レビュー
ホビージャパン「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」レビュー
車体を前後に傾ける姿勢制御を再現、エンジンハッチ開放など"遊べる"模型
2026年4月15日 00:00
- 【1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)】
- 発売・開発元:ホビージャパン
- 3月末発売
- 価格:10,978円
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:約257mm
ホビージャパンが3月末に発売した「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」は、砲塔のない平たいシルエットを持ったスウェーデンのユニークな戦車「S-タンクC型」をモチーフとしたプラモデルだ。
本商品は「S-タンクC型ならではの特徴を再現したい」、「プラモデルとしてできるだけ精密にS-タンクC型を細部まで再現したい」という強い想いを感じさせるプラモデルだ。少し難易度の高いプラモデルではあるが、だからこそのめり込める楽しさを持っている。なによりS-タンクC型という非常にユニークな戦車を組み立て、そのディテールをたっぷり楽しめるのが面白い。
プラモデル「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」は、外見の精密な再現にとどまらず、エンジン内部のディテール、3人乗りの座席などの内部とその精密な表現をたっぷりと楽しめる。そして最大の特徴である車体の油気圧式懸架装置での姿勢制御を、プラモデルでも実現できるという非常に楽しい商品となっている。今回はスミ入れでディテールを強調して組み立てた。その魅力を紹介したい。
スウェーデンの地形を活かし、防御に特化した無砲塔戦車
STRIDSVAGN 103(S-タンク)はスウェーデンの主力戦車だ。1956年、後にハンガリー動乱と呼ばれるソ連やハンガリー社会主義労働党の支配に反対する全国規模の民衆の蜂起と、その鎮圧による内戦が起こる。この鎮圧では市民数千人が犠牲となり、多くの難民が国外へ逃亡することになった。
ソ連軍は軍を侵攻させてこの鎮圧に介入、ハンガリーの首都ブタペストも支配下に置く。このときソ連軍の100mm砲を搭載した戦車T-54の存在が明らかになる。ソ連軍の脅威から自国を守らなくてはならないスウェーデンは、それまで輸入を主とした主力戦車の導入を考えていたが、この計画ではT-54に対抗できないと判断。新たに自国での戦車開発の研究を進めることとなる。
この戦車は「105mm戦車砲を搭載」、「国内で調達できる鋼板を使用」、「渡河能力」、「全装軌式」、「戦闘重量37t以内」などいくつもの条件が設定された。この中でも特に重量が問題になった。さらに第2次大戦では地上1mまでは被弾率が極めて低かったことが判明した。
そして無砲塔により車高を低く抑え、車体に直接高威力の長砲身を搭載した「STRIDSVAGN 103(S-タンク)」が生まれる。STRIDSVAGN(ストリッツヴァグン)はスウェーデン語で戦車、103は100mm級の戦車砲を搭載した3番目の戦車という意味だ。S-タンクは起伏に富んだスウェーデン国内で防御運用に特化した設計思想となっている。油気圧式懸架装置によるミリ単位の姿勢制御による仰俯角能力を獲得、自国内という地の利を活かし、待ち伏せ、ヒットアンドアウェイ戦術に最適化された戦車として完成した。
S-タンクA型は1965年に制式化。今回モデルアップされたC型はB型の渡河を可能とする浮航スクリーンや、ドーザーブレード、ガスタービンエンジン搭載などを受け継ぎつつ、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを1基ずつ搭載、照明弾発射機、FCS(火器管制)更新、予備燃料タンク兼対HEAT弾用サイドスカートなど多数の改良が行われ無砲塔戦車の完成形ともいえる存在となり、A型、B型はすべてC型に改修される。
S-タンクはその後、近代改修モデルとしてD型が1997年に試作されるが、1997~1999年頃に全車退役。現在はドイツの「レオパルト2A4」をベースに改良した「Strv 121」と「レオパルト2A5」を改良した「Strv 122」が配備されている。
