レビュー

KTW「M1873ガスコンバージョン・キット」レビュー

もう「ウィンチェスター M1873」を浪漫銃とは言わせない!

【M1873ガスコンバージョン・キット】

3月 発売

価格:21,780円

 KTWの「New ウィンチェスター M1873カービン」は、サバゲーフィールドに持っていくと「ロマン銃ですね! ニカッ!!」ってな感じで声をかけられることが多いエアーコッキングガンだ。しかし、実は非常に素直な弾道を実現しており、スナイパーライフル的な活躍も可能な名銃なのである。

 唯一の弱点が、コッキングが重いこと。スプリングを圧縮しなければならないので仕方ないが、せっかくレバーアクション機構を備えていても、西部劇で見るような連射は困難だ。ましてやシュワちゃんがハーレーに乗りながら披露していた、銃全体を回しながら次弾を装填する「スピンコック」などもってのほかだ。

 そんなKTWのウィンチェスター唯一の弱点を解消できるのが、今回の「M1873ガスコンバージョン・キット」。ウィンチェスターオーナーであれば、マストバイのアイテムと言えよう。今回は「New ウィンチェスター M1873カービン」(2023年7月再販、43,780円)に、同キットを組み込み、動作音、初速、弾道、発射可能弾数などをチェックしてみた。ぜひ最後までご覧いただきたい。

「M1873ガスコンバージョン・キット」21,780円(左)と「New ウィンチェスターM1873カービン」43,780円(右)

部品点数は3点だが、作業的には完全バラシとなる

 本キットは、「GASシリンダーユニット」、「GAS用スライドブロック」、「GAS用ハンマースプリング」の3点で構成されている。KTWの「ウィンチェスター」シリーズはエアコキであり、当然、シリンダー、ピストン、スプリング、シアなどの部品が内蔵されている。つまり、これらを取り去り、ガスガン化コンバージョンキットのパーツを組み込んでいくことになるのだ。

 キットのパーツ自体は3点と少ないが、エアコキの構成部品をほぼすべて取り去るので、作業的には完全バラシとなる。まあまあ大変だ。とは言えキットには詳細なマニュアルが付属し、KTWのYouTubeチャンネルには全工程を収めた動画が公開されている。ガスブローバックのハンドガンを通常分解できるぐらいの知識があれば、換装は可能だろう。工程を把握したうえで作業すれば1時間前後でおわるため、時間的にも手頃だ。

まるで西部劇の銃砲店にでも置かれていてもおかしくないパッケージ。これは永久保存版!
上から、「GASシリンダーユニット」、「GAS用ハンマースプリング」、「GAS用スライドブロック」。筆者が購入した製品の工作精度は高く、アッセンブリーも丁寧に組み上げられていた

作業前に気を付けてほしい! 組み込む際の初心者向け注意事項3点

 本キットは、前述した通りガスブローバックのハンドガンを通常分解できるぐらいの知識があれば換装は可能だ。しかし、実際に組んだからこそ感じた「初心者向け」のいくつかの注意点が3つある。

 まずひとつ目はネジを締めすぎないこと。初歩中の初歩として、まずネジの受け側が樹脂だったり、アルミだったりすると、締めすぎると舐めてしまい(空回りすること)、完全に固定できなくなるのだ。軽い力で締めていき、奥まで入ったら、ほんのわずかに回転させて「本締め」するぐらいの力加減で組み立てていこう。

 ふたつ目はKTWの組み立て動画に登場するキットは、製品版と外観・一部仕様が異なる点。製品版では「GASシリンダーユニット」と「GAS用スライドブロック」は黒色だが、動画では銀色の地肌が見えている。また「GAS用スライドブロック」先端のプラスネジが逆側に取り付けられていた。さらにお伝えしておくと、動画は向かい側から撮影しているので、自分で組み立てるときには位置関係が逆になる。このあたりを注意して、KTWの組み立て動画を参考にしていただきたい。

 3つ目はネジを間違えないように注意すること。筆者は容器に入れてネジを整理していたが、組み立て時に2回ほどネジを間違えてしまい、正常に動作させられなかった。ネジを種類ごとに整理するだけでなく、どこのネジなのか付箋などを貼っておくことを強くお勧めする。

 この3点さえ注意すれば、スムーズに組み立てられるはず。作業自体は難しくないので、安心して挑戦してみてほしい。万が一失敗してもKTWのウィンチェスターはパーツ単位で購入できるので、いくらでもリカバリーできる。ミスしても「構造を学ぶ機会になった」とポジティブに考えてほしい。

