特別企画

【詳報】クワガタメカ「ゲルトルード」はプラモデル「ヘキサギア」に"昆虫ブーム"を巻き起こす?【コトコレ】

【コトブキヤコレクション2023[Winter]】

開催期間:2月4日~2月12日

開催時間:各日10時30分~19時30分(2月4日のみ12時開場)

場所:秋葉原ラジオ会館10F イベントブース

入場料:無料

 コトブキヤが2月4日より秋葉原ラジオ会館で開催している「コトブキヤコレクション2023[Winter]」。その中での大きな目玉の1つがプラモデルシリーズ「ヘキサギア」の最新作「ゲルトルード」だ。全長は約35cmのクワガタ型巨大メカで、すさまじいサイズはもちろん、迫力たっぷりの大顎、大きく広げた羽根、そして大きなボディにびっしりと描き込まれたモールドと、ファンならずも思わず目が引き寄せられる。

 本稿では「ゲルトルード」と、同じく昆虫型のメカ「ブロッケード・アイビー」の魅力を掘り下げた上で、「ヘキサギア」そのものの面白さ、開発側がユーザーに提示する世界観の楽しさなどを取り上げていこう。

【ゲルトルード】
クワガタメカ「ゲルトルード」。その大顎の迫力が凄まじい。発売日・価格未定
【ゲルトルード】
巨大なスナイパーライフルを背負った「ブロッケード・アイビー」。実は「ヘラクレスオオカブト」がモチーフだ。発売日・価格未定

 「ゲルトルード」は巨大なクワ型兵器。6本の足の先には車輪が装着されており、この車輪を使うことで高速移動も可能だ。「ヘキサギア」はヘリや飛行機など現用兵器を思わせるメカから、人型、動物型など様々なメカが登場するが、昆虫モチーフはシリーズ初期に少しあったが、改めて真っ正面から昆虫モチーフを前面に出した「ゲルトルード」と「ブロッケード・アイビー」は、シリーズの新たな挑戦となるとのこと。

 「ゲルトルード」はケレン味たっぷりのクワガタとしてのモデリングが良い。力強く機体を支える6本の足にはシリンダーなども確認でき、関節の曲がり方も哺乳類やは虫類とは大きく異なる昆虫らしいデザイン。そしてやはり大顎だろう。SFロボットのビームソードのような大きな刃が機体の前面で組み合わさっている。胴体と同じくらいの長さを持つ大顎は、この機体のイメージを強く印象づける。

【クワガタとリアルメカの融合】
今回は灰色一色の試作品だが、顎や羽根などは素材が異なるものとなるという。成型色による色分けや、デカールなども期待したい
全身にはジョイントも設けられ様々なパーツを取り付け可能
メカニカルでミリタリー風のパーツが、昆虫型に組み合わさっているというコンセプトが面白い

 体のモールドや、足の機構、顎の刀のような構造などディテールはリアルな兵器を思わせるデザインなのに、全身のシルエットは昆虫そのまま、リアルとケレン味がない交ぜになった雰囲気は機会生命体「ゾイド」にも通じる生物感もあって、独特の魅力がある。設定上メカとしての意識を持っているのか、それとも乗り物としてのみの役割なのか、想像力が刺激される。

 もう1つの昆虫型モチーフの「ブロッケード・アイビー」は見てすぐわかるスナイパー用の機体だ。全身よりも長く巨大なスナイパーライフルを背中に装備している。前傾姿勢のボディを低めにしたその姿勢は体をしっかり固定化することで精密な射撃を行うためだろう。そのシルエットはまるで蜘蛛のようにも見える。

 しかし「ブロッケード・アイビー」のモチーフは「ヘラクレスオオカブト」だという。角がこの大型ライフルというわけだ。蜘蛛と考えると脚は6本だし、確かにこれは節足動物ではなく、昆虫カテゴリーなのだ。

 そしてこの「ゲルトルード」と「ブロッケード・アイビー」はパーツを共有しているのだ。「ヘキサギア」というシリーズそのものの特徴だが、各機体はパーツごとに取り外せる「ブロック玩具」のような組み替えが可能で、今回出店された形状だけでなく、様々にパーツを組み替えたり、他の「ヘキサギア」のパーツを利用することでオリジナルメカができる。この昆虫型の脚に人型の胴体を付けたケンタウロス型メカも可能だ。

