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「モデラーズクラブ合同作品展」に巨大なアイアン・ギアー出現!制作の背中を押してくれた亡き友人のために完成させた、動くランドシップ【#静岡ホビーショー】

【第63回 静岡ホビーショー】
会期
業者招待日:5月14・15日
小中高校生招待日:5月16日
一般公開日:5月17・18日
会場:ツインメッセ静岡(静岡市駿河区曲金3丁目1-10)
入場料:無料
※入場には事前登録が必要

 「第63回静岡ホビーショー」の一般公開日に同時開催される「第34回モデラーズクラブ合同作品展」は、今年もアマチュア、プロのモデラーがたくさんの作品を展示し、模型ファン同士の交流を楽しんでいた。その会場を見て回っていた筆者の目に止まったのが、卓上に展示された巨大な「アイアン・ギアー」だ。作者は模型サークル「東京ナイト倶楽部」メンバーのイカスミさん。

「モデラーズクラブ合同作品展」出展作品、「東京ナイト倶楽部(TNC)」のイカスミさんの作品「1/144 アイアン・ギアー」

 アイアン・ギアーは「戦闘メカ ザブングル」に登場する地上戦艦(ランドシップ)で、作品は変形後のウォーカーマシンタイプで制作している。スケールは1/144相当で、全高130mm前後ありそうな大作だ。メインとなる素材はプラ板や100円ショップで購入したMDF板で、その他にも100円ショップで見つけたケースなどを素材として使っている。

会場のランドマークのように目立っていたアイアン・ギアー。各所にはサークルの仲間が作った同スケールのウォーカーマシンが置かれていた
胸部に納まっているのは1/144ザブングル。比較するとその大きさが分かると思う。左腕が外れているのは修理前のもので、他の写真のように昼には修理ができたそうだ
頭部の艦橋にはエルチらクルーがいる
肩の砲塔や腕には100円ショップで見つけた商品をそのまま素材として使用している

 ただ大きいだけではなく、LEDやサーボなどを組み込んでプログラムで可動させているのもポイント。足元にあるコントローラーのボタンを押すとのキャラクターのボイスが流れ、肩や脚部の砲塔が動き、マズルのLEDが効果音に合わせて点灯する。劇中で見せたアイアンギアーの必殺パンチのギミックもあり、会場に発送する際に腕ごと壊れてしまったそうだが、2日目には修理ができて無事動かすことができたそうだ。

 たくさんの作品が出展される「モデラーズクラブ合同作品展」の中で、多くの人の目に止まる作品を作りたいと考えていたイカスミさんは、特別な技術を持たない自分でも大きい作品なら目立つだろうという話をサークルの部長と話していて、そこで提案されたのがこのアイアン・ギアーだったそうだ。背中を押してくれた部長はその後不幸があって亡くってしまったそうで、3回忌を迎えた去年、天国の部長に見せるために約半年をかけて完成させ、晴れてこの会場でお披露目することができたという。

アイアン・ギアーの足元にもたくさんのウォーカーマシンが展示されていた

 そして同じ東京ナイトクラブの展示スペースで、作品について熱心に説明をしてくれたのが「ウルトラマンレオ」のジオラマを制作したさすけさん。こちらもかなり大きな作品で、同作品の第1話と第2話のシーンをイメージしたもの。足先が水に浸かった状態でポーズを取るレオのスチール写真をベースに、同話の各シーンで見られた破壊された都市の一部分を組み込んだオリジナルのジオラマに仕上げている。

さすけさんの「ウルトラマンレオ」。サイズは約1/150スケールとのこと
レオの本体はCCP製のソフビフィギュアをリペイントしたもの。目とカラータイマーは電飾されている

 さすけさんは新潟で特撮模型のサークル「シン・新潟特撮模型狂、亅を主催するモデラーで、この作品は地元の模型店のコンテストに出すために制作したものだ。イカスミさんの作品と同様、大きく作ることで人の目を惹くことを意識し、自分が作れる限界の大きさに挑戦してみたのだとか。

元のスチールは後方のビルのみしかなかったが、手前側にも劇中のシーンから切り取ったカットを造形し、全体の密度を上げている
レオの後ろには破壊された立体駐車場が見える

 この「モデラーズクラブ合同作品展」のような展示会は、ただ作品を見られるだけでなく、作者がその作品に込めた思いや制作エピソードを直接聞くことができる価値がとても大きい。思いは展示された作品の数だけ存在していて、それを知ることで作品を見る目が変わることは間違いない。こうした展示会は各所で定期的に行われているので、機会があればぜひ参加して、作品とともに作者とのコミュニケーションを楽しんでほしい。

「東京ナイト倶楽部」の作品群。3つのテーマを設けて制作した作品を展示していた