レビュー
「BANDAI SPIRITS パーツセパレーター」レビュー
プラモデルのパーツを外す、押し出すといった使い方でお手軽&便利な樹脂製ツール
2022年6月21日 00:00
- 【BANDAI SPIRITS パーツセパレーター】
- 発売日:2022年5月21日
- 価格:330円(税込)
BANDAI SPIRITSは5月21日に、プラモデル用ツール「BANDAI SPIRITS パーツセパレーター」を発売した。接着剤を使わないスナップフィット式プラモデルの組み立て間違い時やパーツの差し替えなどに便利な、パーツを外すためのツールだ。ツールとしては珍しく安価で手に入れやすい価格で、入門者から熟練者まで手に取りやすい仕様となっている。今回この実物を入手し、その使い勝手を試してみた。
近年の模型用ツールは本当に充実していて、各社が実に便利なアイテムを多数発売している。専門店の売り場は大きく拡大され、先日の静岡ホビーショーでも新作が続々発表されていた。その内容は入門用からプロ用まで幅広く、ユーザーの選択肢は実に豊富だ。BANDAI SPIRITSは2019年に発売した入門者向けの「エントリーニッパー」からいくつかツールを発売しているが、まだ種類は少なく、この「パーツセパレーター」が最新のアイテムとなる。
今回発売されたパーツセパレーターは、ツールとしては非常に単純な作りで、プラモデルのパーツのように一体成形だ。素材はPOM(ポリアセタール樹脂)という高強度のプラスチックで、溶剤に強く接着性が悪いという性質があるそうで、模型用のツールに適している。大きさは先端の突起を含め約105mm。メカのようなモールドが入っているのは遊び心だろうか。
肝心の使い勝手だが、公式の用途としては、間違って組み付けてしまったスナップフィットタイプのプラモデルのパーツの取り外し、ピンを押し込んでのパーツの押し出し、そしてピンを使ったポリキャップの取り付けなどである。
パーツの取り外しは、ピンとは反対側のヘラ状になった部分を使用する。プラ素材ながら先端はかなり薄く成型されていて、パーツにわずかな隙間があれば差し込んでこじ開けることができる。プラ製なので、同じ用途を持つ金属製のツールよりも、パーツに傷を付ける恐れが少ないというわけである。もしパーツを完全に組んでしまって隙間がない場合は、ピン側を使う手もある。関節などがあるところにピンを差し込んで持ち上げれば、合わさったパーツを開くこともできるだろう。
ピンは径が実寸で2.85mmで、それ以上の大きさのジョイント穴などに対応している。パーツを“押し出す”という作業を専門にできるツールは意外に見当たらず、いいところをついている。該当の作業を行ってみるとピンの部分が折れそうになるのがちょっと怖いのだが、ピンの根元はハの字に成形されているため、プラモデルのジョイントなどよりも堅牢な設計だ。ピンは3mm内径のポリキャップにも対応。BANDAI SPIRITSのプラモデルはここ10年ほどでほとんどポリキャップレスとなってしまったが、以前に発売された商品では使われているものも多く、使いどころはあるはずだ。
ヘラ状になった部分は薄く成形されているとはいえ、金属製の同等のツールと比較するとやはり厚みはある。近年の精度の高いプラモデルを完全に組んでしまった状態の合わせ目に差し込むのは難しく、使いどころが限られてしまうというのが難点だ。またツール本体がプラ製といってもパーツもプラなので、無理をするとパーツに傷がついてしまうこともある。筆者も使用しているときに、パーツをこじ開けるのではなく、合わせ目に沿ってナイフのように滑らせて外そうとしたら、パーツのほうが強度的に負けてしまい、パーツの端に傷がついてしまうということもあった。過剰に負荷をかけるのは禁物だ。
BANDAI SPIRITSのプラモデルの技術を上手く生かした設計で、あると便利なツールの一つとして持っておきたいこの「パーツセパレーター」。簡単に壊れるようなものではないが、安価なので2つ3つ買いだめしておける手軽さもいいところだ。同様の用途を持つツールもあるが、一緒に持っておくことでより便利な使い方ができるのではなかろうか。プラモデルのみならず、アクションフィギュアやカプセルトイなど、幅広いホビーにも使えるツールなので、店頭で見かけたら購入してみることをオススメする。
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