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「新谷かおる75歳誕生日記念 劇場版&OVA エリア88~炎のユニコーン上映~」イベントレポート

OVA「エリア88」をファンと共に劇場で鑑賞できた幸せ!

【新谷かおる75歳誕生日記念 劇場版&OVA エリア88~炎のユニコーン上映~】
4月26日開催
会場:池袋 新文芸坐

 イベンターとして数多くの上映イベント企画などを手掛ける、ロボ石丸氏主催の上映イベント「新谷かおる75歳誕生日記念 劇場版&OVA エリア88~炎のユニコーン上映~」が4月26日、池袋「新文芸坐」にて開催された。イベントでは劇場版「エリア88」及びOVA版「エリア88 ACT III 燃える蜃気楼」が上映されたほか、ゲストとして「エリア88」原作者である新谷かおる氏が登壇したトークステージも行なわれた。

 新谷かおる氏に加え、もう1人のゲストとしてイラストレーターやメカニックデザイナー、声優業などマルチに活動する天神英貴氏も登壇し、2人で自由気ままなトークを展開して、会場を盛り上げた。

イベントのキービジュアル
会場となった池袋の劇場「新文芸坐」

 「エリア88」は新谷かおる氏が1979年から1986年までの8年間、小学館の少年ビッグコミックで連載した戦記漫画。戦記漫画とはその名の通り、戦場を舞台にしたミリタリーマンガの1つだが、主人公が戦闘機に乗って戦闘する様子が描かれているのが特徴。新谷氏自身の戦記物としては「エリア88」のほかにも「ファントム無頼」などがあり、そのほかの戦記漫画の代表作としては、ちばてつや先生の「紫電改のタカ」や、辻なおき先生の「0戦はやと」などが挙げられる。

 物語は、日本人の風間真(シン)が、中東の架空の国であるアスラン王国の内戦において、外人傭兵部隊の戦闘機乗りとして登場し、敵とのドッグファイトを展開したり、シンが傭兵になった経緯、アスラン王国の内情、さらには日本に残した恋人の津雲涼子との純愛などをテーマに、様々なエピソードが描かれている。

 単行本は全23巻で、後に全10巻のワイド版もリリース。1985年から1986年にかけてはOVAとして全3本が制作、販売されており、1985年にはOVAの1~2巻を再編集した映画版も公開されている。

 本稿では原作「エリア88」と劇場版/OVAについての魅力について語るほか、本上映会の会場の熱気や雰囲気、さらにはトークステージでの新谷かおる氏の様々なコメントについて紹介したい。

漫画家の新谷かおる氏は帽子を深々と被ってステージに登場
新谷かおる氏のトーク相手となるもう1人のゲスト、天神英貴氏は友達からもらったという本物の米軍のユニフォームで登場
イベンターのロボ石丸氏がMCを務めた

原作と異なる展開ながら豊富なエピソードが盛り込まれたOVA版「エリア88」

 「エリア88」は日本人として傭兵部隊に所属するシンが、戦闘機に乗って戦場で敵と戦う戦記物で、戦闘描写以外にも戦場における傭兵たちの扱いや心境、その末路などが生々しく描かれている。加えて日本人のシンがなぜ海外の傭兵部隊に所属しているのか、ライバルでもあり、ラスボスでもあり、シンを陥れた張本人である神崎悟、ヒロインの津雲涼子などが登場して、人間同士のドラマや隠された真実など、ミステリアスな要素なども盛り込まれており、単なる戦記物以上の重厚な物語が展開される。

 ほかにも架空の国でありながら複雑な政治状況のアスラン王国の内情、そしてシンが所属する外人傭兵部隊が配属されている作戦地区名「エリア88」で指揮を取るサキ・ヴァシュタール、元アメリカ海軍所属のミッキー・サイモン、補給を手掛けるマッコイじいさんなど、個性的かつ魅力的なキャラクターが多く登場し、カッコよくも過酷な戦闘機での戦闘の世界観をさらに盛り上げている。

