特別企画

「オルタードナノ」、フィギュア「フリゲート」、ビークル「カヴァス」インプレッション

企画担当者が語る、10cm可動フィギュアとビークルの可能性

【AN-01 Alt FRIGATE<フリゲート>】
11月末発売予定
価格:5,940円
【AN-02 AA-CAVALL<カヴァス> 1024】
11月末発売予定
価格:8,580円

 タカラトミーの大人向けレーベル「T-SPARK」は、新フィギュアシリーズ「ALTERED NANO(オルタードナノ)」を5月9日より本格展開する。「オルタードナノ」は人型の"フィギュア"と乗り物フィギュア"ビークル"の連動で遊べる完成品アクションフィギュアシリーズ。デザイナーの新川洋司氏がフィギュアを、荒牧伸志氏がビークルをデザインする。

 シリーズ第一弾「AN-01 Alt FRIGATE<フリゲート>」と、「AN-02 AA-CAVALL<カヴァス> 1024」の予約が5月9日から開始となる。商品の発売は11月下旬予定。タカラトミーモールではセット販売も行われる。セット品ではフリゲートの肩アーマーの形状が異なるものも同梱される。

 「オルタードナノ」のフィギュアは全高約10cm、全身に可動関節が仕込まれ、ビークル型メカと連動して遊ぶというのが基本コンセプトだ。ビークルもフィギュアが搭乗することが前提で開発されている。

 本稿では「オルタードナノ」の企画を担当するタカラトミーの開発担当者に「AN-01 Alt FRIGATE<フリゲート>(以下、フリゲート)」と、ビークル第一弾である「AN-02 AA-CAVALL<カヴァス> 1024(以下、カヴァス)」について、ギミックや魅力、コンセプトなどを聞くことができた。

 「T-SPARK」は従来のタカラトミーの商品と異なり、15歳向けの商品規格を設定することで、エッジを効かせたデザインや、凝ったギミック、細かい部品構成などでキャラクターを表現する。繊細なデザインを実現しながら「遊びやすさ」に注力しているのが大きな特徴だ。「オルタードナノ」も非常にかっこよく、そして遊びやすいシリーズとなるという。商品の魅力や今後の展開を紹介していきたい。

ヒロイックなポージングも可能な兵士フィギュア「フリゲート」

 「オルタードナノ」は「フィギュアとメカ」がラインナップの大きなコンセプトとなる。近しいコンセプトでタカラトミーは「ダイアクロン」を展開している。「ダイアクロン」ではフィギュアは全高約3cmという小さなサイズで、メカはパワードスーツや巨大ロボットなど大きなメカを展開しているのに対し、「オルタードナノ」はフィギュアのサイズを全高約10cmにして、このサイズでのフィギュアの可動、メカの表現を行っていくシリーズとなる。

 「フリゲート」は新川氏のデザイン。新川氏はゲーム「メタルギア」シリーズのキャラクター/メカニックデザインなど、「コジマプロダクション」の作品を多く手がけ、コトブキヤのプラモデル「フレームアームズ」などにも参加している。「フリゲート」はソリッド・スネークのスーツや「サイボーグ忍者」を思わせるデザインだ。

【フリゲート】
顔をすっぽり覆うバイザーに描かれた「01」の数字。ヒロイックさの薄い、一般兵士然とした、印象的だがちょっと地味なデザインだ。新川氏らしい「メタルギア」の雰囲気も感じる
背面には三角のプレートが装着されている
関節の可動には非常に力が入っており、多彩なポージングが可能
手のひらサイズ、約10cmの大きさが新しい可能性を生む

 「フリゲート」は細身で体の線がはっきり出るスーツをまとった姿をしており、全身がスーツに覆われている。スーツにはメカニカルなモールドが入っており、肩や太ももなどはプレードで補強されている。スーツをまとった人にも、機械の体のサイボーグのようにも見える。特に目を惹くのはフルフェイスのヘルメット。バイザー部分は額から顎まで覆い、卵のように無機質で、顔部分に「01」と書いてあり、「個性」というのをそぎ落としたような印象だ。

