特別企画
【ホビーショップ訪問】広いプレイスペースを備えたホビーショップ「まちキャラ コクーンシティ店」
トレカを強化し、"毎日お客様が来てくれる店舗"を目指す
2024年11月14日 00:00
- 【まちキャラ コクーンシティ店】
- 場所:さいたま市大宮区吉敷町4-263-1 コクーンシティ2・3F
マッチングワールドは9月20日、さいたま市のコクーンシティにホビーショップ「まちキャラ コクーンシティ店」をオープンした。
ホビーショップ「まちキャラ」はプラモデルやフィギュア、トレーディングカードなどを主な商材として扱う問屋マッチングワールドが運営しており、本店舗で4店舗目となる。「まちキャラ」はマッチングワールドが扱う商材をユーザー向けにオンラインで販売するECサイトとしてスタートしたが、「お客様と直にふれ合いをしたい」という想いから2021年に秋葉原に実店舗「まちキャラ」を展開した。
ユーザーとのふれ合いは店舗運営のノウハウに加え、取引先のキャンペーン戦略を反映することもでき、多くのものをもたらし、東京郊外や千葉でも店舗をスタートさせた。これら3店舗はフィギュアやプラモデルなどの商材が中心の、対象ユーザーの年齢層が高めの店舗を運営してきたが、「まちキャラ コクーンシティ店」はその強みを活かしながらも大きく戦略を変えるという。
その鍵となるのが「トレーディングカードゲームコーナー」。そしてプレイスペースである。コクーンシティという大きなショッピングモール内という立地条件を活かし、新しいユーザーとの関わり方、新しい店舗の形を目指す。「まちキャラ コクーンシティ店」はどのような想いで店舗を展開しているのか、「まちキャラ コクーンシティ店」の"毎日来てもらう場所を目指す店舗展開"とはどのようなものだろうか?
40人の対戦コーナーでトレカに注力、家族連れも楽しめる工夫も
コクーンシティはJRさいたま新都心駅前にある大きなショッピングモール。2024年でスタートしてから9年目を迎える。100もの専門店が展開するコクーン1を中心に、フードコートやレストランが集まるコクーン2、ヨドバシカメラをキーテナントにしたコクーン3などで構成される、広大な敷地と多彩な店舗で幅広いユーザーのニーズに応える場所だ。
「まちキャラ コクーンシティ店」はレストランやフードコートのあるコクーン2にあり、入口からフードコートへ向かう通路沿いに店舗を展開している。入口方面には子供の遊び場があり、フードコートへ繋がる道は特に休日に家族連れの往来が多くなる。
「まちキャラ」を運営するマッチングワールドは創業24年の問屋である。プラモデルやゲーム、トレーディングカードゲーム、フィギュアなどを取り扱っている問屋だが、昨今のオンライン販売の充実に合わせ、「まちキャラ」というECサイトを展開するようになった。
そこからさらに2021年に"実店舗"として同じ名前の「まちキャラ」第1号店を秋葉原(末広町)に展開した。実店舗を構えたのは"お客様とふれあう場所を持ちたかったため"とのこと。実店舗を持つことでメーカーのプロモーションとの連携もしやすくなるほか、ユーザーの反応を得ての仕入れや、メーカーとの情報の共有などメリットは大きいという。その後、千葉、昭島と東京郊外に店舗を展開、順調に事業を拡大している。
「まちキャラ コクーンシティ店」は4店舗目となる。このコクーンシティー店は、これまでの「まちキャラ」とはちょっと違う、新しい挑戦を行う。これまでは問屋としての取引先の傾向を活かし、プラモデル、フィギュアが中心の対象年齢の高いホビーショップとして店舗を運営していたが、コクーンシティーでは"家族連れ"を強く意識し、今までにない戦略をとる。
今回、「まちキャラ コクーンシティ店」の店舗戦略の話を聞いたのは本店のみならず「まちキャラ」全店の統括店長を務める梅木裕康氏。梅木氏は「まちキャラ コクーンシティ店」では"毎日お客様が来てくれる店舗"を目指したと語る。
その戦略の要となるのが「トレーディングカードゲームコーナー」。「まちキャラ コクーンシティ店」の店舗面積は64坪(211.57平方メートル)だが、実に半分をカードゲームの売り場と、そしてプレイスペースに割いている。
「まちキャラは、問屋であるマッチングワールドの店舗なので安定した商品供給は大きなセールスポイントです。『ガンプラ』をはじめとしたプラモデルは大きな商材ですが、プラモデルは発売日にお客様は来ていただけますが、入荷数は限られており、お客様も毎日は来てくれない。コクーンシティはショッピングモールです。トレーディングカードゲームに注力することで、毎日気軽にお店をのぞいてもらう店を目指しました」と梅木氏は語った。
「まちキャラ コクーンシティ店」のトレーディングカードゲームコーナーは新品だけでなく、中古も扱っている。本商店で買い取りを行っているのはトレーディングカードゲームのみ。レアなカードはしっかりとアピールするし、多く仕入れられるカードは安くなる。
トレーディングカードゲームは基本パックのほか、「ブースターパック」といった追加のカードを購入して増やしていく。基本パックに加え、ブースターパックも内容はランダム。自分が目指す戦略を実現できる「デッキ」を構築するためには多くのブースターを買うのも良いが、中古で販売されているカードを購入するのも有効な手段だ。カードによっては子供のお小遣いでも買える安価なものもあるし、中古のカードを見て新たなデッキ構築を目指すのも楽しい。
