レビュー
「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」レビュー
変形が最高に楽しい! 変形とスタイルを高次元で実現させたハイクオリティフィギュア
2025年2月28日 00:00
- 【アダマスマキナ AMT-01 ロディマス】
- 開発・発売元:タカラトミー
- 2月22日発売
- 価格:30,800円
- 全高:約230mm(ロボットモード時)
タカラトミーのハイターゲット向けホビーレーベル「T-SPARK」から、ついにフィギュア「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」が発売された。本商品はキャラクターの魅力を質感まで追求した合金モデルシリーズ「鋼鉄機神(アダマスマキナ)」の第一弾であり、T-SPARKのフラグシップといえる商品だ。
キャラクターのモチーフは「トランスフォーマー」シリーズに登場する、「ロディマス」。“ホットロディマス”とも呼ばれるオートボット(サイバトロン)の若き戦士で、赤いスーパーカーに変形する。
「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」はこのロディマスを非常に見応えのあるディテール、何より、足が長くスマートでカッコイイプロポーションで立体化している。配色も非常に複雑で見応えがある。そして変形だ。「このパーツがこう動き、こうなるのか!」という驚きが非常に楽しい。よく動き、変形も楽しく、見応えたっぷりという、フィギュアとしての見栄えだけでなく、タカラトミーらしい「遊んで楽しい」商品となっている。
今回は「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」を実際に変形させ遊んでみた。今後の「アダマスマキナ」だけでなく、T-SPARKというブランド、「タカラトミーが生み出す大人向け商品とはどういうものか?」という問いに対し、期待を大きく膨らませる商品となっている。その魅力を紹介していきたい。
ド派手なスーパーカーがトランスフォーム! 線の多い独特のデザイン
まずはスーパーカーの姿、「ビークルモード」からチェックしていこう。「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」は、赤いスーパーカーにトランスフォームする。ロディマスが変形するスーパーカーは、真紅の車体、巨大なウイング、銀色の大型マフラーむき出しのエンジンといった、派手なデザインだ。
「トランスフォーマー」というと筆者は、装甲部分を組み合わせると実在の車そっくりになるイメージを持っていたが、「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」のビークルモードは分割線が目立つパーツの集合体という雰囲気。特に裏側を見ると手、足、頭部とロボットモードへの変形する各パーツの配置が想像でき、「変形そのものはシンプルなのかな?」と第一印象を持った。……しかしその印象は変形させることで大きく変わることとなる。
ディテールをチェックしていこう。細部をチェックして楽しいのは細かなデザインと、塗装により際立つマテリアル感である。コクピットやウイング基部にはクリアパーツが使われており、コクピット側面にはオレンジ、背部にはピンクっぽい赤と、わざとブロックごとに差別化するように色に変化を与えている。黄色の差し色も、所々に金色を盛り込んでいて、情報量を増している。線の多さも含めて、実在の車ではなく、いかにもロボットが変形して車の形になっているというイメージを強調しているように感じられる。
線の多さは細部をチェックする楽しさを増してくれる。車体前面の金のダクト、後方にも金色の吸気口が見える。黄色のボンネットにはオートボットのマークが輝き、マフラーや、コクピット前のむき出しのエンジンなどの銀色がアクセントとなってメカニカルな雰囲気を強調する。タイヤはきちんと回転する。悪路にもしっかり食いつきそうな溝が造形されているのも、この車が道路だけでなく、道なき道も走って行きそうな感じだ。何より大型のウイングが、ジャンプしてそのまま空を飛びそうで、真紅の車体カラーも相まって、ド派手な走りを見せてくれそうだ。
このスーパーカーが、驚きの変形で、ロボットモードになるのである。
トランスフォーム! 腿ブロックの移動で驚きのプロポーション変化を実現
ロボットモードへのへトランスフォームは、フロントパーツから始まる。フロントパーツを外し、車体下部へと回す。次はタイヤだ。「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」の驚きの変形の1つが「前輪が2つに分かれる」ということ。1パーツだと思っていた前輪が2つに分離するところで、「この商品の変形は面白いぞ」と誰もが感じるだろう。