 もう1つユニークなのが背中に背負った三角形のプレート。武器のようにも見えるし、飛行装置のようにも、アンテナのようにも見える。プレートは3mmのピンがついており、本体から取り外すことも可能だ。

 「フリゲート」は背中と腰に3mmの穴が空いていて、背中のプレートを腰につけることも可能。追加装備など今後の展開にも期待したい。足裏にも3mmの穴が空いており、こちらに対応したスタンドなども利用できる。

 「オルタードナノ」はキャラクターやメカに背景となるストーリーや世界観をわざと提示せずに展開する予定だ。ユーザーは自由に世界を設定し、その上で遊んでほしいとのこと。新川氏自身はキャラクターに「役割」や「階級」などを考えてデザインした一面もあり、「フリゲート」や「カヴァス」のマーキングなどには意味を込めているとのこと。複数の商品をそろえることで、マーキングの意味などを考えるのも楽しくなるという。

 新川氏自身は「アクションフィギュア」については子供の頃から憧れがあり、自分なりにアクションフィギュアとしてのキャラクターなども考えていたとのこと。タカラトミーから企画の打診があったことで、かなり積極的に取り組んでもらえたとのことだ。

 開発担当は「オルタードナノ」に関して、「特に“サイズ感”に注目してほしいです。ほかの商品では少ない約10cmのフィギュアだからこそ手頃な大きさのビークルと絡めて遊べる。乗り物と組み合わせて遊べるのがこのシリーズの特徴になります」と語った。

 「フリゲート」で開発担当が特に気に入っているのが「肘の関節の処理」。昨今のフィギュアでは2重関節で表現されることも多い肘関節を本商品では角度をつけた一軸の関節で表現することで、肘を深く曲げる独特の表情が出せるようになっている。この関節表現はカヴァスに乗るときのランディングポーズの自然さにも繋がっている。

【肘の関節の面白さ】
特徴的な肘の関節
二軸関節より自然な射撃ポーズがとらせられる
前腕を深く曲げることも可能

 また足首の関節も軸が斜めになっていて、肘と足首の関節を活用することで、力の入ったヒロイックなポーズなど、ちょっと癖の強いポージングも可能になる。「相当ポージングの幅が広がります。より人間的なポーズも工夫できる、関節の表現の面白さを起点にしたポーズ追求も楽しいです」と開発担当は語った。ポーズをしっかりとれるように関節の渋みも調整していく。付属品としてはPDW型の武器が付属。持ち手や表情のついた手首パーツも複数付属し、ポーズの幅を広げてくれる。

【セット内容】
武器とプレート、交換用手首が同梱

一輪バイクから2足歩行メカに”シフトチェンジ”する「カヴァス」

 「カヴァス」は一輪バイク型のビークル。カヴァスはウェールズの神話・伝承を伝える写本「マビノギオン」で語られるアーサー王の猟犬から名付けられた。「オルタードナノ」のビークルには名称にテーマ性を持たせた名前がつくとのこと。

 一輪バイクなため、フィギュアではスタンドが必須となる。黄色に茶色を混ぜたような淡い茶色である「タンカラー」が基本色になっており、ミリタリーの雰囲気が強い。フレームやシートには黒が使われ、差し色で黄色が入っており、無骨な雰囲気だ。

【カヴァス】
カーキ色のボディの一輪バイク。黄色の差し色が鮮やかだ
一輪バイクのため、自立させるには付属のスタンドが必要となる
「シフトチェンジ」。アームが機体を持ち上げ変形する過程が設定されている
2足歩行が可能になり、荒れ地も走破できる形態に。AIを搭載しており自立行動も可能という設定だ
セット内容、大型機銃とマガジン、マガジンを収めるラックが用意されている

 デザインは「機甲創世記モスピーダ」のモスピーダや、「メガゾーン23」のガーランドなどバイクから変形するメカのデザイナーとして知られる荒牧伸志氏。「オルタードナノ」での荒牧メカ第一弾はバイクになったが、一輪バイク、というのがユニークだ。開発担当は「『カヴァス』のデザインは本作のSFチックな世界観に合っていると思うし、一輪バイクというのは挑戦的で面白いと思いました」と語った。