 作品の魅力はやはり、登場する飛行機の機体の数々だろう。一部で架空の兵器も登場するが、ベースとなる戦闘機については、開発機含めてほぼ全て、実在したものが登場。その挙動やギミック、戦闘時のリアルな空中戦の描写が魅力だ。一方で、新谷氏の少女漫画のような繊細なタッチで描かれるキャラクターはどれも魅力的で、原作では悔しがる時に表情を崩したりといった当時の少女マンガのようなギャグ描写が見られるなど、魅力的な作品となっている。

「エリア88」関連記事掲載のアニメ雑誌やLDジャケットなど
劇場版「エリア88」パンフレットの表紙
OVA版「エリア88」発売当時の宣材

 OVAについては、全10巻のワイド版で言うと7巻換算、大体オリジナルコミックの16巻相当までの原作から、エピソード、キャラクターなどの要素を厳選し、物語そのものを再構成した内容となっている。そのため、アニメと原作にはかなり多くの相違があるが、OVA版はそのトータル時間200分の枠の中に、原作の魅力の中でも戦闘機によるバトルと人間ドラマ、キャラクターの魅力といったエッセンスを凝縮している。

 驚かされるのはその再編成の完成度の高さだ。原作の中から削られた部分はかなり多く、特に変化が感じられるのはSF的要素とも言える架空兵器の「地上空母」の存在だろう。原作では砂漠を走る「空母」である「地上空母」が登場し、エリア88の連中を苦しめるが、OVAにおいてこの兵器は丸ごとなかったことになっている。ほかにもエピソードの骨子のみが拾われて、そこに登場するキャラクターを変更したり、重要なキャラクターが死ぬシーンが変更になるなど、かなり大胆な変更が施されている。

 後述のトークショーにおいて新谷氏はこの「地上空母」について「マンガですから」と笑いながら語っているが、同様にマンガならではの女性パイロットであるセラや、10代でエリア88にやってきたシンの部下のキムなど、やや現実離れしたテイストの原作キャラクターたちはOVAにおいては一切登場しない。このように登場するキャラクターを絞ったことが、物語の流れをシンプルにするのに寄与している。

 原作は雑誌連載の作品であるため、キャラクターを増やしたり、エピソードを色々と用意して、毎週物語を展開する必要がある。新谷氏がトークショーで「当初は半年連載の予定が8年もの長期連載になったので、そりゃネタもなくなりますよ」と語っていたように、結果としてキャラクターを増やし、様々なエピソードが楽しめる点や、物語がきちんと完結している点について原作ならではの魅力となっている。

 筆者は今回、本稿を執筆するにあたって原作のワイド版、全10巻を完読したが、OVAと原作のどちらを見るかと問われれば、やはり今から楽しむのであれば、先ずはそのディティールや、挙動までもがかなりリアルに描かれた戦闘機の動く様子やバトル、声の付いたシンたちが楽しめる上に、200分で大まかなストーリーの流れが分かるOVA版を見てほしく、その上で、原作を読むのがおススメと感じた。

 ただし、OVAのディティールを原作で補完する感覚ではなく、原作のどのような要素をOVAに取り入れたのかを楽しむ感覚でチェックするのがおススメだ。なお、作画レベルは1980年代の作品としてはかなり品質が高く、当時のOVAの完成度の高さが実感できる。一方でいずれも1980年代の作品であるため、設定など一部においてやや時代的な背景などがある点は考慮したい。

 本作をモチーフとしたゲームとしては、PC-9801用のタイトルもあったようだが、1990年前後に現役だった多くのおじゲーマーにとって記憶に残っているのはカプコンから1989年にリリースされたアーケード版「エリア88」だろう。本作は1991年にスーパーファミコンにも移植されており、名作シューティングとして今なお記憶に残る1本となっている。

