レビュー

「レゴ®マーベル ハルクバスター:ワカンダの戦い」レビュー

可動やシルエットを両立させるために出した最適解を体感せよ!

【レゴ®マーベル ハルクバスター:ワカンダの戦い】

発売元:レゴ ジャパン株式会社

発売日:2023年1月1日

価格:オープン価格

参考価格:7,080円(税込)(媒体調べ)

サイズ:26.2×28.2×5.9cm(WxHxD)

 今回は2023年1月1日に発売されたばかりの「レゴ®マーベル ハルクバスター:ワカンダの戦い」をレビューしていきたいと思う。このハルクバスターは、映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」バージョンで、ハルク自身でもある「ブルース・バナー」が搭乗するモデル。実はこれまでも、ハルクバスターは何度か製品化されており、新規パーツの登場や組み方の進化で究極モデルへと進化している可能性もあるだろう。

 ということで、今回のハルクバスターの凄さを、チェックしていくぜ!

パッケージ&パーツボリューム

 まずは、パッケージのレビューから。パッケージは 「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のワンシーンをイメージしてデザインされており、草原風なジオラマベース上で、ハルクバスターとアウトライダー(敵)とのバトルが描かれている。このパッケージを見るとハルクバスターのポージングが単調に見えるので、「もしかして、あまり動かないのでは?」と不安になる方のために、どのくらい動くのかも後で紹介しよう。裏面も表面同様のバトルシーンではあるが、ミニフィギュアの動きやハルクバスターのギミックなどで、プレイバリューを感じさせるイメージに仕上がっている。

 内容物としては、袋が3つに、ステッカーとインストラクションだ。袋が3しかないのは少しボリュームが少ないように見えるが、袋の外からでも細かいパーツが多く見られるので、過去バージョンよりも緻密なパーツ構成であることが期待できるだろう。

大人レゴのパッケージと違って、プレイバリューを感じさせる動きのあるパッケージデザイン
パーツ量が少なく見えるが、それは1個あたりのパーツサイズが小さいからで、実際は385ピースも入っているのだ

最新の組み方が多用し、ハルクバスターを組んでいこう

 まずは袋1から順に組んでいき、いつものように組み方のポイントや珍しいパーツなどを中心に紹介していく。作る内容としては、袋1がボディとミニフィギュアのブルース・バナー博士。袋2が脚部とオコエ。袋3が腕部とアウトライダーだ。

 袋1のパーツは、かなりのボリュームがあり、内袋2つも入っている。珍しいパーツとしては、1×1の2プレートの高さを持つブロックが入っていることだ。このパーツは2022年くらいから登場したもので、スタッドにも穴が空いていることで、使い勝手の良いパーツと言える。

 また、2プレートの高さを持つパーツだが、2×2で周囲に溝が彫ってあるパーツにも注目だ。これまで溝のあるブロックは両面が縦と横で違いがあった。しかし、今回のパーツは両面が横方向の溝であるため、これまでと違った使い方ができるだろう。

【袋1のパーツ】
1×1の2プレートの高さを持つブロック。スタッドにも穴が空いているので使い勝手が良い
2×2の2プレートの高さを持つパーツ。周囲に横方向の溝が彫ってある
ボディのシルエットをスロープパーツで表現するのではなく、ヒンジパーツを使うことでより滑らかなラインをとることに成功している。これまでのハルクバスターモデルでは、採用されなかった組み方だけに、モデルの完成度に大きく影響するだろう
ウエッジのカーブスロープ2種を組み合わせることで、複合装甲というか複雑なディテールを表現しているのも面白い。このウエッジのカーブスロープも、最近バリエーションが増えているので、もっと複雑なディテールが作れそうで期待できる
ヒンジパーツで表現した曲面の仕上げとして、前面にパーツを組み込む。これは、スタッドの角度を90度変更できるブラケットパーツを利用しているからこそ。ヒンジ同様に、このブラケットパーツを多用するのも、最近のモデルの特徴だ
袋1の完成。シールパーツで追加された銀と金のカラーリングが特徴的で、小さいながらもかなり細かい造型に見えてくる。特に、ミニフィギュアと並べて見ると、サイズに対してのディテールの緻密さに驚くだろう

 袋2のパーツは、袋1に比べると少なめで、内袋は1つだった。特に気になるパーツはないが、2×4の楕円形タイルパーツは珍しいかもしれない。最近は、いままで以上に新規パーツの増え方が加速しているような気がするので、欲しかったパーツが突然登場することもある。

