特別企画

「新型コロナに感染したかも……」 いちホビーユーザーのPCR検査体験記。実際に病院へ行って検査を受けてきた

 夜中に熱を感じて目が覚めた。身体が発熱している。体温は37度ちょっとだったが、平熱より明らかに高い。「まさか、新型コロナウィルスに感染したのでは……」という心配で目の前が暗くなった。コロナの潜伏期間は1日から最長で14日間と言われている。筆者この少し前に秋葉原でホビー関連の取材をこなし、そのまま近くのカフェで原稿を書いた。ひょっとしたらあのときに感染してしまったのでは……。潜伏期間としてはかなり早いがそれでも万が一、という恐怖心があった。

 筆者は今回「新型コロナウイルスPCR検査」を受けた。結果は陰性、胸をなで下ろしたが、今後かからないという補償は一切なく、「今の時点で感染者にはならなかった」にすぎない。今回の記事はホビーに限定したものではないが、コロナ感染の危険性は現在誰にでもあり、イベントや食事、ショップなど、人の多いところに行く可能性がある人は今回の筆者の経験は役立つと思う。実は筆者もFacebookの友人の検査の体験記を読んでいたおかげで病院側がどういう対応をするかわかっていたので、スムーズに進めることができた。

 現在、1都3県は緊急事態宣言が延長されているが、様々な場所で人と触れあう機会は少なくない。今回の筆者の体験を共有することで、自分の身に起きてしまった場合、落ち着いて対処ができるようになれば幸いだ。

地方では不十分だが、それでも整えられつつある検査態勢

 夜中身体の発熱で目覚めた筆者は、まず体温を測ってみた。37.3度。微熱レベルだが、間違いなく発熱している。喉も痛い。熱のせいか関節も痛い気がする。「困った」と思った。ただの風邪である可能性が高い。しかし万が一“コロナ”だったら。何よりも怖かったのは筆者自身が感染源になってしまうことだ。筆者は両親の住む町に帰ってきているが一緒に暮らしてはいない。両親をコロナの危険に近づけてはいけないとまず思った。

 筆者は現在、千葉県の長生郡、一宮町という場所に住んでいる。九十九里の終わりにある小さな町だ。町としては小さいが、クリニックは多い。特に筆者は駅の近くに住んでおり、徒歩圏にいくつものクリニックがある。筆者は高血圧で、かかりつけの医者もいる。町にいくつかクリニックがあるのだから、そのどこかではPCR検査はしているだろうと思った。しかしどこかはわからない。

 この時は朝4時だ。PCをつけ「コロナ 検査」と打ち込む。自宅用検査キットや、検査の広告がまずばっと出た。正直、ちょっと怪しさを感じた。国民健康保険料をきちんと払っていて、保険証を持っている人はちゃんと国の方針を仰ぐべきだと考え、「コロナ 検査 千葉県」と検索し直し、そこからいくつかのリンクをたどり、「千葉県発熱相談コールセンター」の電話番号を探し当てた。

千葉県発熱相談コールセンター。時間帯や地域によっては電話が繋がりにくい場合もあるかも知れないが、今回はかかりつけ医、保健所とも全く頼りにならず、ここで有用な情報がもらえた。やはり情報が集中している場所の対応が一番良いのではないだろうか

 結果、この「千葉県発熱相談コールセンター」が一番頼りになった。ここには2度電話をしている。最初に千葉県発熱相談コールセンターに電話した際まず言われたのは、「接触確認アプリケーション『COCOA』はそのとき反応しましたか?」ということだった。こちらの反応はなかった。その後症状などを説明した後、結論は「かかりつけ医に相談」というものだった。

 朝まで待ち、かかりつけ医に電話で相談したのだが、「保健所に相談して欲しい」の一点張りだった。このかかりつけ医が、患者が相談してくることに対して何ら対応を考えたり、準備をしていないということがわかった。そして保健センターは土曜日のため休み。かかりつけ医はこういう事情もわかっていたと思うが、一切アドバイスはなかった。結局2回目の「千葉県発熱相談コールセンター」で最寄りの検査を実施している病院を教えてもらった。