 また、「エースコンバット」シリーズの1つで2014年リリースのオンライン用「エースコンバット インフィニティ」では「エリア88」コラボとして同作に登場した機体が使えたようで、本作で機体を知り、原作に興味を持ったという若いゲーマーも多くいるようだ。

「エリア88」に出会える! 熱気が高まる会場

 会場の池袋 新文芸坐は池袋東口の線路際のエリアにあり、周囲には昔からの飲み屋や風俗店、ゲームセンターの「ミカド」が近くにあるなど、昭和の雰囲気が残るエリアの劇場となっている。筆者は開場予定時間よりも前に到着して様子を眺めていたが、劇場入口から続く階段には早くも行列ができており、来場者たちが少しでも早く「エリア88」の熱気を味わいに来場していると感じられた。「エリア88」からしか吸収できない何かがそこにはあるのだ。

 来場者の顔ぶれは50代以上の方が目立った。そんな中で、20代の若者2人組が並ぶ姿も見られたので、ちょっと話を聞いてみた。1人は昔の漫画が好きで、原作の「エリア88」を読んで、そのカッコよさにハマってしまい、今回来場することにしたという。またもう1人は原作未読ながら、「エースコンバット インフィニティ」にて「エリア88」に登場する機体のカッコよさにハマって、今回映像を初体験するのだという。昔の漫画を読む層がハマるのは理解できるが、ゲームがきっかけでハマる若い人もそれなりにいるのだと納得だ。

 開場後も列はなかなか進まず、会場はかなり混雑した状況だ。理由はシンプルでゴージャスな物販が数多く出ており、そこに再度行列を作っていたからだ。物販については、現地限定のものはなく、いずれも通販で購入が可能だが、みんな現地で一早く購入したくて列を作っており、上映が開始するまで列が途切れることなく、かなりの大盛況となっていた。

開場30分前から劇場の階段には既に長蛇の列が!
開場直前にもなると列は会場を飛び出し、会場の外へ
場内には物販コーナーに列が!この後、列はさらに伸びていき、入口付近にまで伸びるほどの大盛況となっていた

 最初に上映されたのは劇場版「エリア88」で、OVAの1作目「ACT I 裏切りの大空」と「ACT II 狼たちの条件」を再編集したものとなる。上映後は休憩時間を挟み、続く後半戦にはOVA3作目となる「ACT III 燃える蜃気楼」が上映された。どちらも上映時間は100分ずつ、合計200分となった。

 空戦のバトルが中心のOVAは、やはり大きなスクリーンとの相性が最高だ。戦闘の細かな描写が大きなスクリーンで活きてくるし、空の広さをより体感できる点も劇場のスクリーンならではの魅力の1つと言える。

物販コーナーにはあの「外泊証明書」が!(神崎がシンに「外泊証明書だ」とだましてサインさせた外人傭兵部隊入隊の契約書のこと。ファンたちの間では「外泊証明書」だけでニヤリとする)
Tシャツなど物販コーナーには豊富なアイテムが並べられており、いずれも好評だったようだ
館内の様子

トークステージは「エリア88」の裏話が大暴発! マッコイじいさんのモデルになったのは?

 こうして休憩含めて4時間近くの上映が全て終了したところで、いよいよ来場者たちお待ちかねのトークステージがスタートする。冒頭、司会も務めるロボ石丸氏がステージに登場。会場の盛況ぶりや、Xでのトレンド入りなどについて報告し、会場を盛り上げたところで、1人目のゲストである天神英貴氏を呼び込んだ。天神氏は米軍の衣装を着用して登場し、「まさかアニメイベントで使われてるとは予想だにしなかった。実はヘルメットも持ってこようかと思ったんですけど、エリア88のものはなかったので」と語って会場を笑わせる。

 ロボ石丸氏と天神氏はイベントの開催にあたって、ファンという人の声はよく聞こえてくるが「本当に人が集まるのか」という不安もあったことを明かした。しかしチケットが発売されると、わずか2時間半で完売するほどの反響があったとして会場をさらに盛り上げた。

