特別企画

タイトーの新型プライズマシン「GETTER SPIN」体験レポート

確率機にあらず!完全なメカ制御で実力勝負ができる最新作

3月下旬稼働予定

 タイトーは、新型プライズマシン「GETTER SPIN(ゲッタースピン)」の関係者向け体験会を同社にて開催した。3月下旬より全国のゲームセンターで順次稼働予定のプライズマシンで、これまでにあまりないスタイルのゲームシステムを導入している。このマシンの試遊レポートに加えて、開発陣が本機に込めたこだわりについて話を聞けたので、そちらも併せてお届けしていく。

「GETTER SPIN」筐体。ターンテーブルとボタンが備えられたシンプルな筐体

ボタン一つの簡単操作で、幅広いプレイヤーに対応

 この「GETTER SPIN」は、筐体の中に2つのターンテーブルが設置されているというのが大きな特徴だ。プライズの景品はこの上に置かれていて、さらにこれが常に回り続けている。プレイヤーが操作するのは1つのボタンだけで、これを押すとターンテーブル横にあるプッシュロッドが下がり、ターンテーブルの周囲に設置された8カ所のターゲットのいずれかを上手くロッドで押すことができれば、ターンテーブル自体が傾いて、景品が落ちるという仕組みだ。

筐体内部の様子。景品が乗ったターンテーブルと、その左にプッシュロッドが見える
ターンテーブルに8カ所設けられたターゲット。黄色い部分を狙うのだ
プッシュロッドはボタンを押すと規程の位置から下がる
筐体のボタンは一つだけ。押せばプッシュロッドが下がる単純ルールだ

 操作は非常に簡単ながら、実際にやってみるとこれが結構難しい。ターゲットは中心の黄色い部分をプッシュロッドで押さないと、ターゲット自体がシーソーのように傾いて、ロッドの押す力を殺してしまい、ターンテーブルは傾かない。さらに店舗の設定によってターンテーブルの速さや、開始時のターゲットの高さが異なっているので、どんぴしゃのタイミングを狙うには何度か試してみる必要がありそうだ。

ターゲットの中心から外れると、ターゲットが傾いて、ターンテーブルは動かない
ターゲットの中心に上手く当たるとターンテーブルが傾く。景品の向きも重要だ

 ちなみにこれも店舗の設定次第となるが、景品が続けて取れない状況が続くとターンテーブルの回転が遅くなり、プッシュロッドの開始時の高さが普段よりも低くなるという「チャンスタイム」がランダムで発生するというサービスもあるそうだ。

【プライズマシン「GETTER SPIN」プレイ動画】

 当日その仕組みについて説明してくれた開発者の梅山洋介氏は、このマシンの開発にかなりの思い入れがあるのだとか。近年はデジタル式のプライズマシンが増えてきたことで、ユーザーに(実際にそうでなかったとしても)「これは確率機だろう」と言われてしまうことがあり、営業担当とともに全国のロケーションに同行したときも、お客さんからプライズマシンに対して同様の問い合わせがあると、次第に売上が落ちてしまうという状況を聞いて、このままではプライズ自体が潰れてしまうのではないかという強い危機感を持ったという。

タイトー ゲーム開発1部 梅山洋介氏

 そこで梅山氏は「デジタルではなく、全てを機械式のメカで制御して、物理的な挙動を自分の目で追えるようにすることで、実⼒だけで遊べると思えるプライズマシンを作る」ということを目的に、企画を立ち上げたのがこの「GETTER SPIN」である。一定の速度で回転するターンテーブルのターゲットをプッシュロッドで押し、成功すればターンテーブルが傾いて景品が落ちる。この流れは全てメカ的な構造のもとに制御されている。

 こうしたゲームデザインに関しては、「遊び方が一目で分かるもの」という点に注力し、「動いているターゲットを棒で狙って押せば、景品が手に入れられる」という分かりやすさでこの形になったそうだ。これまでも同様にターンテーブルが回るタイプのマシンはあったが、「GETTER SPIN」はさらにルールをわかりやすくして、敷居を下げている。

 コロナ禍前に行われたロケテストではリピート率が高く、特に外国人観光客から好評だったとのこと。海外ではタイミングを見てプレイするタイプのマシンが多く、見るだけでルールを理解して、クレジットを次々と投入してくれたとのこと。一方日本人にはこうしたタイプのマシンに馴染みがなかったため、インストラクションカードだけではルールを直感的に理解してもらえずに苦戦したが、プレイするまで止まっていたターンテーブルとプッシュロッドをデモ中も動かす仕様に変更したところ、売上が大きく改善し、現在に至っている。

デモ中も常にターンテーブルが回転し、プッシュロッドは上下に動いている

 攻略のコツも聞いてみたところ、「攻略法は無限大」だと梅山氏は語る。お店側の設定の違いだけでなく、ユーザーの体格によってギミックを見る角度も変わるので、色々と試してみて自分なりの攻略法を見いだしていくのがベストとのこと。ちなみに筆者は、ターンテーブルの縁に入ったストライプを目安にプレイをしていた。

 梅山氏は「現在のプライズ市場に対してのチャレンジ」だと述べる。「メカの機構をメインとしたプライズマシンを作ることで、全ての動作を目で見て納得して遊べるから攻略性が高まり、もっと遊びたくなる」という企画のもとに開発されたこのマシン。3月下旬より順次稼働予定とのことなので、見かけたらぜひ遊んでみてほしい。