繊細な造形によるパーツ
プラモデル「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」のランナーやパーツを見ていこう。本商品は緑と黒の成型色で色分けされている。黒は履帯パーツだ。パーツは250を超えるボリュームのある内容となっている。
ワイヤーなどを引っかける牽引フックや、グリップなどの表現は非常に細かいため、組み立てにはピンセットが必要となる。先の細い精密ピンセットだけだと挟んだときにパーツを飛ばしかねないので、しっかりグリップできる幅広のデカール用ピンセットもそろえておきたい。ナイフ、切れ味のいいニッパー、ヤスリなども必須だ。接着剤は流し込みタイプと通常タイプ両方を用意する。
昨今のプラモデルでは「A-1とA-12を接着する」というようにランナー内でパーツを指定し、さらに「砲塔部分はAランナー」というように、部位でランナー分けがされている商品も多い。それに対し、「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」は、1~198までパーツ番号が割り振られている上、「82に3をくっつけ、その側面に155」といった感じで、複数のランナーとその対応番号が指定されているため、何度もパーツ表を見て確認する必要があった。筆者にはちょっとパーツを探すのが難しかった。
また、パーツによっては差し込むための凹凸が浅く接着がしにくいところがあった。この接続部分が浅い設計は「穴や差し込みを組み立てを考慮して大きくすると、モチーフのシルエットが崩れてしまう」という開発者の強い想いを感じた。上級モデラーならばピンパイスなどで穴を大きくしたり、箇所によっては真鍮線などで補強するといった方法もあるのだろう。今回筆者はあくまで説明書通りに組み立てたが、プラモデルの組み立てに慣れた中~上級者ならば、もっと積極的に手を入れ自分なりの完成形を目指すのだろうと思った。組み立てていて、開発者のプラモデルへのこだわりが強く伝わった。
S-タンクの油気圧式懸架装置による姿勢制御! 足回りの組み立て
金属でできた履帯を動かす力強い起動輪、そしてスムーズに履帯を接地させる転輪は戦車プラモデルを組み立てる上でも楽しい場所と言える。特に転輪は本体に内枠、外枠を接着した上、軸部分のポリキャップがあり7パーツで構成されている。この転輪は左右合わせて8個。1つずつ組み立て、8つそろえるのはなかなか充実感がある。
次は車体だ。本キットの大きな特徴である。「姿勢制御」を再現するため、前から2番目と4番目の転輪の軸そのものが回転するクランク状の軸を取り付ける。その上で転輪を取り付けていく。上部支持輪は接着してしまうが、起動輪、転輪、誘導輪は軸にポリキャップが使われており回転する。
組み立て中に姿勢制御システムをテストするのも面白い。本キットの姿勢制御は車体底面のレバーをピンセットで動かすことで車高を変えられる。この組み合わせで前傾姿勢と仰角姿勢をとらせることができるのだ。組み立て後の姿を思い浮かべてワクワクできる瞬間だ。
履帯、エンジンを組み立てる
そして1つのクライマックスといえる履帯の組み立てだ。履帯は上下と連結パーツの3パーツで構成されている。専用の治具も用意されているが、非常に細かい。「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」では片側62コマ、合計で124コマの履帯を作らねばならない。最後の前後の履帯をつなげて輪にする組み立ても少し苦労する部分があるが、それでも高い達成感を味わえる。
輪になった履帯を転輪にはめ込んでいくのだが、筆者の場合は起動輪を通り外し、噛ませた上で転輪にはめていくのがやりやすかった。ここから車体後部の部品を組み立てていく。組んでみて楽しかったのが後ろの2つの箱状の装備。これはシャフトを通して接着せずに取り付けているため、組んだ後でも動かすことができる。これは予備部品や工具に加え、乗員の日用品などを収納する「雑具箱」だという。
