特別企画
美しい写真をローコストで! 100均アイテムでキレイにフィギュアを撮影できる環境を作ってみよう
2021年5月31日 00:00
フィギュアや模型などの立体物を入手後、しばらくするとやってくるのが「撮影してみたい」欲だ。手元にカメラがあるとその欲望はカジュアルに攻め込んでくる。ただそうなると、フィギュア数体分のライトや撮影ブースなどが必要と思ってしまう。
これはメーカーの製品写真やSNS上にアップされる写真の影響がとても大きいのだが、いざ調べると小さめの撮影ボックスでも数千円はするし、ライトなどもそろえなければいけない。さらに機材に対する知識も必要になりそうで、気にはなっていても敬遠している人もいるのではないだろうか。
しかしLEDライトさえ用意すれば、実はローコストな材料を組み合わせることでキレイに撮影できる。今回はそこで「100円ショップ」にあるもので手軽な撮影環境を構築するヒントを提案していきたいと思う。
1L容器やトレーシングペーパー、低価格のアイテムで光を効果的に使う
今回の予算はカメラとレンズ、そしてLEDライトを除外した場合、700円前後。あえて何度も使える常設タイプではなく、フィギュアの大きさや形状に合わせてその時々に組み立てる調整しやすいものとした。しかし今回提示した方法はほんの一例、100円ショップにあるアイテムの組み合わせは無限大だ。
まず光源である 「LEDライト」 は必須となる。同じ製品をふたつ選ぼう。光源は最小でもふたつあると変化を付けやすいだけでなく、全体的な明るさも稼ぎやすい。オススメは乳白色のカバーがついた光が広がりそうなタイプだ。
ランタンなどと記載されているタイプがよく、LED数が多いほどいい。明るさは正義だ。今回「100円ショップで道具を見つける」というテーマでお店で探したところ、乾電池式のLEDライトが光源としての条件に合致したが、ランニングコストや手間を考えるとACアダプター付きや、USB充電式の方がオススメだ。
今回は下記amazonのリンクでオススメ光源をピックアップしてみた。光源としてオススメなのは、2,000~3,000円のビデオライトや、ビデオ会議向けのリングライトだ。また、5,000~8,000円台の調光・調色可能な撮影用LEDライトを選ぶと、自由度が増す。予算があればこちらでさらに撮影の幅を広げていきたい。
次に光を拡散させる部材。これは 「トレーシングペーパー」 がいい。ライトの前にトレーシングぺーパーを置くだけで、十分な面光源になる。被写体よりも大きな面積が肝要だ。
またトレーシングペーパーの固定と収納ができるボックスタイプの 「A4ファイル」 も購入した。このふたつとLEDライトを組み合わせて、おおよそトレーシングペーパー大の面光源とし、被写体にだいたい均一に光を当てる。撮影したいものよりも大きな面光源になるよう材料を選ぶといい。
ライトピラー。お茶などを入れる 1Lの容器 にトレーシングペーパーで包んだLEDライトを入れた。面光源とは違った雰囲気になる。今回は立体感を出すために用意した。こちらのほうが被写体を明るく照らすため、その差で立体的に見える。
また面光源×2で照らした場合は、同じ明るさでなるため、2.5次元に寄るので、撮影したいフィギュアおよび見せ方に合わせて考えるといいだろう。なお容器の表面がマット調であったり、乳白色系である場合はトレーシングペーパーはなくてもいい。
撮影するだけであれば上記の組み合わせだけでもいいが、背景もほしい。背景は リメイクシート や 敷き布 など豊富にあり、雰囲気の変更にも便利だが、光沢のあるものだとライトの光が入り込みやすいため、シールタイプであればマットなものを選ぶといいだろう。
冒頭に掲載した写真は、光沢のある背景であるため、ちょっとライトが写り込んでいる(ピンと貼れば問題なかったと思うが)。
背景の固定は垂らしてもいいし、 「ワイヤーネット」 を利用してもいい。後ろに背景固定さえできればOKだ。クリップで追加のライトを固定するなどを考えると、ワイヤーネットがオススメ。ワイヤーネットを自立させる足もセットで並んでいることが多い。
今回、筆者は100円ショップを巡って道具を準備したが、記事の末尾にAmazonや楽天で購入できるオススメ商品をピックアップした。数量が多くないと注文できなかったりで割高になってしまっている商品もあるが、アイテム選択の参考にして欲しい。
別の撮影パターンも見てみよう。LEDライト×2と背景のみとシンプルだが、メカやカッコイイ系の撮影に向く。購入したLEDランタンは、扇状に光が広がるが、LED自体は直進線のある光であるため、端になるほど光は弱くなる。
またトレーシングペーパーなどでさらに拡散させていないため、ちょっと硬めの光でもある。といったことを踏まえて以下。「アイアンマン」のフィギュアを撮影していく。
本稿はヒントであり、自宅環境に合わせてモリモリと改造していくきっかけになれば幸いだ。なお、カメラとレンズはエントリーモデルで構わないが、カメラをミニ三脚などで固定できると他の環境を調整しやすくなる。カメラを固定できる環境はきちんと用意したいところ。
まだ三脚まで予算がまわらない、という場合は、本などを積み上げてカメラの高さを調整してもいい。シャッタースピードや絞りの数値で、手で持つと手ぶれが出やすい。大事なのはカメラを手で構えて撮るのではなく、カメラを固定して撮る環境を準備することだ。
今回はあえて低予算にこだわってみたが、デメリットもある。今回の例のように低予算で撮影環境を準備する場合、光源がうまく安定しない場合もあり、試行錯誤の回数は増えてしまうだろう。また同じ環境を日を改めてもう1度作る、と言うのも難しい。毎回の工夫を楽しむくらいの気持ちで、いろいろなものを利用して、その変化をチェックしながらビルドして欲しい。
試行錯誤をすることで本当に必要な光源の状態や、よりよい環境がわかってきて、実現させるにはどんな道具が必要かも見えてくる。まずは大きな面光源を作るといい感じになりやすいので、今回の環境を参考にライトとトレーシングペーパーの構成からはじめて、手軽に撮影できそうなアイテムを増やしていくといいだろう。