【KTW、M1873ガスコンバージョン・キット組み込みの様子】
【作業工程】
筆者はこれだけの工具を用意したが、使用したのはマイナスドライバーとプラスドライバー、ハンマー、ニッパーだけだ
タブレットやノートPCで組み立て動画を見ながら作業すると効率がいい。画面が消えないようにスリープは解除しておこう
これがほぼ完全バラシ状態。初めて作業する場合でもばらすのに30分はかからない
キットのパーツ3点を組み込んだら、少しガスを入れて動作確認をすること
何かが間違っていた場合に気付けるかもしれない(筆者の場合はレバーが途中までしか引けなかった)
筆者の場合はネジを間違えて使用しており、「GAS用スライドブロック」の後退を妨げていた。傷が付くこともあるので組み込みは慎重に
ウィンチェスターのネジは間違えやすいので、どこに使用するネジなのか付箋などを貼ってしっかりメモしておこう
当然だが、正しく組み込めたらレバーが正常に動作するようになる。ミスしても「構造を学ぶ機会になった」とポジティブに考えてほしい

ガスガン化後のウィンチェスターはどうなる?

 ガスガン化コンバージョンキットを組み込んだウィンチェスターはどのような銃に生まれ変わるのだろうか?

 まず動作音については明らかに小さくなっている。大部分についてはレバーアクションの音なのでこちらにほとんど違いはないが、発射音からはピストンがシリンダーを叩く音がなくなっており、ハンマーがファイアリングピン(撃針)を叩く音だけが小気味よく響くようになるのだ。

 サバイバルゲームフィールドなら、ゆっくりコッキングすれば隠密行動もできそうだ。

組みこんでも外見は変わらない
明確に違うのはガスの注入口の存在。しかし閉めれば見えなくなる
今回ガスガン化にあたって抜き取ったパーツ群。元に戻すときのため、もしくはべつのウィンチェスター用の予備パーツとして大事に保管しておこう

 なお、初速についてはどうしても落ちてしまうようだ。今回、室温約24℃の環境で組み込み前後の初速を計測してみたところ、エアコキの時の10発平均は87.51m/s、ガスガン化後の10発平均は73.71m/sであった(0.2g弾を使用)。もっと気温が上がれば初速は向上していくだろうが、春、秋シーズンは電動ガン、エアコキよりも少々不利な戦いとなることは避けられない。

 弾道は予想していたより安定していた。元々の弾道が素直なおかげか、20m先の20×20cmのターゲットを試射したところ(東京マルイ製「ファイネストBB 0.25g」を使用)、36発中23発が命中した。20×20cmのターゲットにこれだけまとまっていれば、30mぐらいのマンターゲットであれば十分捉えられるだろう。

 発射可能弾数については、室温20.7℃の部屋で連射したところ、約318発まで撃つことができた。KTW製ウィンチェスターのカービン用マガジンには37発のBB弾を装填できる。つまり、ワンチャージで8本以上撃ち続けられることになる。1回チャージすれば、1ゲームは十分戦えるだけの燃費を実現している。

 なお、初速が変化するキットを組み込む際には、やはり弾速計を準備して、組み上がったらすぐに規制上限の初速“98m/s”を超えていないか計測してほしい。

ガスは上から注入する
本体の実測重量は、ガス注入前が2151g、ガス注入後が2210g。つまり約59gのガスをチャージできたことになる。約318発撃てたので、1発当たりのガス消費量は約0.19gだ
【ガスガン化後「New ウィンチェスターM1873カービン」試射の様子】

ガスガン化したウィンチェスターはもう浪漫銃とは言わせない!

 今回の「M1873ガスコンバージョン・キット」は21,780円。エアコキをガスガン化するアッセンブリーパーツとしてコスパは高い。また、KTW自身のパーツということで、組み込み後にも安心して利用できる。

 このキットを組み込むと、コッキングが比べものにならないほど軽くなり、連射が可能となる。そして弾道にかかわるパーツはエアコキのものをそのまま利用しているので、初速のブレにより多少上下に散るが、十分サバゲーで活躍できるだけの戦闘力を発揮する。

 今回はカービンに組み込んだが、短い「NewウィンチェスターM1873ランダル」(38,280円)もガスガン化し、インドアサバゲーに投入したくなったほど気に入った。自信を持って勧められるパーツである。