 「カヴァス」にはロールバーも設定されており、タイヤは大きく、溝も掘られていて、道がないような地形でも軽快に走行するイメージだ。そしてタイヤでは走行困難な場所では“形態変化”し、2足歩行メカとなる。この形態変化ギミックを「オルタードナノ」では「シフトチェンジ」と呼ぶ。

 「カヴァス」のシフトチェンジは「ビークルシフト」から「コンバットシフト」といわれる形態に変わる。コンバットシフトでは、タイヤ周辺のダンパーなどが展開し、タイヤ自体も2つに割れて人間などとは逆の“トリ足関節”である2足歩行メカになる。上部分はタンク部とカウルが伸張し、まるで小型恐竜のように鎌首をもたげたシルエットになる。

 変形パターンも考えられていて、ビークルシフトから足が前に出て地面に接地、そこからタイヤを持ち上げるように起き上がり、タイヤが割れて足の関節部分が後ろに回り姿勢を安定させるイメージだ。カウル部分が持ち上がることでかなり印象が変わる。

 バイク形態ではスタンドが必要な「カヴァス」だが、コンバットシフトでは設置部分の足を広げることで片足立ちができるほど安定して立たせることができる。「カヴァス」はAIによりパイロットのいない自律行動も可能、という設定があり、特にコンバットシフトの形態は“ロボット”としての雰囲気が強くなる。

 「カヴァス」には各部に3mm穴が設定されており様々な装備を懸架可能だ。商品には大型の機銃とマガジンが同梱されており予備マガジンホルダーに2つ、銃に1つの、3つのマガジンが用意されている。今後装備は充実していく予定だ。

 そして「カヴァス」は「フリゲート」と連動することでお互いの魅力を増す。しっかりとランディングポーズがとれるだけでなく、機体に乗りながら武器を構えたり、コンバットシフトの姿勢でポーズをとったり、横に立たせることで様々なシチュエーションが生まれる。今後ラインナップが増えていくことで遊びの幅がさらに大きく広がるだろう。

【セットで遊ぶ】
合わせて遊ぶことで楽しさはさらに広がる
タカラトミーモールでは2つをセットにした商品も発売する。価格は14,300円

 開発担当は「カヴァス」のお気に入りはコンバットシフトでの足の描写だという。「足は非常に自由度が高く、逆関節ではなく、膝が前に出るような形でも安定して立たせられます。このようにすると印象が変わります。こちらも設定などは明示しないので、自由に遊んでほしいです。『カヴァス』の変形は手順は少ないですが、印象は大きく変わります。遊んでいてとても楽しいです」と開発担当は語った。変形時には部品がスライドする中でチラリと内部メカらしい構造が顔を覗かせる。内部メカ描写は塗装で存在を主張するので、この演出も楽しんでほしいとのことだ。

静岡ホビーショーでは新しいラインナップも公開

 5月9日より予約が始まる「フリゲート」と「カヴァス」だが、5月17,18日に開催される「静岡ホビーショー」で「フリゲート」と「カヴァス」の展示に加え、今後のラインナップを紹介予定。今回はフィギュアのラインナップが中心になるという。バリエーションを提示し世界観や、姿の異なるフィギュアによる“広がり”を感じてほしいとのことだ。

 最後に開発担当は読者へのメッセージとして「『オルタードナノ』はこれからどんどん広がりを見せていきます。集めるとより楽しくなるシリーズになりますので、ご期待ください」と語った。


 「メタルギア」などを手がけた新川洋司氏デザインのフィギュアと、モスピーダやガーランドを生み出した荒牧伸志氏デザインのビークルで遊ぶシリーズ「オルタードナノ」。筆者は荒牧氏のデザインする変形メカのファンであり、荒牧氏がフィギュアと連動したビークルをデザインするというところで本シリーズは非常に高い関心を持っていた。新川氏によるキャラクターも非常にかっこよく、「フリゲート」が搭乗する「カヴァス」はその世界観と雰囲気にしびれた。

 特に2足歩行形態のカヴァスにフリゲートが乗る画がカッコイイ。しかもどちらも可動によって多彩な表情を見せてくれるのだ。今後のフィギュア、ビークルの広がりも楽しみだ。まずはホビーショーでしっかり皆さんに新情報をお伝えしていきたい。