レビュー

「30MM 1/144 eEXM-17FA フルアーマーアルト」レビュー

フルアーマー化で新たなステージに到達した新型アルト。カスタマイズの幅もさらに拡大

【30MM 1/144 eEXM-17FA フルアーマーアルト】

発売元:BANDAI SPIRITS

価格:2,178円

発売日:2025年1月11日

ジャンル:プラモデル

サイズ:全高135mm

今回紹介する「30MM 1/144 eEXM-17FA フルアーマーアルト」。フルアーマーらしい重厚感のあるフォルムに進化しました。

 BANDAI SPIRITSが展開するオリジナルプラモデルブランド「30 MINUTES MISSIONS」シリーズは2019年の発売から様々な機体が発売され、常に進化をしてきました。SFの世界において物語序盤に登場した機体はストーリーが進むにつれ旧式化していく運命にあるものです。

 そんな中、30MMでは現行キットを最新の仕様へと引き上げるフルアーマー化が発表されました。その第1弾が、30MMシリーズを代表するエグザマクス「アルト」です。「アルト」はこれまでに各種戦況に対応した特別機は発売されたものの、ノーマル装備の「アルト」をアップデートするパーツは発売されてきませんでした。2025年1月11日、強力な武装を追加した「30MM 1/144 eEXM-17FA フルアーマーアルト」として再びラインナップされます。

フルアーマーアルトはアーマーパージすることで中間アーマー形態にすることも可能です。

地球連合軍所属のスタンダードタイプエグザマクス

 「アルト」はIT企業「サイラス」が開発した地球連合軍所属のスタンダードタイプエグザマクスとなっています。これまでに生産されたアルトは世界各国でオリジナルカラーにて配備されたほか、追加装備を施した局地戦仕様として各地に配備されています。これまでに発売された「アルト」は各種カラーリングのほか、陸戦、空中戦など多岐にわたります。

【アルトのバリエーション(一部)】
「30MM 1/144 eEXM-17 アルト(陸戦仕様)[ブラウン]」(2020年2月22日発売)
「30MM 1/144 eEXM-17 アルト(空中戦仕様)[ネイビー]」(2019年12月21日発売)
「30MM 1/144 eEXM-17A アルト(X777部隊所属機)」(2021年12月発売)

3種類+αの形態を再現可能なキット

 本キットはフルアーマーアルトのほかに通常に近い形態のアルト、フルアーマーアルトを装備するための中間アーマー形態にも組み替えることが可能となっています。また、通常版アルトに付属するロイロイも通常形態のロイロイとフルアーマーロイロイを選択して再現することが可能です。

パワーアップしながらも可動域を活かしたパーツ構成になっています。
支援メカのロイロイもフルアーマー化します。

中間アーマー形態からフルアーマーアルトにパワーアップ

 まずはキットのランナーから見ていきます。本キットのランナーはアルトおよびロイロイを構成するランナーが3枚、フルアーマーアルトのランナーが2枚、汎用ジョイントランナーが1枚、プレミアムバンダイ限定商品「30MM 1/144 eEXM-17A アルト(X777部隊所属機)」に付属するアーマーパーツランナーが2枚付属しています。

 通常版アルトに付属していた武装、バックパックを構成するランナーは付属していないので、本キットで通常版のアルトを再現することはできません。

「30MM 1/144 eEXM-17FA フルアーマーアルト」パッケージ
アルトのメインランナー。ロイロイのパーツもこのランナーに含まれます。
Bランナーは共通フレームのランナーが付属します。
アーマーパーツランナーは同一形状のランナーが2枚付属しています。
フルアーマーアルトのランナーは多色成形となっており、同一形状のランナーが2枚付属しています。
一部武装の接続には汎用ジョイントを使用して接続を行ないます。

パーツ選択により、2種類の頭部形状を再現可能な頭部パーツ

 本機の頭部パーツは通常版アルトのほか、X777部隊所属機の頭部を選択式で再現可能です。パーツ数は選択式パーツを含めて5パーツにて構成されているため、簡単に頭部を組み立てることが可能です。

組み立て前の頭部パーツ。全5パーツにて構成されており簡単に組み立てることが可能です。
通常状態のアルト頭部はシンプルな造形となっています。
選択式パーツを使用することでアンテナ付きのヒロイックな頭部に変更することも可能です。