 一通りたらい回されてわかったのは「筆者が住んでいる一宮町ではPCR検査をできる医者はない」ということだった。15km程離れた隣町茂原市なら駅前に3つ以上PCR検査が可能なところがあると言うことで、その電話番号を教えてもらった。

 教えてもらった電話番号に電話を掛けるとPCR検査が可能であること、直接病院に来て欲しいということを伝えられた。できるだけ他の人と接触しないように気をつけて、電車で2駅先の茂原駅に移動した。

 以前筆者の友人がPCR検査を受けており、Facebookでその体験を語っていたが、今回、その記事が非常に役に立った。コロナ感染者と疑われる人は、病院に行ってもなかには入らず、外から電話で連絡をする。電話で検査も場所まで指示されて、その後も陰性だとわかるまでは極力接触を避けられるということだった。こちらがそういうことを知っていると言うことがわかると、向こうの指示もずいぶん楽なようだった。

筆者が行った病院は検査用の施設をきちんと用意していた

 行った病院には検査用のプレハブが用意されていた。駐車場の隅に設置されたその施設は中には椅子しかない空間で、そこで全身を感染防止用のビニールで包んだスタッフに対応していただいた。筆者が受けた検査は、鼻の奥を綿棒で拭う検査。念のためインフルエンザの検査も一緒に行うと言うことで、15分で検査は終わるという。

 興味があった筆者はスタッフに少し質問をしたのだが、実はこの施設そのものが完成したのは1週間ほど前だったという。「陰圧空気清浄機」という機械を動かすための施設であり、内部は常に正常に保たれ、外部にウイルスを出さないようになっているとのこと。筆者はこの施設が完成してから初めての検査者であり、それ以前に、この病院でのPCR検査の第1号だということを知らされた。検査態勢ができた直後に受けることができたのは幸運と言えるだろう。

許可を得て内部を撮影させてもらった。「陰圧空気清浄機」によって内部は清潔に保たれているとのこと
病院内部でも他の患者と接触しないように準備が整えられていた

 結果は幸いなことに陰性だった。結果を知らせるときのスタッフは服装は通常のもので、こういったところも患者に心理負担を軽くするように考えているのかなと思った。その後病院内に入り、問診と今回の検査費の精算を行なったのだが、そこでもちゃんと隔離スペースでの対応となった。本来検査で陰性なのでこういう隔離はしなくて良いようだが、こういったところはまだ試行錯誤なのだろう。

 今回実際検査を受けてみて「思ったよりしっかり検査体勢はできているな」と感じた。町医者は全然対応はできていなかったが、県の窓口からの案内は的確だったし、病院側もきちんと設備を透視し検査の準備を行なっている。

 もちろん感染のリスクはできるだけ抑えるべきで、特に緊急事態宣言が出たままの首都圏の1都3県はマスク、うがい、手洗いと言った感染対策の徹底は必要だろう。しかしだからといってずっと家に閉じこもるというような、盲目的な行動自粛が正しいとは筆者は思わない。ホビーはやはり“商品”を目にすることで多くのものが得られる。イベントもきちんと感染者対策が成されているなら参加することで得られる楽しさは大きい。ましてや緊急事態宣言が解除されている地域ならば、イベントに参加したり、商品を買いに街に出るのはユーザー自身にも、主催者やショップにも良いことだと思う。

 感染対策の徹底した上で行動し、それでもし万が一感染が疑われるような状況になったときは、この記事を参考にして欲しい。国や自治体はきちんと受け入れ体勢を準備しており、少し調べればちゃんと情報にアクセスできる。コロナに気持ちまで囚われず、楽しいホビーライフを過ごして欲しい。

【様々な展示】
ショップや展示場はこの状況でも訪れるユーザーを待っている。その場所でしか得られない体験はやはり大事である。コロナを恐れすぎてこういった“出会い”を逃すのはやはり残念だと筆者は思う