レビュー

「HG 1/100 VF-22S シュトゥルムフォーゲルII(ミリア・ファリーナ・ジーナス機)」レビュー

「マクロス7」からミリアの愛機が新登場!試作機「YF-21」からの改修点に注目

【HG 1/100 VF-22S シュトゥルムフォーゲルII(ミリア・ファリーナ・ジーナス機)】

発売元:BANDAI SPIRITS

価格:4,730円

発売日:2025年1月17日

ジャンル:プラモデル

サイズ:全高150mm(バトロイド形態)

今回紹介するVF-22S シュトゥルムフォーゲルII(ミリア・ファリーナ・ジーナス機)。YF-21から一部パーツが新規造形となったキットです。

 「マクロス」シリーズに登場する各種メカのデザインは変形機構を前提としたデザインとなっています。これにより、過去発売された立体物もその変形機構を感じることができるアイテムが多く、飾って楽しい、動かして楽しいを感じることができます。

 BANDAI SPIRITSが展開する「HG 1/100 Scale MACROSS SERIES」は差替三段変形(ショートカットチェンジ)を採用し、広い可動域と各形態での洗練されたプロポーションを再現しています。本稿では、シリーズ第6弾となる最新キット「HG 1/100 VF-22S シュトゥルムフォーゲルII(ミリア・ファリーナ・ジーナス機)」をレビューします。

ファイター形態では飛行状態および駐機状態を選択して展示可能です。

元ゼントラーディ軍エースが操縦するVF-22S

 VF-22S シュトゥルムフォーゲルII(ミリア・ファリーナ・ジーナス機)は「マクロス7」の劇中、民間居住区「シティ7」の市長として登場する元ゼントラーディ軍エースパイロット、ミリア・ファリーナ・ジーナスの操縦する機体です。マクロスシリーズ第1作目である「超時空要塞マクロス」にて史上初の星間結婚を果たした彼女は続編となる「マクロス7」終盤に赤いVF-22Sを駆り、夫であるマクシミリアン・ジーナスと絶妙なコンビネーションを披露しました。

 VF-22Sは、「マクロスプラス」に登場した試作機「YF-21」から発展した機体です。西暦2040年が舞台だった同作から5年後の2045年を描いた「マクロス7」では、晴れて制式採用されています。機体には異星人ゼントラーディの技術を取り込んでおり、バトロイド形態では彼らのバトルスーツ「クァドラン・ロー」に近いシルエットを持ちます。

もちろん、本キットはガウォーク形態も再現可能です。

各形態のプロポーションを重視した差し替えパーツを組み立てていくキット構成

 本キットのパーツ構成はこれまでの「HG 1/100 Scale MACROSS SERIES」と同様に差替三段変形(ショートカットチェンジ)を採用しています。これにより、可動を維持し、各形態で最も優れたプロポーションを再現することが可能となっています。また、本記事では紹介していませんが、各種水転写デカールも同時発売しているため、簡単に組み立ててアクションフィギュアとして楽しむことも可能なほか、塗装や水転写デカールを駆使して作り込むことも可能となっています。

プラモデルオリジナルギミックとしてハイマニューバモードに変形可能です。
「HG 1/100 VF-22S シュトゥルムフォーゲルII 専用水転写式デカール」が同時発売。2月発売予定の「HG 1/100 VF-22S シュトゥルムフォーゲルII(マクシミリアン・ジーナス機)」にも使用できます。

「HG 1/100 YF-21」をベースとし、一部パーツを新規造形としたパーツ構成

 本キットのパーツ構成は以前発売された「HG 1/100 YF-21」をベースとし、一部パーツを新規造形としたパーツ構成となっています。

A1ランナー。バイザー部のクリアパーツに新規造形パーツが追加されています。また、エアインテークカバーは廃止されています。
A2ランナー。キャノピーガラス部分に新規造形パーツが追加されています。
B1、B2ランナー。ファイター時の機体下面カバーが廃止となっています。
C1ランナー。肩部アーマーの配色がYF-21と異なるため新規パーツとして追加されています。
C2ランナー。C1ランナーと同様に肩部アーマーが新規造形パーツとして入っています。
Dランナー。キャノピー枠のほかミリアのパイロットフィギュアが新規造形パーツとして含まれています。
Eランナー。ランナーの形状はYF-21と変わりありませんが、ガンポッドの仕様変更により、あまりパーツが多く出ます。
F2ランナー。全てのパーツが新規造形となっています。
シールは全て、極薄ながら優れた隠蔽性を発揮するネーマーシールが採用されています。

 本機の組み立ては最初にバトロイド形態から取りかかります。パーツ分割や組み立て順序は「HG 1/100 YF-21」と類似しているため、形状変更された箇所を中心に紹介していきます。

フェイスパーツおよび機体マーキングが変更となった頭部パーツ

 VF-22Sの頭部はYF-21の複眼型頭部からバイザー型頭部に変更されています。また、側頭部のマーキングはミリア機を表すマーキングです。機体マーキングはガイドシールを使用することで簡単に位置合わせを行なうことができます。

本機はフェイスパーツがバイザー型に変更されています。
側頭部のマーキングはガイドシールを使用して位置合わせを行ないます。
ガイドシールにより簡単に位置合わせできました。

キャノピー形状が変更となった胴体部パーツ。

 本機の胴体部パーツはキャノピー部形状とエアインテーク配色が変更となっています。キャノピー形状は新規造形となっているようですが、エアインテークについては成型色の変更となっています。