「まちキャラ コクーンシティ店」では40席のプレイスペースが準備されている。コーナーは無料で使用できるので、購入したカードを早速組み込み戦うこともできる。もちろん知らない人に勝負を挑むことも可能だ。店舗のラインナップが更新されていないか、対戦相手に出会えるか、といった感じで毎日店舗に来て欲しい、というのが店舗側の狙いだ。
「まちキャラ コクーンシティ店」で最も人気が高いのは「ポケモンカードゲーム」。ほかにも「ワンピースカードゲーム」、「ドラゴンボールスーパーカードゲーム フュージョンワールド」といった新しいタイトルにも力を入れている。低年齢層、家族連れにトレーディングカードゲームをアピールしたいという想いもあるという。
40人が座ることができるプレイスペースはトレーディングカードゲームのイベント開催を容易にするだけでなく、他のイベントも可能とする。BANDAI SPIRITSの恐竜プラモデル「プラノサウルス」の親子で参加できる組立教室は非常に人気を集めたとのこと。このほか発売前のゲームの体験大会なども開催した。特にトレーディングカードゲームの大会は毎週末開催し、ユーザーの交流を促進しているという。
通路沿いは家族向け商材を、奥にはディープなガンプラコーナー
「まちキャラ」はトレーディングカードゲームやプラモデル、フィギュアを中心とした問屋・マッチングワールドが運営しているため、ハイターゲットにアピールする商材が多い。しかしコクーンシティを訪れる家族連れにはどのような商材が刺さるか? 「まちキャラ」ではこのコクーンシティー店に向けての商品展開を改めて考えたという。
「新しいユーザー層への訴求」の第1の戦略がトレーディングカードゲーム。それだけではなく、通路側にミニフィギュアやぬいぐるみなどを並べたのだ。通りを行く家族連れや女性客に立ち止まって店舗に訪れてもらいたい。ミニフィギュアを得意とするリーメントの商品など女性にも人気が高い商品を多く並べ、通路側は可愛らしい雰囲気を前面に出す構成にした。
そして品揃えに力を入れているのが「ガンプラ」。9月20日のオープン時は開店前に行列ができるほどの人気で、現在はかなり売れてしまい再入荷を待っている状況とのこと。ほかにもコトブキヤ、タミヤ、アオシマ、ハセガワ、マックスファクトリーなどのプラモデル、そして工具も置いている。イベントをやった「プラノサウルス」はコーナーを作ってアピールしていた。
「『ガンプラ』はグループ全体で力を入れている商材です。特に『まちキャラ コクーンシティ店』は色々な場所からお客様に来ていただけるので発売日は混雑します。このため広告やXで告知を行い、開店より早い時間で"待機場所"をアナウンス、当日は行列を整理するためスタッフが早めに出社しご案内しています」と梅木氏は語った。
アクションフィギュアは新発売は棚に、ガラスケース内に在庫商品を販売しているが、「まちキャラ」グループの倉庫から貴重な"お宝"も販売しているので、コレクターはチェックすると掘り出し物がありそうである。
「『まちキャラ コクーンシティ店』はコクーンシティを訪れる家族連れを強く意識したレイアウト、品揃えを目指しています。他の店舗は高い年齢層のユーザーを意識した"ホビーショップ"という感じなんですが、『コクーンシティ店』は"エンタメホビーショップ"として、来て楽しめる、何度でも訪れて楽しい体験ができる店舗を目指しています」」と梅木氏は語った。
「まちキャラ」はグループ本社で最初に各店のコンセプトを決め、レイアウトや販売する商材のラインナップを決めていく。「まちキャラ コクーンシティ店」は初めて大きなプレイスペースを設置し、トレーディングカードゲームに注力、さらに通路に面したところに子供や女性を意識した"家族で楽しめる店舗"を目指したという。
「ガンプラ」やフィギュアは発売日にその商品を買うために店舗を訪れる。「まちキャラ コクーンシティ店」はそういったユーザーの声に応えながらも、イベントで盛り上がっていたり、ずらりと並んだトレーディングカードや、可愛らしいぬいぐるみで「面白そうだな」と目的がなく、雰囲気に惹かれて店舗に入る、そういった新しい顧客を創り出す店舗を目指している。他の「まちキャラ」以上に独自のカラーも強くした店舗とのことだ。
最後に梅木氏に今後の「まちキャラ コクーンシティ店」について聞いた。梅木氏は「コクーンシティ店の強みは、自前のプレイスペースです。トレカの大会だけでなく、親子で楽しめるプラモデル(ガンダムや恐竜)の体験会や、新作ゲームの先行体験会などを実施していきます。そして今後は、さらにこのスペースを活用し色々なことをやっていきたいと思います」と語った。
ホビーショップというと、昔の模型店のように店舗の中にぎっちりフィギュアやプラモデルが並んでいて、低年齢層のユーザーには憧れを感じると共に、敷居が高いイメージがある。本店もガンプラを中心に様々なハイターゲット向け商品を並べており、ディープな雰囲気も持っている。
しかしそれだけではない。コクーンシティの家族連れが行き交うニーズ、そしてなによりトレーディングコーナーとプレイスペースにより、「ものが買えるだけではなく、来て楽しい場所を目指そう」というホビーショップにとって新しい挑戦を行っているのが今回しっかり実感できた。
ガラスケースに陳列されたレアカードで色々想像したり、お小遣いで考えに考えたカードを買ってデッキに組み込んで試す。小学校で「あの店に新しいカードが入ったぞ!」と噂する。こういった新しいムーブメントを「まちキャラ コクーンシティ店」は巻き起こしているのではないか? とてもユニークな挑戦であり、応援したい。