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まるで本物の動き――未来を感じたKATOのワンハンドルマスコン【#静岡ホビーショー】

【第62回 静岡ホビーショー】

開催期間:5月8日~12日

会場:
ツインメッセ静岡
(静岡県静岡市駿河区曲金3-1-10)
入場料:無料

 5月8日から5月12日まで開催されている模型イベント「第62回 静岡ホビーショー」出展中の鉄道模型関連ブースを回ってきたのでご紹介しよう。今回ご紹介するのはKATOのブースだ。

気分は電車運転士! 力行もブレーキも自由自在

 KATOブースでまず目を引いたのは「ワンハンドル運転台型コントローラー」だ。通常の運転台のようにディレクションレバーやマスコンキーが用意されており、力行にしたい場合はボタンを押しながら手前に引くことで模型をコントロールする。マスコンは手を離せばニュートラルに戻り、惰性走行をする。4、5年の開発期間を要した製品だ。

KATOが発表したワンハンドル運転台型コントローラー
それぞれに割り当てられている機能
コントローラーの背面。USBポートとCOMMポートが用意されているほか、レイアウトへの給電用とサウンドボックスへの給電用のコネクタもある

 ワンハンドル運転台型コントローラーでの操作はまるで実車を動かしているような感覚でとても面白い。手前に引いて力行にする場合は次第に速度が上がっていく動作をするし、逆にブレーキをかけたときはすぐに止まらず、ある程度の距離を走行しつつ減速していく。動作する加速度や最高速度の調整、加速SYNC/始動電圧や減速SYNCを設定できるため、このあたりの調整も可能で、列車によってスケールスピードを変えたい場合でも対応できる。

 こちらの製品は夏に正式発表されたあと、2024年の年末には販売される予定とのこと。気になる値段だが、未定であるものの、2桁ちょうど周辺を想定しているという。それなりの価格がする製品だが、模型鉄であればやはり手に入れておきたいところだ。

レイアウトでの照明を簡単に

 次に紹介するのは「ジャストプラグ照明システム」(以下、ジャストプラグ)という製品だ。すでに発売済みだが、これは「ライトハブ」と呼ばれるコントローラーに、プラグによる接続式で照明を構成できるというもの。複雑な電気配線やはんだ付けを必要としないのが特徴だ。

 ジャストプラグに対応している自動車や室内照明、街路灯、信号などが用意されていて、これを「ライトハブ」につなげば簡単に照明システムが出来上がる。ライトハブには4つのライトポートが用意されていて、明かりをそれぞれコントロールできるため、これまでのような一括でしかコントロールできなかったときと比べて、よりリアルな照明を構築できる。室内照明もシーリングライトとナノライトが用意されているなど細かい。

ジャストプラグ照明システムで作り上げた照明の例
このそれぞれの明かりをコントロール可能。リアルな夜景を作り上げられる
ガード下のライティングがとてもリアル
照明をコントロールするライトハブ
用意されている製品はこのようなラインアップだ

3Dプリンタで作り上げる人形たち

 KATOブースではこの他、3Dプリンタで作成したストラクチャーが展示されていた。「フィギュアニマル」は4月にすでに発売されている製品だが、色や形などそれぞれがとてもリアルに再現されている。

 これに続いて製品化されるのが「SL乗務員」だ。車上にいる機関士や機関助士などのほか、地上で注油していたり、点検していたりする機関士といった人形となる。

 このほか3Dプリンタで作られているのが「昇降台」だ。片階段と両階段の2種類がラインアップされる。この製品は3Dプリンタで制作されたのには利点がある。それは階段。1段1段の間を開けて出力されている。これは金型では実現できなかった。また天板の中央部が薄くできているのも3Dプリンタならでは。

 同社がこれらのストラクチャーを3Dプリンタで製作しているのはコストの関係だ。金型で起こして作り上げるには、量が出ないと採算が取れないためだ。ただし3Dプリンタで作成したものの中でも、量が出るものについては金型での生産に変更していくそうだ。

コイや水どりなどがリアルに再現されているフィギュアニマル
車上や地上にいるSL乗務員を再現
3Dプリンタで制作した昇降台。階段の隙間に注目
よく見ると中央部が薄くなっている

ジオラマを作ろう! デモンストレーションを開催

 KATOブースにはジオラマの作り方をデモンストレーションする「ジオラマデモンストレーション」というコーナも設置されている。訪ねたときには芝の作成方法をデモしてもらった。レイアウトを作る際に気を付けたいのが芝の表現。上からパウダーを振りかけるだけでは物足りないものになってしまうことも。その際に利用したいのは「芝生の達人3」だ。1万2000円程度する製品だが、これに長さのある芝を入れて上から振りかけると、静電気が起きてしっかりと立った状態で芝を植えてくれる。

 ただお高い製品なので、そこまでは、という人にオススメなのが「繁茂・深雪ボトル」だ。これにパウダーを入れて思いっきり振ることで静電気を発生させ、上から吹きかければ芝生の達人3ほどではないものの、ある程度立った形で植え付けることが可能だ。

 ところでKATOは多くのジオラマ用品を販売しているのが特徴だが、なぜジオラマ製品にまで手を出したかというと、同社の社長がアメリカを訪問したとき、多くの家にジオラマが置かれていることに感動したからだという。日本でもジオラマ人口を増やすために、さまざまなジオラマ用製品を世に送り出しているというわけだ。

レイアウターであればそろえておきたい芝生の達人3
芝生の達人3ではこのようにピンと立った芝を作り上げることができる
繁茂・深雪ボトルは手軽に芝生を作りたいときのアイテム。右が繁茂・深雪ボトルで作った芝

この他KATOブースで見ておきたいところ

 最後にKATOブースを訪れたときに見ておきたいコーナーについて写真でご紹介しよう。

全国高等学校鉄道模型コンテストで「鉄道開業150年賞」を受賞した、浅野中学校・高等学校によるジオラマ。雪の表現がとても素晴らしい
新宿区立落合第六小学校とKATOとのコラボによるジオラマ。小学校周辺の風景を小さなジオラマを組み合わせて作り上げた。小学生らしい力作だ
HOの「3灯式自動信号機Sセット」のデモ。こういうのを見ると信号機を導入したくなる。通過前は青信号だが
列車が通過すると赤に変わる
距離が離れるとちゃんと黄色に変化する
同社が販売している「ポケットライン」用のコントローラー。試作品