【袋2のパーツ】
珍しい楕円形タイルパーツ
一番気になっていた膝部分は、クリップパーツを2つ組み合わせたもので、基本的に可動できない設計だ。膝が動かないのは、残念なポイントであるが、ハルクバスターのガッツリしたポージングからすれば、それもアリかと思える。特に、膝を無可動にしたことで、前屈みになっても膝かっくんしないのが嬉しい
足首は、ロボの設置性を高める上で重要な部分。動かなければハの字立ちはできないし、緩すぎればポージングを保持しにくい。このハルクバスターでは、テクニック用球体間接を用いることで対応している。これにより、前後左右に動かせるぞ
完成した脚部。こちらもステッカーがいい効果を出している。また、膝部分に使用したロボットアームのパーツが、何となく動力系の伝達パーツに見えるのも面白い

 ラストとなる袋3のパーツ類。これだけ見ると、本当に腕になるのか不思議に見えるかもしれない。気になるパーツとしては、片側がスタッド、片側がテクニックピンのパーツ。実は、このパーツ、いままでも存在していたパーツではあるのだが、こちらは最近改良されたパーツで、なんとテクニックピンの部分に「抵抗」となる突起が追加されている。実はテクニックピンには2種類あり、グルグル簡単に回ってしまうタイプと、抵抗となる突起がついていて「回る」けど、自然には「回らない」タイプがあるのだ。だから、この「回らない」タイプが採用されたこのパーツは、見た目とは違ったレア度を持つぞ。

【袋3のパーツ】
最近改良されたスタッド/テクニックピンのパーツ。テクニックピンの部分に突起が追加されている
袋3の面白い組み方としては、肘部分が左右に拡がるヒンジプレートで組まれている点だ。これ自体は珍しくないのだが、そのヒンジプレートの間にウエッジプレートを挟むことで、肘を「直線」にすることができなくなっている。これも、膝と同様ポージングの自由度を減らす代わりに、ハルクバスターらしさの演出を狙った制限だろう
腕部が完成
肩の部分は腕に組み込まず、外部アーマー的に別パーツで組んでいるのが面白い。これにより、腕の上げ下げの自由度が増すのだ

 袋1から3で完成したミニフィギュアは4体で、ブルース・バナー、ワカンダの親衛隊であるオコエ、そしてアウトライダー2体だ。ブルースは、通常の顔の裏側に、ハルクに半分変身しかけているバージョンの顔がプリントされている。また、アウトライダーも腕が6本タイプがあるので、これは正確には「ジェネラルアウトライダー」ということなのだろう。

【ミニフィギュア】
ブルース・バナー。通常顔とハルクに変身しかけている顔の2種へ変更できる
ワカンダの親衛隊オコエ
アウトライダー
腕が6本のジェネラルアウトライダー

ハルクバスターのディテールとギミックを考察

 それでは、完成したハルクバスターのディテールとギミックを見ていこう。組んだ印象としては、途中でも書いたが、90度角度を変えられるブラケットパーツの多用が目立った。このパーツを使うと4方向に面を出せるので形状出しには最適だが、ベテラン勢には物足りない感じがするかも知れない。だが、敷居を下げることは、リーチするユーザーを増やすことにもなるので、これはこれでアリだろう。そのほか、細かい部分は画像を見ながら紹介しよう。

ハルクバスターの全体画像を見てもわかるとおり、なかなかのボリューム感で、ハルクバスターらしいゴツさとパワフルさに溢れている。また、完成を見るとわかるのだが、ステッカーだけでなく、複数のカラーパーツを組み合わせることで、面の複雑さが強調されている点も注目だ。また、関節部分にはグレー系や銀系のパーツを配置することで、メカニカルな感じがアップしている

 股関節部分や、足首部分などの可動と保持を見るために、ダッシュをするようなポーズをとらせてみた。ハルクバスターでは、主要な関節にテクニック系のヒンジを使っているため、安定した状態で接地できた。これは、自作ロボなどですぐに腰砕けになってしまうモデルを作る人には、参考になるかもしれない。

一見不安定な姿勢でもしっかりとポージングが決まる

 ハルクバスターのギミックとしては、搭乗しているブルース・バナーの乗降が可能だ。ハルクバスターなのでアイアンマン風な頭部が付いているが、透明のキャノピーパーツをつけたら、ミニフィギュアの乗ったロボになりそうだ。

コックピットにブルース・バナーを乗せられる
マニピュレーター部分は、拳骨にすることも平手にすることもできる。最近はクリップ系パーツが充実しているので、このように簡単にマニュピレーターが作れるので嬉しい

 今回のハルクバスターは、完成までの時間としては3時間弱だった。しかし、これは本原稿の執筆用に撮影をしながら組んでいるからで、慣れた人なら2時間くらいで組めるのではないだろうか。最近のレゴ製品は、魅力的な大型モデルも多いが、正月やゴールデンウィーク、夏休みのような時期でないと、なかなか組みにくい。だから、これくらいのモデルのほうが、1日で作り、ワチャワチャと遊ぶのには最適だ。特に可動モデルはプレイバリューが高いし、ロボなら改造して遊ぶのもまた一興。組んだ印象としても、なかなか良作だったので、ぜひ購入して最新のロボ制作メソッドを体験してみては、いかがだろうか。

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