レビュー

「30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3」レビュー

漢字デカールが作品の雰囲気をぐっと引き締める。デカール軟化剤を用いた貼り方も解説

【30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:9月9日

価格:715円(税込)

ジャンル:水転写式デカール

 今回は9月9日に発売される「30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3」を紹介します。漢字マーキングをモチーフとした商品ということで、和の雰囲気を持つ「30MM 1/144 EXM-A9s スピナティオ (戦国仕様)」を用いて水転写デカールの貼り方のコツを含めて解説します。

時間を忘れて挑む30分-量産機をテーマとしたプラモデルシリーズ

 今回紹介する30 MINUTES MISSIONSとはBANDAI SPIRITSが2019年より展開する量産機をテーマとしたプラモデルシリーズです。各キットにて関節構造を共通化し、各所に3mmジョイントを設けることで無限大のカスタマイズを可能としています。

30MMの世界観に合わせた汎用性の高い水転写式デカールシリーズの第3弾

 今回紹介する「30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3」は30MMシリーズに対応した水転写デカールシリーズの第3弾です。これまで30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカールとして、国籍マークや英字マーク等のデカールが発売されていました。第3弾では漢字を使用したデザインが多数含まれ、これまでになかった表現が可能となりました。また、今回のデカールには大型EXAMACSである「30MM 1/144 eEXM GIG-R01 プロヴェデル(type-REX 01)」に対応したマーキングを収録しています。

今回使用する「30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3」。主に漢字のマーキングが付属しています。上部が汎用、左下が「プロヴェデル(type-REX 01)」用、右下がバイロン軍・マクシオン軍のマーキングという構成です。
漢字デカールは細かい部分までしっかりと描かれています。

水転写デカールで機体にオリジナリティを持たせていく

 それでは実際にデカールを貼ってみましょう。今回は30MMから「30MM 1/144 EXM-A9s スピナティオ (戦国仕様)」にデカールを貼り付けていきながらコツ等を解説していきます。

 プラモデルにマーキングを追加する方法としては今回紹介する水転写デカール以外にも、ドライデカールやテトロンシールがあります。水転写デカールはドライデカールやテトロンシールと比較して曲面やモールドへの追従性が高い特徴があります。

 水転写デカールを貼り付けるためにはカッティングボード、綿棒、ピンセット、ナイフが必要となります。また、曲面やモールドにより追従させるためにはマークフィッター等の軟化剤があると作業しやすくなります。今回はGSIクレオスから発売中のデカール軟化剤「Mr.マークセッター」と「Mr.マークソフター」を用意しました。

水転写デカールの貼り付け用に工具を用意。通常のシールと違い綿棒やナイフが必要となります。

 水転写デカールはシールと違い、水に浸して貼り付けを行なうため貼り付けを行なうデカールのみを選択し、台紙から切り離してやる必要があります。カットにはデザインナイフやカッターナイフを使用するとカットしやすいです。

デカールは必要な分だけをカットしつつ貼り付けを行なっていきます。

 カットが完了した水転写デカールはその名の通り、水を使用して貼り付けを行ないます。塗料皿などに水を入れ、カットしたデカールを浸してふやかしていきます。

切り出したデカールを水に浸します。ピンセットを使うことで作業性がアップします。

 デカールの台紙に水がしみ込んだら水から揚げ、デカールが台紙から剥離するまで置いておきます。デカールが台紙から剥離したらパーツに貼り付けを行ないます。

デカールの貼り付けは台紙からスライドさせるように張り付けるときれいにパーツの上に乗せることができます。

 パーツの上にデカールを乗せたら綿棒をデカールの上で転がし、水気を吸収してデカールを定着させます。

綿棒は乾いたものではなく、一度水で湿らせた綿棒を使用することでデカールが綿棒に引っ付いてしまうことを防ぐことが出来ます。

 これにて平面でのデカール貼りは完了です。基本的にはこの方法で貼り付けが可能ですが、スジ彫り等のモールドを跨ぐように貼り付けることもあるかと思います。こういった箇所では、普通に貼り付けるとデカールが浮いてしまうこともあるので、デカール軟化剤を使用した貼り方を紹介しましょう。

