特別企画
たくさんの軍用機を間近で見れるアメリカンなお祭り「日米親善春祭り2023」の魅力を紹介
2023年4月22日 19:48
- 【日米親善春祭り2023】
- 4月22日 開催
NAF厚木基地・海上自衛隊厚木基地は、交流イベント「日米親善春祭り2023」が本日4月22日に開催した。弊誌ではフォトレポートとしていち早く展示物などを紹介しているが、本稿ではイベントの魅力をもう少し掘り下げたい。
在日米海軍・厚木基地は、神奈川県綾瀬市にあるアメリカ海軍の航空基地だ。米海軍横須賀基地に所属している原子力空母搭載の艦載機(ヘリコプター等)の補給・整備を行っている施設である。この基地は、海上自衛隊厚木航空基地と敷地を共同利用しているのも特徴だという。海上自衛隊の航空集団司令部やP-1対潜哨戒機を運用する第3航空隊などが所在している。
イベントの大きな目玉は基地で運用されている戦闘機や輸送機、哨戒機が滑走路に展示され、間近で見ることができるところ。また、空母に搭載されている戦闘攻撃機F/$-18は、山口県の岩国基地で整備が行われているが、このイベントのため飛来しその姿を見せてくれるところもうれしい。
そしてたくさんの屋台、子供のためのアトラクション、米軍兵士、自衛隊員との交流、地元のブラスバンドや有志のコンサートなど盛りだくさん。屋台でのハンバーガーやピザ、バーベキューなどアメリカンな食材も大きな楽しさだ。写真とともにイベントの魅力を紹介していこう。
アメリカンなノリも楽しい様々なイベント
NAF厚木基地・海上自衛隊厚木基地は軍用の施設であり、一般の人の入場は制限されている。見学を申請することは可能だが普段は入ることができない場所だ。「日米親善春祭り」はそういった普通は入ることができない基地を見ることができるイベントである。
2019年までは定期的に開催されていたが、新型コロナウィルス感染防止の自粛から開催が見送られていた。今回は4年ぶりの開催となる。厳めしい正面ゲートで、書類のチェック(免許証と本籍記載の住民票、パスポート、マイナンバーカードなど)を受けた後、手荷物検査を受けての入場となる。
厚木基地には退役した戦闘機やヘリコプターなども展示されている。これらはお祭りとは関係ない常設展示で、エンジンなどの主要部品は取り外されているが、F-4ファントムや、F-14 トムキャットといった米海軍の機体を間近で見れるのはうれしいところだ。
そして「日米親善春祭り」用に屋外コンサート会場、大きな屋台、様々なグッズなどが販売されている。正面ゲートから滑走路に向かう道がメインの通りとなっており、ここに様々な展示や販売などもある。SH-60Bシーホーク対潜ヘリを身近に見れるだけでなく、空港用の消防車も展示されている。
滑走路展示の機体もそうだが、一部の機体は胴体内やコクピットに乗ることが可能で、機体に乗った記念写真も可能。ガイド役の搭乗員達もフレンドリーだった。自衛隊では最新の化学消防車も出展、耐熱効果を重視した消防服を試着できるサービスもあった。米軍消防車は、回転灯を回し、サイレンやクラクションを鳴らすサービスを実施。その大音響のサイレンを響かせていた。
やはり楽しいのは様々な屋台だ。日本のお祭り風の屋台もあったのだが、ハンバーガーやホットドッグ、バーベキューにピザというアメリカの食文化そのままの屋台が楽しかった。水気の少ないべったりとしたチリソースをかけるホットドッグや、1ホールそのままのピザを売る屋台もあり、大人気だった。屋台の裏では大きな野外グリルでソーセージや肉を焼いており、アメリカ映画の1シーンのような光景だった。
ライブ会場ではノリノリでヘビィメタルを歌うシンガーに、拳をあげて応じるのりのいい店員がいたり、全体的にアメリカンなのりが楽しい。別会場では高校生のブラスバンドがあったが、イベント開始時には英語のアナウンスがあったり、来場者はもちろん、厚木基地の関係者、家族も楽しめるイベントとなっていた。
子供達が楽しめるトランポリンや巨大滑り台に加え、実際の消防自動車の放水ホースを使った消防士体験や、救命ボートに乗ったりと言ったアトラクションもあり、厚木基地ならではのイベントとなっていた。加えて自衛隊イベントでおなじみのミニバイクを改造したミニP-3Cのパフォーマンスも披露された。本物のパイロット達が行うミニバイクの機体の見事なパフォーマンスはとても見応えがあった。
「日米親善春祭り2023」の大きな魅力は実際に運用されている軍用機の展示であるが、それ以外の人にも楽しめる要素がたくさんあるというのがわかった。筆者にとっては「アメリカっぽいお祭り」というノリが楽しかった。次章では軍用機展示、特に自衛隊関連の機体を取り上げたい。
輸送に救護に偵察、様々な形で活躍する自衛隊の航空機
「日米親善春祭り2023」は滑走路に日米両軍の様々な機体が展示されている。自衛隊の場合は、輸送機やヘリコプターなどを展示していた。こういったイベントに関して自衛隊は広報がしっかりしており、機体の前にはその機体がどういった役割があり、実績があるのかを紹介してくれる。
また、機体の前にはその機体を担当する隊員がいて、気さくに質問に答えてくれる。機体によってはコクピットに座ったりも可能で、航空機ファンならずとも楽しくなる体験だった。
いくつかの機体を取り上げたい。「輸送ヘリコプターCH-47」は、チヌークと呼ばれる機体。機体の前後に大きなローターを持つ輸送力に優れた機体で、空挺部隊の運搬や、負傷者、救護者の運搬などでも活躍する。今回の展示では後部ハッチを開いた形で、内部をのぞき込むことができた。空挺部隊の訓練シーンなどを思い出してしまった。
「輸送機C-130」は全長28.9mの大きな輸送機。最大92名の乗員を運べる輸送能力が最大の特徴だ。新しい機体のように見えるが、実は30年ほどアメリカで使われた後、アリゾナの「飛行機の墓場」とも呼ばれる場所で保管されていたものを再生し再導入した機体だという。注目はプロペラにびっしりと書き込まれた文字。プロペラの角度など整備に必要な情報が書き込まれており、この数字を使ってプロペラの調整を行うとのことだ。
厳めしいシルエットの「UH-60J」は、海難救助用のヘリコプター。機体横にはウィンチが取り付けられている。ここからワイヤーを延ばした隊員が海上の要救護者を助け上げるシーンは報道や訓練でよく目にする光景だ。
この機体の特徴は機体前に突き出した棒。この棒は空中給油が可能な装置だ。UH-60Jは機体左右に増槽がついているのだが、空中給油でさらに捜索時間の延長を計れるとのこと。広大な海で要救護者を探すのは砂漠で1本の針を探すようなものだ。改めて任務の困難さを実感させられるエピソードである。
他にもジェットエンジンで広大な担当地域をカバーする「P-1」、水上着陸機として迅速に救助を行う「US-2」、日本の海上、対潜水艦の防衛の要といえる「P-3C」など様々な機体を見ることができた。現役の軍用機を見ることができるのは基地祭の醍醐味といえる。今後他の基地祭や航空祭もイベントも取り上げたい。