レビュー
ファレホ「トゥルーメタリックメタル」レビュー
メタリック塗料で陰影を描き出す、新機軸の塗料
2025年12月26日 00:05
- 【トゥルーメタリックメタル】
- 12月27日 発売予定
- 価格:1本517円
ボークスはスペインの水性塗料メーカー・ファレホの新しい塗料「トゥルーメタリックメタル」を12月27日に発売する。価格は1本517円。「メタリックカラーで金属を塗る」という意味で使われる「TMM」(True Metaric Metal)を用いた名前で、。メタリック塗料と陰影を付ける塗料の3本(別途、エアブラシ用基本塗料1本あり)を使って1つの色に陰影を足す塗料セットだ。
同系色の「ベース色」、「ライト色」、「シェード色」と「エアブラシ用ベース色」を使って塗装することで、特定の金属色の明るい部分、陰になって暗い部分を塗り分けられるのが特徴だ。本稿ではこのセットを使い、「塗るガレ ドラゴネッツ リヴァイアサン」(発売元:ボークス、3,850円)を塗って使用感を紹介する。
色鮮やかな3+1色で思い思いのメタリックカラーに
今回、ファレホの日本総代理店を務めるボークスから「ヒュドラターコイズ」、「ビートルグリーン」の2組をお借りした。それぞれターコイズとグリーンのメタリックカラーだが、メタリックカラーでありながら金、銀、銅以外の色味が作れることが珍しいように思える。
ファレホの塗料はボトルから見たままの色で塗れる。「ヒュドラターコイズ」はターコイズブルーと銀色がかったブルーグレーに近いブルーのライト色、ダークブルーのシェード色のセットで、シェード色はクリアブルーともいえる透明色を造形のくぼみなどに流し込むように塗る。
「ビートルグリーン」はタマムシの甲殻のような緑色だ。そこに銀色が強いペールグリーンのライト色、ダークグリーンのシェード色のセットとなっている。ファンタジー系の虫を塗るのに適していそうだ。
どちらもきめ細かいメタリック粒子が詰まっていて、何度か振るだけで十分に塗装可能な程度に攪拌できる。塗料の沈殿もみられず、塗装をすぐ始められる、ハードルを低くする工夫を感じる。
塗装をすぐ始められる、ということは換気設備も必要なく、水で筆を洗える水性塗料の筆塗りの最大の利点だが、ファレホは塗料の沈殿がみられない点もうれしい。例えば粒子が沈殿していれば、攪拌せずにそのまま塗った場合上澄みの発色が悪く色のりも悪い、よく分からない色を塗ることになる。
リヴァイアサンを組み立てる
「塗るガレ ドラゴネッツ リヴァイアサン」は組み立て式のレジン製ミニチュアだ。パッケージに組み立て方法が記載されており、表面に油分が付着していた場合のための洗浄、成型時にできた湯口の除去、プラスチック用溶剤ではない、瞬間接着剤などの多用途接着剤による接着が必要となる。
工程が多いように思えるが、「塗るガレ」シリーズはパーツ点数が少なく、使用しているレジンも削りやすいので単純な工作で終了する。洗浄する場合は小さめの風呂桶やバケツなどに風呂用スプレー洗剤を2~3回プッシュした状態でぬるま湯を張り、パーツを入れてさっとかき回す程度でいい。
湯口の除去は、「リヴァイアサン」の場合筆者はタミヤの「モデラーズナイフPRO」と、「タミヤクラフトツール 精密ノコギリ」、スリーエムのスポンジヤスリを使ってきれいに除去した。「精密ノコギリ」はレジンキットの比較的太い湯口だけでなく、プラ板の切断にも便利だ。工具を多く持っていると、ここぞという時に役立つ。
今回「リヴァイアサン」を組み立てたが、離型剤特有のべたつきも感じられず、樹脂はサクサクと削れた。細かい筆塗りに向いた細やかな造形が魅力で、これからの塗装も楽しみになった。
細かい粒子のメタリック塗料が美しい金属表現を発揮
では実際に塗ってみよう。今回は普段筆者が塗装するのと同じく、プライマー成分を含む「造形村GKサーフェイサー・黒」を使用した。
筆者が普段使うプライマー入りスプレーは黒かクリームだ。明るい色をメインに塗るならクリームがいいが、メタリック塗料や暗色を使いたいのであれば黒をオススメする。黒い下地を作ることで薄く上塗りした色に多少の黒が加わって画面が引き締まるからだ。