2つに分かれた前輪のうち、アーム側はロボットモードの背中に移動し、左右のタイヤパーツが組み合わさり、背中に取り付けられる。残った半分のタイヤはフロントパーツをかぶせることで肩の中に収納される。ロボットモードの時、背中を見るとタイヤが確認でき、「このタイヤが前輪になるのか」と思わせるが、実際にはさらに凝った仕掛けがある、というわけだ。見た目で想像する変形を一段超えてくるのが、本商品の面白さなのである。
次の変形の準備のため、腕を本体から外す。さらにウイングを跳ね上げ、足を分離させる。ウイングは中央から分割し、ヒンジを使って左右により大きく広げる。
ここからが「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」の変形の大きな山場となる。腿側面の装甲を引き出してから、腿のブロックを180度回転させるのだ。このとき、足パーツは側面パーツの接続軸を支点に腿パーツと独立させ、腿パーツのみが回転する。そして足パーツからもう半分の腿パーツを引き出し回転させた腿パーツと結合させ、開いていた側面パーツを閉じる。
この変形システムはちょっと独特で、パーツの構造がわからないと側面パーツを余計にひねってしまうなど間違った変形をさせてしまうこともあるので、注意したいところだ。腿パーツを2つに分解し、付け根側を回転させることで、劇的にビークルモードとロボットモードの足パーツの位置プロポーションが変わるのである。「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」はロボットモードのすらりとしたプロポーションが大きな魅力なのだが、この機構が、そのスタイルの良さを実現させている。本商品の”要”となるギミックだ。
腿部分の変形が終わったら、足首とふくらはぎの変形。折りたたまれていた足を出し、回転させる。後輪ブロックをいったん跳ね上げ、ふくらはぎとして内部に収納。跳ね上げた後輪を戻すとタイヤは足内部に隠れる。足首の軸を折りたたむことで足の変形が完了する。このふくらはぎの変形は両形態でしっかりピンで位置が固定されるので、後輪ブロックを移動させるとき、まずピンを外すように動かさないとピンを傷つけてしまうので注意が必要だ。
バックパックと上半身を回転、胸パーツに隠されたイケメンフェイスが出現!
次がバックパックと上半身の変形。まず上半身を引き延ばす。こうすることでバックパックの基部の回転が可能になる。次は上半身の回転だ。こちらも180度回転させる。写真では撮影しやすいように下半身側を回転させているが、この回転で、これまで車体下側だったタイヤがついた背中と、バックパックの接続部分が同一面となった。
バックパックの基部を背中にを固定してから、さらにウイングの接続部分を折りたたんで取り付ける。次は腰パーツを下げる。そして胸パーツの移動だ。胸パーツはいったん上に引き出してから回転させる。胸パーツの下側で腹部をかくし、胴体に押し込んで場所をしっかり決める。その後首部分を前に動かし頭の位置を決める。最後は腕のマフラー部分だ。腕を回し腕の側面にマフラーが来るように調整したら、ロボットモードの完成だ。
「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」は”変形の楽しさ”が大きなセールスポイントだ。初めのうちは太もも部分の構造でちょっと戸惑うかもしれないが、構造を理解するとしっかりと変形ができる。
本商品のビークルモードは見ただけ「でここが腕になるな、こっちは足か」と想像できるので、一見シンプルな変形に思えるのだが、実際に変形させてみるとタイヤがしっかり隠れたり、プロポーションがはっきり変わるなど随所に驚きがある。また両形態で各パーツの位置がしっかり固定されるので、変形後に遊んでいて意図せずパーツが外れるといったこともなく、とても遊びやすい。「T-SPARKは見た目だけではなく、タカラトミーらしくしっかり遊びやすさも重視している」という、作り手の強いこだわりが伝わってくる。
スタイルが良く、カッコイイ! ポーズ付けが楽しいロボットモード
そして、ロボットモードの最大の特徴はそのスタイルの良さである。ヒロイックなプロポーションは、ビークルモードでかっちりまとまっていた姿から、腿ブロックを回転させ、足の付け根を下にぐっと押し下げることで生まれている。足を長く、翼と肩で上半身をマッシブにさせることで、スマートでヒーローらしいシルエットを実現させている。端正なマスクとメカニカルなディテールで、いつまで見ていても飽きないほどにカッコイイ。