中央にモールドの入った肩部装甲パーツ。ここに国籍マーキングを張り付けていきます。

 モールドの入ったパーツへのデカール貼り付けはデカールをパーツに乗せる前にデカール軟化剤をパーツに塗布しておきます。今回使用しているのは、GSIクレオスから発売中のデカール軟化剤「Mr.マークセッター」です。

肩部装甲パーツにデカール軟化剤を塗布していきます。マークセッターにはデカール軟化成分だけでなくのり成分を含むため、しっかりとデカールを密着させることが出来ます。

 マークセッターの塗布が完了したらデカールを乗せ綿棒で水分を吸い取ります。この時点でモールドにデカールが入り込んでいけばよいのですが上手くいかない場合は、GSIクレオスの「Mr.マークソフター」を使用してデカールをさらに軟化させ、モールドに食い込ませていきます。

貼り付けを行なったデカールの上からさらにマークソフターを塗布し、デカールをさらに軟化させていきます。
デカールが軟化したらさらに綿棒を押し当ててモールドに密着させていきます。軟化したデカールは破れやすくなってしまうため、注意して押し付けていきます。
貼り付けが完了したデカール。モールドに合わせてしっかりと密着させることが出来ました。

貼り付けに失敗しても大丈夫。デカールの位置直しは可能。

 デカールを塗布する際は思わず位置がズレることもあるかと思います。そんな時でも落ち着いて対処すれば位置の修正は可能です。実際にデカールの位置を修正してみましょう。

位置がズレてしまったデカール。マーキングがパーツの中央にくるよう修正していきます。
綿棒に水を含ませ、デカールの上に水を乗せることでデカールを浮かせることが可能です。
位置を修正したら再度水分を吸い取ってデカールの位置直し完了です。

 デカール貼り付け後は剥がれ防止のため、トップコートを行ない作業完了です。今回はGSIクレオスの「Mr.スーパークリアーUVカットつや消し」を使用してトップコートを行ないました。

デカールによる情報量の追加で雰囲気がぐっと引き締まる

 それでは完成したスピナティオを見ていきましょう。

【素体正面】
左:加工前、右:加工後
【素体側面】
左:加工前、右:加工後
【素体背面】
左:加工前、右:加工後
【武装時正面】
左:加工前、右:加工後
【武装時側面】
左:加工前、右:加工後
【武装時背面】
左:加工前、右:加工後

 デカールを貼ることで雰囲気がぐっと引き締まりました。

刀を構えてみました。マーキングがあることで機体にリアル感があります。
肩部では、マークセッターとマークソフターを活用することでモールドに沿ってデカールを張り付けることができました。
胸部のアップ。戦国タイプのデザインが漢字デカールとマッチしています。
ライフルを構えてみました。火縄銃のようなデザインがマッチしています。
ライフルに追加したワンポイントの警告マークがかっこよさを演出しています。

 いかがでしょうか。今回紹介した「30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3」はこれまでに発売された英字デカールとは一味違う雰囲気に仕上がると思います。今回は「30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3」のみを使用してマーキングを追加しましたが、通常の英字デカールにアクセントとして漢字マーキングを入れてみるのも面白いと思います。この記事をきっかけに「30 MINUTES MISSIONS 水転写式デカール 汎用3」を使用してこれまでとは一味違うマーキングをしてみてはいかがでしょうか。

使用した工具等の一覧
ピンセットタミヤ 精密ピンセット(ツル首タイプ)
ナイフタミヤ クラフトツール モデラーズナイフ
軟化剤GSIクレオス Mr.マークセッター
軟化剤GSIクレオス Mr.マークソフター
トップコート(つや消し)GSIクレオス Mr.スーパークリアーUVカットつや消し