 そしていよいよ、本日75歳の誕生日を迎えた漫画家の新谷かおる氏がステージに登場した。新谷氏は開口一番「本日で75歳になりまして、後期高齢者ということで、日本人男性の最終形態となります」とコメントして会場を爆笑に包んだ。

30年ぶりに映像作品を見た新谷氏は鳥海永行監督の演出を賞賛。当時リアルタイムで劇場版を映画館で見た人を聞いてみたところ、結構な数の挙手があり、年季の入ったファンの多さに驚き、感謝の言葉を述べていた

 自身の作品を劇場で観るのは30年振りと語った新谷氏は、当時サンプルとしてもらったビデオテープやLDなどは全て残っているが、肝心の再生機器がもうないという。また、当時の声優陣の中にはすでに故人も多く「涙が浮かぶようなシーンもあった」と振り返った。なお、主役の風間真を演じたのは塩沢兼人氏、マッコイ役には家弓家正氏など、鬼籍に入られた声優が多く出演している。

 アニメ制作当時のエピソードとして、新谷氏は鳥海永行監督の演出を称賛。なお、制作の際には監督にお願いとして「最初のシーンで戦車とシンが戦うところで、薬莢(やっきょう)をいっぱいバラ撒いてくれ」とお願いしたそうだ。これは鳥海監督が過去のOVA「ダロス」でやっていた、薬莢がバラバラと流れていくシーンが大好きだったので、同じように戦車の上を薬莢が転がっていくのをやってほしかったが、ちょっと違う感じになったとして、40年越しでイメージと合っていなかった事実を明かした。

 ここで天神氏より「エリア88」タイトルの由来を聞かれると、新谷氏は「師匠の松本零士さんの好きな数字が99だったので、それを越えるわけにはいかないと88にした」というファンにはお馴染みのエピソードを披露。松本零士先生が99を好きな理由としては、父の形見の「99式小銃」にちなんでいるというエピソードも披露した。ここで天神氏が「98ではダメだったんですか?」と聞くと「1歩だけだとあんま下がっているように見えない」とし、師匠の10歩後ろという昭和の時代らしい心境について触れた。

 一方で今でこそ馴染みのある「エリア88」のタイトルだが、当時の編集部からは大不評で、その理由はシンプルに「わけが分からんから」だったという。当時の編集部では「0戦はやと」や「父の魂」など分かりやすいタイトルを求めていたので反対されたが、ここは押し切ったと解説した。

 8年間続いた連載については、編集長から呼ばれて「この雑誌はあまり売れそうにないので、半年間だけ頑張ってくれ」と言われてスタートしたが結局8年間続いてしまったとコメント。連載当時はかなり殺人的なスケジュールで、月に5本の連載を抱えており、1週間に合計8時間しか寝ない生活を送っていたという。3日徹夜して4時間寝るというサイクルで、食事もカップヌードルとカフェインが通常の数倍入った強烈なモカのアンプル(200ml)を飲んで鼻血が出るほど頑張っていたと語り、会場を爆笑に包んだ。

トークは椅子に座って雑談のような形で和気あいあいと進行した
自身の好きなキャラクターとしてマッコイを挙げるなどマニアックな質問も多い天神氏

 本作では株による会社の乗っ取りなど、子供向け作品にしては、大人向けの要素が含まれているが、この辺りを聞かれると新谷氏は「世界観を深めるためにこうした要素も入れることでリアリティを高めた」とコメント。「こういう深みのある要素を入れずに、戦闘機でドンパチやってるだけだと、昔からの戦記物と変わらなくなってしまう」とし、世界観の構築へのこだわりを見せた。