ビークルモードでの情報量の多さが、変形することでより際立っている。マフラーや膝の銀色がアクセントになり、黄色の差し色が全身の赤を引き立てる。マテリアル感としては腿の金属パーツが楽しい。フィギュアを手に持つとちょうど腿の装甲が手に触れ金属の感触を感じさせてくれる。このパーツは変形時、腿パーツが回転しているときに足の支えとなってくれる。構造的にも強さが求められるパーツで、設計のうまさが実感できる。
より細かくディテールを見ていこう。キャラクターとして「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」は特に横顔がカッコイイ。スマートなプロポーションと引き締まった表情がハンサムなマスク。ウエストはきゅっと締まり、上半身のマッシブさを強調する。マフラーが腕の側面に移動し武器となるデザインも面白いし、黄色と金色、オレンジ、明るい赤、濃い赤、黒など目を近づけることで情報量がぐっと増える。
足部分はさらにディテールが増える。膝のアーマーに赤いマークが入っていたり、すねにはマフラーが足に巻き付いた意匠になっている。足部分もスジ彫りなどがしっかり入っていてその細かさに感心してしまう。背面も情報量が充実しており、全身をチェックするのが楽しい。特に肩の付け根と足首には光を反射するキラキラした塗料が使われており、メカニカル感を引き立てる。手に持っていたり、全身を眺めているとキラリと光り目を惹くのだ。
可動も優秀で、膝立ちも可能。腰を前傾させたり、胸を反らせたポーズもでき、ポージングの幅は広い。肩の出っ張りは腕を動かすと背中の翼に干渉するが、肩ブロックを動かしたり、翼を後ろに曲げることできちんと動かせるだけでなく、シルエットの調整もできる。
多彩な装備品でポージングの楽しさが大きく広がる!
「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」はキャラクター性を強調する装備品も充実している。メインの武器となる大型の銃「フォトンレーザーα」はSFガンらしいケレン味たっぷりのデザインだ。小型の銃の「フォトンレーザーβ」は取り回しがしやすそうで、どちらか片方を握っても、2丁拳銃スタイルでもポージングが楽しい。特に2丁拳銃姿はロディマスの派手なキャラクター性に合っている。さらにこの2つのフォトンレーザーは合体させてライフルになるのだ。合体した姿は大迫力。2丁拳銃で近接戦、ライフルモードで遠距離戦、といったイメージが膨らむ。
また、ロディマスを象徴する武器として「ソウブレード」がある。手首を外し腕に直接ついた形の回転のこぎりは、剣やナイフのようなスマートな近接武器と異なる派手でちょっと凶暴さも感じさせる武器だ。このほか「コミュニケーター」も手に持たせることができる。ソウブレードとコミュニケーターは背面に装着させることも可能だ。
ちなみにこれらの武器はビークルモードでも装着できることができる。大きな武器がついたスーパーカーはさながら映画「マッドマックス」に出てくる車のような迫力がある。特にコクピットを覆うように天井にくっつくソウブレードが面白い。
武器を手にすることでポージングの楽しさが大きく広がる。最後は様々なポーズを見せたい。
「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」は変形させ、ポーズをとらせ、眺めることでその面白さを強く実感できる商品だ。見た目のカッコ良さ、リッチさだけでなく、パーツを動かすことで、両形態でのパーツの位置を固定させるしっかりした設計、強度が必要なところにしっかり金属パーツを使用している配慮が感じられる上、見た目にも手を抜かない。まさに「T-SPARKのフラグシップ」といえる商品であり、「タカラトミーの大人向け商品の思想」が実感できるアイテムだ。繰り返すが、見た目と遊びやすさを高い次元で両立しているこのバランスは、本当に感心させられた。
2025年1月のイベント「T-SPARK ZONE」では「アダマスマキナ」の第2弾「アダマスマキナ AMT-02 プレダキング」が発表された。こちらは5体のロボットが合体、各ロボットはロボットモードだけでなく、動物型の「アニマルモード」まで搭載している。そして何より「合体したときのプロポーションにこだわった」というスタイルがカッコイイ。ロディマスと並べて飾りたい、と強く思う魅力的な商品だ。
「アダマスマキナ AMT-01 ロディマス」は魅力的な商品だ。トランスフォーマーファンだけでなく、変形フィギュアが好きな人、ロボットの変形システムにこだわりがある人にも是非チェックしてほしい。
(C) TOMY