ここからエンジンを組み立てる。エンジンはパーツに造形されており、複雑な構造を数パーツ組み合わせるだけで表現している。S-タンクC型はディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを1基ずつ持っているのが大きな特徴で、そのエンジンの形をしっかり表現しているところが楽しい。複雑な構造はスミ入れだけでも充分見応えがある。さらにこのエンジンは組み立て後も見ることができる本商品の大きなセールスポイントなのだ。
エンジンに加え操縦席も組んでいく。S-タンクC型は3名の乗員で運用する。車長と操縦士が前方を向き、後ろ向きに無線手が座る。そして中央には巨大な砲の基部が貫通する。S-タンクC型は前方にエンジンがある構造になっているが、これは前方から攻撃されたとき大きなエンジンが壁となって人員を守ることを考えているという。
また、後ろ向きに座っている無線手は戦車が後進するときは操縦手となる。戦車が前方から攻撃を受け、前を向いたまま退却するときなどには、無線手が活躍するというわけだ。戦車の大きさに対し車内は非常に狭く、特に中央を貫通する主砲の基部は威圧感がある。組み立てることで「戦うための機械の合理的な構造」を実感できるのも模型の大きな楽しさだ。
コマンダーハッチ、ドライバーハッチ、車体上部の組み立て
ここからは車体上部を組み立てていく。車体上部となる基部パーツにまずピンパイスで穴を開けていく。この開けた穴は後で様々な部品を取り付けることとなる。特に前方に設置する「柵アーマー」を取り付けるには前の部分に左右合計で32個の穴を開けていく。
穴を開けたら車長が使う「コマンダーハッチ」の組み立てだ。このコマンダーハッチは開閉どちらかの選択式となる。今回は閉じた状態で組み立てた。コマンダーハッチの組み立ての特徴はクリアパーツを多数使うこと。これらは外を覗くペリスコープだ。さらにスモークディスチャージャーもセットする。こちらは非常に小さなパーツなのでピンセットで慎重に組み立てた。
次に組み立てるのはコマンダーハッチ側面に取り付けるKSP58機銃。この機銃はベルギーが開発した汎用機関銃FN MAGをスウェーデンで国産化したもので、S-タンク以外にもスウェーデン軍の車両や船舶にも使われている。
ドライバーズハッチの上に筒状のものがあるが、これは照明弾コンテナだ。ハッチの上にあるこの弾をコマンダーハッチの後ろにある2つのランチャー「リラン71mm照明弾発射器」に装填して発射するのだ。戦車には赤外線投射と赤外線センサーによって暗闇の敵を探す装備を採用しているものもあるが、S-タンクは照明弾を撃ち出すことで暗闇の敵を見つけ出そうという思想なのだ。ドライバーズハッチは組み立て後も開閉できる。
次は車体上部の装備を組み立てていく。向かって右側には2門の機関銃が内蔵されているボックスがあり、ハッチを開けることができる。ハッチの裏には様々な道具が装備されているのも表現されている。
次は車体後部の装備。ドライバーズハッチ用のペリスコープや、ディーゼルエンジンの排気口、後部のライトなど細かい部品を取り付ける。これらを取り付けてから、ドライバーズハッチ、コマンダーハッチを取り付ける。上部の部品を取り付けたところで車体下部と接着。ここまで来るとかなり戦車としての形がしっかりしてくる。
主砲、側面装備、ドーザーブレードを取り付け、完成
いよいよ完成へと向かう。主砲、そしてエンジンハッチを取り付けていく。S-タンクC型の主役と言える主砲はイギリスで開発された105mm戦車砲をベースに、62口径に長砲身化したもので自動装填、自動排莢機能が搭載されており、毎分15発という連射速度を誇る。砲塔がなく長大な砲が車体を貫通している構造を、プラモデルを作ることで実感できる。
車体上部のエンジンハッチには凹凸が刻まれている。またハッチを取り付けることで車体前面の傾斜がよりしっかりと印象づけられる。S-タンクは砲塔のない平たい車体で前面が傾斜していることで、前方から飛んでくる砲弾をはじくことを目指している。
そしてエンジンハッチに凹凸が刻まれているのは、機銃などで撃たれた際、傾斜装甲でそれた銃弾をこの凹凸で弾をさらに弾き、ドライバーズハッチや、コマンダーハッチに設置されているペリスコープを破壊しないように配慮しているのだ。この凹凸は車体上で作業する際の滑り止めも期待されている。一方でエンジンハッチが前面にあるという構造は装甲の薄さも指摘されている。
