたときの作動音が大きいようだ。

射撃音は平均90.88dBA、最小80dBA、最大101dBA

 初速については室温24.6℃の部屋で計測したところ、0.2gの適正ホップ時は平均73.6m/s、最小ホップ時は平均70.2m/s、最大ホップ時は平均74.9m/sを記録。0.25gの最小ホップ時は平均65.5m/s、最大ホップ時は平均68.9m/sとなった。ガスブローバックハンドガンとしては十分な初速だろう。

【0.2g適正ホップ時の初速】
最大74.2m/s、平均73.6m/s、最小72.9m/s
【0.2gの初速】
最小ホップ時の初速:最大72.2m/s、平均70.2m/s、最小66.6m/s。
最大ホップ時の初速:最大75.7m/s、平均74.9m/s、最小74.1m/s
【0.25gの初速】
最小ホップ時の初速:最大67.1m/s、平均65.5m/s、最小63.8m/s
最大ホップ時の初速:最大70.1m/s、平均68.9m/s、最小67.6m/s

 弾道については「G17 Gen5 MOS」と遜色ない素直なもの。19.3℃の屋外で32メートル先の40cmターゲットを撃ったところ、0.2g弾では数発に1発、0.25g弾であればほぼ全弾が命中した。0.25g弾であればヘッドショットを十分狙える集弾性を備えている。

【「P320 フルサイズ」実射】

モジュラーシステムを活用する多彩なパーツが東京マルイから発売されることに期待

 東京マルイ「P320 フルサイズ」は新開発のモジュラーシステムを採用した新設計のガスブローバックハンドガンながら、ある程度ホップをかけた時の初速の安定性、素直な弾道は「G17 Gen5 MOS」と遜色ない仕上がりだった。

 撃ち比べて気になったのは「P320 フルサイズ」のほうがブローバックが少しマイルドということだが、サバゲーで遠距離射撃するなら、この味付けのほうが使い勝手はよいとも言える。

 余談だが、モジュラーシステムを新開発したということは、異なるフォームファクターが発売される可能性は非常に高い言えるだろう。握りやすいグリップとは言え、手の小さな方にはフルサイズは手に余る可能性もあるので、コンパクトなどの小さいモデルができるだけ早くリリースされることに期待したい。

 また、アイアンサイトが見やすいとはいえカスタムしたい気持ちもあるので、シューティングマッチ用やサバゲー用にドットサイトを直乗せできる純正スライドの登場にも期待したいところだ。せっかく新開発されたモジュラーシステムをさまざまな用途に活用できるようになると喜ぶも多いのではないだろうか。