胴体パーツはエアインテークの成型色変更とキャノピー形状の新規造形となっています。

肩部アーマー配色変更と尾翼、手の甲塗分けシールが追加となった腕部パーツ

 腕部パーツでは肩アーマーの配色が変更されたことに伴い、使用するパーツが変更となっています。また、前腕部に取り付ける尾翼と手の甲塗分けはシールによる色分けとなっています。

腕部においては肩アーマーの成型色変更と手の甲の塗分けはシールによる色分けとなっています。

サイドアーマーの接続ジョイント孔が廃止となった脚部パーツ

 VF-22SのサイドアーマーはYF-21と比較し、ガンポッドをマウントする機能がオミットされています。ガンポッドをマウントするジョイント孔が不要になったことでサイドアーマーの形状も変更とこだわりが見られます。

本機のサイドアーマーはジョイント孔を撤去するために全て新規造形となっています。

 また、脚部パーツを接続する腰部パーツはYF-21と同一形状となっており、アクションベース接続孔有無を選択可能です。

VF-22Sでも腰部パーツはアクションベース接続孔有無を選択可能です。

シールによる色分け範囲が変更となったガンポッド

 VF-22Sのガンポッドは1丁に変更されています。また、シールによる色分けもYF-21から範囲が変更されています。しかし、YF-21からランナーを流用しているため、ガンポッドがもう1丁オマケで付属しています。

ガンポッドはシールによる色分け範囲が変更となっています。

 また、ピンポイント・バリアパンチのエフェクトパーツはクリアグリーンからクリアイエローに成型色が変更されています。なお、エフェクトの先端にはシボ加工がされています。

クリアグリーンからクリアイエローに成型色が変更されました。

 これにてバトロイド形態でのパーツは全て完成です。ここからはガウォーク形態およびファイター形態にて使用するパーツを比較していきます。

コックピット内部でも新規造形パーツを使用

 ガウォーク形態およびファイター形態で使用する機首パーツはキャノピーとパイロットフィギュアの形状が新規造形となっています。パイロットフィギュアの造形は一目でミリアであることがわかるデザインとなっています。

コックピットにはミリアのパイロットフィギュアが搭乗可能です。

サイドアーマーと同様に接続ジョイント孔廃止のため新規造形となった機体下面パーツ

 機体下面パーツはサイドアーマーと同等にガンポッド接続ジョイント孔が廃止となっているため、新規造形パーツとして同封されています。

機体下面パーツはVF-22Sにて新規造形となっています。

 残ったランディングギアおよびエアインテーク横のパーツはYF-21と同一形状となっています。以上で、各種パーツは完成となるので完成させたVF-22Sを見ていきましょう。

ミリアの搭乗する赤いVF-22Sが完成

 本機は前回発売したYF-21と比較し、機体色が赤くなったことで印象が大きく変わったと思います。武装に関してはガンポッドとピンポイント・バリアパンチエフェクトパーツが付属しており自身のイメージしたVF-22Sを倒しむことが可能です。

正面から見たVF-22S。フェイスパーツおよびコックピットハッチが変更されています。
背面は成型色のみYF-21から変更されています。
側面から見ると尾翼部の白ラインがアクセントカラーとなっています。

 各部の可動は差替三段変形(ショートカットチェンジ)の恩恵により様々なポージングをさせることが可能です。また、バトロイド形態でのスタイルは「超時空要塞マクロス」に登場する「クァドラン・ロー」を感じさせるデザインとなっています。

ガンポッドを構えたVF-22S。可動域も優秀なのでポージングの幅が広がります。
脚部のアップ。細かいところに「クァドラン・ロー」のデザインを感じます。
フェイスパーツのアップ。YF-21の複眼からバイザー型にデザインが変更されています。

 ガウォーク形態への変形はYF-21と同じ変形プロセスにて変形できます。変形後はアクションベースなしで自立させることも可能です。

ガウォーク形態ではアクションベースなしでもポージング可能です。
アクションベースを使用することでより躍動感のあるポージングが可能です。

 ファイター形態ではアクションベースを使用した飛行状態の再現も可能なほか、ランディングギアを使用して駐機状態を再現することも可能です。

飛行状態を再現したVF-22Sファイター形態。デザイン元となったアメリカの試作ステルス戦闘機「YF-23」を感じることができます。
駐機状態ではコックピットハッチを展開することでまた違った印象を感じることができます。

 最後に本機はプラモデルオリジナルギミックとしてYF-21にあったハイマニューバモードを再現することも可能です。劇中にハイマニューバモードを使用したシーンはないもののYF-21の系統であることを感じることができます。

ハイマニューバモードを再現した状態。YF-21の系統であることを感じることができます。

 今回紹介したVF-22Sはパーツ形状が同一であっても配色が変更となる場合は新規造形パーツとなるだけでなく、ジョイント孔の廃止に合わせてパーツを新規造形にしています。本キットのパーツ構成は同一形状のパーツでも配色や接続方法など、少しでも変更があれば別パーツとしてしまう、BANDAI SPIRITSのこだわりを感じました。

 来月にはVF-22Sのマックス機が発売予定となっていますが、今後の「HG 1/100 Scale MACROSS SERIES」にてどのような商品展開がされていくのか楽しみになっていく商品でした。現時点では「マクロスプラス」、「マクロス7」、「マクロスF」の登場機体がキット化されていますので、筆者個人としては「超時空要塞マクロス」のVF-1を現代の技術にてキット化されたものを見てみたいという気持ちもあります。「マクロス」シリーズの機体は魅力的なデザインのものが多く登場していますので、今後の商品展開が更に楽しみになりました。