「トゥルーメタリックメタル」は「ベース色」、「ライト色」、「シェード色」の順に塗り重ねていく。基準となるのはベース色で、これをしっかり塗って発色させていく必要がある。
ライト色は先述の通り銀色が強く、光が当たる場所に塗る色だ。モデルに対してどの向きから光が当たっているのかを考えながら、一定の場所に塗っていく。
今回はミニチュアの向かって左上、手前ぎみの場所から光が当たっていると考えてライト色を塗った。ミニチュアが向いている方向などを基にして光の色を塗れば、複数体をまとめて塗る場合でも問題なく統一感を出せる。
シェード色はスミ入れをするつもりで塗っていく。陰になる場所、今回であれば奥や右下側を狙って、ベース色の半分くらいをカバーして塗れば陰影がはっきりと付く。暗い部分はさらに暗く、明るい部分はさらに明るく、陰影を強くしていけば見栄えのいいミニチュアが完成する。必要であれば2~3回シェード色を塗り重ねよう。
ひとまず「ヒュドラターコイズ」を使った塗装は完了だ。メタリック塗料は光を受けるときれいな金属光沢を発するが、しっかりと陰影をつけられるので光の当たり方が変わっても同じような陰影がついて見える。この点は「トゥルーメタリックメタル」で作った陰影ならではの魅力といえる。
同じように「ビートルグリーン」も塗装する。青緑がベース色で、こちらも海竜らしい鮮やかな色を塗れる。同じ「塗るガレ ドラゴネッツ」シリーズの「ビスターンドラゴン」を塗るときにも使ってみたい。
「ヒュドラターコイズ」もそうだが、汎用性が高そうな色味であることが最大の魅力だ。メカの装甲色に使ったり、センサー類のレンズや発光部に塗るのもいいだろう。
さて、これで一通りの色は塗ったのだが、もう少し手を加えてはっきりと「完成」といえるようにしたい。そこで、陰の色はこれで完成としてもシルバーを最大に光っているハイライトとして加えて、もっとコントラストを強くするのはどうだろう。
これ以降の塗装に関しても、全てファレホを使用した。まずはヒレの部分を「インク マゼンタ」、「スカーレット ブラッド」、「スクイッド ピンク」、そして下顎や腹、ヒレの先にあたる部分を「エルフィック フレッシュ」で塗ったのち、先端を「シルバー」で塗る。
目も塗ろう。今回はアクセントカラーとして輝いて見えてほしいので、「ブライトオレンジ」を塗った後、下側をなぞるように「ディープイエロー」を塗り、爬虫類らしい縦線の瞳孔を「タイタンダークブルー」で描き、「ピュアホワイト」でハイライトを入れた。「真っすぐを向いている」表現をしたい場合、少し寄り目だと感じるくらいに真ん中に寄せて瞳を描くとよい。
台座はダイナミックな波が造形されているので、コミカルなテイストも混ぜたかった。メカカラーの「ブルー」を何度か重ね塗りして発色させたのち、「ディープブルー」、「ウルフグレイ」をしぶきや波の頂点になっている部分に塗って「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」のように見えたら完成だ。
あとは「ビートルグリーン」側にも同様の塗装をして完成だ。「トゥルーメタリックメタル」はメインで見せたい場所に塗り、鮮やかな陰影を作って目を引くのに最適なカラーだと感じた。セットの3色に加えて「シルバー」も用意しておけばかなり強い陰影を作れるため、筆塗りだけならばベース色、ライト色、シェード色、「シルバー」の4色を用意すればよいだろう。
逆に、全ての面を「トゥルーメタリックメタル」で塗り上げてしまうと注目してほしい面がどこか分からなくなる面もあるだろう。メタリックカラーは金属光沢で光を反射するため、塗装したものの全てがギラギラと光っていても、どこを見たらいいか分からなくなる。ここぞという面にのみ塗って魅力を底上げする、懐刀のような使い方をしたい。
□ボークス「ファレホ トゥルーメタリックメタル」ウェブサイト
創作造形(C)造形村/ボークス
























































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