実車での機能がわかるとデザインの面白さがさらにわかってくる。プラモデルではこのハッチは接着せずに組み立てる。車体とハッチをかぶせた後も実車同様ハッチを開けて中のエンジンをのぞき込めるのだ。
車体側面は転輪を隠すようにサイドスカートが装備される。この側面のスカートにも燃料が入り、予備燃料タンクとして機能する。燃料を入れてあるのだが、補助装甲としての機能も持たせている。
最後に取り付けるのがドーザーブレード。これは展開することで土砂を押し出し陣地構築を可能とする。ドーザーブレードをオプションとして取り付けるという戦車もあるが、S-タンクC型は標準装備でこのドーザーブレードを装備している。防衛用の役割を担っての設計が感じられるし、厚いドーザーブレードが追加装甲としての機能も持っているのだ。
ついに「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」が完成だ。各部をチェックするだけでなく、魅力的なギミックも紹介していこう。
エンジンハッチ開閉や柵アーマーなどのギミックを体験
いよいよ完成だ。S-タンクC型は砲塔がなく、巨大な主砲が車体を貫通する独特の形状をしている。側面にはタンクの形そのままのサイドスカート、後ろには2つの雑具箱などまずシルエットそのものが面白い。
そしてやはりディテールだ。エンジンハッチ、ライト、コマンダーハッチのクリアパーツで表現されたペリスコープ。細部をチェックするほど気になる場所が増えていく。S-タンクC型のことをもっともっと調べたくなる。
「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」は"遊べる"プラモデルでもある。最大のギミックが姿勢制御だろう。S-タンクC型ならではの姿勢制御をプラモデルでも楽しめるのだ。
しかもそれだけでない、エンジンハッチ開放、ドライバーズハッチ開閉、さらにはHEAT弾防御用の「柵アーマー」の取り付け、ドーザーブレード展開など、"遊べる"プラモデルなのだ。
「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」は組んでいて非常に楽しいプラモデルだ。スウェーデンの地形での防御に特化した戦車、という目的のため、できるだけ低く、そして強力な火力を、というメインコンセプトから生まれた車体の姿がまずとても魅力的だ。エンジンを前方にしての乗員保護を目指す車体構造。無線手が後退の操縦者になるなど、設計思想が面白い。
視界をできるだけ確保しようとするペリスコープ。スモークディスチャージャー、照明弾、機銃など付属品を調べると一層愛着がわく。「後ろの可動する箱は何だろう?」と調べると雑具箱だったり、サイドスカートがそのまま燃料を入れる缶の形になっていたり、調べると色々わかってくる。エンジンハッチの凹凸は、車体装甲の傾斜によって生じた跳弾がペリスコープに当たるのを防ぐ効果があるなど、知ることでその設計と運用の工夫にうならされる。
さらにドーザーブレード展開、柵アーマー取り付けなどできるだけ現地で活躍させようというオプションも面白い。C型は進化してきたS-タンクの完成形だ。スウェーデンという国が運用の状況や時代の変化に、この戦車をどう対応させようとしたかも本商品はしっかり表現しているのだ。ちなみにこの戦車は軽く作られており、渡河能力も持たされている。フローターを横に取り付けることで川面に浮かぶことができるのだ。
独特の歴史とロマンを持つS-タンクC型を細部まで表現した「1/35 STRIDSVAGN 103C(S-タンクC型)」は作るのが難しいところもある。強度が弱い部分もあり、塗装してしっかり仕上げる上級モデラーならば一部の部品を真鍮線に差し替えたり、車軸を金属にしたりと改造することで質感や強度を向上させるだろう。そういう"手を入れる余地"があり、どこまでものめり込める商品だと感じた。もちろん今回のレビューのように素組みでも充分カッコイイ。ぜひ手に取ってほしい。













































































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