レビュー
食玩「SMP タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン トッキュウザウルスセット」レビュー
大河原邦男氏デザインの昭和タツノコメカを忠実に再現
2021年8月11日 00:00
- 【SMP [SHOKUGAN MODELING PROJECT] タイムボカンシリーズ
- 逆転イッパツマン トッキュウザウルスセット】
- 開発・発売元:バンダイ
- 発売日:7月19日
- 価格: 6,985円(税込)
- ジャンル:食玩
- サイズ:トッキュウザウルス/逆転王ともに全高約140mm
バンダイの食玩シリーズ「スーパーミニプラ」が、この2021年7月より「SMP [SHOKUGAN MODELING PROJECT]」という新ブランドへ生まれ変わった。スーパーミニプラは1980年代から続く「ミニプラ」から派生した食玩の組み立てキットのシリーズで、このSMPでは、同シリーズで培ってきたノウハウをハイターゲット向け食玩造形プロジェクトとして活用し、これまで以上に完成度の高い造形を国内外に提供することを目的としている。
今回レビューをお届けする「SMP [SHOKUGAN MODELING PROJECT] タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン トッキュウザウルスセット」は、その記念すべき第1弾ラインナップとして、7月19日に発売となった。1982年放映の「タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン」に登場した初代主人公メカで、別途発売された「SMP [SHOKUGAN MODELING PROJECT] タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン 逆転王」の「Aパート」と「Bパート」を同梱し、トッキュウザウルスから逆転王+リリーフカーへの合体変形ギミック実現した組み立てキットとなっている。今回は筆者が自腹で購入したものを実際に組み立ててレビューをし、過去に組み立てた経験のあるスーパーミニプラから、今回のSMPで確認できた進化点などにも触れていければと思う。
大河原邦男氏がデザインを手がけた昭和タツノコメカを忠実に再現
トッキュウザウルスは、1982年から1983年にかけて放映された「タイムボカンシリーズ」の第6弾「逆転イッパツマン」に登場した初代主人公メカである。主人公の豪 速九やヒロインの放夢ランが所属する、時空を超えてリース品を届けるタイムリース社の配送用メカであり、その名の通り恐竜をモチーフとしていて、頭部や背ビレなどに爬虫類の意匠がちりばめられたタイムマシンである。イッパツマンの呼びかけにより、トッキュウザウルスの胸部と腕が分離変形し、イッパツマンを乗せた「弾丸ヘッド号」と合体することで逆転王となる。一方の分離されたトッキュウザウルスは、牽引している「トッキュウトレーラー」を内部に収納して変形し、サポートメカの「リリーフドン」となるのだ。このトッキュウザウルス&逆転王は初代メカで、劇中中盤で大破し、2代目のトッキュウマンモス&三冠王へとバトンタッチした。
メカデザインは、長くタイムボカンシリーズのメカを手がけてきた大河原邦男氏によるもので、同氏は自ら機構試作を作り、その変形システムを実証させたという(参考「メカニックデザイナー大河原邦男展図録」)。後の三冠王も含め、アニメならではの変形におけるデフォルメが少なく、当時発売されたおもちゃも劇中に近い原型を実現していた。
番組をリアルタイムで見ていた筆者は、どちらかといえば三冠王よりも逆転王派で、何よりトッキュウザウルスのデザインが当時からたまらなく好きであった。シリーズ初期のメカように、主人公達と会話したりする存在ではなくなってしまったが、印象的なニッコリ目など、同シリーズに登場したメカのコミカルさがちりばめられていて、その後に変形する逆転王のシリアスでヒロイックなデザインとのギャップにも心奪われ、挿入歌の「トッキューザウルスの歌」や「嗚呼!逆転王」は今もカラオケで歌うレパートリーに入っていたりする。思い入れのあるメカだけに今回のSMP化は非常に嬉しく、発表後すぐに予約して購入した。
パッケージは同シリーズのスーパー戦隊メカなどと同様、当時のおもちゃを思い出させてくれるようなデザインで、トッキュウザウルスとバストアップの逆転王が写っている。密度が濃い内容の割に箱はコンパクトで、辛うじて食玩の売り場にも置けるサイズと言えるかもしれない。
キットは合計で3セット分となり、ランナー22枚と個別パーツ9個というかなりのパーツ数となっている。ここ最近のスーパーミニプラシリーズは、ランナーに添えられた番号が抜きの仕様となり、このSMPでもそれを継承。組み立て中にランナーを見つけるのが容易となった。また一部のパーツにはアンダーゲートも採用していて、ゲート跡が目立たないような仕様となっている。説明書は逆転王、リリーフドン、両者の合体変形の3枚が付属。各社プラモデルなどとは趣が異なり、パーツリストやポーズ集などは載っていない簡易的なものだ。その他ホイルシールとガムが1個同梱されている。
合体機構を上手く応用した、ポージングも自在な逆転王、見参!
特に順番は決められていないが、まずは逆転王から組み立てていこう。逆転王は上半身のAパートと下半身のBパートがそれぞれ別売りされているため、それぞれのパーツは袋で分けられている。スーパーミニプラから継承する塗装済みパーツが、逆転王の頭部=弾丸ヘッド号は顔やツノなどが塗装済みで、さらに色分けパーツによりシールを使わずに劇中と同等の造形が完成する。頭部に関わらず逆転王本体にシールは1カ所しか使っておらず、しかも胸のダイヤモンドの奥に貼る反射板としての役割をするもの1枚のみである。
胴体や腰、足首などには複数のパーツで構築された関節が仕込まれている。これは変形だけでなく、ポージングも楽しむことを意識した設計で、肩や股関節などは引き出し式で、胸部にも前後する関節が内蔵されていて、見た目の割にかなり大胆なポーズを付けることができる。その分パーツがやや多めで作るのに時間がかかるが、このプレイバリューの高さは見逃せないところだ。
トッキュウザウルスの胸部へと変形する設計のため、背中のバックパック的な意匠がかなり大きく目立っている。設定自体はこのぐらいの大きさでいいのだが、変形する関係でかなり後ろ側に付いていて、直立したときに重心が若干後ろにかかるようになってしまっている。その分足首が自在に可動し接地性が高いので、ポージングはしやすい。
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