 また、シンと涼子のすれ違いの描写については、往年の名作「君の名は」のような王道のメロドラマを意識しており、これを描いた回は女性読者のアンケートが増えたと笑う。

 「エリア88」と言えば、戦闘機にスタイリッシュな近代兵器が多く取り入れられているのも特徴だ。これについては、師匠の松本零士先生の影響も大きいとしており「師匠がプロペラ機を描く天才だったため、弟子として勝てないと考え、あえてプロペラなしのジェット機の道を選んだと説明した。

 なお、本作で主人公のシンが搭乗する機体の1つ「F-20 タイガーシャーク」は実際には実戦用のFナンバーながら、当時正式に採用されたのはF-16だったため、F-20は3機しか作られなかった「幻の機体」となってしまった。当時、正式採用前に、現在は軍事評論家の岡部いさく氏からF-20についての資料をもらっていた新谷氏は、こちらが正式採用されると聞いていたことに加えて、そのカッコよさに惚れ込んで主役機に据えたと、当時の情報源や、機体選出の経緯などについて語った。結果として、F-20は海外ではあまり人気はないが、日本国内でのみ大人気の機体になったと語っており、「エリア88」の影響の大きさが改めて伝わるエピソードと言える。

 シンの搭乗する機体の尾翼に付けられたパーソナルマーク「ユニコーン」については、当時のアシスタントの女の子たちに考えさせた中から採用したものだという。

 天神氏が好きなキャラクターの1人が補給などを務めるマッコイじいさんで、天神氏の声優としての師匠である家弓家正氏がマッコイの声を当てていたことから、よくモノマネなどを披露したなどのエピソードを語りつつ、モデルについて聞いてみたところ、新谷氏からは「マッコイのモデルはユダヤの商人のイメージ」とコメントし、天神氏含め会場全体が驚きと納得の声を上げる。続けて「抜け目のない商売気質と、カップラーメンをシンにプレゼントする優しさを兼ね備えている」とした。

 ほかにも原作やOVA序盤で登場するボリスというキャラクターが「明かりをつけて寝る」というエピソードについても触れ、このエピソード自体が実は、新谷氏の小学校時代の友人がモデルになっている裏話を披露「実は単にお化けが嫌いだっただけなんですけどね」とした。

新谷氏のトークは真面目そうなトーンから、ちょいちょいと笑顔でネタを挟み込み、その都度会場は大盛り上がりを見せていた

 リアリティの高さも魅力の「エリア88」だが、連載当時は現地取材などする暇もなかったため、全て新谷氏のイメージと資料などから執筆を続けていたという。フランスも中東も連載終了後に訪れたが、初めてイスラエルの砂漠に行った際には「砂丘のようなイメージとは違って硬い砂だったことに驚いた」とした。新谷氏自身はフランス映画などをよく見ていたことから、フランス車が登場するなどフランスについての描写が多かった点を挙げた。フランス映画については「おしゃれで人間臭い部分が好きだった」としている。

 数多くの戦闘機を描いてきた新谷氏だが、「F-18 ホーネット」などCADを使って設計されたと思われる機体は「制作者の恨み辛みが全然入ってないんで」好きではないという。そんな新谷氏の好きな飛行機としては、戦闘機ではなく空母の上で離着陸する「艦上機」だとコメント。艦上機は空母の甲板にいる「レインボーギャング」と呼ばれる作業員たちがすごくカッコいいと語る。

 また、飛行機としては練習機の「T-38 タロン」が大好きと力説。タロンを「彼女」と擬人化してその理由を説明「彼女は本来アフターバーナー付きのエンジンが積まれる予定だったんですけど、アフターバーナーのないエンジンでテスト飛行をやらなきゃならなかった。つまり、ダンスパーティーでダンスシューズじゃないもので踊らなければならなかった。ところが彼女はシューズなしでダンス会場に行きダンスを成功させる、つまりアフターバーナーなしで音速突破をしてしまうんです。その後、米軍に採用された彼女は2万5,000人のパイロットを育てあげました」と誇らしげにタロンの実績を語った。