【兵器らしさの表現の面白さ】
蜘蛛のようにも見えるが、ヘラクレスオオカブトモチーフだ
前傾姿勢がカッコイイ
開発者一押しの後ろ姿。胴体部分もブロック分けされている細かい組み替えが可能な構造だ

 「ゲルトルード」と「ブロッケード・アイビー」はそれぞれ商品として発売されるだけでなく、「ブースターパック」として、「コクピット」、「インセクトレッグ」、バイティングシザーズ といったパーツセットでの販売を予定している。「ブロッケード・アイビー」をベースにブースターパックだけいくつか買えば、「ゲルトルード」に組み替えも可能なのだ。パーツの互換性、オリジナルメカの追求は「ヘキサギア」の大きな魅力であり、この2商品もその流れを受け継いでいる。ファンにとっては昆虫モチーフのブースターパックこそが自身の「ヘキサギア」の世界を拡張してくれる目玉商品とのこと。

【ブースターパック】
「ゲルトルード」と「ブロッケード・アイビー」は共有パーツも多く、ブースターパックとして部位ごとでも販売される。ユーザーはお気に入りのパーツだけを買って自分のメカに組み入れることが可能なのだ

 ヘキサギアはブロック玩具として無限の楽しさがある。ユーザーは1つの商品を買い、その商品をベースに様々な拡張を行い、オリジナルメカを追求していく。各パーツのジョイントは共有であり、手や足の組み替えだけでなく、装甲の表面にもジョイントはデザインとして組み入れられている。追加の手足だけでなく、様々な武器を付けることが可能なのだ。

 ハリネズミのようにゴテゴテと武器を付けるも良し、「換装」を意識して任務に合わせた装備セットを考えるも良し、もちろん手足を生やしたって良い。この組み替えシステムを活用することで走行形態や、飛行形態から人型への変形を考えるのも良いのだ。各メカには細かい設定がされているが、ユーザーはそこから自由にカスタマイズして良い。この楽しさが「ヘキサギア」の魅力なのである。

 加えて「ヘキサギア」には"ガバナー"というパイロットフィギュアとの連携が楽しい。ガバナーはの大きさは約7.4cm。手足やひじ、膝、頭部、腰部などが動き細かいポージングも可能。この小ささはパイロットフィギュアとしてコクピットに座らせられたり、メカにまたがさせたりと、他のメカとの連動ができるサイズに加え、ステルス仕様や、重装甲といった装備の差別化も明確にできる。キャラクター性をきちんと表現できる絶妙な大きさなのだ。

【ブイトール&ポーンX ナイトストーカー仕様】
「ブイトール&ポーンX ナイトストーカー仕様」、発売日・価格未定。白の成型色で展開していた「ブイトール&ポーンX」のカラーバリエーションだが、黒くすることで忍者風の雰囲気となる
ステルススーツを思わせるポーンX
キャラクター性と兵器感を併せ持つデザインだ

 今回出展された「ブイトール&ポーンX ナイトストーカー仕様」は、忍者のように隠密行動と、長い刀を持った格闘戦に特化した機体だが、この前に同じように漆黒のスーツに身を包んだガバナーがポーズを付けていると世界観がグッと広がる。パイロットフィギュアが同じような忍者モチーフだと、キャラクター性が強まるのだ。ユーザーは複数のメカに乗り込むパイロットを考えたり、メカとパイロットを同じようなモチーフでそろえることで特殊な任務を持った部隊を想像できる。

 コトブキヤの「ヘキサギア」は1人の企画者が世界観を考えている。その本筋となるストーリーは2017年からスタートし、6年目である現在も続き、1つのクライマックスを迎えたとのこと。この骨太の世界観をベースに開発チームが様々なアイディアを盛り込みユニークな商品を生み出したからこそ、「ヘキサギア」は多くのファンを獲得したのだ。

 玩具メーカーにとってオリジナルIPを立ちあげ、そこで幅広く商品展開ができるのは理想の1つだ。しかしIPが認知されなければファンはつかず、商品は売れず立ち消えになってしまう。シリーズを謳いながら2~3の商品で販売が終わってしまうIPも少なくない。

 その中で「ヘキサギア」は6年以上も拡大しファンを増やし続けている。それは綿密な世界設定や、魅力的なメカデザインだけでなく、1つの商品を軸にした組み替え遊びの楽しさや、ガバナーと連携した遊びなど、まずプラモデルとして、玩具として魅力的だったからだろう。今後の展開も大いに期待したい。

ガバナーとの連動によるスケール感は「ヘキサギア」の魅力