バックパックが新規造形となった胴体パーツ

 フルアーマーアルトの胴体パーツは通常版アルトと比較し、バックパック形状が変更されています。また、中間アーマー形態では胸部装甲を取り付け、フルアーマー形態ではあまりパーツとなるようです。

パーツ状態での胴体パーツ。バックパックが新規造形となっています。
組み立て後の胴体パーツ。バックパック以外は通常版アルトと変わりありません。なお、胴体中央の装甲はフルアーマー時、あまりパーツとなります。

3種類の形状から選択可能な肩部パーツ

 肩部パーツは通常版アルトの肩部パーツ、中間アーマー形態の肩部パーツ、X777部隊所属機の肩部パーツから選択して組み立てることが可能です。なお、腕部パーツへのジョイントは1セット分しか付属していないため、パーツを変更する際はジョイントパーツの組み換えが必要です。

組み立て前の肩部パーツ。中間アーマー形態の肩部パーツはグレーにて、その他の形態はホワイトで成型されています。中間アーマー形態の肩部パーツには前後にジョイント孔が追加されています。
組み立て後の肩部パーツ。ジョイントパーツは1セット分しか付属していないため、パーツを変更する際はジョイントパーツの組み換えが必要です。

通常版アルトと同一形状となる腕部パーツ

 フルアーマーアルトの腕部パーツは通常版アルト同一形状のパーツ構成となっています。肘関節は30MMやENTRY GRADEキットと共通となるCジョイントによる接続方法となっています。なお、腕部パーツは左右で同一形状となっており肩部ジョイントの向きとハンドパーツ形状で左右を変更しています。

パーツ状態での腕部パーツ。通常版アルトと同様にシンプルなパーツ構成です。
組み立て後の腕部パーツ。肘関節はCジョイントによる接続方法となっています。

サイドアーマーが大型化した腰部パーツ

 本機の腰部パーツはサイドアーマーが大型化され、ジョイント孔とCジョイントが追加されています。これにより、フルアーマーパーツの取り付けだけでなく別キットの刀などをマウントさせることも可能です。

組み立て前の腰部パーツ。サイドアーマーは通常版アルトの形状とフルアーマーアルトの形状を選択式で再現可能です。
組み立てが完了した腰部パーツ。脚部との接続ジョイントはスイング機構が採用され可動域の拡大が図られています。
サイドアーマーはフルアーマーアルトの形状を使用することで拡張性が増します。

追加ジョイントパーツにより、身長アップした脚部パーツ

 フルアーマーアルトの脚部パーツはフルアーマーパーツの追加ジョイントにより脛部が延長され、スタイルの向上が図られています。また、膝部分の外装パーツはフルアーマーアルト用パーツと通常版アルト用パーツから選択して組み立てることが可能です。

パーツ状態での脚部パーツ。膝部分の外装パーツはフルアーマーアルト用パーツと通常版アルト用パーツから選択して組み立てることが可能です。
組み立て後の脚部パーツ。追加ジョイントにより脛部が延長され、スタイルの向上が図られています。

 これにて中間アーマー形態の各ブロックは完成です。一体化して中間アーマー形態のアルトを完成させます。各部の接続は肩部パーツが挟み込み、脚部が軸接続、その他はボールジョイントによる接続となっています。

一体化前の中間アーマー形態アルト。各部の接続は肩部パーツが挟み込み、脚部が軸接続、その他はボールジョイントによる接続となっています。
一体化した中間アーマー形態アルト。脛部の追加パーツによってスタイルの向上が図られています。

追加装甲パーツにてフルアーマー化

 ここからはフルアーマーパーツを組み込んでいきます。本機のフルアーマーパーツはアルトの各部ジョイントに追加装甲を装着する形になります。各パーツの取り付けは組み立てやすさを考慮し、各部ブロックに分割してから取り付けていきます。

 胴体部および腰部の追加装甲は胸部追加装甲とフロントアーマー、リアアーマーの追加となっています。各部の接続は軸接続となっており、フロントアーマーおよびリアアーマーはスイングが可能となっています。

追加装甲取り付け前の胴体部および腰部パーツ。胸部装甲は2色2重構造となっています。
追加装甲取り付け後の胴体部および腰部パーツ。中間アーマー形態での胸部装甲はあまりパーツとなります。

 肩部および腕部の追加装甲は肩部にシールド付き増加装甲、腕部に固定式複合兵装を装備します。肩部シールドにはジョイント孔だけでなくCジョイントも採用され、更なるカスタマイズが可能な構造となっています。腕部兵装は角度を変更することで射撃モードと格闘モードを変更することが可能です。

