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無塗装でもかっこよく! 「ARTPLA ガンバスター」は成型色に注目【#全日本模型ホビーショー】

パイロットの女の子フィギュアの"肌色"とも映える!

【第61回 全日本模型ホビーショー】

開催期間:9月30日~10月1日(業者招待日:9月29日)

会場:東京ビックサイト(南1,2ホール)

入場料:1,200円(中学生以下:無料)

 海洋堂は新作として「ARTPLA SCULPTURE WORKS ガンバスター・タカヤノリコ・アマノカズミ(太陽系絶対防衛戦)」の彩色と、無塗装の試作品を展示していた。本商品は12月発売予定。価格は7,700円。現在予約受付中だ。

 「ARTPLA SCULPTURE WORKS」シリーズは海洋堂が展開していたガレージキットの原型をプラモデル化していくというのがコンセプト。原型師の思いの詰まった造形をいかにプラモデル化していくか、原型の描くラインやディテールを損なわず、パーツ分割、ポーズの調整、彩色や組み立てやすさを考えたランナー設計など、原型師の造形のみならず「プラモデル化」というところまでアーティスティックな感性を感じてもらおう、という開発者の想いが込められている。

「ARTPLA ガンバスター」の原型は1991年発売に海洋堂が発売したソフビキット。原型師は「ロボ師」と呼ばれた佐藤拓氏

 筆者は先日「ARTPLA SCULPTURE WORKS エヴァンゲリオン2号機獣化第2形態ザ・ビースト“ジオフロント血戦”」を組み立てることでそのコンセプトを体験することができた。

 「ARTPLA SCULPTURE WORKS ガンバスター・タカヤノリコ・アマノカズミ(太陽系絶対防衛戦)(以下、ARTPLA ガンバスター)」は、1991年に海洋堂が発売したソフビキットの原型がオリジナルだ。原型師は「ロボ師」と呼ばれた佐藤拓氏。様々な印象的なロボットフィギュアを生み出したが2006年に急逝され今でもファンの間で語り継がれる人物である。

 佐藤氏は独創的なアレンジで知られるが、「ARTPLA ガンバスター」は設定画にかなり忠実なある意味"おとなしい"印象を受ける。しかしその原型には独特のバランスがあるという。アニメ「トップをねらえ」で印象的な腕を組んで仁王立ちするガンバスターの力強さを表現するための足の微妙なライン、組んだ腕、特徴的な肩の描き方など、開発者はアクションフィギュアなど可動を考えた商品と微妙に異なる、ポーズ固定のフィギュアだからこそ描き出せるシルエットを再現すべく注力したというのだ。

商品は設定画に近いデザインであるが、太ももの位置、膝への接続の角度、すねのライン、ここにもアーティスティックな感性が込められているとのこと
腕は重なっていてアクションフィギュアではできない表現。肩、首の描き方も固定ポーズならではのアレンジが加えられている

 プラモデル化に当たり、佐藤氏が手がけた原型を3Dスキャン。そこから調整を行っている。手足などのラインの調整だけでなく、佐藤氏が手がけたときに参考とした資料と、現代で正確に設定されたガンバスターの設定画は微妙に異なり、この部分の修正もしたとのこと。こうして極めて設定画に近い雰囲気を持ちながら、佐藤氏ならではのデザインを感じさせる商品を生み出すことができた。

 開発者はそこから「無塗装でもかっこよく」という想いを込め成型色を選定した。「ARTPLA SCULPTURE WORKS」は作例として彩色見本を提示しているが、彩色をかっこよくするには高い模型スキルが必要となる。開発者としては無塗装でも、あるいはスミ入れだけでもかっこよく、購入者が満足する商品を目指しているという。その担当者が悩んだ末にたどり着いたのが、「黒鉄色」と言える今回の成型色。気をつけたのは「暗くなりすぎないこと」。深い黒色にしすぎてしまうと原型のディテールが潰れてしまう。このため、墨入れは明るい色の方がいいのではないか? とのことだ。

黒く、重量感を感じさせながらも、ディテールが潰れない明るさを考えたという成型色

 「ARTPLA ガンバスター」はパイロットであるタカヤノリコとアマノカズミのフィギュアがセットである。彼女達の成型色は"肌色"である。「ガンバスターの黒鉄色と肌色が並ぶとなんだかドキッとしませんか?」と開発者は言う。無骨なロボと柔らかい女の子、「トップをねらえ」の魅力を強調する成型色にしたという。たしかに黒鉄色のロボットの存在感と、肌色の女の子が生むコントラストは独特の雰囲気がある。

 「ARTPLA SCULPTURE WORKS」シリーズはこれからも無塗装と、モデラーによる彩色両方をセールスポイントにしたいとのこと。モデラーがその思い入れと技巧を活かせる素材として、原型のディテールをしっかり楽しめるプラモデルとしてアピールする。それは海洋堂がこれまでも取り組んでいた姿勢だという。海洋堂だからこそ生み出せるプラモデルとして、これからも注目していきたい。

開発者こだわりの肌色とのコントラスト
原型を活かしモデラー技術を注ぎ込める素体だ