 最後に近況について聞かれた新谷氏は、66歳で漫画家として絵を描く仕事は引退したと語っており、現在はボケ防止も兼ねて、剣と魔法の世界を描いた「DRAKEN・CODE 訳ありの竜と呪われた姫」の原作を担当していることを紹介した。そのため、今回のイベントにおいて、数量限定で販売され、あっという間に売り切れた「新谷かおるサイン色紙付き券」でプレゼントされるサイン色紙の絵については、かなり久しぶりに絵を描いたとしており「サインくらいならいいんだけど、連載の枠線を引くのは歪んで見えてしまうため難しい」とした。

 最後はフォトセッションとして、ファンたちが自由に写真を撮れる時間を設けて撮影タイム。来場者たちが携帯電話を掲げて写真を撮りまくる様子が見られ、最後は公式による来場者との写真撮影。天神氏の合図で、ファン全員が「回せー!」と叫びながら撮影して盛り上がりを見せた。

 締めの挨拶として新谷氏は「こんなに大勢にお誕生日を祝ってもらったのは生まれて初めてです」と感謝を述べ、イベントを締め括った。

自身の好きな飛行機「T-38 タロン」の話になると勢いが止まらなくなる新谷氏
トークの後はフォトセッションのサービス
会場の各所に視線を送るファンサービスにファンたちもスマートフォンなどで撮影しまくり
誕生日ケーキと花束登場のサプライズも

爆笑トークと古くて最高の映像を満喫

 以上、上映イベント「新谷かおる75歳誕生日記念 劇場版&OVA エリア88~炎のユニコーン上映~」についてレポートした。

 新谷かおる氏のトークは非常に面白く、レポートで触れたほかにも、スイス銀行が実はスイスにある銀行協会に登録してある全ての銀行のことを指しており、新谷氏は「エリア88」の原作にてこれについてきっちりと言及しているにも関わらず、さいとう・たかを先生が「ゴルゴ13」で「スイス銀行」って言っちゃったから誤解が広まったといったコメントをしたり、ラテン語の中で日本語として定着したのは「ポルノとドラマだけ」とし、覚えて帰ってくださいとコメントするなど、ちょっとしたワードから繋げるユーモアセンスの深みが随所で感じられたトークステージとなった。

 OVAについても、1985年制作とは思えない高クオリティの作画や音、BGMの数々で、特にBGMが作品の雰囲気をさらに1段高める非常に魅力的なものになっていたのでサウンドトラックがほしくなった。今回の上映会において、「エリア88」に関する新しい情報は何もなかったが、新谷氏がご健在であることを知ることができたことが大収穫だった。

 一方で不勉強な筆者は、66歳で絵を描くことを引退していたことが初耳だったのでかなりの衝撃だった。漫画原作ももちろんありがたいことだが、現役を続けていてほしいと願う。

【会場の様子】
自作のシンのヘルメットを持って来場していたファンの方に撮らせてもらった
1/72の「F-14 トムキャット」ミッキー・サイモン搭乗機のプラモデルとサキの乗る「B-1」
1/72の「F-8E クルセイダー」風間真搭乗機
トークでも登場した「F-20 タイガーシャーク」風間真搭乗機
コックピットには風間真も搭乗
カッコいい
風間真のヘルメットのミニチュアも合わせて展示
F-5E タイガーIIも風間真の搭乗機だ
尾翼にはユニコーンのエンブレムが
その他の作品に登場した機体のプラモデルなど立体造形物が多数展示されていた
休憩後にさらに盛り上がりを見せる物販列
モデルアートからのお祝いの花も飾られていた
園田健一氏の誕生日祝いの色紙
天神英貴氏の誕生日祝いの色紙
西村誠芳氏の色紙
物販ではパッチや基地のレジンキット、プラモデル付き雑誌などが販売
雑誌付属プラモデルの中味も紹介
Tシャツ各種も販売
OVAのVHSパッケージも展示
ワイド版コミックスも全巻並べられていた