追加武装取り付け前の腕部。追加装備の中でも大型のパーツ構成となっています。
追加武装の取り付けが完了した腕部。腕部兵装は射撃モード時に肘を曲げたポージングとなります。
腕部兵装は回転させることで格闘モードに変更できます。

 脚部の追加装備は周囲に増加装甲や追加スラスターを装備していきます。各部の装甲は軸接続となっており、スラスターは組み立て後角度を変更することができます。

パーツ取り付け前の脚部パーツ。脚部背面には追加スラスターが装備されます。
パーツ取り付け後の脚部パーツ。スラスターは組み立て後角度を変更することができます。

 これにて、フルアーマーアルトは完成です。ここからは支援メカとなるフルアーマーロイロイを制作していきます。フルアーマーロイロイは通常版ロイロイを組み立て後、フルアーマーパーツを被せて完成させます。ロイロイはフルアーマー化することで接続軸が増加し、拡張性が向上します。

パーツ状態でのフルアーマーロイロイ。通常版のロイロイにフルアーマーパーツを被せて完成させます。
完成したフルアーマーロイロイ。側面に接続軸が追加されたため拡張性が向上しています。

 これにてフルアーマーアルトを構成するパーツは全て完成しました。ここからは完成したキットで様々なポーズを楽しんでみましょう。

フルアーマー化により新たなステージに到達した新型アルト

 まずは完成したキットを前後側面から見てみます。フルアーマー化することでこれまでのアルトの印象から大きく変わり、迫力ある印象に変化しています。

追加装甲はブルーがメインカラーとなっているため、機体の印象が大きく変わります。
背面は新規造形バックパックを搭載したことで拡張性が向上しています。また、脚部のスラスター追加により増加装甲分の重量増を推力で補っている意匠が見られます。
腕部固定武装は近接用実体剣が目を引くデザインとなっています。

 各部フルアーマーパーツはアルトの可動に干渉しない配置、形状となっており様々なアクションポーズをとらせることが可能です。

各部フルアーマーパーツはポージング時に干渉しません。
実体剣は様々なアクションポーズをとらせやすく、遊びの幅が広がります。
もちろん片方を射撃モードにしてのポージングも決まります。
本機に手持ち武装はありませんが、腕部固定武装を射撃モードにもできるのでプレイバリューは十分です。
フルアーマーパーツは取り外すことで中間状態を再現することも可能です。
フルアーマーロイロイに可動などはありませんがカスタマイズパーツに使用するほか、傍らに置いてアクセントとしても使えます。

 ここからは30MMの特性を活かしてオリジナル機体を制作してみました。今回のカスタマイズはフルアーマーパーツによりジョイント箇所が増加したため、可変機にチャレンジしてみました。使用したカスタマイズパーツは、「30MM 1/144 オプションパーツセット17(ウィングユニット1)」、「30MM 1/144 オプションパーツセット13 (レッグブースター/ワイヤレスウェポンパック)」、「30MM 1/144 オプションパーツセット15 (マルチバーニア/マルチジョイント)」、「30MM 1/144 エグザビークル(ティルトローターVer.)」、「30MM 1/144 eEXM-30 エスポジット γ」のほか、1月25日発売予定の「30MM 1/144 エグザビークル(ウィングモービルVer.)」です。

オリジナル武装にカスタマイズしたフルアーマーアルト。大型シールドやオリジナルライフル等を追加してみました。
アルトの可動域が広いので大きなポージングも可能です。
背面も追加装甲の迫力に負けないよう武装をてんこ盛りにしています。
変形させ、高速巡行モードにしてみました。30MMに付属しているジョイントパーツを駆使することで可変機も制作可能です。
もともと可変機ではないので横から見ると少し無理のあるフォルムになってしまいましたが、構造を考えている間は子供の頃のように楽しめました。

 今回紹介したフルアーマーアルトは、30MMのシリーズ第1弾であるアルトに更なる可能性を与えるキットでした。アルトは初期の量産機らしいシンプルで細身の造形ですが、フルアーマー化させることでこれからも最前線で活躍できる機体に仕上がったと思います。フルアーマーパーツにも各部にジョイントが追加されているため、30MMの醍醐味であるカスタマイズをより一層楽しめるキットです。今回のフルアーマー化は地球連合軍の機体でしたが、今後の商品展開でマクシオン軍やバイロン軍のエグザマクスのフルアーマー化にも期待したいです。