特別企画
【ちょい組み】コトブキヤの美少女プラモ「創彩少女庭園 結城 まどか」に挑戦!
髪の毛の先、袖口を押さえる指……“かわいらしさ”への飽くなき追求!
2021年6月1日 00:00
- 開発・発売元:コトブキヤ
- 発売日:1月15日
- 価格:5,940円(税込)
- ジャンル:美少女プラモデル
- 全高:約150mm
- 内容:
- 表情パーツ(塗装済みタイプ)4種
- 表情パーツ(未塗装タイプ)4種
- 髪型3セット
- 手首パーツ6種
- スクールバック、台座などのオプション
コトブキヤの美少女プラモデルは非常に人気が高い。「フレームアームズガール」、「アリス・ギア・アイギス」、「メガミデバイス」……これらの提示した「メカ+美少女プラモデル」は今やプラモデル業界の大きなトレンドとなって、現在様々な商品が生まれている。
しかし“先端”のコトブキヤはさらに先を見せてくれた。“女子高生”をプラモデル化したのだ。新ブランド「創彩少女庭園」はメカやロボットといった要素なしに、イラストレーターの森倉円氏がデザインするかわいらしい女の子をそのままフィギュア化しようというブランドなのである。
コトブキヤが美少女プラモデルで大きな人気を得たのは、これまでのプラモデル以上に“女の子のかわいらしさ”にフォーカスしたからだ。「創彩少女庭園」はさらに踏み込んだ“かわいらしさ”への追求があり、組み立ててみていろいろなことに感心させられた。「プラモデルでかわいらしい女の子を表現しよう」、「遊んでもらうためにどんな要素が必要か」、「プラモデルを作ったことがない人のためにどう説明していくか」……などなど、開発者の様々なメッセージを感じることができた。とても面白い“挑戦”である。
なお、本商品は1月に販売されたがあっという間に売り切れ、3月に再販、現在10月の再販も決定している。筆者は3月の再販分を購入できたので、紹介していきたい。
初心者への配慮と、髪の毛と手首から感じる尋常じゃないこだわり
「創彩少女庭園 結城 まどか【桃桜高校・冬服】」を組み立て終わった姿は、固定ポーズの美少女フィギュアのような繊細なフォルムを実現している。これは昨今のフィギュアの進化をフィードバックし、プラモデルのフォーマットにうまく昇華させているからだ。それは組み立て前のパーツからはっきり見て取れる。
本商品のパーツ数はそれほど多くない。しかしランナー(プラモデルのパーツをまとめる枠組み)数は11枚ある。1枚のランナーに1パーツしか使っていないものもあり、それだけランナーの色分けが細かいのだ。さらに彩色済みパーツがある。顔やセーラー服の襟元などこの商品の魅力的なポイントが完成品フィギュアのように細かく彩色されている。
感心させられたのは「組み立て説明書」だ。ニッパーの使い方を丁寧に書き、組み立ての時にパーツの向きが変わるときはきちんと注意を書く。各章には「なび子」というキャラクターがこの章で何を組み立て、注意点も説明してくれる。プラモデルを作るのも初めて、と言う人への配慮が感じられるのだ。
組み立てが頭部から、と言うのもプラモデル初心者のモチベーションに配慮した部分だろう。しかし驚かされるのは「創彩少女庭園 結城 まどか」の髪の毛の繊細な表現だ。流れる髪の毛の表現はもちろん、ピンとはねた毛、ウエーブがかかり垂れ下がる毛などを力を込めて造形している。
ツインテールの左右の毛がパーツ構成も造形も違う、と言うところなどは本商品の方向性を強く感じるところ。従来のプラモデルでは、組み立てやすさを優先してしまいそうなところであるが、組み立てやすさ、パーツ構成をきちんと視野に入れながらも、見応えがあり、その複雑さ、繊細さに感心させられる造形を実現している。この強いこだわりこそが、「創彩少女庭園 結城 まどか」の魅力を実現しているのだ。
もう1つ驚くべきこだわりを見せているのが、「手首パーツ」である。手のパーツは軟質パーツで作られ、造形の細かさと柔らかさを兼ね備えている。思わず説明書を2度見してしまうこだわりは“袖部分”にある。本商品のモチーフになっているのは「桃桜高校・冬服」である。結城 まどかはセーラー服の上にカーディガンを着ているのだが、そのサイズは少し大きく、手のひら部分まで袖で隠れている(寒いからかもしれない)。この「袖口に隠れた手」こそが本商品の“萌えポイント”なのである。
「創彩少女庭園 結城 まどか」では開き手、握り手、ピースサインなど片手に6種、計12種の手首パーツがあるが、すべてに専用の袖口パーツが用意されている。手にぴったりとフィットし、袖口で手を隠す、すべての手をきちんと隠すようにしているのだ。この女の子の魅力は袖口だ! という強い主張がこの多くの手首パーツから見て取れる。
可動フィギュアでも手首パーツは多彩なものは多い。キャラクター性を表現するのに、繊細な指の表現は欠かせないというところだろうが、本商品は、「袖口からちょこんと出た手」を渾身の力を込めて表現しているのである。
関節設計や表面処理など、これまでの技術が詰め込まれた設計
「創彩少女庭園 結城 まどか」は“組み立て式可動フィギュア”としてコトブキヤの高い技術が見て取れる。肩は引き出し関節、股関節はスライド機構が内蔵されており、幅広い可動範囲と自然なシルエットを実現している。
一方、女の子フィギュアとして制服のシルエットが崩れてしまう胸の分割はあえて行なっていない。ヒザ部分も関節を隠すような構造になっていたり、設計に関してのこだわりが見て取れる。
服のしわやシルエットの描写など、各パーツの造形の細かさだけでなく、パーツの表面処理も注目ポイント。スカートのつやのある処理からは服の清潔さを感じるし、太もも部分はつや消しの表面処理が行なわれていて“生身”を感じさせる。微妙な造形も非常に繊細で、特にお尻から腿のラインの自然さはかなり力が入っていて固定フィギュアにも負けない。それでいながら関節機構で大胆に動くのだ。
組み立てそのものはかなりシンプルだが、細かいパーツが多いため注意が必要だ。髪の毛など繊細なパーツは多いが、強度もきちんと考えられていると感じた。ただ、プラモデル初心者にはよく切れるニッパーやデザインナイフ、ヤスリといったきちんとした道具はそろえておくことをオススメしたい。
今回の組み立てで筆者の力量不足を感じたのは、ランナーとパーツをつなぐ「ゲート跡」の処理だ。プラモデルはどうしてもパーツを成型する際にゲートができ、切り離しても残る。ゲート跡もできるだけ目立たないように設計されているが、筆者の努力でもっと目立たなくできたはずである。こちらは今後の筆者自身の課題だ。
「創彩少女庭園 結城 まどか」ではオプションパーツもポイントを押さえている。「携帯電話」、「学生鞄」はこの商品の遊びの幅を広げてくれるプラモデルだ。本商品はサイズの近い1/12スケールフィギュアの小物が活用できるが、筆者のコレクションでは銃や剣などの物騒なものばかり。「創彩少女庭園」は“かわいらしい女の子の小物”を今後立体化していく予定だ。
また「座り状態用パーツ」もポイントが高い。専用の腰と太ももパーツ、専用のスカートパーツで座り状態にさせることができる。可動フィギュアではどうしても再現しにくいポーズを専用パーツで再現しようというのは、「創彩少女庭園」が「女の子のかわいらしさを立体物で再現しよう」というテーマの商品であることを端的に現わしていると感じた。
(C)KOTOBUKIYA