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【静岡ホビーショー】ウクライナ紛争の影響を受けながらも旺盛な制作意欲! 次々に新作を生み出し続けるヨーロッパホビーメーカーレポート
2022年5月14日 00:00
静岡ホビーショーは、“模型の首都”である静岡のホビーメーカーを中心としたイベントだが、世界中のプロダクトにも出会うことができる。ビーバーコーポレーションは、日本のホビーファンに向けて、世界中のホビープロダクトの輸入卸を行なっている代理店で、今年も世界中のメーカーから届いた魅力的な新製品を展示していた。
ブースを眺めていて、すぐ気付いたのはウクライナやチェコなど東欧圏の新製品が数多く展示されていたことだ。これはウクライナ紛争で同国の注目度が上がっているからというわけではなく、もともとウクライナはプラモデルの一大生産拠点。ビーバーは東欧メーカーとの結びつきが深く、実に100社以上のメーカーとの取引があり、このタイミングで新製品を出してきたメーカーがウクライナやチェコだったというだけだ。
取材に応じてくれたランツ・ブレイマン氏に、ウクライナ紛争の影響はないのか尋ねると「影響は大きいです」と即答してくれた。MIKROMIR(ミクロミル)、AMP(エーエムピー)、DORA WINGS(ドラウィングス)、CLEAR PROP!(クリアプロップ)といったウクライナのメーカー/ホビーブランドは、キーウ(キエフ)やドニプロといった大都市に拠点を置き、本社や工場に直接的な被害を受けたところは少ないものの、ウクライナから商品を日本に直送することができなくなり、陸路でいったんポーランドに運んでから空輸しているため、時間もお金も掛かってしまうという。
ちなみにDORA WINGSの社長は、元軍人だったこともあり、軍に請われて軍務に復帰したため、一時的に会社の業務がストップしてしまったという。現在はプラモデルの開発と軍役の2足のわらじで新製品の開発に望んでいるという。なかなか凄まじいエピソードだ。
また、INFINITY MODELS(インフィニティモデルズ)やMARK I. models(マークワンモデル)といったチェコのメーカーも、ウクライナメーカーとの共同開発が多いため影響は甚大だという。
一方、ビーバーは、RED IRON MODELS(レッドアイアンモデルズ)をはじめとしたロシアメーカーとの取引も行なっているが、ロシアへの制裁措置で支払処理が行なえなくなっているため、取引は停止中、再開の目処は立っていないという。商品は店頭在庫のみでなくなり次第終了となるという。ロシアメーカーのファンは、早めにサルベージSiteおいた方がいいかもしれない。
ウクライナ紛争回りの話はこれぐらいにして、ブースで見つけた魅力の新商品を紹介しよう。新製品を眺めていて日本のいちホビーファンとして嬉しかったのは、日本軍機が散見されたことだ。
ウクライナMIKROMIRのプラモデル「1/72 三菱 J4M 局地戦闘機 閃電」(5月発売予定、6,600円)は、旧日本海軍が計画され、中止となったレシプロ推進式の局地戦闘機に、栄ジェットエンジンを搭載した架空モデル。ウクライナにはこの手の架空兵器が少なくないというが、日本軍機をモチーフにしているのは嬉しいところ。ちなみに、ポスターの端には「ロシア侵攻中のウクライナで生産」とあり、侵攻されても生産は止めない“ウクライナ魂”が感じ取れる。
MIKROMIRの架空兵器といえばもう1つ、大戦中に川西航空機が研究開発を行なった超大型飛行艇「KX-03」も展示されていた。全幅180mに達するとされる主翼上部にズラリと並べられたターボプロップエンジンが特徴的な機体がダイナミックに再現されている。すでに発売中で、価格は10,580円。
チェコのINFINITY MODELSからは2機種。「1/32 九九式艦上爆撃機一一型」(2022年発売予定、価格未定)と「1/32 九七式三号艦上攻撃機」(2022年発売予定、価格未定)。共に太平洋戦争初期の日本海軍機動部隊の快進撃を支えた名機で、通好みのチョイスだ。
いずれも仕入れが大変だということだが、世界中の良質なプラモデルを今後も日本に届けたいというバービー。ホビーショップで海外製のプラモデルを見かけたら、ぜひ一度手に取ってみては如何だろうか。