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【静岡合同展示会】これぞ模型製作の醍醐味! 1/35ジオラマに籠められたドラマと1/48航空機の緻密なディテール表現!!
2020年11月9日 17:17
静岡ホビースクエアにて開催中の「静岡モデラーズ合同展示会」。今回はミリタリーモデルの王道、1/35スケールの「スターリングラード」の冬の戦いを描いたジオラマと、1/48スケールの航空機をピックアップする。
先ず1/35スケールジオラマは、「SMMC静岡モデラーズミーティングクラブAFV部」下沼博之氏の「雪 in Stalingrad」。
ミニアート社のドイツ兵と、タミヤ製「カーゴトラック」「キューベルワーゲン」を組み合わせ、ドイツ軍が旧ソ連の激戦地「スターリングラード」で冬将軍の前に手痛い敗北を喫そうとしている1コマを再現している。
今回、会場は溢れる熱気で暑いぐらいであったが、まず一目でロシアの厳冬の世界に連れて行かれそうになる、雪景色の描写に唸らされた。このドラマの主役、5体のドイツ兵はほぼキット通りと思われるが、凍えそうな様子を表現した塗装が素晴らしい。
また、キットで焚き火を囲んでいる様子から、ドラム缶で急造されたかまどに変えているのも、より寒さを引き立てている。
そして、本作では脇役に回っている「カーゴトラック」「キューベルワーゲン」は、一旦完成した物に雪化粧を施してあって、厳冬下に耐える兵士の表現の為に一度完成させた部分を隠していく工程がよりジオラマをドラマチックに見せているのだ。
1/35スケールは日本のタミヤがスタートさせたスケールだが、その後世界中のプラモデルメーカーが追随し国際標準スケールと言えるまでに層が厚くなった。永年、世界中のモデラーによって様々なドラマを表現してきた1/35スケールAFVとフィギュアによるジオラマの素晴らしさを感じさせてくれる作品だと感じた。
続いては、静岡県内のメンバーが集い“実物に近づけることを目標に色々な工夫をして製作している飛行機を中心にしたクラブ”である「富士ウイング8」の高井康之氏による1/48スケール航空機。
まず目を引かれたのが、この「スツーカ」のエンジン部。そもそも航空機はやはり空を飛んでこそ。だが、どうしても模型という制約がある。そこで逆の発想で、地上でなくてはならない状態、整備中として置かれている点に、実物に近付ける工夫を感じさせる。エンジン部分やコックピット、点検パネルの断面など、非常に細かい部分を再現する事で、1/48の模型だとは思えない完成度となっている。
今回高井氏は会場に4作品を出展していたが、どの作品も必ず傍らにフィギュアを置いてドラマを演出させている。これは髙井氏の作家性だと感じた。ジオラマは前半で紹介した「スターリングラード」のように土台まで作る人もいるが、髙井氏は模型とフィギュアでドラマを感じさせる模型を作り上げている。フィギュアを実際の人間に近付ける事で、当然航空機も模型である事を忘れさせる効果が生まれるのだ。
筆者が聞いた話では、航空機模型愛好家の中では、「地上の駐機中だと車輪を造ったりして大変なので、飛行中の状態にして製作時間を短縮しよう」と提唱された事があったぐらい、航空機の車輪などの製作には手間暇がかかるのだという。しかし高井氏はさらに内部とフィギュアも造り込み、4作品も展示しているのだ。まさに驚きとしか言いようがない。